魁人の斬撃を躱したコカビエルは、
「ーーー
次の瞬間、世界が黒に染まった。
ーーー正確には、
そして、それが球体のように丸まっていく。
それは、まるでーーー
『ーーーまるで、日食時の太陽みたいに黒いーーー』
ーーー皆既日食時の太陽を彷彿とさせる黒い球体だった。
その中に取り込まれた魁人が内部からしばらく観察していると、黒い球体は少しずつ膨張していることが分かる。
「だんだん、大きなっている?」
『ククク。気づいたかーーーこれは言わば、疑似太陽と呼ばれる俺が創った天体だーーー』
『疑似太陽ーーーまさか!?』
『ーーーそうだ。この太陽をそのまま落とす。文字通り、日本は地獄と化すだろうーーー中にいる貴様ごと!!!』
その言葉と共に
『ぐぁあああああ!!!』
突然、全方位から重力によるGと全てを焼き尽く黒い陽炎が魁人を襲う。それと同時に球体が地面に吸い込まれるように落下し始めた。
もし、これが、そのまま地面に落下すれば、発生した衝撃により日本全土いや、地球規模における壊滅的な災害が襲い掛かる。
『ーーーさせるかぁ!!!』
魁人は、
『ーーー我が双剣は全てを斬り開く黒の双翼なりーーー』
魁人が武装色の覇気を
『ーーー剣神が災害竜より得た神剣、後に大英雄によって界剣と呼ばれし無双剣よーーー』
名の由来となった天叢雲剣の伝説を語ると、
『ーーー道化神に齎されし、全てを灼き尽くす咎人の王が振るう神々の栄光の終わりを告げる終焉剣よーーー』
名の由来となった神剣レーヴァテインの伝説を語ると、
『ーーー相反する性質を持ち、覇を掲げし黒葬の双剣よーーー全ての災禍を夢想に還せ!!』
互いにオーラが高め合う
『ーーー
その言葉と共に黒い球体に大きな青黒い激流のオーラと暗い紫色の炎のオーラで構成された十字の斬撃が走りーーー球体を飲み込んでいった。
それだけではないーーー斬撃は周囲の空間を歪ませて、穴を生じさせる。魁人は、即座に穴に飛び込む。
魁人が飛び込むと穴が元に戻り、消失する。誰もが居なくなったと思い込むーーー
だが、コカビエルだけは違う。
「別空間を利用した時間差攻撃ーーー読めないと思ったか!!」
即座に、背後に振り向き、自身の双剣を振り降ろす。
するとーーーそこには、ジッパーで開いたような穴が開いており、そこから、魁人が現れて、コカビエルに向けて、先程の双剣による一閃を放つところだった。
ぶつかり合う互いの双剣。両方とも覇気が込められているため、生じる覇気の衝突。ぶつかり合う覇気は互角であり、剣が当たるたびに周りに黒いオーラが拡散していった。
「ーーーあれって、『仮面ライダー鎧武』に登場するクラックって呼ばれる空間の歪みーーーまさか!?」
「えぇ。どうやら、
「まさかの始まりの男の力も使えるの!?」
「えぇ。
そう言って、悪態をつきながらも二人の戦いを見守るマドカーーー魁人が創った
おそらく
あと、一着は何でしょう?
マドカが魁人の
「クハハハ!!!イイぞ、やはり貴様は面白い!!!」
「こっちは、全然面白くないんだがな!!」
軽口を叩きながら覇気の込めた双剣で斬り合う魁人とコカビエルーーー互いの飛翔と双剣のぶつかり合いで生じた衝撃波が、お互いの身体に傷を付け合っていた。
まるで、木場祐斗とフリード・セルゼンが発生させていた斬撃の嵐ーーー雲を含めたあらゆるものが斬り裂かれていく光景は、まるで神話に描かれるような英雄譚そのものだった。
だがーーーここで、コカビエルがーーー
「グハァーーー」
突然、吐血した。息も荒くなっているーーー
「ーーー叔父貴、やっぱりーーー」
魁人は、コカビエルの身に何が起きたか察した。
「ーーー剣の止めるな、馬鹿者!!」
血を拭い去ったコカビエルは、即座に動きを止めた魁人の首を目掛けて、自身の双剣による突きを放とうとする。
「終わりにしようーーー
魁人は、痛ましい姿となったコカビエルに瞑目したあと、合図を出した。
コカビエルの周囲に展開された幾つもの魔方陣ーーーそこから光力で作られたワイヤーが射出され、コカビエルの肉体に巻き付く。
「この技は!?」
「あんたと斬り合っている最中に、仕込ませてもらった。かつてのあんたなら、気付いていただろうーーーだが、今のあんたは!!」
そう言いかけた魁人は、その後の言葉を飲み込んだ。
コカビエルが、今、どういう状態なのかをーーー
そしてーーー
「これで、仕舞いだぁぁぁぁ!!!」
その言葉と共に高く飛翔する。自身の利き足である左脚に力を収束させながらーーー
今から放たれる技は、昭和、平成、そして、令和を駆け抜けていった仮面を纏いし戦士たちーーー仮面ライダーが放つ
