制服創造の厨二系堕天王子   作:戦魔王ゼロ

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今回は、シトリー2年生で、巡、花戒、草下の強化回を送りします。なお、この3人の中で匙と同じく、後に超越者と呼ばれる子が現れるのですが、その生徒は最後の部分に明らかになります。


シトリー眷属の強化プラン〜巡、花戒、草下編〜

 

シトリー眷属の強化の為、各シトリー眷属の人数分に影分身した魁人は、匙以外のシトリー眷属達と共に、それぞれ、用意された教室や学園施設に向っていた。

 

◯草下憐耶の場合

 

「草下さん、君の祖母が確か魔法使いの末裔で、その縁もあって悪魔に転生した。これで間違いないかい?」

 

「はい。おばあちゃん・・・色々と魔法とまではいかないのですが、色々と術を教わりました」

 

魁人は、現在、シトリー眷属の僧侶(ビショップ)の一人である草下憐耶の面談をしていた。

 

草下憐耶の祖母は、魔法使いの末裔であり、彼女が小さい頃に身を守る術として、幾つかの術式を教えてもらっていたらしく、この学園で、それを使用しているのを主であるソーナに見られた事でスカウトされ悪魔に転生した。

 

「あのーーー面談するというのは、分かるのですが、何故第一多目的ホールで行うのでしょうか?」

 

憐耶は、魁人に質問する。それもそうだろうーーー現在、彼らがいるのは、駒王学園の中にある施設の一つ、主に演劇部の演劇発表や軽音楽部のバンド演奏等で使用される第一多目的ホールにいた。そのホールの中にある舞台の上で机を置いて面談をしている事が不思議だった。

 

「ーーーこれから君に身に着けてもらう戦い方に関係があるからさーーー古来、魔術や呪術といった類と音楽や演劇といった芸能は神に捧げるという意味合いで、深く繋がりがある」

 

そう言って、魁人は、人器の創界銃(セイクリッド・レイズライザー)と一緒に持ってきていたタブレット端末を操作して、画像等の資料を憐耶に見せる。

 

見せられた資料には、神社の巫女が神楽舞をする画像や狂言や能、教会の聖歌やオペラ等が写っていた。

 

「ーーー神に捧げるーーー確かに、神社でよく見かける舞は、まさに神に捧げる儀式そのものですねーーー」

 

その資料を見て、とりあえず納得する。だが、尚更、何故、自分なのかと、憐耶の中で疑問がどんどんと湧いてきた。

 

「ーーー君の教えられてきた術式のほとんどは攻撃ではなく、使い魔を使った探知や自身の姿の隠蔽、そして、害のある術を無力化するといった補助系の術式ばかりだ。悪魔に転生してからは、攻撃の術も習得しているようだが、どちらかというと敵の牽制に利用するぐらいの低い威力の術が多いーーー」

 

「確かに、人に向けるのは得意ではありません。だけど、悪魔に転生したからにはーーー」

 

「そうだな。力は必要だ。だが、それは君が振るうのではなく、攻撃が得意なものに任せればいいーーー」

 

「ーーーですが、それではーーー」

 

そう言って、目元から少し涙を流す。この前の戦いで実質、シトリー眷属は戦力外通告を受けていた。それが眷属全体で悔しかったのだーーー

 

「ーーーだからこそ、君は、その仲間たちを護るための戦いの術を身に着けるべきだーーー」

 

「この仮面は、何ですか?」

 

そう言って、タブレットを操作すると、収納術式が刻まれた魔方陣が現れる。そこから、一つの白い仮面を取り出した魁人は、そのまま、憐耶に渡す。突然、仮面を渡された事に驚いた憐耶は、涙を拭いたあと、魁人に質問する。

 

「かつて、親父が考案した人器(セイクリッド・デバイス)の一つである諜報に特化した人器(セイクリッド・デバイス)ーーー怪人達の仮面舞踏会(スカウティング・ペルソナ)だーーー」

 

怪人達の仮面舞踏会(スカウティング・ペルソナ)ーーーかつてアザゼルが考案した諜報に特化した人器(セイクリッド・デバイス)で、その効果はーーー

 

