かつての友が敵として、立ち塞がる。
「ーーー刀也」
英雄派のジークが呼び出した者達の中に、かつてサタナエルの謀略によって命を落とした魁人の友にして、巴柄の兄ーーー巡刀也が魁人が持つ
「兄様ーーー」
そんな兄の姿を見て、悲しそうな表情となる巴柄ーーー
そんな中、刀也以外に現れた黒い装束に身を包んだ戦闘員達が魁人達を取り囲むように動いていく。
戦闘員は黒いパーカに動きやすいスエットのような格好で顔を覆い尽くすマスクをしている。ちなみに男のマスクに角があり、女のマスクには角がない。
「仮面ライダーガヴのエージェント達か。確か、戦闘力は歴代戦闘員の中でも高く、特に連携戦術は主役ライダーのガヴや2号ライダーのヴァレンを何度も追い詰めている程卓越しているとかーーー」
「十中八九、
そう言って、苦虫を噛み潰したような表情で、祐斗は、この戦闘員の正体が仮面ライダーガヴに登場するエージェントだと判断した。
仮面ライダーガヴの敵組織、ストマック家の経営陣によって生み出された眷属ーーー通称、エージェントは、アルバイトである怪人、グラニュートを、闇菓子と呼ばれる現実では麻薬や覚醒剤に近い、依存性のある菓子を報酬として渡すと引き込み、その原料となる幸福な人間たちを攫わせた後にグラニュートから回収する所謂、仲介人のような役目を帯びている。それ以外にも、闇菓子の加工や販売、そして、敵対する者達を消すために、戦闘も請け負っている。
なお、攫われた人間たちは闇菓子の加工で使う幸福感を抽出する為に、連れ去った人間たちはプレスに掛けられて文字通り押し潰されて死ぬ。
ニチアサでやるには、あまりにも重い内容の為、「令和のアマゾンズ」等と呼ばれる仮面ライダーガヴーーーその敵であるストマック家の者が生み出した眷属ーーーエージェントは、今まで出てきた仮面ライダーの戦闘員の一線を画すほど強く、連携して仮面ライダーを追い詰めることから、特撮ファンからも一目置かれている。
「コイツ等の放つ攻撃はお前たち悪魔が苦手とする光力だ!!レオが、対悪魔用に創ったもので、ここにいる役立たつな奴らと違って、みな優秀だ!!!」
狂ったような笑い方で魁人に語り掛けるジーク。それに対して、魁人はーーー
「ーーーーー」
無言を貫いている。正確には、怒り狂いそうになっているがーーー相手が刀也、かつての友であり、歴代最強の退魔剣士である以上、それは隙となり、即座に首を刎ねられるだろう。
故に、刀也を止める為に、覇気は勿論のこと、闘気と呼ばれるオーラも集中し高めていた。
その時だったーーー
「ーーー魁人義兄様。私が兄様を止めるーーー」
突如、巴柄が魁人の前に立ち、刀也と対峙し始めた。
「駄目だ。今のお前ではーーー」
思わず、止めようとする魁人。だが、巴柄はーーー
「私を信じてーーー」
先程浮かべた悲しい表情と一変し、覚悟を持った眼差しで、魁人を見つめる巴柄。
「ーーー自身の肉親に手を掛けるんだぞ!!」
思わず、気圧されそうになるもの魁人は、更に残酷な事を巴柄に伝えることにした。巴柄を止める為に、厳しい現実を突きつけるがーーー
「あれは、兄様じゃない。兄様の身体を使った鬼そのものだよーーー正確には、あの黒刀が兄様の
再度、魁人を見つめる巴柄ーーーその瞳には、神気が宿っていた。
「ーーー分かった。だが、危険と判断したら介入する」
「ありがとう。私の成長、見ててね!」
魁人に微笑む巴柄。その後、再度自身の兄の方を見てーーー
『ーーー我が身に宿りし伊吹の御魂よ。我を器とし、邪を祓うために現界せよーーー
すると、まるで水面に落ちたかのように
すると、天井に特殊な魔法陣が形成され、そこからまるで墓標のような大きな大剣が地面に落下していく。
それと同時に巴柄の格好が
『我が身は神殺しの刃なりーーー故に、聖なる神よ、邪なる鬼よ!!我が一刀にて、全てを祓い清めん!!!』
大きな大剣が地面に激突する。それと同時に大剣が粒子化し、巴柄に纏わりつく形で集まっていき、それぞれの装甲を、刃を創り出していく。
まるで、パワードスーツを着たような格好と、その周りを滞空する龍を意図した装飾の八本の刃ーーー
そして、鬼角が生えたような装飾に顔を隠すようなバイザーが装備される。
全てが取り付けられたその姿はーーー
「ブレイブルーの素体三姉妹みたいな格好になってる!!」
