マンハッタンカフェと。恋と。僕と。怪異と。   作:ハガさん

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前の話で主人公達を水抜きで炎天下を歩かせたのに

私は熱中症対策に5本も飲みました。





ハガさんから挿絵をいただきたきました。

挿絵は想像の保管をしたい方はご覧ください。



2024/9/10 今後の展開における致命的な矛盾を見つけたので修正。
危ない。


ダンツフレームと。僕と。恋と。
紛失。それと再始動


 

 

 

 

 

 怪異____ 道理では説明がつかないほど不思議で異様なこと。人生で、この意味の<名詞>としての不可解でそれでいて不条理を押し付けてくる、西洋で言うところの悪魔、東洋でいうところの妖怪などの類いに属する『怪異』に会う事や遭遇することは、今までの人生で一切ない人が大半なのではないだろうか、実際僕もこの世界に来るまでは全くこれと言って出会ったことがなかった。

 

 それであるならば、この現実世界の運命そのものが言葉では説明がつかないほど異質で、不気味で異様なのではないだろうか。悪魔や妖怪、幽霊や神様などは関与してこない。関与してこないが、怪異と同じぐらい、いや、それ以上に残酷な運命や過程を押し付けてくるものはそこにある。社会というものは不条理に、そして不合理的に周り続ける。

 

 優しき者が不運に恵まれ不幸を手にする事もあれば、浅ましき者が幸運に恵まれ幸せを得る事もある。

 現実などそんな物だと思うかもしれない。不条理や不公平など当たり前だと、皆は思うかもしれない。

 それでも僕はそんなこの社会自体が、怪異に操られていて、最初から運命が決まっていると思っていてならない。努力などは幻想にすぎず、幸運や才能などに縛られているにすぎないとそう僕は哀れな、道化ながらにひしひしと、思う。

 

 

 だがしかし、それを持ってしても、それを踏まえた上で、運命に抗う様を見せる様を見せるウマ娘達を僕は敬意を、尊敬を、尊重をする。

 

 

 だからこそ、僕は彼女らのためなら、彼女らを助けられるなら。

 

 僕の命など安いものである。

 

 

 

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 あの事件があった後。

 

 すぐ様警察が駆けつけ身元不明だったカフェとその隣にいた謎の人物____________僕が長ったらしい明らかに不審者丸出しの常人には理解不能な男性三つ編み野郎が警察のお世話になる。

 

 そりゃそうか、行方不明者の隣にこの世界に関するものを何も持っていない。デタラメな住所と存在しない学生証に、おまけにありもしないはずの携帯機種を持っているのだ。僕が警察であるなら疑わないはずがない。と言うか、そんな変な奴がいたら言葉通りつま先から踵まで徹底的に一切合切を調べ上げるに違いない。

 

 僕は冷や汗ダラダラでこの世界で自分の身分証が手に入れられるのかと胃がキリキリしている中。警官と付き添い人であるナベさんカフェのトレーナーが緊張した空気を出してる。今にも僕はこの張り詰めた飛び出したくなった。

 そんな心の中が心底休まってない状態で、死を待つ罪人のような気分になっている。これは僕にとって人生最大のピンチかもしれない。いやというか人生最大のピンチが更新されすぎだ。怪異とか言う荒唐無稽なものを相手にした社会的に惨憺な目に合わされるに間違いがない、交番での事情聴取だ。

 ヤバいぜこれは、でも正直に『異世界からきました〜』なんて言ったらその限りなんて顔をされ、怒鳴られるか、呆れられた顔をされるかわからない。カフェと違って相手は警察だ。一挙手一投足が、どんな大変で取り返しがつかない事につながるかもわかったもんじゃない。

 

 僕の顔を見た警察官がハッとした顔で、何かを思い出し書類を漁り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

___________________________なんとその警察官によると僕は""数年前にある家族から身元不明になった児童""らしい。

 

    ・・・・・・・・・・・・・

…………確かに僕は孤児院生まれだが、この世界で生まれて、なおかつ数年前に消えてるなんておい、待ってくれ。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

僕の記憶がない子供時代と被るじゃないか。

 

 

 

 もしかして僕はこの世界の住人だった……?

 

 

 あっちの世界こそ僕にとっての異世界だった……?

 

 

 こちらの世界で何か調べると、僕の子供時代の記憶がわかる……?

