【更新一時停止】8人の転生者が大海賊時代を生き抜くお話   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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覚悟の日

 転生者達の親達が集まり、今日あった事の話し合いをしていた。

 

 というのも転生者達が15歳の誕生日の日に基礎工程の終わったキャラック船を親達に見せたのだ。

 

 彼らが集まって船を作って実験をしているのは知っていたし、練習航海をしている姿は町の皆も知っていた。

 

 しかし、秘密のドックで立派な船を建造しているのを今日転生者達からしっかり伝えられ、現物を見せられると反対する理由が無くなった。

 

「センさん、あの船は西の海の航海に耐えられるのでしょうか?」

 

 親の一人が船大工のハシラマの親に問う。

 

「十分でしょう。俺も船大工のイロハを息子に教えてはいましたが、親の贔屓抜きに、命を預けることができる船だと思いますよ」

 

「ここまで来たら応援するのが親でしょう。懸念点だった船を自作した以上、彼らの背中を押してあげるのが親の役割だ。多少赤字でも積荷や食材の手配をして、彼らがちゃんと航海できる自信をつけさせてあげないと」

 

「そうですね···まぁ最初はお遣い程度の航海になるでしょうからこちらからは食料を輸出して医療品と紙を輸入しましょうか。キーブ(ムザンの医者の家)の医療品の在庫が少なくなっているって言ってましたよね?」

 

「ああ、そうだな。それだと助かる」

 

 と親達は酒を飲みながら話しをした後に少し下世話な話に移る。

 

「あの子達男女の関係は大丈夫なのかしら?」

 

「それとなく皆聞いてみたんだろ? 息子や娘が誰が気になるのか」

 

「うちマイトはランちゃんが気になるらしい」

 

「家の子もマイト君と特に仲が良いって言ってたわ」

 

「フウカはムザンと仲が良いって言ってたな」

 

「ムザンもフウカと料理の話が楽しいらしい」

 

「ライザはハシラマ君かな」

 

「ハシラマもライザだったな」

 

「グダコは特に言ってなかったな」

 

「ヨシカゲも特に恋愛感情は無いらしい」

 

「···良かった。被ってないわね」

 

「よかったよかった」

 

「これなら早めに孫を拝めそうだわ」

 

「まぁ船上で生活するようになるのだから更に仲は深まるだろうな」

 

「楽しみだわ!」

 

 と子供達の話で盛り上がる。

 

 彼らは知らない···破滅が近づいてきていることを···

 

 

 

 

 

 

「完成したな」

 

「あぁ」

 

 目の前には完成したキャラック船が鎮座している。

 

 後は進水式をしたら終わりだ。

 

「船の名前はどうする?」

 

「皆で決めたろ···クロスオーバーしまくっている俺達の存在と合わせてクロス号だ」

 

「じゃあ新しい船を作った時にはオーバー号になるのかな?」

 

「いや、それはまた別だろ」

 

「次の船はウトナピシュティム号にしてよ!」

 

「フウカ、それってブルアカの?」

 

「宇宙戦艦!」

 

「いや、日本人としてヤマトを」

 

「ヤマトはワノ国のヤマトと被るからムサシにしなよ」

 

「いや、だったら幻の紀伊にしたい」

 

「信濃!!」

 

「いや、次は日本丸だね。というか我々は海賊ではないから貿易船なのだぞ。本当の母国である日本を入れたい」

 

「まーまー、とりあえず今回はクロス号で···誰が商会長をやるかだけど」

 

「商号は何にするの?」

 

「それこそ日本商会だな···いや、この世界の人が言いやすい様にジパン商会にしよう」

 

「ジパン商会···いいね!」

 

「商会長って誰やる?」

 

「マイトで良いでしょ。戦闘要員で暇だろうし」

 

「マジか···」

 

「だって役割ないのマイトくらいだよ···グダコとか役職多すぎて死にそうだし」

 

