【更新一時停止】8人の転生者が大海賊時代を生き抜くお話 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
酒場でレントを仲間にしている頃、ムザンとヨシカゲはコーヒーハウスにてコーヒーと軽食を味わっていた。
知的階級が集まる社交場ということもあり、様々な新聞も読むことができた。
「ムザン、仲間集めは良いのか?」
「医師がこの様な所で捕まるわけ無いだろ。普通の医師は地上で病院を開いていたりしたほうが金になる。良くて見習いが捕まえられるかだが、そんな人物が金のかかるコーヒーハウスにいると思うか」
「それはそうだな」
「せっかくコーヒーハウスに来たんだ。私達は情報収集に注力するぞ。特に次の島であるバビエカは今はグランドラインに行きたい海賊でごった返している。そんな情勢下でこっちは商売をせにゃならんからな」
「それはそうだな···ムザンは船員が増えるのはどう思う」
「その言い方だとあまり好意的ではないのだなヨシカゲは」
「ああ、ミラやコノみたいな行き場の無い奴は裏切ることは無いだろうが、人材斡旋の様な形で紹介された人材は金での繋がりになる。何かトラブル(世界政府から追われる身の暗喩)になった場合情報を売られる可能性すらあるぞ」
「ふむ···それもそうだな。では裏切れなくすれば良い」
「どうやって?」
「我々の念で縛ればよい。ランの奴がこの前私にやらかしまくっているからどうすれば良いと聞いてきてな···念の制約をすれば良いと言ったんだ」
「例えば?」
「彼女の念を込めて作った料理を食べて、ランを危機に陥らす発言を他人に喋った場合、念で作られた針が心臓に突き刺すというものを紹介した」
「条件が複雑だな。対象も広いが」
「まず料理を食べさせる制約とランの具現化系の念の才能を全てこの念に当てるという制約で事足る。才能限界撤廃により我々の念は特質系を除き全て100%の適性がある。才能の1つを手放す制約と考えれば十分であろう」
「なるほど、それならば裏切れば死ぬわけか」
「ヨシカゲもランに思うところはあるだろうが、ラン自身も悪いと思っている。知らず知らずのうちに強く当たっている事があるから気をつけろ」
「···すまない」
「なに、メンタルケアも船医の務めだ」
そんな事を話していると1人の男が話しかけてきた。
「君達、船乗りかい?」
「ええ、そうですが···何故に?」
「いや、コーヒーハウスに来るメンバーは大抵固定客だ。見慣れない人物は島の外部から来た者···つまり船乗りだ」
「そうですがあなたは?」
「自己紹介がまだだったね、アルビオだ。オルガン王国の大学で民俗学について学んでいたんだ」
話を聞くと、民俗学とは言うが宗教について色々と学んでいたらしい。
ワンピース世界にも宗教はある。
時々宣教師やシスターが漫画でもでてきている。
オハラでもキリスト教っぽい宗教をやっているおっちゃん(牧師)がロビンを悪魔呼ばわりしていた(悪魔の実の能力者のため)のは印象深い。
アルビオは海賊が増えて不幸になる人が増えるのならば心の傷を癒やすために自身の信仰する宗教を広めようとしているらしい。
ただ前に乗せてもらっていた船では意見が合わなくなり自ら降りて、この島で家庭教師をしながら金を稼いでいたらしい。
宗教について聞いてみたがプロテスタントに近い。
酒も夫婦を持つことも許されるべきものであるが、信仰することで神様は死後に救ってくれるという感じらしい。
「君達はどんな宗教を信仰しているのかな?」
と聞かれた。
ちなみに無宗教と答えるのはナンセンス。
特に相手が宗教家だと尚更話がこじれるので、ジパン商会では前世の影響で多神教の神道に近い宗教を信仰している感じになっていた。
「···といったのを信仰してます」
「なるほど興味深い。少しの間で良いから君達ともう少し話がしたいから次の島まで乗せてくれないか?」
「バビエカに行くが大丈夫か?」
