【王を待つ礼拝堂】
「なんだ あの樹!まさか 世界樹か?」
扉を開けた先には、天を衝くほど巨大な威容。黄金に輝く大樹が見える。その姿は神々しくもあり、だが同時に恐ろしくもある。
世界樹。その言葉が相応しいと思う。その葉の一枚一枚がすべて命であり、生命は死した後にそこへ送られ、世界の何処かでふたたび芽吹く…。
「あぁ よく知っているとも。目にするのは 初めてだが…。」
だがオレはゆうしゃだ。ゆうしゃのいる世界ならば、この程度は当然だろう。狼狽えるな。
辺りを見渡す。周囲は断崖絶壁。荒波が何度も打ち付けられる音が薄らと聞こえる。滑り落ちたらひとたまりもないだろう。
「進むしかないか…。」
グラグラと揺れる吊り橋を渡り、一際大きな空間の奥に巨大な石像が見える。両手を広げ立っている?いや吊るされているようにも見える。
「この明らかに 不自然な 空間。オレには 分かる。此処には 奴が いるのだろう。」
そう。あらゆる時代、あらゆる歴史に奴はいる。それは最弱であり、越えるべき試練であり、勇ましき者の最初の敵である。
「右手には ひのきのぼう。左手には おなべのふた。恐らく レベルは 1。だが決して 希望なき戦い ではない。」
今こそ賽は投げられた。意を決して飛び出す!
「何故なら オレは ゆうしゃ だからだ!くるがいい!さいしょのてき スライ………ム?」
『グァェェェェェェェェェェゥゥ!!!!』
〔接ぎ木の貴公子が あらわれた!〕
〔コマンド?〕
「にげるにげるにげるんだよォォォーーーーッ!」
なんやこの化け物ォ!なに?なんで!愛しのスライムちゃんはどこ…どこ!?
「にげるんだぁ!かてるわけがない!奴は伝説のスーパー貴公子なんだぞッッッ!」
無数の腕を使い縦横無尽に振るわれる剣が、オレの後ろでミキサーのように暴れ狂っている!今はなんとか奴を中心にぐーるぐーる回ることで逃げ延びているが、このままでは岩盤だ!
あ、なんか跳んだ。
「あっっっっぶな!!!」
畜生、
「オレは ゆうしゃ なんだ! なのに なんだその顔は!! イケメン過ぎるだろうがァァァァァ!」
〔ゆうしゃの こうげき!〕
〔ミス! ダメージをあたえられない!〕
「空振り三振やっぱりな!(レ)(今だけは)憧れるのをやめましょうゥゥゥゥゥ!!!」
たいりょくが もう もたない。指先が チリチリする。口の中は カラカラだ! 目の奥が 熱いんだ! それにここ 崖側だし…
「ま、待ってくれ!降参!降参だ!なんでもする!足も舐める!世界救ったら世界の半分をおまえにやるからたすぬわーーーーっっ!!」
あぁ、終わった。真っ逆さまに落ちている。なんてことだ。もう助からない。最後なのに、辞世の句をいう時間すらない。
「畜生、やっぱりオレはゆうしゃなんかじゃ…」
ザッバーーーン!!!
荒波に消える、惨めな一人の生命。冒険はこれで終わってしまった。おぉゆうしゃ!しんでしまうとはなにごとだ!けれど、けれどね。
冒険は巡り、そして終わらないものだろう!
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やさしいって。やばいって。
明らかな事実だと思う
なにがやばいかっていうと、男として成熟してるんだよね
全部ELDEN RINGやってるからよ。