【更新一時停止】8人の転生者が大海賊時代を生き抜くお話 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
ハルの家にて、ハルとその両親、そして船医のムザンが話し合っていた。
ハルは両親に長期でジパン商会で働きたいと申し出ていたが、両親は心配しているため、船医のムザンが一緒に説得に向かっていた。
「お父さん、お母さん、私、このままジパン商会で長期で働きたいんだけど」とハルが切り出した。
「短期間だから許したが、今の海の状況で船に乗せたがる親はいないぞ! 考え直せ!」
と父親が言った。
「え〜だって海賊って言ってもそこらのゴロツキの延長線上ばっかりだよ。私、半年の航海で25人殺してるし」
「「に、25人!?」」
と両親は驚愕した。
船医のムザンが口を挟んだ。
「えー、娘さんが言うのは正しいです。海軍からも表彰されていますし、うちの船で一番射撃能力が高く、帆を直す技術も素晴らしく、ジパン商会としても彼女に残ってもらいたいんですが」
「うむむ、しかし···」
ムザンは一旦ハルの父親を家の裏へ連れ出した。
家の裏でムザンが深刻な表情で話し始めた。
「実は、ハルさんは重度の銃依存症と難聴を患っていて、今もヘッドホンをしているのは補聴器なんです。精神状態も不安定で、うちの船では比較的安定していますが、銃が撃てないと暴れる可能性が高く、最悪の場合、一家惨殺もあり得ます」
「な!? てめぇ娘をそんな状態にしやがったのか!?」
「待ってください。原因は海賊で、こちらは自衛のために銃を教えただけです。あそこまでのめり込むとは思いませんでしたが、今の状態の娘さんを家に帰すわけにはいきません」
とムザンは冷静に説明した。
「しかし···」
「···娘さんの技量はうちの船員全員が本当に買ってるんです。500万ベリーを娘さんの慰謝料と契約金として払いますから···」
この時ハルの家は海賊によって染料の輸入が途絶えてしまい、家計的に苦しいかった。
その為娘が船で稼いできて仕送りとして渡してきた250万ベリーとムザンが言った500万ベリーがあればどうにか家業を立て直せると思った。
ハルは真ん中の子供で、一番下はまだ5歳と幼く、長男に家業を継いでほしいと父親は最終的に折れた。
ハルの方も母親や心配する兄達に自分の武勇伝を聞かせており、逞しくなって嬉しい反面、海賊を虐殺する女を誰も嫁にしたがらないからこの島での結婚は無理と兄達は揃って判断し、しかもトリガーハッピーで銃を撃たないと落ち着かないという話まで飛び出す。
苦しい家計状態に精神不安定の妹を置いておくわけにもいかず、ほぼ身売りに近い形でハルは両親の前でムザンが持ってきたジパン商会の書類にサインをした。
一方エンゼルの方はというと
「あるぇ? 家が更地になってる?」
「え?」
同行しているグダコも困惑。
とりあえず近くの人に事情を聞くと
「あぁ、エンゼルの嬢ちゃんか。親父さんなんだが海賊に商材を3回も奪われて破産して一家心中したよ。時計職人だったからな、高価な時計を作っては奪われて最後まで粘っていたが駄目だったみたいだね。町長さんがエンゼルさん宛に親父さんが残した手紙を保管していたと思うが」
と言われ、町長の家に行き、手紙を読むと、エンゼルはボロボロと涙を流した。
どうやら借金をエンゼルに残すわけにはいかない、兄達は借金が多くなった時点で家族を捨てて逃げ出した、幼い妹達は親が居なくては生きていけないから一家心中するといった遺書だった。
「あの糞兄貴達···」
「とりあえずエンゼル、どうする?」
「勿論ジパン商会で働きますよ! もう僕の力で生きていくしかないですから」
と再契約に同意した。
というか島全体でも海賊大量発生により貿易がほぼストップしてしまっていて、商人達は破産したり、商会の規模を縮小したり、食い扶持を稼ぐために殆どの人が海兵に志願してしまい、産業が終わってしまったらしい。
「人材斡旋会社も2ヶ月前に破産して社長一家は離散した。あそこももう何もないぞ」
と町長に人材斡旋会社の事を聞いたらそう返ってきた。
結局火薬やライザが作った染料が売れたくらいでほぼ成果ゼロ。
アルビオが粛清された分、人数は減ってしまい、一行はバビエカに戻るのだった。
減った分補充しなきゃ話にならん。
というかグランドラインをこの人数で挑む馬鹿はルフィくらいである。(というかグランドラインに突入時麦わらの一味の人数5人って今考えると正気じゃない。船医も居ないから普通は次の島に辿り着く前に死ぬ)
ということでバビエカで人材募集をしたらその日のうちに2名ほど応募があった。
とりあえずマイトとヨシカゲが酒場で面接を行う。
1人目赤髪が綺麗な20に届かないくらいの女性···アン