 

 

 

 

 

 なんて手に汗握る怒涛の伏線回収に事情聴取に、同席していたカフェのトレーナーとカフェは困惑していた。

 

 

 だがしかし待ってくれ

 一番驚いているのは僕である。

 

 

 こんな重い設定、飄々と生きている僕にはもったいないというか荷が重すぎる。誰がこんな浅ましく、そしてヘラヘラとしている僕にそんな重くシリアスな背景を求めるか。

 

 

 

 もしこの世界に作者がいるとするならば、その輩は需要と供給がわかっていなさすぎる。

 

 しかし、こんな『衝撃の事実!!僕が元はこの世界の住人だった〜』みたいな事がわかったとて、僕はなんで顔をして、その家族に会えばいいんだ?記憶もないし、実感もない。

 

 数年前にいなくなったはず家族が、いきなり元気な状態で警察の元に戻ってきたのである。

 

 

 ドキュメンタリー番組さながらの衝撃展開の連続で僕もみんなも唖然としていた。やっと本物の家族に会える。孤児院でなく、家族と食べることができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、僕は家族と会う事を拒絶した。拒絶してしまった。

 合わせる顔がない。なんて顔をして今更僕が会えばいいんだ?なんて顔をして記憶がない家族と過ごせばいいんだ?

 

 そんな子供のわがままみたいな、普通だったら考えられない拒絶を

 

 

 サングラスをかけたおじいちゃん。

 

 

 

 

___________田辺さんが『そやつはウチで預かろう』と言ってくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 色々あって現在。

 

 本当に色々あり書類がめんどくさかった引き合いと、家庭裁判所云々はここでは割愛するが、僕は田辺さんの孤児兼、マンハッタンカフェと、ダンツフレームの、サブトレーナーとして働くこととなった。

 

 

 

 

 働き口が見つかるまでここで面倒を見てやる田辺さん____ナベさんに言われたが、なかなかどうして、僕も無職としてただのうのうと生きるのは気が引けていた。

 

 そんなところに、カフェのトレーナーが

 

『私のところでトレーナーの勉強をしながら資格をとりませんか?』と一言。

 

 

 僕はそんな美味しい話に飛びかからないはずもなく、僕はカフェとダンツのサブトレーナー(仮)として安定した職を手に入れる事ができた。

 

 

 因みに面接で理事長やだづなさんというゲームでお馴染みのメンツに会ったが『感動!我が校の生徒を救ってくれた者か!歓迎ッ!ようこそトレセン学園へ!』と1発OKを貰えた。

 

 

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「____________どうしてこうなったんだと思う?ジャングルバケットナイフ」

 

 

「知るかよ……ってか何度も言うが、俺の名前はジャングルポケットだっつの!!バケットまではわかるけどナイフまで付いたらもう故意に間違えてるだろ!!」

 

 

 綺麗なツッコミだな。こいつの前ではやっぱりボケがいがある。

 

 

 現在僕はナベさんの家で、僕はポッケと共にいた。

 

 今はトレーニングも終わり夕暮れ時前に差し掛かったぐらいの時間だ。

トレセン学園に一度戻ったカフェ達とは違いポッケは追加の自主トレを、僕は試験問題を解いている。

 

 なぜ試験問題を解いているのか、の至極真っ当な疑問を持つ人もいるのかもしれない。

 

 

 

 

 

 それはというと正直に言い、荷が重いサブトレーナーという重要な地位に楽して、ついてしまったことに、だいぶ後悔がある。

 

 

 そんなことを思っているとカフェのトレーナーから『中央の資格を取れば、自信もつきますし、色々とできることも増えますよ』とおすすめされたため、現在勉強をナベさんや、カフェのトレーナーさん______静子さんに見てもらっている。

 

 

 確かに、央の資格を取ればサブトレーナーとしてできる仕事に、天と地程の差がある。

 

 今サブトレーナーとしてやれる事は、水をウマ娘の為に運んだり、応急処置をしたり、食事を作ったり、買い物にでたりと、ほぼバイトのような事をしているが、中央の資格を取るとこれまた大きく仕事が変わってくる。

 

 トレーナーになると各選手の栄養管理、座学やウイニングライブでの歌やダンスなどの指導、各選手のコンディションの管理など、多種多様で様々な事ができる。

 

 給料の量も段違いだとされる。

 

