マンハッタンカフェと。恋と。僕と。怪異と。   作:ハガさん

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劇場版を見て書きたくなりました。

あくまで自分の妄想詰め合わせなので見れる方のみどうぞ


主人公の雑な容姿です

ハガさんから頂きました。嬉しいですね

【挿絵表示】

(あらすじにも貼ってるのでそちらを観覧された方は見なくても良いです)


マンハッタンカフェと。夏と。僕と。
開幕。それと一目惚れ。


 

 

 忘れるはずもない。あのジリジリと太陽が照る夏の日。

 

 僕は、色が全て吸い込まれるような、可憐で、綺麗な、漆黒の長い髪の毛。黒金の全てを見通すような、さながらトパーズのような瞳。

 

 そして、明らかに人ではない、人外じみた、馬の耳を持ったある少女と歩んだあの日。

 一人の少女と生死を分け、怪異と、そして運命に抗ったあの日。

 僕の巡り合わせが、僕の因縁と向き合うべきになった。立ってしまったあの日。

 

 

 

 

 惨めで、滑稽な、道化師の僕は 

 釣り合うはずもない、眩しく、可憐な、彼女に

 

 

_____________恋をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「暑い……………」

 

 

 8月5日。

僕は自転車を押しながら、炎天下の青空の下日本国民が愛してやまないアイス。あの謎の坊主のキャラクターが写った、ソーダ味のガリガリとした擬音が聞こえてくる、某氷菓子を食べながら歩いていた。

 

「何もやることもないのに出るんじゃなかった………」

 

 僕は暇だから、たいして用もないから、やるべき事も、する事もないからと言う理由で、ダラダラと空きの時間を潰す為隣町のショッピングセンターに自転車で向かっていた。

 

「って言うか三つ編み邪魔……」

 男の癖に長くしている腹まで伸びた。我ながら、良く手入れしている三つ編みの黒い髪の毛に鬱陶しさを感じた。

 男のくせに良く伸ばして切るのはなぜかとよく聞かれるが、それは僕が好きな少年漫画で、中華キャラに憧れて長くしたものだ。

 決して女装趣味などではない。

 それが中性的な見た目と、小柄な身長に相待って、女の人とよく間違われるが、生まれてこの方、性転換手術などは行なっていない。れっきとした男である。

 

 良く信頼していた友人に頻繁に告白されるが、れっきとした男である。

 何度も言う。僕の男としてのプライドに向かって何度も言い続けるが、男である。男の娘などでもない。

 

「にしても…冗談ってぐらい暑いな…」

 

 そんなセミがやかましいほどミンミンと鳴くのをやめない、夏全盛期の暑さを前に、自転車を全力で漕ぐ気分になる活気に溢れた青春大好き高校生ではない。

 

 所詮は学校のスクールカーストで下の方を彷徨う、帰宅部万歳の一人好きである。僕の""特殊な境遇""も、あいまってか話しかけてくる人間も、友人も、あまり多くはない。

(わざわざ髪の毛を長くしている気持ちの悪い僕に、話しかける奴が少ない事は皆想像に難く無いであろう)

 

 僕はコンビニでアイスを買い食いしながら、持ってくる意味もなくなった、自転車を押して歩いていた。

 

 

 しかしながら、僕はこんな暑さの中、これ以上自転車を引くやる気はこれっぽっちも出なかった。流石に暑すぎる。このまま歩き続けるのが、なにか意味があるのだろうか。

 

 しかし時間をある程度かけてここまできてしまったが故、何も成果を出さず帰る気にも、ならなかった。なれなかった。

 

 

 そんな惰性の極みのような、心底やる気のない人間が、特に目的も持たずにショッピングモールに行っても、何も買うはずもないよな、なんて無粋なことを思いつつ、向かっていると______

 

 

 

 

