喫茶『四季彩』で、悪魔勢と教会の戦士たちに鉢合わせになりそうだった魁人は、マスターの機転によって、難を逃れ、調理場に隠れることに成功した。一応、ヘルプという形をとって、その場から離れたため、そこで調理をしながら、悪魔勢と教会の戦士たちの会話を盗聴していた。
ちなみに、盗聴器はマスターが入れたコーヒーの受け皿の裏に仕込んでいる。
何故、教会の戦士と悪魔が揃って喫茶店で、飯を喰ってんだ?
そう思いながら、注文された料理をどんどん作っていき、マスター又は、四季彩の従業員がどんどん運んでいく。
通常、教会の戦士は悪魔や堕天使は、主の威光を貶める邪悪な神敵として、決して、その存在を許さず、滅ぼせと、死を伴うレベルの過酷な訓練で叩き込まれている筈だ。
無論、交渉なんて絶対に応じないし、俺が知っている悪魔祓いは一部を除き、即断罪しに来る者ばかりだった。
「なぁ、兵藤?何で、俺たちは教会の戦士さんたちと一緒に飯食ってるんだ?」
ブルブルと身体を震わせながら、兵藤一誠に疑問をぶつける匙元四郎、その様子からどうやら巻き込まれた側の者だと判断する魁人。おそらく、教会の二人が持つ聖剣の波導に当てられ、死の恐怖を感じているのだろう。
俺は、そんな彼に同情しながら、次々とオーダーされた料理を完成させていく。
完成された料理は、どんどんと平らげられていく。主に、教会の戦士たち二人によって・・・
その様子を見ていた兵藤一誠は、とある一言を口にする。
「そこまで、腹をすかせる状態になるなら、悪徳商法に巻き込まれる事態に陥るなよ」
思わず、その一言に料理を作る手を止めてしまった。
悪徳商法?何で、また、そんなトラブルに巻き込まれたんだ?
兵藤一誠と、教会の戦士たち(主にゼノヴィア)の話をまとめると・・・
日本に来たゼノヴィアとイリナ。教会の上層部より、聖剣を強奪したコカビエルの殲滅の為に、潜伏していると言われている駒王町に向かった。イリナは駒王町に昔住んでいたこともあり、その時の幼馴染、兵藤一誠に再会できると喜んでいたらしいが、再会時に教会から追放されたアーシア・アルジェントと共に悪魔に転生していた事を知り、ショックを受ける。本来なら、悪魔は殲滅しなければならないが、一般人である兵藤一誠の母の手前、流石に、行動を移す事はできず、その場を後にする。その後、駒王町の管理者であるリアス・グレモリーに接触、コカビエルの件は、相互不干渉ということで話をしようとしたが、アーシア・アルジェントを魔女と呼び、兵藤一誠をブチギレさせたこと、そして、聖剣計画の生き残りにして聖剣エクスカリバーも最も憎むグレモリー眷属の
このままでは、木場祐斗が、はぐれ悪魔として手配されてしまうことを恐れた兵藤一誠達は、この状況を何とかするために、とりあえず、教会の二人に何とか、木場の聖剣破壊を認めてくれないか探していた。
だが、彼らはとんでもない状況に遭遇する。何と、教会の二人が町中で物乞いをしているところを発見する。詳しく話を聞くと、紫藤イリナが、古物商の人間に話し掛けられて、絵を押し売りされたらしい。何やら教会の聖人が描かれた絵らしいのだが、素人でも明らかに、分かるような落書きみたいな絵で、とても聖人とは思えない見るからに贋作の絵だった。教会から渡された活動費を全て注ぎ込んでしまった為に、一瞬で一文無しとなる。勿論、ゼノヴィアは、そのことに激怒したが、どうやら駒王町に入ってから食事を取ってないらしく、倒れそうになった為に、とりあえず、物乞いをすることにした。無論、二人の格好を見た一般人は、頭がおかしい人たちと思い、無視して離れていく。
その所に、彼らは遭遇したらしい。ちなみに、兵藤一誠に会わなければ、そのまま銀行を襲うと考えたらしい。
・・・この教会の戦士たち、馬鹿か?