 しかし、その分狭き道であることは確かで、一説によると『T大と比較される難易度』『合格者が出ない年もいる』など、あまりにも高い壁を取ることを勧められてるのが現状である。

 

 

 トレーナー学校に通っていない僕からすると頭が痛い話ではあるが、最前線で学んでいる人から勉強を教えてもらえる数少ない時間であるため、この機会を利用し2人に甘え、空いた時間に座学を教わっている。

 

 

 そんな昼はサブトレーナー、夜は受験生なんて生活をここ数週間してしまっている。

 

 

 その為ちゃぶ台には山ほどの参考書と、びっしりと文字が詰まったノートの為弱音を、トレーニング中のジャングルポケットに吐いていたのだ。

 

「なーきついぜ勉強きついぜーーポッケーーなぐさめろーーー」

 

 

「いや、俺はお前が資格に落ちても、マジでどうでもいいけどな……」

 

 冷たい。

 ポッケが非常に冷たい。

 僕はとても悲しいよ。

 

 

 

「おい。血も涙もないことを言うなよ、ポッケ、僕たちは二人で""プロレスごっこ""をやった仲じゃないか」

 

 

 ブッ!!!と吹き出すポッケ。

 トレーニングをやめてドリンクを飲んでいたところであった為少し周りが汚れる。

 

 なんだなんだ。何があったんだ。

 

 

「………テメェ!!言い方っのに問題あんだろ!いや俺がプロレス技かけたのは……事実かもしんねぇが、その言い方だと誤解招くじゃねぇか!」

 

 

「何やましいこと考えてんだ。僕らがプロレスごっこをしたのは事実じゃないか、あんな激しく。あんな大胆に。見せつけるように。」

 

 

「だからテメェ………言い方を……そんなんじゃ恥ずかしいじゃねぇか!!」

 

 

 ポッケが恥じらうような姿勢をとり顔を赤らめ威勢よく僕に向かって声を上げる。

 おいおい。そんなに恥ずかしがるなよ。可愛いな。そんな表情をされる僕だってもっと揶揄いたいたくなるじゃないか。

 

 

「いやー。いきなり会った時にあんなことされるだなんて大胆だけど、そのテクニックに音をあげてしまったな。」

 

 

 

 

 

「…テメェぇぇ好き勝手いいやが……って……お前ちょっと待て…後ろ」

 

 

 

「なんだいポッケ。まさか僕の言葉でまさか恥ずかしくなって、声も出ないとかなのかい?いやはや、声を隠すシチュってのもそれはそれでありだけどね。」

 

 

「……………おめぇ後ろ見た方がいいぞ」

 

 

 そう、彼女は初めあちらから手を出したのである。だから、今の彼女は僕に負い目を感じ、僕に手を出してこない。

 

 そう、セクハラし放題なのである。僕に取ってはそれは極上の贅沢品。正直に言うと焼肉より嬉しい。

 

 そう、僕はどんな極上の料理より、女子に好き放題セクハラできる権利の方が嬉しいのである。

 

 そう、これは本能的に。

 

 そう、これは本能。

 

 

 しかし、なぜだろう。

 さっきからポッケの反応が悪い。いつもなら最終的に恥ずかしさが勝って僕に手を出してくると言うのに。黙って僕の後ろの方の指を刺し、顔を青くしているだけだ。

 

 

 お腹でも痛いのだろうか。もしくは______

 

 

「もしかしてポッケ生理__「葉月さん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後ろを向くとそこには、ニッコニコの笑顔でこちらを向いている。いや 笑顔の奥に鬼の表情が、般若が見える。僕の彼女。こんな身元不明住所なしの無職だった僕に惚れた____________マンハッタンカフェが、いた。

 

【挿絵表示】

 

 

 僕は血の気がサーッと引いて、顔を青くする。身体中の血管という血管が興奮状態から急激に冷えているのがよくわかる。

 それはもう、まるで熱々に熱された鉄が、水に浸かって急激に冷えるかのような。

 

 

 

「えーっと……どこから聞いてました??」

 

 

「いや全然聞いてませんでしたよ……?

