『仕込みはある程度は終わっているーーーあとは、発動のタイミング・・・ノア達の買い手が決まった瞬間に動く』
『ーーー義兄様。彼女をどうするの?』
『ーーー本音を言えば助けたい。ノアは確かにテロリストとして、様々な悪事に手を染めた。故に、罪を償わなければならない。だがなーーーサタナエルによって生み出され、管理されてきた以上ーーーその点に置いては、ノアも被害者だ』
『ーーーだから?助けるの?』
『そうだな。ほっとけないんだよーーーもう一人の俺を見ているようでーーー』
『ふーん。義兄様らしいやーーー』
そう言って、魁人の言い訳じみた物言いに思わず意地悪な笑みを浮かべて反応する巴柄。そしてーーー
『今日の夜ーーーみんなで
『嗚呼。約束するーーー』
巴柄と夜の約束を結ぶのだった。
『それにしても、こんなに人が攫われていたなんてーーーどんな手を使ったのでしょうか?』
『
『酷いなーーーどんな生き方をすれば、このような外道に落ちるーーー』
そう言って、憤慨するゼノヴィア。
『ーーー裏の世界にいれば、このような事例は、もっとある。そして、
『それは、何ですか?』
恐る恐る聞く祐斗ーーー今までの流れから察するに碌でも無いものだと勘づいたようだ。それを察した魁人はーーー
『もし、敵に捕まった場合ーーー洗脳された者は、
そう言って、視線を舞台に向けるーーー
『おそらく、あの場に出品された者のほとんどは洗脳したは良いが使えないと判断されて記憶を消されている筈だ。だから、保護しても、
『そうか主導する側だったから術式を掛けられていない』
『または術式の抵抗力が高すぎて掛けられなかったパターンもあるーーーノアは、あの足利の因子を宿しているが故に、掛かりづらいだろうし、オーフィスは腐っても世界最強のドラゴン。力を奪うだけで、それ以外の力を掛けることはコスト的にも見合っていない。故に、奴隷という形で追放した。プライドを折ってしまえば、無気力となり、歯向かうなんて事を考えもしないだろうしなーーー』
ノアの心情を分析した魁人は、表に出しては居ないがーーー
義兄様、怒ってる。顔には出してないけど、いつもの義兄様と違って、少し怖いーーー
巴柄は魁人の内面に抑え込まれた怒気を感じ取り、恐怖を感じてしまっていた。
そしてーーーついに、ノアの競売が始まったーーー
『さぁ、このオークションの出品が残り僅かとなりました。今回の商品は、この白銀の髪を持つ少女ーーー日本のとある英雄の
そう言って、オークションの司会者の合図と共にノアの競売が始まった。
ノアの顔立ちの良さや、目利きの良い者なら、彼女の実力を察して、どんどんと競り落とそうと札を上げていく。1億、更に増えて、15億と・・・普段の生活では絶対に聞くことがない金額のやり取りが交わされていく。
そしてーーー
『53億で92番の方ーーー落札です!!』
53億ーーーその額で、ノアは落札された。落札したのはーーー
「フフフ。元
そう言って、
『ーーーし、死んでる!!』
思わず、司会者が慌てた様子で叫ぶ。
それもそうだろうーーーその悪魔が立ち上がった瞬間、黒い何かが通り過ぎ、首を斬った。斬られた首は、そのまま床に落下し、首のない悪魔と共に黒い塵となって消滅する。
それが皮切りとなった。突然、起きたオークションの参加者の消滅に、会場にいた他の参加者達は阿鼻叫喚のパニック状態となり、自身の命を護ろうと我先に逃げようとホールから出ようとする。
だがーーー
『あ、足が、沈む!!なんだ、この黒い物体は!?』
『これは、布!?いや、身体に巻き付いて、そのまま床に吸い込まれてる!?誰か、助けて!!』
参加者の足元から黒い闇とも称するような布が会場の至るところから現れて、参加者は勿論のこと、オークション会場のスタッフにも絡みつき、そして、いつの間にか黒い布に覆われた床に引きずり込んでいき、飲み込んでいった。
その様子を、ノアは勿論のことーーー他の出品されていた者達も何が起きているか分からなかった。
『奴隷達共、俺達を、これから護れ!!逆らえばーーー』
参加者又はスタッフ側の者かは分からなかったが、この布の対処をさせようと出品されていた者達に命じようとするも猿轡みたいな状態で口を塞がれる形で布が絡みつき、そしてーーー
『や、やめろ!!!』
黒い布に全体的に包まれた者もいて、そのまま雑巾みたいに絞られるような形で押し潰されていた。布からその者の血と思われる液体が流れている。
もはや、地獄といってもおかしくない光景だった。
「ーーーこの力、知ってるけどーーーもう使えない力だと思ってたーーー」
『誰も使えないなんて言ってないがなーーー』
そう言って、突然、ノアの側に姿を現したのはーーー参加者を襲っている黒い布ーーー
「義兄様?本当に義兄様なの!?」
突然、魁人が現れた事に動揺するノア。その様子を見て、魁人は頭を掻きながらーーー
「言っておくが、今回は偶然だ。たまたま、任務で潜入したオークション会場にお前がいたーーー」
「そっ、そっかーーーそうだもんね。ついーーー」
「何があったかは、ここを出たら聞くーーーだから、もう大丈夫だーーー俺がお前を、ここにいる者達を助けにきたーー」
そう言って、着けていた仮面を外し、ノアに笑い掛ける魁人。その手をとったノアはーーー
「嬉しいときも涙が流れるんだねーーー」
魁人が助けに来てくれた事を嬉しく思い、涙を流すのだった。
「さぁ、とりあえずーーーこの
そう言って、指を弾くと、ノアは勿論のこと、オーフィスーーーそして、出品されていた者達に
「凄いーーーこの布、どこまで機能があるの?」
「少なくとも、この布はーーー俺そのものと言ってもいい。俺の力が反映されているから俺が死なない限りは万能さーーー」
そう言って、ノアの頭をポンポンと軽く叩き、撫でた。
その行動はノアにとっては嬉しながらも恥ずかしく、けど、安心できた。
「巴柄、祐斗、ゼノヴィアーーーノア達を頼む」
するとーーー魁人の
出てきた瞬間、巴柄は魁人から渡された愛刀たる
祐斗は、
それを確認した魁人はーーー
「いい加減出てきたらどうだ?俺が監視されていることに気が付かないとでも思ったか?」
先程の自身と同じく、この場で姿を隠している者達に対して声を掛ける。
そう魁人は気が付いていた、自分たち以外にも姿を隠して、この会場で高みの見物をしている者達の存在にーーー
『これは、これはーーー流石は、噂に名高い最凶の
「御託はいい。それとも無理矢理、引きずり出されたいか?」
自身の周囲に浮いている
「ーーー
その声と共に黒い槍と化したいくつもの
「やれやれーーー観察は、ひとまず終わりかなーーー」
そう言って、姿を現したのは、フリードと同じ白髪の青年で、背中は勿論のこと、腰も含めて六本の剣を持った剣士だった。
「僕の名はジークフリート。ジークと呼んでくれーーー」
そう言って、不敵な笑みを浮かべるのだった。
まさかの英雄派のジークフリートが参戦、魁人達はノア達を護りきれるか?
次回もお楽しみに!!