【更新一時停止】8人の転生者が大海賊時代を生き抜くお話 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
「ムザンさん、今日の日記です」
「ああ、いつものカゴの中に入れておいてくれ」
ハルは夜に書いた日記をムザンに提出する。
海賊狩りをしている時以外は今日はこんな鍛錬をやったとか昼にこの料理を食べてこんな味がしたという習ったことや料理の味について書くように言われている。
「これ何か役に立つんですか?」
「航海の最中、船員が航海日誌を付けるのは娯楽が無いからと精神安定の為に書く。そして私は日誌に書かれた料理の味について各々の健康状態を知ることができる」
「精神安定と病気の予防についてですか?」
「ああ、どうしても陸が見えなかったり度重なる戦闘によるストレスってのは蓄積していく。トリガーハッピーのハル、お前でもだ」
「最近は銃を発砲していたり、銃の整備をしていれば気分が落ち着きますがね」
「普通の精神状態の人間はそんなふうにはならんからな。まぁ日記は私以外見ることは無いから安心しろ」
「ちなみにおかしくなるとどうなるんですか?」
「一番わかりやすいのが幻覚と幻聴だ。見えない物やある筈の無いものがあるように思い込む。予防方法はコミュニケーションによるものや十分な睡眠、日光浴なんかも回復手段として使えるな」
「なるほど」
「自分の感覚が怪しいと思ったら直ぐに私の所に来い。そういうのも日記でいつもと違えば体からのSOSのサインとこちらは知ることができるからな」
「なるほど」
「あとは本当にやばくなったら字が書けなくなる。書いてるように見えてミミズがのたくった様な線が引かれているだけみたいなのもある。そうなれば超危険状態で、治療しなければ自殺するからな」
「ひ、ひえ」
「あとは学習効率を上げる為にも経験した事を文字にするのは大切だ。人間覚えたと思っても再び思い起こさないと忘れるからな」
とムザンは精神医学や前世の学習定着の観点から日記を書く重要性を説く。
今のところエンゼルとハルが時々ヤバくなる程度で他の船員は余裕がある。
一応2人も永久就職をしたいと言っている···というかハルは銃を3日に1度ぶっ放さないと落ち着かなくなってしまっているので、とても普通の島で生活させることはできない。
ムザンも船医としてハルの現状を親御さんに説明する必要があると考えており、もう少ししたら契約更新の為にバビエカの手前の島に戻るので、そこで船を降りるかどうか決めて貰う必要がある。
勿論日記は降りる場合船の機密が詰まっているのでこっちで焼却するし、さり際にランの念能力を発動させると思うが···
「ムザンさんはライザさんと付き合ってるんだよね?」
「ああ、まあな」
「···妾でもいいので今度抱いてくれませんか?」
「あー、まあ良いが、避妊はするし、俺が20になるまで子供を作る気は無いからな。というかライザには話したのか?」
「···」
「ライザに話してからだ。俺の気持ちはライザにあるからな」
「ふいー、着いた着いた。1週間ぶりの陸地だ」
バビエカ手前の島に戻ってきたジパン商会のメンバーは島に降りる前にラン手作りのクッキーを食べてから契約更新に入る。
船長であるマイトと1対1で話し合う。
最初はレントである。
「俺は船長に何があっても付き合うぜ! 武装色を極めれば海を割る事もできるんだろ!? それにあんな恵まれた船は陸地よりも快適だ! 船員の皆と話していても楽しいからな! まだまだこの船で鍛えさせてくれよ!」
「給料は据え置きになるが良いか?」
「給料はそのままで良い。ただ初期メンバーと同じように個室が欲しい。アルビオのイビキが煩いんだよ。今は耳栓をして寝てるんだが···あとはアルビオが夜遅くまで勉強をしているから部屋の灯りを消せなくて寝づらくてな」
「まあそれは別に良い。悪かったな気付けなくて」
「いやいや、それ以外は全く不満が無いんで。そもそも個室を他の船で要望したら袋叩きにされますし」
「まあ空き船室はまだあるからそこを使ってくれ。給料等をしまっておける金庫を個別に置いても良いから」
「まじっすか! ありがとうございます」
レントの契約更新は乗り込む当初から長期契約前提だったのでスムーズに進んだ。
次はアルビオである。
「見てくださいよ。モヤシだったのに今じゃ立派な海の戦士ですよ!」
インテリモヤシだったアルビオも周りに流されて毎日死にかける精孔開きと鬼滅の刃の柱が行った鍛錬を行った結果、鋼鉄の様な肉体(文字通り弾丸が効かない)を手に入れていた。
「そ、それにあの船には素晴らしい書物がまだまだ沢山ある! この前読んだ経済についての考察やアラバスタ王国の歴史、悪魔の実の考察なんかは素晴らし過ぎて興奮して眠れなかったよ!」
「おま! お前か! 船の禁書庫に入り込んでたの!」
「禁書庫? ああ、鍵の掛かった部屋だったけどこう、ピッキングで」
「普通にルール違反だ。知的好奇心があるのは良いが···」
「え? 船長?」
「お前危険すぎるわ」
ボキッとアルビオの首をへし折った。
「こんな感じで仲間を失いたくなかったよ。全く大馬鹿者め」
たぶんアルビオの性格的にルールを普通に破るようなら遅かれ早かれ口を滑らせてランの念で死ぬか、ジパン商会全体を巻き込むいざこざを起こしそうである。
「ヨシカゲ」
部屋の外で待機していたヨシカゲを呼んで、事切れたアルビオの亡骸の事情を説明する。
「禁書の隠し本棚の奥には皆で幼い頃に書いたエッグヘッド編までのワンピースについての年表やわかっていることを忘れないために書き起こした本がある。アルビオはそれを読んでは居ないようだが···開かずの扉にしないか」
「なら私のスタンドでしか開けられない様にしようか。スタンドは壁をすり抜けることができる。取っ手を部屋の中にしかなければ開けることはできまい」
「ハシラマに言って扉を作り直してもらうか···私はライザを呼んで遺体を皆に見せないように溶かしてもらう」
「ああ、ライザは食堂に居るハズだ」
「他のメンバーは買い出しとエンゼル、ハルは親への説得だったか」
「しかし、アルビオだったが禁書庫を漁ったネズミは」
「若干精神状態がおかしくなっていたハル辺りだと思っていたが···まあ船のルールを破ったのだからな」
「仕方がないだろう。アルビオから航海術も教わった。ログポースも海賊から奪って予備含めて幾つかある···まあ元々短期契約だったからな」
「ヨシカゲは仲間に対して思い入れとかはないのか?」
「アルビオは暴走気味だったからな。最初から目をつけていた。教育係として一番長く接していたが···まぁ怪しい行動は続けていたからな。仕方がないだろ。俺の本当の意味での仲間はな。転生者のお前達だけなんだよ···家族をこちとら捨ててるんだぞ。他の人を本当の意味で仲間と思えるか?」
「ごもっとも」
「でも安心した。マイトも殺る時は殺るってのをしれてな。頼むぞ船長」
「···ああ」
転生者の仲間には真実を、他のメンバーは契約更新中に胸を抑えて苦しみだし、ぽっくり逝ったと説明。
遺体は海に捨てた(海葬)したと言うのだった。
で、皆案外淡白だったので詳しく聞き取り調査をすると転生者以外の女性陣と性行為をしようとしつこく迫っていたことが判明。
特にエンゼルとミラははっきりと嫌いだったと言い、アルビオの死後に不和の種になっていた存在だったと判明するのだった。