 そしたら、目の前がぐわんと。まるでシャボン玉に映る世界のように、さながら、ガラスに映り込んだ世界のように、例えるなら色眼鏡をかけたときのように、目の前の視界が、全ての物体に虹色の輪郭を待たせながら、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

______________歪んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目を擦り、一瞬の出来事だと僕は、理解したが、こんな真夏日に目眩を起こして、体を揺らすなど、熱中症の症状そのものである。ここで熱中症で倒れて死んでしまうなど、全く望んでない事だ。

 

 

「おいおいおい、洒落にならないぞ…」

 

 

 幸い頭は痛くは無く、コンビニで買ったスポーツドリンクもカバンの中に入れてきている。ナイス僕と、自分の中で小さく自分自身を褒める。

 

 十分対策はできている筈だが、ここらで向かうのは一旦諦めて自宅に戻る事を本格的に視野に入れるべきだと思う。

 

 

 

 そう思いながら、もうアイスが残っていないハズレと書かれてたアイスの棒をガジガジ噛み、歩いていると。

 ふと自転車が走るべき車道の左側に、あるおかしな、存在しないはずの、今まで見たことのないような、あり得ない、表記が見えた。

 

「ウマ娘…‥専用ゾーン?」

 

 おいおい、冗談じゃないウマ娘?あのゲームで人気の?僕はあまり詳しくないが、つい最近劇場版が公開されたあの?

 ついに僕は頭がおかしくなったのか?と疑問に思った。

 そんなの現実にあるわけがないじゃ無いか、と自分自身を小馬鹿にする。どうせ自転車の専用レーンと間違えて見たんだ。

 

 

 だがしかし、何度目を擦っても、何度視界をそらそうとも、そこに"ある"。

 

 

 これ以上は目を擦っても無駄であると感じた為、目を擦るのをやめ、目を瞑り、ため息を吐いて、ゆっくりと慎重に息を吸いながら、僕は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これ熱中症で倒れて、夢を見てるな。」

 

 

 

 

 

 

 なんて、主人公らしくもない、現実的な意見を呟いた。

 僕にとって、異世界転移や転生なんてオタクの妄想。

 学校にテロリストが〜云々と同じタイプのふざけた戯言だ。戯言使いが出てきてしまう。

 

 ひねくれてなどいない。ただ現実としてあり得ないのである。

 そんな転生や、転移や、オタクに優しいギャルなどの戯事。

 

 おそらく異世界転生を夢見てる少年が、学校からの帰宅途中帰りで路上にいる自称神様と会ったら、テレビのドッキリ企画か、自分の頭がおかしくなったかを疑うはずだ。

 そうそう異世界転生などとは思うまい。

 フィクションと現実は区別をつけなければならないのだ。

 

 僕は、捻くれオタクではない。リアリストなのだ。そう、リアリスト。

 

 そんなんだから友達少ないんだよ。とは言ってはいけない。禁止カードだ。それは強欲な壺である。使ってはならない、決して

 

「しかし、ウマ娘ねぇ………」

 

 

 僕はアニメを見て、アプリもせず、そのまま放置してるような人間。

 そんな人が夢の中でウマ娘を見るということもおかしな話だが、所詮は夢。

 所詮は起きているときの記憶の整理。ありえないなんて、ありえない。と、僕の好きな漫画のキャラも言っている。

 なんて一人、気持ちの悪い、根性の捻じ曲がった人間のようなことを思っていると。

 

 目を擦って遠くを見つめると、現実世界ではいるはずもない人が、いた。

 長い髪の毛を靡かせ、歩いていた。

 僕は噛み締めていたアイスの棒を、驚きで放してしまった。

 

 

 馬の耳が生えていて、黒毛の女の子。

 ゲームで言うと__________マンハッタンカフェその人が。

 彼女はモデル顔負けの顔立ちをしており、今まで見てきたどんな人々より、整った顔つきで、大人びた雰囲気を醸し出している。率直に感想を言うと、綺麗だ。美しい。

 

 

 