「代わって···代わって···」

 

「わかった。やるよ···」

 

「でもガリガリだったのにマイト本当にオールマイトみたいに成長したね。私が来たってやってよ!」

 

「私が···来た!」

 

「ヒュー迫力ある!」

 

「そ、そう?」

 

 そんな話をしながら交易の話になる。

 

「とりあえずこの町の交易商人のおじさんに挨拶して、商売敵になるつもりは無いことを説明しないとね。最悪敵対する可能性もあるけど」

 

「え? 交渉ってもしかして私?」

 

「船長〜任せたよ〜」

 

「よ、船長のカッコいいとこ見てみたい!」

 

 持ち上げられたマイトは渋々交渉のために動くのだった。

 

 

 

 

 

 

 この町の交易商人は1家であるが、周辺海域を交易している商人は結構多い。

 

 考古学の島なので海軍の巡回船も多く、周辺海域は比較的安全であり、まだ大海賊時代が始まっていない···というかロジャーがまだ自首していないので今年中にロジャーの処刑が発生し、大海賊時代が始まるため、今が一番海賊が少ない時期である。

 

 交易での旨味は多くないが安全というだけで商人達が活動するには十分な理由になる。

 

 しかも考古学に紙が大量に必要となるので紙の需要が高く、町の規模が大きいのでそこそこの利益になる商品がおいてあるのもベスト。

 

 ただ近くにオハラの数十倍デカいバリウッド王国の本島や少し遠くなるが花ノ国、イリシア王国といった大国があるため、そちらを拠点にした商会が多い。

 

 ちなみに西の海は五大ファミリーと呼ばれるギャングが裏社会を席巻しており、海賊よりも大地に根ざしたマフィアの方が厄介な土地である。

 

 バリウッド王国はギャングの宝庫と呼ばれ、行ったことはないが、話を聞く限り禁酒法時代のアメリカに似ているらしい。

 

 勿論酒が禁止の国ではないが···。

 

 まぁそんなアラバスタ王国並みの巨大国家がある為、そちらに拠点を置く商会が多く、オハラの商会は商会長がオハラ出身ってのとバリウッド王国から弾き出されてしまった···商売の競争に負けてしまった商会でもある。

 

 まぁ裏社会とも商売でやりあった為、島の連中からは良い噂は聞かないが、マイトが話してみる感じ、オハラの人々が地元商売の延長線···雰囲気的に商店街みたいな感じの商売をしている中、都会で揉まれてきた元やり手営業マンって感じが凄いした。

 

 マイトは前世作家で、企業の取材をした時にそういう人種とも関わりを持っており、色々と話したが、シェア率とか税金の話しや、主力商品が被らない協定を結んで、こちらは隙間産業···そちらの商会が足りていない商品を中心に輸出入すると話せばわかってくれた。

 

 ただ商会長の話では、オハラは権威はあるが人口は停滞している為消耗品の需要はこれ以上伸びないし、新しい産業がないとオハラを拠点にやるには難しいという忠告も受けた。

 

 まぁあと2年後にはこの島ごと消えるんだがな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱりなんとかならないのかよ! 家族や兄弟だけでも···」

 

「俺達に何ができる! バスターコール発令するために本部の軍艦数十隻に大将クラスの中将が2人、他にも中将多数だぞ···」

 

 進水式前日、マイトはヨシカゲと言い争いをしていた。

 

「例え姿がチートでも、今の俺達はまだ弱いんだよ。ムザン以外人の命を奪う現場を目撃したことすら無いんだぞ。海に出て力を蓄える···じゃねぇとバスターコールで全滅だ」

 

「地下に逃がすのは···」

 

「バスターコールで全知の木が消し飛ぶくらいの爆弾を投下されるんだぞ、埋まって終わりだ」

 

 マイトは顔を覆うヨシカゲの肩に手を置く。

 

「今一度方針を話そう。皆で」

 