「この仮面は、幾つか自動で複製(コピー)ができ、遠隔操作ができる。それに加えて、仮面に内蔵された超高性能カメラから遠くの光景を見ることができるーーーそれに仮面に術式も付与できるので、攻撃術式を付与していれば、遠隔での対処もできるーーー」

 

「凄いですね。遠隔操作した複数の仮面で、色々できちゃうなんてーーー」

 

索敵、諜報、牽制、妨害といった様々な場面で活躍できる、この人器(セイクリッド・デバイス)の性能の高さに驚嘆する憐耶。彼女の表情を見て、満足した魁人は、そのまま説明を続ける。

 

「今回、用意したのは、この人器(セイクリッド・デバイス)だけじゃない・・・この人器(セイクリッド・デバイス)に相応しい戦法や制服も用意しているーーー」

 

そう言って、自身の人器の創界銃(セイクリッド・レイズライザー)を上空に向けて引き金を引く。銃口から光が放たれると、そのまま魁人の頭上に拡散し、魔方陣を形成した。

 

「ーーー換装(クロスアップ)ーーー狂劇服(クラウンドレス)ーーー」

 

形成した魔方陣は、そのまま魁人を通すように落下していく。魁人が魔方陣を通過していくと、纏っている制服が黒の彼岸花(リコリス)から変わり、青の線が幾つも入った燕尾服みたいな格好になっていった。

 

「その格好?何処かで、見たことがある様な・・・」

 

そう言って、魁人が纏っている燕尾服を何処かで見たことがあるのか、憐耶は思い出そうとする。

 

そんな憐耶の様子に、思わず苦笑した魁人はーーー

 

「君に一つ聞こう。某国営放送の教育番組ーーーに◯んごであ◯ぼを見たことはあるかい?」

 

「幼い頃に、毎日とはいきませんが、見てましたね・・・そう言えば、その格好は狂言コーナーで・・・」

 

「ちょっと、名はイニシャルで伏せるとしよう。この燕尾服型の制服は、N.M氏や、共演していた子ども達が纏っていた衣装をモデルにしている。この制服の効果は、役を演じることで生じる擬態又は、その役の力を模倣する事ができる・・・」

 

「例えば?」

 

「そうだな・・・実践的なのだと、風ーーー」

 

そう呟いた瞬間ーーー室内にも関わらず、突然、強い風が吹いてきた。憐耶は思わず、スカートが飛ばされないように屈み込むーーーすると、風が収まった。だが、それとは別にーーー

 

「魁人さんが消えた?」

 

目の前にいた筈の魁人の姿が無かった。まさか、さっきの風で飛ばされたのでは無いかと思い、憐耶は探しに行こうとする。

 

すると、次の瞬間ーーー

 

『こっちだよ!』

 

「きゃ!!、誰!?」

 

憐耶の耳元で、誰かが囁いた。即座に、声の聞こえた方向に向くとーーー魁人が悪戯に成功したような満面の笑みで憐耶の背後に立っていた。

 

「いつの間に背後を!?それに、さっきの格好に透明なマントみたいなのを羽織ってる?」

 

魁人の格好は、先程の狂劇服(クラウンドレス)に、肩から背中に掛けて見える透明な生地でできたマントを羽織っていた。

 

「・・・要は、に◯んごであ◯ぼの狂言コーナーの作品や動きを戦闘に応用したものだ。さっきの風は、宮沢賢治の『風の又三郎』を演じたN.M氏や子ども達の動きを、本当の風として再現したものだ。演じている間は、君は、俺を風としてしか認識でなかった筈だ・・・」

 

「なるほど、そのものになりきっている間は、周りの者は、そのなりきっているものにしか見えない制服ーーーそれが、狂劇服(クラウンドレス)の力と言うわけですねーーー確かに、この本物とも遜色ない擬態能力であるならば諜報にうってつけですね。ですが、戦闘では・・・」

 

憐耶は、この制服が戦闘において役立つのかと疑問だったため質問しようとした時・・・

 