 すると、黒毛の少女は歩くのをやめ、そのアイドル顔負けな、美人な顔で、こちらを振り向き、言葉を発した。

 

 

「あなたは……あなたは……!!」

 

 

 何か驚いた表情をこっちにむけてくるが何があったのだろうか。

 

 一目惚れでもしたのだろうか。こんなにイケメンで、美しい、僕だからな、仕方ない。

 

 確か彼女もアニメで見る限り大勢の人々に熱狂される有名人だ。なんて馬鹿な事言う前に、できる限り失礼がない様にしたい。

 

 しかし、所詮はウマ娘のにわか、アニメには登場した事すら曖昧なキャラなど詳細まで覚えているはずもない。ましてや、マンハッタンカフェなど、友人が可愛いと言ってた事を覚えているかな程度の"知っている人"

 

 例えるなら、友人の好きなアイドルグループと、バッタリ街中で会ってしまったような気まずい状態。

 

 

 おいおいだがしかしここで『誰ですか貴女?』なんて素直に呟くヤバい奴になるなんて誰が言った?

 知っているファンからすると、千載一遇のチャンスな訳であるし、知らない神様だからって足を向けて寝るような行為は、僕には到底できない。

 

 僕は、そんな礼儀もわきまえないナンセンスな輩には、なりたくない。

 僕は作法というものを、わかっている側の人間だ。

 

 

 そう思い。僕は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「僕は_____伊豆葉月。君に一目惚れした。I LOVE YOUと言う奴さ。」

 

 

 

 

 

と__________

 

 

 

 

 

 だって、夢の中だから。やけにリアルで、儚いのだから。

______恋をしても、構わない。

 

 

 

 

 と言い終わると彼女は驚いた様な表情で、その純白の肌を真っ赤にした彼女は、僕の顔をワナワナと言いながら見つめ、一息沈黙が流れると、一目散に逃げられてしまった。

 それは爆音と呼べるレベルのスピードで、車など、比にならないんじゃないかという速さで、僕の元を逃げ去っていった。

 いや、もう最初からいなかったのではないかと思うレベルで、塵ひとつ残さず。早すぎる、あの速度でぶつかられたらひとたまりもないな。と、ウマ娘の凄さを再確認する。

 

 

 

 

 

「……フッ照れちゃって逃げちゃったのかな子猫ちゃんめ」

 

 なんて、ギザなセリフを吐いていられる余裕があるのは、まだ夢の中だと信じているから、これが明晰夢だと思っているから、余裕が、ある。

「いやでも」

 僕は思考する。考えてはならない。一つの、無視してきた可能性を

「しかし……」

 推察してはならない、禁じられた。僕自身が封印してた可能性を

 

「やけに……反応が…リアルだな…夢だったなら『はい!喜んで』みたいな台詞を言いそうなもんだが」

 

 冷静になって思い返してみると、汗の臭い、夏の日のジリジリとした感触、ジメジメとした湿気が出ているコンクリート、突風の様にさっていった彼女から出た逆風。

 全てが、思っていたより、というかまさに現実さながら、リアル顔負けの様に、感じられる。感じてしまう。

 

 というか、これ、現実じゃね?????

 

 

 

 

 

 

「はああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!?!?!?!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 僕は街の小道で人生で出した事のないような、大きな叫び声を出した。ライブで声を上げる人など比にならないレベルの大声を。

 

「ありえねぇ!!!何が夢の中だ!!!