 

「私が、勉強が忙しいだろうと、差し入れにおにぎりを持っていこうとしていたところで、ポッケさんに『プロレスごっこ』なんて話をしていたなんて全然……」

 

 

 あ、これ全部聴いてたな。

 やばい。全身全霊で脳みそをフル回転させありとあらゆる言い訳を考えているが、何も、これっぽっちも、一ミリ単位ですら、思いつかない

 ポッケに向かって男としてドン引きの、いや女性がやっていたとて到底許されないレベルの、セクハラをしてたのは、変えられようのない事実だから。

 

 

 と言うかオトモダチさん。カフェの後ろで禍々しいこの世の終わりのような、オーラを出すのはやめていただけないでしょうか。

 すごく嫌な予感が、止まらない。と言うか、生命の危機である為、止められない。

 

 

「あの言い訳を……」

 

 

 僕は、彼女に向かって最後の弁明を望む。

 許してくれるのは、天文学的数字であるのは確かだが、僕は、僕自身の弁護をしたい。

 

 このままだと最終的には彼女から____________いや、その後ろにいる殺気が隠しきれていない、オトモダチ様に想像もつかないような罰を受けるに違いないからだ。

 

 なんとしても、プライドを全て捨てようとも、どんなにみっともなく足掻こうとも、それだけは避けたい。

 

 命の保証がないから。

 

 なんてこれ以上ないほど惨めな僕に向かい、僕の可愛い彼女、天真爛漫で、無邪気で、あどけなく見える笑顔を向け審判を下す。

 

 

 

「うん…やっちゃっていいよ」

 

 

 

 

 

 

 

 GOサインがでた。

 

 実質的な処刑宣告である。

 

 

 瞬間___オトモダチから言葉にも言い表せないような、痛みという痛みを濃縮したかのような、ギャグ描写でなければそのまま死んでしまうような、オシオキをされた。

 

 

 それはもう、怪異が殺せるレベルの。

 

 

 

 

 

 

 

 

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「失礼しまーす……ってなんですかアレ……」

 

 ダンツフレームが部屋に入ると、オトモダチに見るも無惨な姿にされた僕が、トレーニング器具の横で倒れていた。

 

 

「ほっといていいですよ…自業自得です。」

 

 カフェは、いや、カフェ様は、僕に慈悲の心など一ミリもない冷淡な口調で言う。

 彼氏がセクハラを友人にしていたのだ。妥当と言えば、妥当すぎる反応である。

 

 

 

 

 いやしかし、本当にオシオキが酷かった。もう誰彼構わずセクハラなんてしないと笑いの神に誓った1日である。

 

 

「まともな神に誓ってないですね……教育が足りてませんでしたかね…」

 

 ブルッッ!!と瞬間的に危機を覚えた体が、汗で冷却される。そうであった、この人定期的に僕の思考を読んで来るんだ。

 

 まるで鬼滅の刃における鬼舞辻無惨のように。

 と、なると下手なことを想像するだけで、オシオキがもう一度やってくると想像するだけで、震えが止まらない。

 

 

 カフェ……これは僕が9割9分悪いが、やりすぎではないか?と思いちらりとその表情を伺うと、ナベさん家に置いている自分用のコーヒーをおいしそうに飲んでいた。

 

 ホッコリとして、笑顔を浮かべる彼女のその表情が、どこか憎めずに、僕は彼女の顔が緩むのを地べたに這いながら眺めていた。

 そんな不自然に彼女の顔を見てニヤニヤしている僕に向かってポッケが言う。

 

 

「何にやついてんだ気持ち悪りぃ」

 

 

「いや……僕の彼女可愛いなって」

 

 

 

 

 僕はにやついてる表情を戻し、真顔でポッケに答える。

 

 

 うん、本当に当たり前のことだ、1+1=2である、重量は下に働いている、右にあるのが右手、左にあるのが左手である。しかし、この世には当たり前のことを、再認識するのも、また一つの一興と僕は思う。

 

 

「貴方も黙っていれば…とてもかっこいいですよ…」

 

 

 予想外の回答が彼女から返ってきた。顔が赤くなり、非常にむず痒い気分になってしまう。なんなら今日はポッケにセクハラして、拗ねてしまっている為、デレないと思っていたからだ。

 そんな僕らポッケがどこか虫が悪いような表情を浮かべ、恥ずかしさで赤面をしながら下を向きそっぽを見て、こちらに呟く。

 

「イチャつくなら外でしろよ……マジで」

 

「あはは……」

 

 ダンツはそれに苦笑を浮かべ、同意するしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_____________閑話休題_______________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ……あれ……?やっぱりここにもない……」