「どっどどどうど、どっとどうど!!」

 

魁人が、何かを叫んだ。すると、先程以上の風が吹いてきた。

 

「青いくるみを吹き飛ばせ、酸っぱいかりんを吹き飛ばせ!!」

 

また、魁人が叫ぶ。それと同時に強まる風圧。思わず、憐耶は、その風で吹き飛ばされ、あわや壁に激突すると思いきやーーー

 

「突然、ゴメンな。口で言うよりかは実感してもらった方がいいと思って、使わせてもらったわーーー」

 

また、突然、姿を現した魁人が優しくお姫様抱っこするように、受け止めていた。魁人は不安にさせないよう、憐耶に優しく微笑みかけた。

 

「今の口上って、『風の又三郎』の?」

 

「嗚呼。こういう風に有名な一節やセリフを言うと術の力が増す。今の場合は、風力や気圧を自由自在に強化できるし、こんな風に自身を風のように動かすこともできるーーー」

 

そう言って、受け止めた憐耶を降ろす。すると、憐耶は先程のお姫様抱っこも恥ずかしかったが、何気ないところから強力な技を作ろうとする魁人にーーー

 

「・・・何で、国民的教育番組の作品を戦闘に用いようと考えたんですか?普通に、引きますよーーー」

 

思わず、ドン引きしてシド目を向けた。魁人は、自分が可笑しい自覚があるのか、恥ずかしそうに、そのシド目から視線を外して、誤魔化していた。

 

 

それから・・・憐耶は、狂劇服(クラウンドレス)で使える制服のバリエーションもとい技を、魁人から教わった。

 

またーーー

 

怪人達の仮面舞踏会(スカウティング・ペルソナ)ーーー仮面を装着した者を遠隔操作する力があるなんてーーー」

 

「仮面を通じて、装着者に狂劇服(クラウンドレス)を着せて、意のままに操ることも可能だ。ちなみに、俺や憐耶ちゃんが着ているの燕尾服は主役(メインアクター)、普通にスーツやツナギみたいな格好の脇役(サブアクター)というより順序があり、基本、脇役(サブアクター)は、主役(メインアクター)の支配下にあるーーー何かに擬態させて偵察や罠として配置させて、敵の油断を誘ってーーー考えられる手が幾つも浮かぶなーーー」

 

「だから、国民的教育番組で、何でその発想ができるのか、不思議でなりませんーーーそういえば、最後に一つだけ質問が?」

 

「何だい?」

 

「この制服の中で、魁人さんがお気に入りの制服ってあるんですか?これだけ、こだわりが強いですから、あっても可笑しくないと思うのですがーーー」

 

そうーーー狂劇服(クラウンドレス)で一番、気に入っている格好、つまり多用している技があるのか気になっていた。

 

「『シグナルとシグナレス』の汽車の格好、『茸』の茸の被り物を被った格好、さっきの『風の又三郎』の風の格好と色々あるが、一番気に入っているのは、『鐘の音』の寺にある打鐘の格好だなーーー」

 

そう言って、再度、魔方陣を展開し、通過するとーーー狂劇服(クラウンドレス)に透明な生地で幾つかの横線が入った、まるでジャンパースカートみたいな装束を肩から掛けた魁人が現れた。

 

「俺は、この姿を打鐘と呼んでいる。憐耶ちゃんもやってみてくれーーー」

 

「分かりましたーーー」

 

そう言って、憐耶も魁人と同じ格好になる。

 

「ーーー重いですね。見た目と違ってーーー」

 

「まぁ、鐘だからなーーーとりあえず、鐘の部分を叩いてくれーー」

 

「分かりましたーーー」

 

そう言って、自身が纏っている鐘の装束部分を叩いていみる。

 

するとーーー

 

「じゃーも~~も~~!?、口が勝手に!?」

 

それだけではないーーーかすかに、諸行無常という言葉も聞こえた。

 

「他にも、パーン、ジャガジャガ、オーモーモーという音が流れるーーーこれに俺の場合は覇気を乗せることで、発した音で敵を吹き飛ばしたり、また、バラバラに物を破砕したりしている。ちなみに、君の場合は魔力を込めれば、それが可能になっているーーー」