バリバリ現実で異世界転移してんじゃねぇか僕!!!!!!」

 

 まずいまずいまずいと焦る。

 なんでいきなり声をかけた人に告白されたんだ??とあちらも疑問に思っているに違いない。何なら警察に電話してるかもしれない。それが許されるのはイケメンだけだ。僕みたいな自称だけのイケメンでは事案だ。

 刑法174条が適応されてしまう。

 今から弁解しようにも彼女はもうありえないスピードで去った。去っていってしまった。もう取り返しなどつかない。

 

 僕は自転車を持ちながらその場に膝から崩れ落ちた。

 異世界転移したのに初っ端から選択肢をミスり、警察へGOだ。

 

 夢ではないと、異世界転移だと最初から捻くれオタクではなかったら…などと後悔してももう遅い。過ぎ去ってしまったものはもう、戻らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__________________なんて絶望の淵に10分ほど落とされていると、彼女が戻って来た。 戻ってきてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・

何故か僕が来た道から

 

 

 

 

 

 

 そして僕の顔を見ると……すぐさま振り向き、そのまま元来た道を走って、逃げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「待てぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!誤解だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぉぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

僕は自転車競技なんてやったことがないが、おそらく、今だけはどんな自転車の選手の前でも勝てるような、そんな走りを出した。

 

 

 

 

 

 

__________________________

 

 

 

 

 だがしかしさすがはウマ娘、勝てるはずもなく、勝利できる見込みがあるはずもなく悠々に目で追うのがやっとの位置に彼女はいる。

 だからと言って僕が負けるわけにはいかない。マンハッタンカフェに負ける=社会的死が待っているのだ。ここで止まるわけにはいかない。歩みを止めてはならない。マジで。

 今なら日本ダービーに走る馬全てに勝てる。そう断言できる。

 自転車でなら。というか勝たない走りをした瞬間。死ぬ。死んでしまう。

 そんな事で数分が経つと体力の限界が回ってくる。このまま彼女に逃げられたら、何もかも失う為、彼女を呼び止める為声を上げる。

 

「ま、まって〜〜………まっってくれ〜〜!!は、はなし、話だけでも〜〜!」

 

 ゼーハーと自分の息が苦しい。声を出すのもやっとだ。ペダルが重たい。ギアは軽くしてるはずなのに、まるで鋼鉄の塊を踏みつけているかの様だ。自転車をこぐ度に激痛が走る。余裕なんてとっくの昔に僕には無くなっていた。

 僕はそんななっている自転車などよりも自分の足を信じたくて、などチャリンコを""漕ぎ捨てた""。

 もう走るのも漕ぐのもたいして変わらないと思ったから自分の火事場の脚力を信じてみる。

 というか、走りの分元陸上部だった僕にとってリターンのほうが大きいと判断したのもある。ここからはガチだ。ガチンコだ。真剣と書いてマジだ。

 そう思い僕はほぼ幽霊部員だった陸上部の微かな記憶を思い出し猛ダッシュをした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 明らかに走る方が、彼女に追いつけている気がする。僕は今度から走りで移動した方が早いかもな。なんて、思いながら、ゼーハーゼーハー息を上げながら、死にかけの虫の様な醜態を晒し走っていると____________

 

 

 

 

 

 

 

 彼女が、止まった、不自然に。不思議なことに。

 そして後ろを振り向き僕のことを見ると安心したような顔をし、僕のことを"待ってくれた"。

 どういう風の吹き回しだと、僕は素直に思った。正直にいうと100%警察行きで、お釈迦、お陀仏、即身仏、だと思っていた。

 僕にとっては都合の良いことこの上ないのだが。そう思い彼女の元へ全速力で走った。

 

 

「はぁ………はぁ………はぁ…………」

 

 彼女はその愛くるしい口から言葉を発する。なんて素晴らしいんだと改めて思う。僕の次に愛くるしい。僕は美の終着点だから比較対象に上がる時点で最高だ。

 

「お疲れ様でした…。私としてもいきなり告…白してきた人と話すのは、不服なのですが、緊急事態なので…」

 

 失礼な、僕だって夢じゃないとわかっていたなら、そんな立件されそうな事案はしない。僕だって命が軽いわけではないんだ。人は死ぬんだよ。ルフィも言ってる。だけれど彼女の言っていることも一理あるとは思う。僕だって男子にストーカーされる事は良くある為困っている。

 