『
魁人及び
その名も
魁人も言った通り、『ブレイブルー』と呼ばれるゲームに登場するムラクモユニットと呼ばれるパワードスーツを纏い、それぞれに与えられた特殊武装で敵を圧倒するーーー通称、素体三姉妹と呼ばれる少女達の力をモデルに、巴柄が自身に宿る
「まさか、俺の設計に無い力に昇華するとはなーーー見てるか、刀也!お前の妹は、俺達を遥かに超える実力者へと変貌したぜ!!!」
魁人が本来、想定した形の
『大袈裟だよ、兄様。けど、今から見せる力はーーー』
そう言って、自身の利き手である右手に力を集中させる。
『来て、翠霊剣クサナギ!そして、我が
その言葉と共に巴柄の右手には翡翠色の刀身の、例えに出すなら『機動戦士ガンダムOO』に登場するガンダムダブルオークアンタの武装の一つ、GNソードVを彷彿とさせる翠霊剣クサナギ
そして、先程、巴柄の周りを浮いていた八本の
ちなみに、
それに反応するかのように刀也もーーー
「ーーー」
無言で、刀を鞘から抜き構える。その刀身は
『巡討ーーー』
「ーーーキシン」
互いの刀身にオーラが集中する。それぞれが持つオーラだけでは無い。
刀身には、そのオーラを覆うようにーーー
「まさか、刀也さんも覇気を?」
「嗚呼。俺が、この世界で初めて覇気を発現した者で、その次に刀也も覇王色込みで発現した。俺が知る使い手でも対異形を葬る剣士でも最強の使い手だろうーーーだが、今は違うーーー」
魁人はーーー二人の覇気の性質を読み取れたことで、確信した。
「ぶちかませ、巴柄!!!」
巴柄の覇気は、既に兄を凌駕する神気すらも帯びていた。
故にーーー
『ーーー黒葬流奥義、
「ーーー奥義、
二人が放つは、それぞれの
それぞれの斬撃がぶつかり、喰らい合う。
『ごめんね、兄様。そして、ありがとうーーー』
そう。既に勝敗は決していた。刀也は既に冷静な判断ができないほど、刀に侵食されていた。
その隙を突きーーー
『
刀也に向けられた攻撃はクサナギによる八つの斬撃では無かった。
彼の上空には、巴柄の周りに浮いていた筈の
刀也も、それに気付き回避しようとするが、逃げ場を封じるように八つの斬撃が、刀也の斬撃を喰い破る形で取り囲んでいく。
それを見て、刀也は静かに笑ったーーそれを見た巴柄は悲しそうな表情になるも、そのまま左手の指を弾く。
『
そのまま八つの光は、刀也を貫く形で放たれた。
光が貫く瞬間ーーー刀也の手から、例の黒刀が離れる。次の取り憑く相手を求めているのか切っ先が巴柄に向かってーーー
「させるか!!」
即座に、
しばらく、暴れるように黒刀も動いていたが、やがて静かになる。
何故ならーーー
「クっ、
そう言って、苦しみ始める魁人。
何故なら、刀也同様に魁人も禍々しい黒い鬼角が米噛みから生えてきたからだ。
『兄様!!』
そう言って、巴柄が心配した顔となり、魁人に近づき、そしてーーー
『ーーー今度は一人にしないからーーー』
苦しむ魁人に抱きつき、その唇に口づけをした。
するとーーー先程の翡翠色のオーラが魁人、そして、巴柄を包み込む形で発生し、その後、闇オークション会場が、その光に包まれた。
「ーーーここは、何処だ?」
「兄様!?大丈夫!?」
「嗚呼ーーー大丈夫だ。ご、いやーーーありがとう、巴柄」
「ーーー心配かけないで、兄様!!」
突如、白い空間の中で意識を取り戻した魁人は、同じく白い空間にいた巴柄が泣きながら抱き着いてきたので、謝るのではなくーーーお礼を言いつつ、心配を掛けた事を申し訳なく思いながら、ひたすら巴柄の頭をポンポンと撫でながら、今の状況を整理していた。
「ここは、もしかしてーーー」
『お前の推測は間違いじゃねえよーーー魁人』
魁人の言葉に反応するように、光が発生し、人の形を取る。
「刀也!!」
「刀也兄様!!」
『久しぶりだな、二人とも。特に、巴柄ーーー大きくなったな!』
そう言って、今、さっき戦っていた相手筈のーーー巡刀也が再会を喜ぶように近づいてきた。
「ーーー刀也兄様!!」
『巴柄。さっきの一撃で、お前の成長が見られて良かったよ。まぁ、あの不意打ちを教えた魁人には色々と言いたいが、ここで話している時間は多くない。だからこそーーー今から伝えるのは、今後の戦いに必要なことだけだ』
「せっかくの再会だが、仕方ないかーーー推測が間違ってなければ、あの黒刀の中か?