「いやぁ、前に居た船が沈められちゃったんだ! 旦那も死んだしまた海で戦うんなら海賊狩りで名の通ったジパン商会で暴れたいなって思ってな! アタシこう見えてもバリバリの武闘派だよ! どうだい?」
と言ってきた。
「えー、戦闘員希望ということで?」
「なんなら娼婦の代わりでもやろうか! 前の男とはできなくてね! 簡単に死んじまったし」
とのこと
「ちなみに前の船ってもしかして海賊船? 沈めたの海軍じゃないの?」
「お! やっぱりわかるかい! そうだぜ! 海賊やってたんだが、船長だった旦那は戦死、部下達も罰金刑で解放って感じだ」
((それで良いのか海軍))
「まぁ前の旦那が海賊旗掲げてたけど海賊らしい行為は一切してなかったし、略奪も海賊相手に行うのがメインだったからな」
「ん? ちょっと待てよ、でもとなるとアンは副船長かそれに準ずる立場だろ? 平の部下が罰金刑でもアンは普通に絞首刑じゃないのか?」
「あー、実はな」
アンの経歴を語りだしたが、まず前の旦那とは駆け落ちであり、元々はバリウッド王国の上級貴族の娘だったらしい。
で、政略結婚の相手が嫌で逃亡し、ギャングに拐われて、人質状態の時にギャングの親玉を隙を見て刺殺したらしい。
でギャングを事実上乗っ取り、好みだった若頭的ポジションの男とそれに慕う仲間を連れて海に出たらしい。
で海に出てその若頭や男達は海での生活に馴染めずにいくつか島を巡った後にバビエカで解散、バビエカで酒場のアルバイトをしている時に前の旦那と出会い結婚し、旦那が海賊王の宝を聞いて海賊になると言い出し、船と船員を集めて出航、いきなりグランドラインに行くのは無茶だから近場で慣らしをしていて最初の話に戻るとのこと。
つまり海軍としてはバリウッド王国の上級貴族の娘なので殺せないって話だが、ギャングの親玉を刺殺してる時点で普通の貴族じゃない。
「まぁ言ってしまえば貴族に適応できなかったんだ。息苦しいし、マナーばかりで辛いし、女は結婚の道具としか見ていない両親にもうんざり。自由を求めて家出しても自由なんざどこにもありゃしねぇ···自由が無いんなら強い男の子供を産みたい。ジパン商会は海賊を短期間に潰しまわった海軍顔負けの商船だ。そんなところで働けたら幸せだろうと思って希望した。募集しなくてもジパン商会の船が来たら乗り込む気でいたぜ!」
と、とんでもないのが来た。
上級貴族でギャングの親玉を刺殺して海賊にジョブチェンジとかヤバすぎるだろ···
「どうする?」
「雇わなくても乗り込むからな!」
「···選択肢ないじゃん」
ということってアンが加入した。
で、もう一人もアンに負けず劣らず···
「元海兵です。訳あって海兵に戻れないのでジパン商会で働かせてください!」
と言うのはメアリー19歳。
彼女も彼女で経歴が濃い。
まず産まれだが、母親が不倫してできてしまった子供で、本当の旦那は海に出てすぐ戻ると言われていたが、1年待っても帰ってこなかったらしい。
で、母親は旦那のお母さん···義母と旦那との生まれたばかりの男の子と3人で暮らしていたんだけど母親不倫でお腹が大きくなってきたので義母に悟られるとまずいと思って理由をつけて別の島に逃避行。
メアリーの兄に当たる男の子は逃避行中にぽっくり逝ってしまいメアリー誕生。
逃避行したは良いが母親の資金が尽きたのがメアリー4歳の頃で、母親は義母から金をたかる為にメアリーを男装させて義母を騙して資金を貰い、義母も成長した孫を見て安心したのか、母親が毒殺したのか分からないがぽっくり逝ってしまい、遺産をメアリーが相続。
その遺産の殆どを母親が豪遊したので13歳の時に母親と縁を切って海兵に志願し普通に活躍。
15歳で本部所属、16歳で准尉になったらしいが、海兵の上司の旦那と結婚して西の海の基地司令官に移動。
ここまではよかったのだが、旦那が海賊と癒着して海賊王の宣言で海軍内部の戦力増強と人員整備をしていた時に旦那の海賊との癒着が発覚して旦那は極刑。
連座は免れたけど島に居られなくなり、貯金を切り崩してバビエカまで来たけど遂に貯金が尽きたし、そんな経歴の元海兵を雇ってくれる商会は全然なくて、ジパン商会以外のバビエカに居る商船は全滅したため、ここが駄目なら真面目に海賊になるしか生きる手が無いのでどうか雇ってほしいとのこと。
「本部付きで航海士やってました! 砲手の経験あります! グランドラインで2年以上航海経験あります! 四則算できます! 海賊殺せます! 安くても良いんでどうかお願いします!」
訳ありだがSSR人材が舞い込んできた。
勿論囲い込みを行い男装が似合う女性(ワンピース世界にしては胸が無い···それでもCカップくらいはあるが)メアリーが仲間に加わった。
ちなみにアンとメアリーは実在した海賊をオマージュした経歴になっています。
なんでリアルさんこんな面白い経歴の人を歴史にポンポンと出してくるかね?