 

 

 ダンツフレーム____僕のサブトレーナーとしてのもう一人の担当である彼女がナベさんの家で何か探しているのを見た。それはもう、何か大事な物を探しているようだった。

 

 

 ナベさんの家は静子さんと仲が良い為、ほぼ2人のトレーナーに世話になっているウマ娘達の共通のトレーニングルームと化している。

 

 それに加え、今さっきカフェが部屋にコーヒーを入れる簡単な機材やコーヒーそのものを置いていたように、適当な私物も置かれている。

 

 その為彼女らが、何かここに物を置いて無くしていると言うのも、無くはない。と言うかポッケが、定期的に私物がなくなってキレているのを僕は確認している。

 

 

 

 

 しかし、ダンツフレーム彼女が物を無くしたとなると話は変わってくる。彼女は見ての通りの、マメな性格だ。物を散らかさず、整理整頓などはきちっとするタイプの人間だ。

 

 

 僕が数週間の間だが、彼女とカフェのサポートをしてしてよくわかった。

 

 

 そんな彼女が物をなくすなんて珍しい。弘法筆を誤るとはこういうことか。僕は彼女にサブトレーナーとして未熟なところをカバーされてる現在進行形でお世辞になっている人だ。本当は僕の方がお世話しないといけないのに、優しい彼女は率先して僕の手伝いをしてくれている。

 そんな彼女に恩を返す時が来たと僕も一緒に物を探す決意を決めた。

 

 

「一体何を無くしたんだ?一緒に探してやるよ」 

 

 

「……!!ありがとうございます!いつもつけてる髪飾りを無くしちゃって、昼間お世話になったタナベさんの部屋にあるかなーと思って来たんですがないみたいで……あはは」

 

 

 なるほど。言われてみれば彼女のいつもつけてるはずひらひらとしたチェック柄の髪飾りがない。

 確かに僕らは一度ナベさん家付近の河川敷で模擬レースを昼間にした。

トレセン学園は陸上競技に専念したレース競技場を用意できるとは言え、対応しきれていない馬場もある。

 そんな馬場の不利をできるだけなくそうと、ナベさんと静子さんの世話になっているウマ娘達が共同で、模擬レースをしたのである。

 

 

 

 

 

 

……なんか一人どちらの世話になってないくせに、データだけはかりに来た輩がいたが。

 それを加味すると、確かにここにあると考えるのも妥当なラインだとは思う。なら、ここでこの僕が手伝って新たな風を吹かすというのもいい物ではないだろうか。

 

 

「私達も手伝います…」

 

 

「俺達も手伝うぜダンツ」

 

 と、カフェとダンツの2人が言う。

 予想外の援軍の登場だ。

 これは非常に頼もしい。

 

 

 

 

「よし、じゃあ手分けして探すか。」

 

 

 

「ハンターハンターで278期受験生がナンバーカードを探す時のように散らばってくれ。」

 

 

 

 

 

 

「……????ポッケちゃん何言ってるかわかる??」

 

「俺に聞かれてもわかんねーもんはわかんねーよ……」

 

 

 困惑する者が多く出た。

 舐めてもらっちゃ困るが、ハンターハンターは男の教科書だろ?………あれ?ここにいる男僕一人じゃないか。もしかして僕は、誰にも伝わらないネタを放った哀れなオタクと化したのではないか。

 おい、まずいぞこれは。

 そうするとカフェが__________

 

 

 

 

 

 

「ハンターハンターの四次試験の内容を覚えてる人なんていないでしょう……第一次か第二次なら印象に残りやすいですが……」

 

 

 カフェには伝わったらしい。

 流石僕の彼女と思うと同時に、なんでここまで把握しているんだ?と疑問にも思う。なんてことを言っていながら僕らは、各自別れて髪飾りを探す。

 

 

 

 

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「ない…ですね」

 

「ないなー……」

 

 

 カフェとポッケ二人が弱音をあげる。

 当たり前だ、もう40分以上も探している。

 なんなら、ポッケが無くした私物の方が多く出てきている。

 

 

 見つからない。どこにも。

 

 

「絶対にないであろう半分が僕の部屋と化した屋根裏部屋も探してみたがなかったな……」

 

 

 詰みである。

 髪飾りはある程度の大きさをしている為、消しゴムやヘアピンをなくしたということではない、目視で割と見つかるはずである。

 