「そのことに………関しては………はぁ……申し訳……ないと………はぁ……思ってる……」

 

 反省はしている。後悔はしていない。たが、結果的にこうやって冷静に話し合えているのだから、結果はオーライだ。

 

「というか襲われる前提で止まったんですけど……襲わないんですね葉月さん…」

 

 

 

「いや……はぁ………襲えるわけないだろ……こんな距離を……はぁ……息切れしてないような……女子を……さ」

 

 

 

 

「それは…そうかもしれません…。あの時と同じですね。貴方は」

 

 

 なんて他愛無い会話ができるようになった事に喜びを覚えつつ、問題は何故初対面でセクハラを仕掛けた男と会話ができてるのかな問題だ。

 

 

 というか、あの一回の告白で名前覚えてくれてたんだ。しかも名前呼び。すごいな彼女の記憶力。あの時と同じっていうのが少し、気になるが。

 

 僕は呼吸をある程度整え終わったら言った。

 

 

「……それで?なんでこんな初手告白野郎を待ったんだ?」

 

 皮肉混じりに僕は聞いた。

 

 それは________と彼女は息を溜めつつ言った。

 

「………やっぱり私の事を覚えてないのですか」

 

「?」

 

 さっきから彼女不思議なことを言うな。僕たちは初対面のはずだろう?あっている事などあるはずがないはずだ、だって僕は"""別世界からきたはずだ"""。

 彼女など身に覚えがない。

 

「まぁ貴方を待ったのはそれだけではないのですが」

 

 意味深な台詞を言う。それだけってどれだけなんだ。僕は彼女に会った事がある?なんて馬鹿な話があるか、何か、別の人と間違えたのだろうと勝手に自分の中で、適当に、区切りをつける。これ以上考えても埒が開かない。

 

「それだけって?」

 

 彼女に質問をする十二分に、彼女が言った""それ""も気になる内容ではあるが、それ以上の事があるのであろう。彼女の目や表情に全くもって余裕がない。とても真剣な表情をしている。

       ・・・・・・・・・・

「私達。ずっと同じ道を走っています」

 

 理解のできない事を言う。ずっと同じ道を?ありえない。さっきから真剣に走って余裕がなかったとはいえ、目尻には景色を確認していたが、建物などは変わっていたはずである。同じ道など通っていないはずである。

 

 

「そんなバカな事あるはずが……」

 

 僕は彼女を否定する。いくらオカルト好きな彼女とはいえそんな8番出口の様なこと、呪術廻戦2期の最初の様な事がポンポンと合ってもらっては困る。

 

 

 しかし、そんな僕とは裏腹に、彼女が指を指したそこに。

 

 

 

 あった。

 

 あるはずのない。あってはいけない。存在を許されない。

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・

僕が漕ぎ捨てたはずの自転車が

 

 

 

_______________________________

 

 

 

 

 

「確かにおかしいと思ったよ。

なんで""僕が来た道""から""逃げたはずの君が来たのか""」

 

 冷静になるとそんなことあるはずもない、道に迷ったとも考えられなくもないが、ここら辺そこまで複雑な構図をしていないはずだ。迷ったとしても同じ道からからなんとことはないはずだ。

 

 

「あなた…叫んでるだけで全然気づいていませんでしたよね…」

 

 

 痛いところをつかれる。だってしょうがないじゃないか。君を追いかけなかったら僕は司法に殺されてたんだ。軽くて死刑だ。現代社会に置いてセクハラで捕まるなど実質的な死刑だ。

 

 

「でいつ気づいたんだい?この異常現象に」

 

 

 話を切り替える様に、これ以上は触れられたくない告白の件から、気を逸らす様に、彼女に問いかける。

 

 

「私は…トレーナーさんと、オトモダチとはぐれたと思ったら、明らかに今までと同じ建物が、いくつも並んでいました…その時にスマホを見たら圏外を指していたので……」

 