 

「怖いですね。効果は、他にもあったりしますーーー」

 

「あるぞーーー音を聞かせて倒したものを、自身と同じ姿に変える所謂、洗脳音波って奴だな。君の場合は、それに加えて、怪人達の仮面舞踏会(スカウティング・ペルソナ)の仮面が聞いたものに装着され、自身より弱く扱える人の数であれば、意のままに操れるーーー」

 

「だから、何で、そんな恐ろしい発想に至れるのですか!?」

 

そう言って、憐耶は自身の鐘を叩きながら、魁人に抗議し始めた。

 

しばらく、多目的ホールでは、鐘の音が鳴り響いていた。

 

 

◯花戒桃の場合

 

場所は、教職員が職員会議で利用する会議室。そこで、花戒桃と魁人(分身)が強化プランの話をしていた。

 

そんな中ーーー

 

「ーーー余計なことをしてるな、分身3号ーーー」

 

突然、呟き始めたのが魁人の分身4号ーーーどうやら、憐耶と一緒にいる分身3号の行動を把握している様子だった。

 

そんな彼を見てーーー

 

「すいません、何を言ってーーー」

 

「あ、ごめん、ごめんーーー実は、俺が創る制服の機能として、各々の行動を把握できるというものがあってねーーー別の俺がやらかしたことが流れ込んでしまったーーーそれに思わず、リアクションしてしまったーーー」

 

怪訝な目を向ける桃。彼女の視線に気付いた魁人4号は、申し訳無さそうに謝った。

 

そして、魁人4号は一緒に持ってきていたカバンから白い腕輪を取り出す。

 

「君に渡す人工神器、略して、人器(セイクリッド・デバイス)はーーー広範囲に展開できる防御結界を作り出す腕輪型の刹那の絶園(アブローズ・ウォール)だーーー」

 

そう言って、桃に白い腕輪ーーー刹那の絶園(アブローズ・ウォール)を渡す。

 

「防御系の人工神器、いやーーー人器(セイクリッド・デバイス)ですかーーー正直、パッとしませんねーーー」

 

少し、不満な様子で、渡された白い腕輪を見る桃。そんな彼女に苦笑しながら、魁人は説明を始める。

 

「ーーーとりあえず、この映像を見てくれ」

 

そう言って、分身3号と同様にタブレット端末をカバンから取り出して操作したあと、映像を桃に見せる。写し出された映像はーーー

 

「今から流れるのは、『魔法科高校の劣等生』という作品の障壁魔法の名家、十文字家の現当主ーーー十文字克人の戦闘シーンを集めてみたものだ。ちなみに、『魔法科高校の劣等生』は知っているかな?」

 

「話だけは留流子や翼紗から聞いたことはありますが、見たことは無いですねーーー」

 

そう言って、映像を視聴する桃。

 

しばらくして映像が終わるとーーー

 

「正直、障壁魔法について舐めてました。まさか、攻撃にも転用でき、なおかつ、性質を変えることで、色々な攻撃を防げたり、またーーー攻撃だけではなく、中の音を遮断する遮音フィールドや光を遮断する迷彩フィールド・・・これだけの結界を、この人器(セイクリッド・デバイス)に?」

 

「嗚呼。親父の想定では高出力の結界を展開できるものだけだったが、そこに現代の戦闘で必要なものは何かを俺が反映させたーーーそれと、もう一つ隠している機能がある。今度は、これを見てくれーーー」

 

そう言って、タブレットを操作し、別の映像を流す。流された映像にはーーー

 

「今度流すのは、『ワールドトリガー』という作品に登場するエスクードと呼ばれる障壁を展開する防御系トリガーの活用シーンだ。実は、神の子の見張る者(グリゴリ)で採用されている装備の殆どが、この作品でのトリガーと呼ばれる装備を参考にしている。ほとんどの戦闘が、今後の戦いの役に立つものばかりだから、視聴をオススメするよーーー」

 