 だが、見当たらない。

 

 

 

「あはは……うーん〜〜もう諦めようかな!新しいの買えばいいし!ポッケちゃんも、カフェちゃんも、葉月さんも、ありがとうございます!」

 

 

 彼女がみんなを元気づけるように声を出す。

 どこにも見つからず、途方に暮れていた為、ありがたいと言えばありがたい。

 

 

「おう!!もし新しいやつ買う時あったら呼んでくれよな!!ダンツに似合う最強の奴をぜってぇ選んでやるからよ!!」

 

「気にしないでください……私も普段のトレーニングで気を遣っていただいているので恩返しだと思って気を煩わずに…」

 

 

 2人がダンツに向け励ましの言葉を送る。

 2人は優しく彼女を肯定する。

 

 こんな事を40分以上付き合わせて、文句ひとつ言わず、こんな事を言ってもらえるとは彼女はいい友人に恵まれているなとしみじみ思う。

 そして彼女は持ってきていたバックを持ち、靴を履き、踵を整え2人に向かって言う。

 

 

「なら、私は帰ろうかな。もうすることもないし……ポッケちゃん、カフェちゃん一緒に帰る?」

 

「私はもう少し滞在します……気にせずに」

 

「悪りぃダンツもうちっとだけ体動かしてぇんだ。ナベさんには叱られっかもしんねぇけど、レースもちけぇし」

 

 

「そっか…じゃあ!また明日学校で!」

 

 

 彼女は元気よく2人に向けて言う。

 彼女は2人が一緒に帰らないからと言って、仲間はずれにされたと思うほど、彼女達の絆は浅くないと僕は思う。

 

 ただ彼女達は信念に向かって生きている。

 それはウマ娘としての本能なのかもしれないし、彼女達なりの理念なのかもしれない。

 

「おう!」

 

「はい……!」

 

 

 

 2人が彼女に向かってその元気に返事ができるように明るく返す。

 カフェや僕と友人と絡む時だけ、肩の荷が降りたような、優しい顔をするのがとても好きだ。

 

 

「……気をつけろよダンツ」

 

 

「はい!葉月さんもまた明日!!」

 

 

 

 そう言って彼女は、正面を向き玄関の戸を開け、部屋から去っていった。

 

 

 

 

 

……僕は最後まで彼女が諦める体制を取ってから、ずっと張り付いたような、から元気が喉の中につっかえて取れない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼女の髪飾りは、そもそも買い直すことで解決するような品物なのか。

 

 だとするとなぜ40分以上もかけたのか。

 

 なぜわざわざここまできて探しにきたのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何か、それが""変えの効かない大切な唯一無二もの"""であったのではないか

 

 

 

 

 

 

 

 そう思ってやまない。

 そう考えてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 なので、欲望にとことん突き進む、直進的で衝動的な僕は

 

 

 

 

 

 

 

「悪い用事ができた。ちょっとナベさんには帰るの遅れるって言っといてくれ」

 

 

 

 

 

「えっなんで________________________」

 

 

 

 止めようとするカフェをよそ見に、すぐさま靴を履き、昼間模擬レースをした場所に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 あの髪飾りは私に取ってどんな金銀財宝より価値のある物だった。

 私が小学校に入学する時、おばあちゃんが記念にと買ってくれた髪飾りだからだ。

 あんなチェックの布切れ一枚になんの価値がと思うかもしれないが、今までずっと甘えてきたおばあちゃんが、私の為に記念品として買ってくれた。それだけで何かとても金銀財宝には勝てない綺麗でキラキラしたものが宿っている。

 

 

 そう、私には感じられた。

 

 

 

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タナベさんの家から、河川敷の周りを通って寮に向かっていた。

 

 

 

 もうそろそろ着くとは言え、辺りはすっかり暗くなり、寮の門限が刻一刻と近づいてくる。

 あの二人はおそらく外出届を提出しているから大丈夫だと思うが、私は急な用事である為、そんな物を出しているはずがなかった。

 しかし、だからといって、走るような気分にもなれなかった。

 

 

 

 

 

(あーあ……子供の頃からあんなに大事にしてたのにこんなところで無くしちゃうなんてな……)

 

 

 

 

 

 私は一人子供の頃のことを思いだす。

 おばあちゃんがなかなかいい値段のするチェックの髪飾りを前に、駄々を捏ねていると

 