高速飛行による上昇で、コカビエルの上を取った魁人は、そのまま左脚に全ての力を収束させるーーー覇気は勿論のこと、魔力、光力、そして、制服を貸与した全ての人々の力をーーー
ここで、最後に明かされる
今回は、その力を
故に、魁人から発生している幾つもの力はーーー
《Darkness Boost!!》
《Boost,Boost,Boost,Boost,Boost・・・Transfer!!》
《Divide,Divide,Divide,Divide・・・Divide・・・Half Dimension!!!》
《逢魔時王、必殺撃!!》
自身の師に、最高の終わりを齎すために、今ーーー放たれる。
『ーーー
それは、まるで大気圏に突入した隕石のように炎を纏った黒いライダーキックだった。
超音速で落下していった魁人は、力を収束させた左足を、コカビエルの腹部に当てようとしーーー
『はぁああああああ!!!!』
その力を解放する。
『舐めるなぁああああああ!!!!』
コカビエルも自身を拘束していた光のワイヤーを斬ると、そのまま双剣で、その左足の蹴りを受け止める。
だが、その一撃は、あまりにも重くーーー
『ウォらぁああああああ!!!!』
『何ぃぃぃぃ!!!!』
覇気を纏った双剣でも受け止められず、その蹴りをまともに喰らってしまい、駒王学園に向けて落下する。
超音速の落下による空気摩擦により互いに炎が発火しーーー
そしてーーー
突然、ミサイルが落ちたような形で、二人は落下して、その衝撃の余波で駒王学園が爆発し、吹っ飛んだ。
『ーーーなんて、荒業だ。まさか、オーマジオウの力も付与していたなんてーーー』
そう言って、英寿は呆れながら創世の力を使う。
衝撃の余波でふっ飛ばされた駒王学園及び、その場にいた者達は、時が巻き戻るような形で、元に戻っていった。
少し違うところがあるとすればーーー
「ーーーこれで満足か、叔父貴ーーー」
「嗚呼。これが、貴様の本気ーーーこの力なら、スポンサー、お前の敵となる者と戦える筈ーーーだ」
技の余波でボロボロとなって、何とか立っている魁人、そして、全身から夥しい血を流して倒れているコカビエルがいた。
「ーーー他に方法は無かったのかよーーー幾ら、あんたの寿命がもうすぐ尽きると言っても!!」
眼から涙を流しながら、コカビエルを問い詰めようとする魁人。そう、コカビエルはーーー既に、テロを起こす時点で限界を迎えていた。
「ーーーこれしか知らんのだ。病に掛かり、あと、幾分しかない命ーーーその使い所が、ここだと思っただけだ」
そう言って、コカビエルは、自身の側にある双剣に指を指し、魁人に告げる。
「ーーーこの二振りは、お前に託す。鋳潰して新たな武装を創るなり、好きに使えーーー」
そしてーーー満足そうな表情で、眼を閉じるコカビエルーーー
「いるのだろう、サーゼクス、ミカエルーーーアザゼルよーーー」
すると、3つの種類の転移陣が現れて、それぞれの陣に眷属を引き連れた魔王サーゼクス・ルシファー、大天使ガブリエルと共に配下の天使、10体を引き連れた天使長ミカエル、そして、自身の戦友であり魁人の父、堕天使総督のアザゼルが現れた。
「ーーー古の堕天使コカビエル。貴殿のテロ行為は許されることはない。だが、貴方の最後の闘いーーー私は忘れることは無いだろうーーー」
そう言って、サーゼクスはコカビエルの最後の闘いを讃えーーー
「コカビエルーーー我らが主に楯突いたことは許されることはないでしょうーーーですが、我らの行いで貴方の家族を奪ったことも、また、許されないことです。天使長の名において、貴方に謝罪しますーーー」
ミカエルは、教会の魔女狩りで亡くなったコカビエルの妻と娘のことを謝罪するーーー
そしてーーー
「ーーー馬鹿野郎。何で、お前はいつも、一人で抱えてーーー」
「ふんーーーお前と、息子ーーー魁人がお節介すぎるのだ。不穏分子であった俺を最後までぶつかっていくーーーボロボロにーーーなってもなーーーだからこそ、お前たちに余計なことを背負わせたくなかったーーーそろそろかーーー」
そう言って、再度、血を吐くコカビエルーーーもう既に、限界が来ていた。
再度、魁人を見てーーー
「お前の、敵のーー名は、ノアーーーノア・A・サタナエルーーーサタナエルの遺産を引き継ぎし後継者にしてーーー
「ノアーーーそれが、俺のーーーサタナエルの全てを引き継いだ者の名ーーー」
「ーーー少なくとも超越者クラスの実力を持ち、あらゆる者を引き付けるカリスマ性を持つーーー厄介な女だーーーおそらく、この様子も見ているのだろうーーー」
「ーーー今回の件は、全世界に発信したのはーーー」
「ヤツの手駒が各国政府の要人の一部に紛れ込んでいる。それ以外にも各神話の有力者とのコネも持っていると聞くーーーだからこそ、今までのやり方では、ヤツに勝てないと悟った。俺の最後の命ーーーその使い方もなーーー」