そう言って、タブレットを再度、桃に渡す。桃は、それを先程以上に食い入るように見ていた。

 

再度、映像が終わるとーーー

 

 

「確かに、足場として展開し、時にはカタパルトとして味方を遠くに射出したり、逆に相手を拘束するように全方位に展開、または相手の行動を制限するように展開する動きも参考になりますねーーーこのエスクードも展開できるのですか?」

 

「嗚呼、可能だ。このマニュアルに書いてあるコマンドを打ち込めば、先程の障壁の展開、そして、今のエスクードを、この人器(セイクリッド・デバイス)に格納されている分は呼び出すこともできるーーー」

 

タブレットを映像から刹那の絶園(アブローズ・ウォール)のマニュアルに切り替える。その後、マニュアルを読み始めた桃は、試しに、色々とコマンドを打ち込み、様々な障壁を展開し始めた。

 

それから、しばらくしてーーー

 

「そう言えば、君たちに色々な制服を渡す形で話を進めている。現に、草下さんの戦闘スタイルに合わせた制服を渡しているし、君にも渡そうかと考えたが、今いち思いつかなくてねーーー今から渡す制服は、君だけではなくシトリー、そして、グレモリーに渡す予定の制服だーーー」

 

そう言って、分身3号同様に、人器の創界銃(セイクリッド・レイズライザー)を操作し、制服を換装(クロスアップ)する4号。黒の彼岸花(リコリス)から、青い線や黒の線が幾つも入った白の高級感漂う制服ーーー家柄状、色々な高級なブランドを見てきた桃だったが、これには思わずーーー

 

「凄く綺麗で可愛いーーー何って作品の制服ですか?」

 

「『神は遊戯に飢えている』という作品に登場する使徒と呼ばれている人たちが纏う制服ーーー作品では、儀礼服なんて呼ばれている。神とのゲームに挑む為の神聖な格好で、主人公たちは、様々な神が仕掛ける無理難題に近いゲームに挑んで、クリアしていく形でストーリーは進んでいる。君たちが纏う制服は、その主人公たちが所属している支部の制服さーーー」

 

そう言って、桃にも着るように促す。桃も先程渡された人器の創界銃(セイクリッド・レイズライザー)を操作しーーー

 

「思った以上に動きやすそうです。しかも、聖なる加護がついているみたいーーー悪魔ですけど、悪くはないですね」

 

「それは、この制服の機能の一つでね。ゲームに挑む人間達は神から神呪(アライズ)とも呼ばれる加護を得るんだ。それ故に使徒とも呼ばれている。使徒には、主に2パターン存在する・・・一つは、肉体強化の超人型、もう一つは様々な属性の魔法を操る魔導士型と呼ばれているーーー」

 

「なるほど、ではーーーこの制服にも?」

 

「嗚呼。この制服ーーー儀礼服(ゲームドレス)にも、加護を掛けてもらっているーーーその神は、現在、天界で神の代行をしている創世の神ーーー浮世英寿こと仮面ライダーギーツが、それぞれのパーソナルデータに沿って相応しい加護を与えている」

 

「あの創世の神の力ですか、さぞ凄まじいのですねーーー」

 

そう言って、身に着けた制服を眺めているとーーー

 

『加護選定終了、創世の神から君に、これを授けようーーー』

 

すると、白い腕輪に、星のような金の装飾が付加される。

 

それを、見た魁人は加護の正体を察した。

 

「なるほど、お嬢様繋がりでーーーあの幻想の力を与えたのか。喜び給え、君に与えられた加護ーーートップクラスに強いものだぞーーー」

 

「本当ですか、使い方は分かりますか?」

 

「少し分析するーーーそれまでは、しばらく自由にしても大丈夫だーーー」

 

そう言って、桃に与えられた加護の詳細を知る為に、金の装飾が施された刹那の絶園(アブローズ・ウォール)の分析を始めた。

 

彼女に与えられた加護が、後に起きる事件を解決する糸口となるのだが、それはまた別のお話となるーーー

 

 

◯巡巴柄の場合

 