 マイトは秘密基地のテーブルに全員を座らせて最終方針会議を行うと宣言した。

 

「進水式が明日だ。もう引き返すことはできない。私達も後々オハラの民であることを隠しながら生活をしなければならない」

 

「生き延びる···生き足掻く···一度死んだ私達はとにかく生に対して貪欲だ。生きるために強くならなければならない。そうでなければ大海賊時代なんて生きられないからな」

 

「家族を捨てる···それは凄まじく辛い。身を裂くような思いだ。でも決められたレールを破壊するような力を私達は持っているか? 漫画やアニメで見た頂上戦争の様な戦闘に今の俺達が勝てるか?」

 

「答えはNOだ。ならば生き足掻くしか無いだろう。歴史に消えるオハラの意志を引き継ぐなんて大層な物を私は持ち合わせては居ない」

 

「魂で繋がったもう一つの家族で生きたい。誰一人欠けて欲しくない。それが私の思いだ」

 

 マイトはそう語る。

 

「当然だ。私は死なせないために医療を学んできたのだからな」

 

 ムザンが何を今更という感じで腕を組む。

 

「ワシも家族を見捨てる選択は心苦しいが、自分の強さもわからない以上、今回は逃げるべきだ」

 

 とハシラマも言う。

 

「今世のお父さんやお母さん、兄弟の皆にも家族としての愛はあるけど···皆とどちらを取るかって言ったら、私は皆を取る」

 

 ライザがそう宣言する。

 

「···心残りはロビンちゃんだよ。私達がもし残る選択をしたらロビンちゃんが原作のレールに乗れないかもしれない。そうなったらワンピースの世界は大きく狂う。狂った結果、より多くの人が苦しむのなら、私は島から出るべきだと思う」

 

 グダコが言う。

 

「···練習航海が終わったら遠くに行きましょう。次の悲劇を回避するために」

 

「次の悲劇?」

 

 フウカの言葉にランが反応する。

 

「フレバンス···珀鉛病の島の悲劇から少しでも人を救いたい」

 

「しかしフレバンスの住民は既に体内に多くの珀鉛を吸収している。体内の珀鉛を排出しなければならないができるのか?」

 

 これに対してムザンは

 

「できる。というより発症前ならまだなんとかなる可能性が高い。発症後は高い薬品を使うかオペオペの実に頼らなければならないが」

 

「なんとかなるのか···」

 

「医療忍術を使い血液のクリーニングや臓器に溜まった毒素を尿として排出する必要があるがな。発症したらライザが解毒薬を錬金術で作れるのを祈るしか無いがな」

 

「ただそれはできたらの話になるし、ローは助けられないだろうな」

 

「···」

 

「北の海はカームベルトとグランドラインを突破できれば縦軸で移動することができる。レッドラインを越えなくても移動できるって点では移動難易度は下がるが···カームベルトを単独で超えられるようになるには相当な力量が必要となる。それまでに間に合うのか?」

 

「···」

 

「結局原作を知っていても力をつけなければやりたいことすらできない。効率的な修行ができていてもまだグランドライン前半クラスの力しか無いだろう。捨てられないのはここにいるメンバーの絆だろ。焦るな。じっくりやろう。グダコ、目標の悪魔の実の感知はいけるな」

 

 マイトがグダコに聞くと

 

「勿論、ロビンには悪いけどハナハナの実の存在で私が貰ったチートの悪魔の実レーダーの仕組みがよくわかった。どんな実かも近くに行けばわかるよ」

 

「···原作開始までに大半が悪魔の実の能力者になろう。それを目標としようか」

 

 食すとする悪魔の実は幻獣種···これに絞った。

 

「ヨシカゲ、覚悟を決めろ」

 

「···」

 

 拳を握ったり、開いたりしながら深呼吸をした後に言った。

 

「やるなら徹底的だ。世界をひっくり返す」

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