そうして、息を何度も吐きながら、最後にコカビエルはーーー
「必ず、あの女の野望を止めろーーー馬鹿弟子。・・・アンナ、アリスーーーようやく、そちらにーーー」
それが、コカビエルの最期の言葉だった。
こうして、堕天使コカビエルが起こした全世界を巻き込んだテロ事件ーーー通称、『聖剣事変』の幕が閉じた。
このテロ事件が全世界の全ての常識を崩し、世界の裏側ーーー神話の存在が明らかとなった。
そのため、各国政府及び各神話の主要機関は、その対応でおお忙しいとなっていた。
なお、今回の事件の舞台となった駒王町は、事件から復興からは勿論のこと、色々な勢力から注目される地となっていた。
直下で決まったことだが、一ヶ月後に、駒王学園で各神話及び日本を含めた様々な国家の代表達が、今後の情勢を話し合うサミットが開催される事が決まった。なお、参加を表明しているのは、開催地である日本、アメリカ、ドイツ、ギリシャ、イギリス、インドといったアメリカ以外は今だに各神話の関係性がある国家、聖書の三大勢力、日本神話、北欧神話、ギリシャ神話、インド神話、中華神話等・・・ただ、一部の大国、例えば中国の場合は、神話の方で参加するので、最終的な判断は神話に委ねるといって不参加を表明したり、各神話の存在を好ましく思わないと言って不参加を表明したりする神話や国も多く存在している。
その不参加の国々の殆どが
様々な勢力が色々な思惑を抱えて、サミットへと向かう状況で、会談の予定地とされる駒王学園ではーーー
「はじめまして、麻羽魁人と言います。女子制服を着ていますが、一応、男ですーーーあと、事情があって、皆様より年上ですが、ここでは呼び捨てでも構いませんーーー」
魁人が駒王学園の高等部2年ーーー兵藤一誠のクラスに転校していた。他にもマドカも同じクラス、伽羅は3年でリアス達と同じクラス、黒那は、1年で小猫と同じクラスに転校していた。
「ーーーちなみに、私は神器の力で性転換できるのですが、この前の戦いの影響で、男性の姿に戻れず、しばらく女性の状態となっていますーーー」
そう言いながらも駒王学園の女子制服を着ている魁人は、内心ウキウキで喜んでいた。
そしてーーー魁人を知る者全てからーーー
『『『『すげぇ、喜んでるーーー流石、変態だけはあるなぁーーー』』』』
ちょっと引かれていた。ちなみに、魁人と同じく転校してきたゼノヴィアは堕天使陣営であり、異端者である魁人から力を譲り受けたとして魔女の烙印を押されて、教会から追放された。行くところがなかった所をリアス・グレモリーに拾われて、木場祐斗と同じく『
「まぁ、色々と言いたいこともあると思うけど、この情勢の中では、致し方ないわーーーこの一ヶ月後に行われる会談に向けて、私たちも力をつけていかないといけないわーーー」
そう言って、苦笑するリアス。今は、授業は終わり、眷属の皆とマドカ、伽羅、黒那達が、旧校舎に集まっている。
今後の方針について、どうしていくのか話し合っていた。
なお、魁人はいない。何故ならーーー
「本当は魁人さんにも来て欲しかったけど、魔王様直々の命じゃ仕方ないかーーー」
「一応、魁人から伝言は預かっています。暇な時は、付き合うので、しばらくは私たちで我慢して欲しいとのことです」
そう言って、朱乃が淹れた紅茶に口をつけるマドカーーー
魁人は、魔王アジュカ・ベルゼブブと共にある装備の開発を進めている。
その一環で、今日は旧校舎に来ていない。何処にいるのかと言うとーーー
「とりあえず、しばらくは君たちの面倒を見ることになった。改めて、自己紹介をーーー麻羽魁人。
「生徒会長の支取蒼那です。いや、ソーナ・シトリーと言うべきですね・・・ここはーーー」
魁人は生徒会室に来ていた。例の開発計画の依頼及び、この前の戦いで結んだシトリー眷属との契約を果たすために来ていた。
「早速で悪いですが、話してもらいますーーー私たちの強化プランとやらをーーー」
そう言って、眼鏡をクイッと上げるソーナ。そして、周りにいる眷属も少し、ソワソワしている。
その様子を見て苦笑する魁人は、早速話を進めることにした。
「とりあえず、一人ずつ面談をしたいと思いますーーー別室借りられますか?」
シトリー眷属達をどう強化していくか、魁人も内心ワクワクしていた。
後に、この邂逅によりシトリー眷属から超越者が2人現れることとなるが、それは別のお話である。
コカビエル戦、決着ーーーそして、次の舞台は駒王学園で行われるサミットーーーそれに向けて、グレモリー眷属は勿論のこと、シトリー眷属達も強化していきます。
次回は、そのプランが明らかになります。お楽しみに!