巴柄と、そして、分身ではなく魁人本人は剣道部が使う剣道場に来ていた。道場の真ん中で対峙するように正座をする二人。しばらく、黙り込む両者ーーー緊張感が高まってきたところ、口を開いたのはーーー

 

「ーーーお久しぶりです。魁人義兄様ーーー7年前に会った以来ですか?」

 

「嗚呼。君の兄にして、俺の友だった男ーーー巡刀也の葬儀以来だなーーーこんな形で再会するとは思わなかったよ」

 

「はいーーー」

 

巴柄とは、実は面識があった。7年前ーーーサタナエルが起こした事件、その時、兄であり次期巡家の当主となる巡刀也が、ある目的の為に魁人と共に事件に奔走し、命を落とした。

 

「君の兄、刀也は素晴らしい男だった。俺には、勿体ないくらいの親友とも呼べる男だーーー狂龍因子(オロチシード)は聞いたことはあるかな?」

 

「はい。巡家初代が、伊吹の大権現様に授かった加護ーーー兄曰く、私達を蝕んでいた呪いだとーーー」

 

「ーーーそうだ。狂龍因子(オロチシード)、剣神スサノオ様が討伐した邪龍ーーー災害竜と恐れられてきた洪水ーーー大自然の化身、霊妙を喰らう狂龍(ヴェノム・ブラッド・ドラゴン)、八岐大蛇ーーーその禍々しい呪詛を凝縮した呪核を、初代、巡狂死郎が手に入れて、その身に宿した。それが、巡家の始まりでありーーー」

 

「呪われし一族と忌み嫌われる理由ともなった。膨大な力を宿したことで、その力に溺れ、後に狂龍童子(ヴェノム・ブラッド・オーガ)と呼ばれるようになった初代は、当時の五大宗家の当主に封印という形で討伐され、それ以降、巡家は罪人を創り出した咎として、狂龍因子(オロチシード)の管理、研究をするように、巡りの里という監獄にも近いところに、未来永劫、住み続けなければなかったーーー」

 

「その状況を、何とかしようとしたものがいた、それが君の兄ーーーそして、俺の母だったーーー」

 

そう言って、制服を脱ぎ始める魁人ーーー突然、脱衣に思わず眼を背けようとするが、あるものを見て、絶句する。

 

一つは、全知全能(ジ・オールマイティ・コールゴッド)の代償として大きくなった聖痕(スティグマ)ーーー

 

そして、禍々しい蛇のような赤紫色の刻印が胸に刻まれていた。

 

「ーーー魁人義兄様にも、狂龍因子(オロチシード)が!?まさか、由香里さまにも!?」

 

「嗚呼。生前当時、狂龍因子(オロチシード)が無かったとされて一族から放逐されていた母さんーーー巡由香里にも、刻まれていた。だが、母さんは上手くやっていたようでなーーー自身の愛刀も言える妖刀村正に呪詛を喰らわせてーーー完全な鬼神になることは無かった。だが、それでも無理は祟り、俺を生んで間もないうちに、亡くなった。その時の親父の顔が、今でも忘れられないよーーー」

 

そう言って、空間を歪ませて穴を、出現させる魁人ーーーそこから一振りの黒刀を取り出す。

 

コカビエルとの遭遇戦で使用していた黒葬殲刃(ムラマサ)だった。

 

「由香里様が、帯刀していた黒の妖刀村正ですかーーー禍々しいオーラは狂龍因子(オロチシード)の影響で?」

 

「嗚呼。実は、俺は生まれたときには、宿してなかった。母さんの姿を追い求めて、これに触れた時に呪いを宿したーーー」

 

「そうでしたかーーー兄様と共に戦った時には、既に?」

 

「嗚呼。俺は、この狂龍因子(オロチシード)を制御するための制服ーーー霊葬服(ヴェノム・ブラッドクロス)を形成し、刀也と共に戦った。ちなみに、刀也の分も作ったが、力の酷使によって、アイツは衰弱し、俺にある言葉を伝えて、亡くなったーーー」

 

「それはーーー」

 

「ーーー巴柄を、最愛の妹を頼むとーーー」

 

