ゆうしゃとなれ たとえ導きが壊れていても   作:藍色岬

6 / 10
前書きなんで飾りです。偉い人にはそれが分からんのです!


一人目?

「びゃあ゛ぁ゛゛ぁこわひぃ゛ぃぃ゛!!!」

 

 あ、どうも。前回超カッピョイイセリフを連発しクールに去ったゆうしゃです。よろしくおねがいします。

 ん?なにがこわいって?なにから逃げているって?決まってんだろ。

 

「たすけてー!!!ツリーガードに襲われてまーすッッッ!!!!」

 

 いやーなんか目の前におるなーとは思ったんよ。でも歩き出した手前、戻るのもなぁ…

 それに、逃げてばかりじゃゆうしゃの名が廃る。オレにやらせてくれ。ここらでおあそびはいいかげんにしろってとこをみせてやりたい。

 

「オレ襲ったら金になるんかァァァァ!!!」

 

 〔ゆうしゃの こうげき!〕

 

 〔かいしんのミス! ダメージを与えられない!〕

 

「ちくしょー!完全体に……完全体になれさえすれば……!!!」

 

 伝説の剣と伝説の防具を装備すれば、貴様なんぞにィィィィッッッッ!!!!

 

「うぐッッッ!!!が、ァ…」

 

 さ、刺さってる………胸が、裂け……

 

「ァ……ァ……ガ……」

 

 喋れない…息ができない。……あれ、なんで空が見えるんだ…?

 

「…アァ」

 

 そうか。倒れてんのか。ん、背中がふわふわだ。原っぱに寝転ぶなんていつ以来かな。

 …おい。邪魔だよ。そんなに跳び上がったら、空が、見えねぇだろ………ガ………………。

 

 

 

†††

 

 

 

「う──ん、ふとんのなか、あったかいナ…リ?」

 

 ここは…さっきの祝福?また生き返ったのか…いや、もしやこの祝福に、教会のような機能が備わっているとでも?

 でも生き返ったというより、死ねなかった。っていうほうがしっくりくる。胸を抉られた感触も、頭が潰れた衝撃も、確かに覚えているのだから。

 

「…何事もなかったかのように愛馬を乗り回しやがって。いちいち癇に障るヤローだ」

 

 仕方ない。コイツは一旦後回しだ。先ずは力をつける。この世界を生き抜く為の力を。そして仲間を集め、魔王を倒し、平和を取り戻してみせる。

 

「…ヴァレーさんはもう居ないか」

 

 …あの醜態を見られてなきゃいいが。まぁいい。今度は慎重に進もう……………。

 

「面白い奴だ気に入った。殺すのは最後にしてやる」

 

 …バレてないよな。……大丈夫。小鳥の囀りより小さな声だから大丈夫だ。そーっと抜けろ。蛇のように。

 

「なんだ、焚き火か…?」

 

 崩壊した建物の奥に、バチバチと火が音を立てて燃えている。それにあれは、第二村人発見だ!

 

 

【エレの教会】

 

 

「…あんた、褪せ人か?それに…どうやら、俺を襲う気はなさそうだ」

 

「襲う気は ない。襲うのは 宿屋の二階にいる時だけ って決めてんだ。あとオレは 確かに褪せ人だが 同時にゆうしゃでも あんだぜ!」

 

「はっはっは。勇者にしちゃあ寒そうな格好だな、あんた」

 

「ん、この辺りは暖かそうだけど、もしかして夜は冷えたりすんの?」

 

「…いや、あんたの人柄くらいには暖かいから大丈夫だ。俺はカーレ。こう見えて商いをしてるんだ」

 

 商い。商売。………つまり、商人!!!!??

 

「カーレ。オレの仲間になってくれ!!!!」

 

「よし。なににする………ん?仲間…?」

 

「そう。一緒に旅をするんだ。時に笑い、時に涙し、一緒にぱふぱふを追い求める。民家のタンスを開け壺を割りお宝を盗……借り、最後には魔王を倒しハッピーエンドを迎える。どうだ、最高の旅だと思わんかね?」

 

「…あんた、どこかおかしいのかい?」

 

「…………………うぅ」

 

「…………………大丈夫か?」

 

「う〜〜〜あんまりだ…」

 

「あんた………?」

 

「H E E E E Y Y Y Y !!!」

 

「え………?」

 

「あ ァ ァ ァ ん ま り だ ァ ァ ア」

 

「!?」

 

「AHYYYAHYYYAHYWHOOOOOOOHHHHHHHH!!おおおおおおれェェェェェのォォォォォ むねェェェェェがァァァァァ~~~!!」

 

「こいつ、まともじゃなかった…早いとことどめを刺そう‼︎」

 

「………………………………………………」

 

「うっ!?」

 

「フ──スッとしたぜ。おれはチと荒っぽい性格でな~〜〜〜激昂してぅっ……トチ狂いそうになると……ひっぐ……泣きわめいて………ぐすっ……頭を冷静にすることにしているのだ…………」

 

「…………まだ泣いてないか?」

 

「…………………………………うぅっ」

 

 だって、だって一緒に旅ができると思ったのに………やっとゆうしゃらしく………

 

「…悪かった。少し言い過ぎた。でもな、俺は放浪の民の出なんだ」

 

「…うん」

 

「その一族の掟に『孤独であれ』ってのがあってな。俺たちは狭間の地のいろんな所で商いをしているが、どいつもこいつも人里離れた場所で、こうして楽器を弄ってるのさ」

 

「…綺麗な音色だ」

 

「だろう?俺は子供の頃、面倒くさい一族に生まれたことを悔やんだりしたが、この音だけはずっと好きだった………」

 

 あぁ、本当に綺麗だ。あの、遠くに見える黄金樹なんかよりも、ずっと。

 

「もう少し、聴かせてくれないか?」

 

「はっはっは。もちろん大歓迎だ、勇者」

 

「ありがとう。カーレ」

 

 

 

夜闇に響く、寂しくも暖かな調べ。それは鎮魂の歌。これを聴くあらゆる生命に捧げられた、名も無き追憶だったろうか。




さぁ おいで後書き!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。