 それに、とカフェさんが付け加える。あまり嬉しくなのないニュースなのだろう。暗い目で僕から目を逸らして言う。

 

「ここの建物…と言うかこの道路全て……良く無い雰囲気と…こちら側の世界にいてはいけないものがウロウロしています…」

 

…この設定を忘れていたな

 多分おそらくこの怪異に会う事を考えると、転移した時に彼女に会ったのは最も幸いだろう。

 

 ウマ娘はレースで順位を競う作品だ。

 

 決して富豪の村に呼ばれそうになったり、名前の長ったらしい吸血鬼と共に怪異を倒したり、駅で歩いていたバニーガールの先輩と共に、問題を解決する怪異譚では無い。

 

 だがしかし、彼女は______マンハッタンカフェは見えないオトモダチと共に走ると言う、唯一無二の個性を持っている。これは不幸中の幸いであろう。

 

 

 

「____なら、僕が来る前から薄々気づいていたということか。それに、僕は巻き込まれたと…」

 

 そうか__と僕は呟き、ため息混じりに言う。厄介なことになったな、ただでさえ異世界に来て困惑を極めているのに、そこに怪異まだやってくるとは、泣きっ面に蜂である。

 

 

「……やれやれ、そんな事なら早く異変を調べれば良かったじゃないか。この僕が解決してやったのに。」

 

 

「それは……すみません。ですがもし貴方があんな告白を、吐かなかったらもう少し早く現状把握できてたのではないですか」

 

 

 凄く痛いところをつかれる。耳が痛い。痛すぎてちぎれそうだ。千切りになりそうだ。おいしく提供されそうだ。

 

 

「うぐぅ……そ、それは水たまりより浅く砂山より低いわけがあって……」

 

 

「そんなに深い事情じゃ…なさそうですね…」

 

 

 そうである。異世界転移云々じゃなく、夢の世界でもちゃんと現実かどうか確認をとって行動をしよう。そう深く誓った日である。そんな誓い、意味があるのか知らないが。

 

 

 こんなバカみたいな誓い今まで2、3回しかしたことないのに。これは人生における汚点だ。

 

 

「2、3回は…あるんですか…」

 

 

「心の中を読まないでくれない?」

 

 

 なんて冗談を言っている事態でも、なさそうなのが恐ろしい。

これそのものが、冗談のようで、嘘のようで、作り話のような、本当の出来事なのだから。

 

 

 

__________________________

 

 

 

 カフェさんと2人で探索しているとある程度ルールが見えてきた。

 

 

 

・道路の側にある建物や家には人っこ一人いないこと

 

(カフェさん曰く幽霊や化け物は多数いるが、話に応じない不気味な存在と)

 

・道路の側にある家には水道も電気も通っておらずここで熱中症になった暁にはそのまま死ぬ事。

 

・違う道を通っているのに必ず同じ道に帰ってくる事

 

 

・どれだけ曲がろうと真っ直ぐ行こうと必ずと言っていいほど同じ道に帰ってくること

 

 

 

 

「ダメですね…万策尽きました……」

 

 

「あぁ…そうだよなぁ……あと1番の問題……の""コレ""気味が悪いってか正直目にもしたくないってか、そのまま見なかったことにしたいぜ…」

 

 

 僕が指を指したそこには

 

 

 

 

『一人、死ヌト戻レル』

 

 

 

 

 と書いた看板があった。

 

 あってしまった。

 

 僕達が2週目、自転車を投げ捨てたところに行くと。

これが、何事もなかったかのように、いつも通り風景のように、あったのである。

 

 馬鹿馬鹿しいとも言ってられなくなってきた。こんな異常事態人生で一度も経験した事がない。

 

 僕は少し弱音を吐きたくなった。しかし、僕は一人ではない。たまたま僕と一緒に、運悪くこの異常と会ってしまった___マンハッタンカフェが、いる。

 彼女を死なせるなんて、死んだ方がマシだ。

 そう思い、僕らはまた出口を探す決意を持った。

 