あまりにも潜入に向いていない脳筋ぶり、それどころか一般常識すらも無さそうな頭の悪さ、何故、教会の人間は、この二人を派遣したんだ・・・戦闘力を考えれば、教会の
とある結論に至った俺は教会の上層部の考えは思わず怒りを抱く。
「・・・彼女たちは、おそらく人柱として、派遣されたみたいだね。おそらく、教会、いや、天界が抱える秘密が明らかにならないように・・・故に、何も教えず、あわよくばコカビエルを相打てるであろう必要最低限の人材として・・・」
厨房に入ってきたマスターも同じ結論に至ったようだ。
そう、教会の二人は・・・コカビエルに対して行動したと示すための人柱。倒せれば良し・・・もし、コカビエルが天界の秘密を明かした場合、即座に切り捨てる人材として、彼女たちは教会から送られた。必要最低限かつ、戦闘力では、グレモリー眷属やシトリー眷属を超えそうな高いポテンシャル持っている。例え、秘密を知った場合でも異端として追放または処刑という手も取れる。
「かつてのサタナエルのような謀略・・・反吐が出る」
そう、自身の師匠であり、グレゴリ最大の裏切り者。自身を含め、同胞を人体実験し、いくつもの死体を築き上げたマッドサイエンティスト・・・そして、例のテロ組織の創設者とも言える最上級堕天使サタナエル。今回の教会の謀略は、かつてサタナエルがやった謀略に酷似しており、これにより、俺は同胞達と殺し合うこととなってしまった。
結果的に言えば、俺は生き延びてしまった。かつての仲間を自身の手で掛けてしまった。
だからこそ、俺はサタナエルを・・・
自身の中に宿るサタナエルの憎悪が膨れ上がるのを感じる。その様子を見ていたマスターは・・・
「とりあえず、ゆっくり呼吸をして落ち着きなさい。彼らは既に会計を済ませて、店を出ていった。どうやら、共闘するらしい。そのために、木場君を探しに行ったようだ」
そういって、俺を落ち着かせていた。
それから、少し頭を冷やした俺は、店を出て、共闘に踏み切った教会と悪魔勢を探しに行った。
すると、『四季彩』から少し歩いた所にあった公園に例の騎士、木場祐斗を含めて、教会と悪魔の集団がいた。
どうやら、ある程度は話が進んでいるらしい。
とりあえず、悟られないように、俺は公園の物陰に隠れ、様子を伺う。
その時だった。
「やはり、着いてきたか。ドブネズミめ・・・」
俺の隠れていた所に向けて、聖剣による斬撃と思われる破壊のオーラが飛んできた。
オーラを放ったのはゼノヴィア。オーラを回避した俺は、そのまま彼らの目の前に着地する。
「どうして・・・分かった?こう見えて、結構潜入とか得意でバレたことないんだけど?」
「カンだ。あの店に入った時、マスターの隣にいた貴様を見て、相当な修羅場を経験している感じがした。それと貴様が纏っている制服・・・アニメのものだろう?」
「うん。イッセー君が教えてくれたの」
「『リコリコ』の制服を着ていて、なおかつ凄い美人だから凄く印象に残ってさ・・・最初はコスプレが趣味なのかなと思ったけど・・・小猫ちゃんがーーー」
「・・・朱乃先輩が、かつて、自身と同じハーフの堕天使で、イッセー先輩レベルの制服好きの男の子がいるとーーー」
そういって、自身の身体に触れてくる塔城小猫。どうやら、朱乃ちゃんからの情報から、バレたらしい。
「・・・降参。とりあえず、何から話せばいいかな?」
思いがけない身内からのリークに苦笑しながら、両手を上げたのだった。
「とりあえず、お名前を」
「ーーー
「「ーーーマジかぁぁぁぁぁ!!!」」
まさかの男であることのカミングアウトにより、兵藤一誠と匙元士郎は崩れ落ちながら絶叫した。
今回で、まさかの身バレ。リーク元が、まさかの妹分からという展開にしてみました。
ゼノヴィアの勘に関しては、天性の才能によるもので、イリナはゼノヴィアに言われるまでは気付かなかったです。
次回は、原作勢も交えて、話を進めていきます。
お楽しみに!