「バビエカか···うん、問題ない。君達も直ぐにグランドラインに入るわけじゃないし、定期的に交易をするために別の島に行くんだろ?」
「そりゃもちろん」
「ならそれまでの間だけでも良いから。こう見えて測量学(航海士の必須技能)も学んでいるから」
「まぁコーヒーも飲み飽きてきたから船で続きは話すか。私はヨシカゲ、船では操舵手をしている」
「私は船医のムザンだ。うちの船はクロス号、商会名はジパン商会、船長はマイトで船員は10名だがな」
「小さい船かい?」
「中型のキャラックだが?」
「ならよかった。前の船は奴隷船で船内がめちゃくちゃ狭くてな」
「そいつはご愁傷さま」
こうして宣教師っぽいアルビオ(20歳)が仲間に加わった。
ティーハウスは女性や子供でも入りやすいお店で、年頃の少女達が将来の事を語ったり、婦人達が旦那の愚痴を言う日本の喫茶店でよく見る光景が広がっていた。
「へえ! お姉さん達ってオハラから来たんだ! めっちゃインテリじゃん!」
「お姉さん達でも働けるなら僕も商会に入りたいな〜」
偶々相席になった娘達と話が盛り上がっていた。
ティーハウスもそこそこ値の張る場所なので、入り浸れる娘達は親が金持ちということである。
で、小さな島の場合完全雇用状態で人余りが発生する。
この場合男は海に出て稼ぐができるが、女性はなかなかそういうのが許されない場合が多い。(例外あり)
そういう余った人材は海軍の徴兵に飛びつくのだが、大海賊時代が始まった事で今海軍の入隊は死にに行くのと同じであると言わざるを得ない。
かと言って島で飼い殺しみたいなのも···という家が結構多かったりする。
今回食い付いた2名の娘達も地元の学校は卒業したものの、就職先が見つからずに困っていたという感じだ。
ティーハウスで時間を潰したり、家の手伝いをしている。
そのうち結婚もすると思うができればある程度自由の利くお金が欲しいというのもあり、労働条件と日当1万ベリープラス海上の航海中は更に1万ベリーの危険手当で2万ベリーでどうかと話したら食い付いた。
「家族と話したら直ぐに乗ります! 働きます!」
「僕も!」
僕っ娘がエンゼル、茶髪の子がハルである。
エンゼルは時計工の家出身で自力で時計が作れるらしい。
ハルは服屋の娘で裁縫が得意とのこと。
とりあえず半年の期限付きで雇うことにしたのだった。
「ということで新人の4人が加わってくれました。レント以外は期限付きだけど仲良くしてくれよ」
「「「ういー」」」
ということで契約書の作成や船内の軽い紹介をするとレントとアルビオが滅茶苦茶驚いていた。
「「な、なんじゃこりゃ!?」」
「水洗トイレだと···レバーを引けば水が流れるトイレが4箇所もあるだと!」
「赤痢が怖いからトイレは多くあるし、水洗で流して船外に捨てることで病気のリスクが減らせるからね」
「ま、真水のシャワーに風呂だと!?」
「ここ船だよな?」
「海水を汲み上げて真水に濾過して飲水も作るよ。衛生的にしないと病気になるからね!」
「冷凍室···だと!?」
「食材の長期保存!?」
「長期航海で飢えない為にね。鮮度を保つためにも必要でしょ?」
「ランタン以外の灯り···」
「特殊なエネルギーを使って夜も活動できるよ」
「洗濯機、乾燥機!? そしてこのふわふわな寝具!?」
「なんじゃこりゃ!?」
他の船を知るレントとアルビオはぶったまげ、よくわかっていないエンゼルとハルに凄さを説明する。
「そ、そんなにすごい船なの?」
「普通に地上で暮らすよりも快適、こんな船乗れるの普通に王族とか世界貴族レベル。1商船の施設じゃない」
とアルビオが凄さのわかってない2人に力説。
「しかも3食しっかり食事が出る···だと」
「お嬢さん達悪いことは言わない、もし他の船で船員をやってもこの船の100倍待遇が悪いからね」
と説明された。
エンゼルとハルはラッキー程度に思っていたが、男2人はこの船に乗れる幸運を神に感謝した。