『だろうなーーーあの黒刀の名は、
「
『流石に、詳細は俺も分からん。だが、平行世界の神が、とある者達との戦いの為に拵えさせたものという情報だけが、この黒刀の中に残っていた・・・先程あった禍々しいオーラと共にな』
「そう言えば、妖刀の名を冠しているにしては、その気配は感じないな?・・・まさか!?」
そう言って、魁人は巴柄を見る。急に自身の方向を向いてきた魁人を不思議そうに見る巴柄。そんな2人の様子を見て、苦笑しながら刀也は、首を振り始める。
『巴柄の放った神聖なる伊吹様のオーラと、お前に残っていた聖書の神の力の残滓が混ざり合い、そして、浄化された。だからこそ、俺が表に立って出られる訳だがーーーまぁ、要件はこうだ』
『この刀もお前の
「ーーーそれは同意する。だがなーーー既に俺も
そう言いかけた瞬間ーーー魁人の手に
「ーーーまさか、共鳴しているのか?」
『みたいだなーーー実は、俺も含めて歴代所有者の魂は、この黒刀に封じ込められるようでなーーーお前の修行次第では、その歴代の力を、そして、その姿を呼び出すこともできるらしいーーー』
「つまり、お前を再びーーー」
「刀也兄様!!」
『そう言うことだ。だから、次の宿主はお前になってくれないか?』
「嗚呼。そんなことなら断れるわけ無いだろ!」
「刀也兄様が、一緒にーーー嘘じゃないよね?」
『嗚呼。お前たちが一緒にいる限り俺たちは永遠に一緒だ!』
そう言って、黒刀に吸い込まれるように刀也の姿が消えていく。刀也が持っていた黒刀を魁人が握るとーーー
『この黒刀に新たな名をつけてくれーーー得意だろ?』
「嗚呼。そうだなーーーこの黒刀と共鳴したことで、俺の
その声と共に再び光が二人を包み込んでいく。
「な、何だーーーその姿は!?」
「魁人さん!?」
「巴柄も無事かーーーそれにしても、凄いオーラだ」
『フフ、兄様!行けぇ!!!』
再び、意識が戻ると闇オークション会場にいた。
狼狽するジークフリート。同じく驚愕する祐斗、ゼノヴィア。ただ、巴柄だけは嬉しそうに喜んでいた。
ノアも驚愕して言葉を失っていた。オーフィスは物珍しそうに首を傾げている。
『おいおいーーーこの格好、静刃の格好みたいだな。俺も妖刕てか?』
そう言って、自身の格好を見て、興奮しながらも冷静に分析を始める。
遠山キンジと同じ0課に所属する二刀の特殊な刀ーー通称、妖刕と呼ばれる二刀使いーーー武器の名である妖刕をコードネームとして活動している自身の後輩、原田静刃。
彼が使う妖刕のように先程の黒刀と
ちなみに、魁人が使う
『そう言えば、人の武器欲しがってたなーーーやれるもんならやってみろ。ちなみに、新たな
そう言って、二刀の黒刀を抜いて、構える魁人はーーー狼狽していたジークフリートや周りを取り囲むエージェントに向けーーー
『友と共に振るいし神殺しの黒刀二刀にて、てめえ等の悪事をぶった斬る!!覚悟しなぁ!!!』
そう言って、そのままジークフリートやエージェント達に斬り掛かるのだった。
まさかの巴柄の禁手初披露!!
そして、友のーーー刀也を取り戻し、魁人は新たな力に目覚める。
次回、いよいよ、この話もクライマックスに入ります。お楽しみに!!