 

 

 

 

『ダンツちゃんはそろそろ入学式だから特別にね』

 

 

 

 と買ってくれたあの髪飾り。

 

 

 

 

 丈夫でへこたれず、小中高と一貫して

 

 

 

 小学校入学から卒業、トレセン学園の試験の時、大切なレースの最中ですらつけていた、あの髪飾り。

 

 

 

 おばあちゃんが亡くなる前も、大切にしてくれてありがとうねぇと入院中に言ってくれたあの髪飾り。

 

 

 

 

 

 

 

 おばあちゃんが亡くなった後も私とおばあちゃんを繋いでくれたあの髪飾り。

 

 

 

「あーあ……もう無くしちゃったのか…」

 

 

 

 

 そんなことは子供にだってわかる真実ではある。しかしながらダンツには、まるで双子のように肌身離さず一緒に成長してきたそれを無くしたことを悲しまないことなんて、できなかった。できるはずがなかった。

 

 

 

 

 少し気を緩むと泣き出しそうになる。

 おばあちゃんが私にくれた数少ない物、私と亡くなったおばあちゃんを繋ぐ唯一の物。

 

 

 

 

 そう考えると気持ちがギュッと閉まって、喉がつっかえ、どうしようもない気持ちになってしまう。

 

 

 

 

 まるでポッケちゃんに負けたあのレースのようなただ無力感に苛まれて対処の出来ない苦い思いが込み上げてくる。

 

 

 

 

 

「あれ……涙が出てきた……あはは……おかしいな……」

 

 

 

 

 取り繕ってる薄皮が剥げてしまった。

 

 

 

 今まで蓋をしていた気持ちに、諦めていた気持ちが噴火するかのように私の目から涙が溢れる。

 

 

 

 

「ぁぁぁぁぁぁああ……………」

 

 

 自分の弱さ自分の惨めさが、変えようのない現実として襲ってくる。

 

 

 

 今から戻るのなら絶対に無くさないように大切に保管しとけばよかったと、今思っても仕方のない後悔が湧き上がる。

 

 

 

 

 私はその場でうずくまり、まるで駄々をこねる子どものように泣いて泣いて、泣きまくった。

 

 

 

 

 いくら泣いたところで、無くしたものは元には戻らない。

 

 

 

 いくら現実を嘆いたところで、それは元には戻らない。

 

 

 

 いくらそれが大切なものでも無くしてしまっては、もう戻らない。

 

 

 

 

 そんな心が張り裂けそうなほど痛く苦しい気持ちを味わっている。

 

 

 

 

 そんな大の高校生が見てられないような醜態を晒していると___________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「________あなたが無くしたのは、金のボンゴレリングですか?それとも銀の斬魄刀ですか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それとも________________________大事にされている綺麗な髪飾りですか…?」

 

 

 

 

 

 

 

 全身びしょ濡れでそこに佇んでいた。

 

 

 

 

 そう、私だけの""ちょっとふざけたヒーロー""が、やってきた。

 

 

 

 

 

 

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「…………何か突っ込んでくれよ」

 

 

 髪飾りを見つけた為届けようと思って寮に向かっている最中に、なんか泣いている彼女をみつけた為、宥めようとふざけたが、彼女はずっと驚いた表情でこちらを見ている。

 

 

 あ、そう言えばダンツ少年漫画のネタ伝わらなかったか……くそ、俺が少女漫画を読んでいたら………少女漫画はずいぶん昔に見たフルーツバスケットしかわからない。

 

 

 まだまだ漫画に対する修行が足りない。

 

 

「………!そうか滝行をしながら漫画を読めば修行になる……!!」

 

 

「いやいや!!なんの話なんですか!なんで私の髪飾り持ってるんですか!っていうかなんでそんなにびしょ濡れなんですか!!」

 

 

 多い多い。新八かっての。

 銀魂でも多すぎるツッコミはngだって言われてたでしょうに、まだまだツッコミの技術が足りないな。ポッケを見習えポッケを。

 

 確かに僕はびしょ濡れだ。これ以上ないくらいに、ゲリラ豪雨にでもおそわれた後のように。

 

 

「うん……?あーそれか。昼並走したところを探しても、髪飾りが見つからなくて……」

 

 

 

 

 一息ついて僕は言う。

 別に溜めるようなことでもないが

 

