人器ーーー麻羽魁人が自身の父であるアザゼル及び、かつて自身の師匠だった宿敵ーーーサタナエルもといレギオンが開発・研究していた人工神器を、自身が独自に進めているある極秘の研究成果を用いて、開発を進めていった事で成功した新たなる人の可能性を引き出す超技術。元々、神器を宿していない一般の人でも扱えるように、改良を進め、かのコカビエルが起こした『聖剣事変』にて、様々な勢力に存在が知れ渡った。
深淵の観測所内開発ラボーーー
「ーーーはぁ。本来は人器の存在を隠して置きたかったがーーー叔父貴が起こした『聖剣事変』で裏の世界を含めて、表の世界に住人たちに知れ渡ってしまったーーー正直、その対応等でろくに研究が進まねぇよーーー」
そう言って、ラボ内で、ぼやきながら魁人はディスプレイに映し出された開発中の人器設計データを凝視しながら、ある実戦で得たデータ等を打ち込んでいく。
「ご愁傷さまですーーー僕が任務で黒葬機関を離れている間に、異世界からの客人に加え、元テロ組織参謀を自陣に向かえるーーーイベントのオンパレードですねーーー」
「こんな何度も突発して起きるイベントーーーここはソシャゲの世界か、何かか?」
魁人のぼやきに苦笑いしながら答えるのは、麻羽エルシア。魁人の腹心の一人であり、唯一人、本気状態の魁人を互角に戦える最強の堕ちてきた者の一人。なお、元々はエルドという名であるが、ある事件で亡くなった姉の名を、自身の名として名乗っている。
「エルーーー本当なら裏で暗躍したり、コソコソと、人器を開発していきたかったんだよ。ただ、叔父貴との戦いで、全てが明るみになったせいで、わざわざーーー公的機関の申請をして通らないと開発が許されなくなったからーーー辛いよ」
「下手すれば世界の軍事バランスを覆し変えない恐ろしい技術ですからねーーー悪魔に転生し魔王の庇護下に置かれてなかったら、世界中の国家は勿論のこと、様々な神話から狙われてましたよ」
「そうなんだよなーーーいくら何でも大国と一人で渡り合えるとまでは自惚れてねぇよ。まぁ、全知全能を使った時は別だがーーー」
「そうですねーーー聖書の神の権能を行使する制服、全知全能を使ってしまえば、関係ありませんが、デメリットがデカすぎますーーー今の貴方は悪魔だ。使ってしまえば、最悪ーーー消滅の危険があるのですよ!!控えてくださいーーー」
「分かってるーーーちなみに、今回はお前の小言を聞くために招集した訳じゃねえぞ、エルーーー」
「えぇ。ここに来るまでに概要は見ましたが、よく二天龍が許しましたねーーー自分たちの力を模倣した人器を作りたいってーーー本来なら殺されても文句が言えないほど暴挙ですよ」
そう言って、エルシアは魁人が渡してきたタブレットに映し出された2つの人器のデータを見て、呆れていた。
「黒葬覇龍計画、まぁ、既存のドラゴン達の力を再現した人器を開発・研究する計画だ。その開発第一号として、たまたま、三大勢力内で見つけることができた二天龍達の力を模倣ではなく、独自の解釈で新たなる力へと昇華させてみた。ちなみに、二天龍達は、見返りも用意した上で動いたこともあり、協力的だったよーーー」
「内容は聞かないでおきますねーーーとりあえず、僕をここに呼んだのは、その開発した第一号とやらの実戦データを取るために?」
「嗚呼。エルにはアルビオンの力を再現した方を、俺はドライグの力を再現した人器を使うーーー」
そう言って、エルシアにアルビオンの力を再現した人器が入った小型のコンテナを渡した魁人はーーー
「各々の調整が終わったら、例の場所に集合なーーー」
調整の為、エルシアがラボから出ていった後ーーー
「今回のデータが取れれば、こいつの完成も近づくーーー」
ディスプレイには、先ほど映し出されていた人器とは違った設計データが表示されている。
「対レギオン戦想定の俺専用の最強人器ーーー魔王の名を冠する俺の切り札ーーー完成が楽しみだーーー」
そう言って、周囲の機器のバッグアップ等の処理を行った後、魁人もラボを出ていくのだった。