「!?ーーー兄、兄様ーーー」

 

そして、巴柄は泣いた。自身の兄が、最後まで自身を思っていたことを、そして、初代のように力に取り憑かれた訳では無かった事をーーー

 

そんな巴柄を魁人は優しく抱きとめた。

 

 

しばらくしてーーー巴柄が泣き止むと、少し落ち着いてから話を再会した。

 

「巴柄ーーー君を黒葬機関(ブラックパニッシャーズ)に迎い入れたいと思っている。君の両親やソーナ殿達にも話はして、巴柄が問題なければとーーーだが、無理には言わない。君は、今後どうしていきたい?」

 

「正直、兄様を亡くしてから、私は何もかもどうでも良かった。悪魔に転生させることで私の呪いの進行を抑えてくれたソーナ会長の夢のために義理を果たそうとしか考えてなかった。けどーーー子供の頃、夢を見ていた事があるのをーーーそれは、魁人義兄様のお嫁さんになることーーー」

 

「ーーー薄々、あの頃は感じていた。だけど、こちらから切り出す訳にはいかない。そうすれば、シスコンの刀也にボコボコにされていただろうしなーーー」

 

「ふふふ、確かにーーー義兄様はいいの?お嫁さん、たくさんいるのにーーー」

 

「既に話はしている。まぁ、全員から色々刺されたあと、全員、幸せにするという条件を突きつけられたがなーーーやってやるさ」

 

「普通の人からすれば、義兄様ーーーだいぶ、ロクデナシだね」

 

「だいぶじゃないーーー完全なロクデナシで屑なクソ野郎だよーーー」

 

そう言って、空間の歪みに再度、手を入れると、もう一振りの太刀を取り出す。

 

「これは、君が選んでくれた俺と親父の最高傑作を君専用に調整した。その名は

閃光と暗黒の(ブレイザー・シャイニング・オア) 巡り狂う龍(・ダークネス・ブラッド・サ)絶刀・捌式(ムライソード・タイプエイト)ーーー8種類の武器に変形できる狂龍童子(ヴェノム・ブラッドオーガ)専用の人器(セイクリッド・デバイス)ーーーそして、君の二つ名(コードネーム)

刀姫(ブラッドエッジ・プリンセス)』だーーー」

 

「ーーーふふふ。嬉しいけど、厨二くさいよ!!けどーーー」

 

そう言って、巴柄は渡された人器の創界銃(セイクリッド・レイズライザー)を操作する。

 

光に包まれた巴柄。光が消えると、魁人と同じ黒の彼岸花(リコリス)を纏った巴柄がいた。魁人から自身専用の人器(セイクリッド・デバイス)を受け取ると、満面の笑みでーーー

 

「今度とも、よろしくねーーー旦那様!!」

 

魁人に微笑んだ。

 

後に、魁人の妻として、敵味方から狂龍妖姫(ヴェノム・ブラッドプリンセス)と、呼ばれ恐れられるようになり、かの伊吹の大権現すらも従えた猛者として超越者と呼ばれるのだが、それはーーー別のお話である。




初の10000字超えになりました。

私が投稿する作品のほとんどに巴柄が登場し、必ずオリキャラ化します。何故かというと、今は消しちゃったのですが、このハーメルンで、初めて投稿したのが、巴柄を主人公とする作品だったからです。それくらい私は巴柄がD×Dの作品で好きなキャラクターです。そのため、主人公の妹や弟子にしたり、原作主人公のイッセーの嫁にしたりと、色々とインフレさせたがります。

まぁ、それぐらい好きって事で流してください。

影が薄くなりそうですが、憐耶や桃も相当強化されてます。自分で書いてて思います。何で、某国営放送の教育番組を、そんな形でしか見れないのかなと、たまに自分が可笑しいやつだなと思いつつ、次回は、留流子、翼紗の強化回です。お楽しみに!

P.S.桃の加護ーーー仮面ライダーギーツを見てる人なら察することはできると思います。ヒントは、財閥令嬢というところでしょうかーーーでは、また!!
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