 

 

 

________________________________

 

 

 

 

 

 

 出口はどこにも、なかった。

 怪異の裏を突いた脱出方法などを考えるも、これっぽっちも、全くもって思いつかない。

 

 

 僕はジャンプ主人公ではない。

 

 僕はラノベ主人公でもない。

 

 僕はそもそも主人公ですらない。

 

 

 

 焦りや不安が

 

 積もる。積もる。積もる。積もる。積もる。

 

 

 どうすれば良いのかわからない。

 こんな経験をするならばもっと怪異譚などを読んでおけばよかったと、普段本などおすすめされた物しか読まない、ホラー嫌いの僕にあるはずもないifを、思い描いていた。

 そして、何よりも問題なのが、熱中症だ。

 僕がたまたまコンビニで買っていた、スポーツドリンクを、2人でチビチビ分けているが、正直言って頭痛がガンガンしている。

 そうなってくるとどちらかが熱中症で倒れるのは時間の問題だ。

 そこも含めて、この怪異なのかもしれない。

制限時間をかけて、互いを焦らせる。そしてどちらかの、一方の、堪忍袋の尾が切れたら、そこでゲームセット、どちらか"を"殺さないと。

 

 

 どちら"も"死ぬ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「困り…ましたね…」

 

 

「あぁ困った……」

 

 

 真剣な表情で二人呟く。どちらも命の危機が瀕してる状態だ。それは僕も、珍しく、真剣にはなる。そう真剣に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カフェさんの間接キスを奪って明日の安眠が保たれるだろうか……」

 

 

 真面目な顔で、遠くを見つめながら僕は真剣に呟く、彼女にも多数のファンがいるはずだ。そんな彼女と間接キスをして果たして、一体全体、僕は生きて帰れるのだろうか。ファンに殺されるのではないだろうか。

 

「体力の…無駄なので…ツッコミませんよ……?」

 

 

 

 

 失礼な。僕がいつボケたっていうんだ。

 僕が告白した相手の飲みかけを、こんなにも自由にできるのなんて、今ぐらいしかない。

 人生でこんなにも幸運だった事なんてない。好きな人の飲みかけを飲めるだなんて、小学生の頃ですらそんな経験はない。

 

 

 

「はぁ………正直あの頃と違って…貴方はタキオンさんと同じ匂いがします…」

 

 

「そんないい匂いなの?僕」

 

 ウマ娘と同じ匂いがするなど幸運だ。最高だ。公序良俗を剥いで脱いで踊りたい気分になる。

 

 

「そういう意味で言ったのではないのですが…それに…彼女3日お風呂に入らないとか、ざらですよ…?」

 

「失礼な、僕は毎日風呂には入っている。なんなら朝シャワーだって浴びる。」

 

 

「葉月さんの朝シャワー事情は…どうでもいいです…」

 

 

 

 彼女から養豚場の豚を見る様な、軽蔑の視線で見られている。

そんなおかしなことは言っていないはずなのに、どうしてだろうか。

 コレがツンデレって奴だろうか。そろそろデレが来ても良いんじゃないか。

 ________しかし、あの頃ってどの頃なんだ。というかさっきから旧知の中の様に話してないか?やはり誰かと間違いを

 

 

「と言うか、いつも忘れそうになりますが、その見た目で男の方なんですね…セクハラ発言と、少し低めの声がないと忘れそうになります…」

 

「何?気になった?もしかしてレズ・ビアンだった?今から女声練習して良い?」

 

 

「………馬鹿」

 

 なんて、この場の雰囲気にはお門違いな、間抜けな談笑をしながら歩いていると

 

 現実が、一歩一歩、最悪の悪夢に近づいていた。




当初の予定からだいぶ外れているので、

もしかしたら、矛盾が生じてるかもしれません。

読んでる方がいらっしゃったのなら矛盾があると指摘してくれたら助かります。
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