 

「川に飛び込んだ」

 

 

「正気ですか!!?!?!?」

 

 

 ダンツが興奮気味になる。

 今さっき泣いてたと思ったら、涙を忘れたように僕に嵐のようなツッコミをする。いいね、気持ちの切り替えがエリートだ、これはいいレースが期待できそうだ。

 

 

「そのおかげでほら、見つかっただろう?髪飾り」

 

 

 僕は手元にある髪飾りを彼女に見せる。

 川の流れは下流で遅いとはいえ、後もう少しで海に流されてたと思うと、あのタイミングで僕が飛び出たのは正解だった。でないと彼女が泣くほど大切にしていたこの髪飾りが、文字通り海の藻屑と化すことになっていた。

 そうなるともう、戻らない。

 

 ダンツは怒ったような表情を見せた後、僕の顔を見て、何とも言えない困り顔をし、そしてボロボロと髪飾りを受け取って泣き出した。

 

「………なにも泣くことないだろう?せっかくの僕と同じぐらいの美人が台無しだ」

 

 

「べつにぃ……っ……泣いてません……ただ………っ目から……っ汗が……っ出てるだけです……」

 

 

 

 困った。

 2人ともボケてしまうと、日本のお笑いというものは成立しなくなるのだ。と言うか、僕は女の子に痛めつけられるのは大好きだが、女の子痛めつけるのは嫌いなねっからのマゾヒストなのだ。

 

 泣かれて楽しむ性壁は持っていない。

 ポッケのこと泣かそうとしていたと言うツッコミはナシで頼む。マジで。

 

 そんなことでオロオロとしていると。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい!!そこのポニーちゃん!もう寮の門限は……!!って………」

 

 

 フジキセキ_______フジさんがたまたま偶然駆けつける。

 と言うか、駆けつけてしまった。自分の状態側から見ると、泣いているダンツ、それを見てオロオロしている僕。

 

 これは側から見ると僕がダンツを、女性関係で、泣かせたみたいじゃないか。

 

 

 フジさんが無言で携帯を取り出し、どこかに繋いないで、電話を取る。

 

 

 

 

「もしもしカフェ?今葉月が………」

 

 

 

「やめろぉォォォォォぉぉぉぉぉぉぉぉぉォ!!!!!!!!!!誤解だぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 僕はなぜ日にニ回命の危機を経験しないといけないのだろうか。

 そう思いながら、フジさんを全力で止める。

 

 

 

 

 

 

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「なるほど……それでダンツは泣いてたんだ」

 

「はい……だから許してください本当にこの通りです」

 

 あの後、フジさんは電話をかけたフリをしていただけだったことが判明した。

 今は移動し、寮の共有スペースで、びしょ濡れの頭を拭いていた。

その理由が、僕がカフェを裏切るようなことをするはずがないという信頼から、一種の冗談だったようだ。

 

 本当に心臓に悪い。

 と言うか僕は今回悪いことは何もしてないはずだ。なんなら、普通に褒称えてもらっても問題ないはずだ。

 

「僕今日理不尽じゃないですか?フジさん……?」

 

「あはは……それはもう悪かったとしか」

 

 

 日頃の行いなのだろうか。

 日頃、暇な時にトレセン学園の幼いウマ娘の美を目に焼き付けるのが悪いとでも言うのだろうか。いや悪くない……はず……たぶん。

 

 

「いやでも良かったよ。ダンツの大事な髪飾りが見つかって」

 

 

 

 フジさんはそうダンツに語りかける。

 ダンツはパァっと笑顔を浮かべ、心底嬉しそうに言う。

 

「はい!すごく大事なものだったので……!!とても……!!とても嬉しいです!」

 

 

 その笑顔を見られて僕も川に身を放り投げた甲斐があった。

 いやはや、いつもと違って怪異がいない分平和に終わって良かった。

 と言うか、休日にカフェとデートに行くとほぼ100%怪異と言わずとも超常現象に出会うのがどうかしてる。

 

 自分の命が本当に危ない気がする。

 

 

 

「……クシュん!」

 

 

 体が寒すぎてくしゃみが出る。

 そう言えば自分がずぶ濡れでここまで走ってきたことを色々あって忘れていた。

 まだ夏の終盤であるからいいもの冬にしていたら本当に人生そのものが終わっていた可能性だってある。

 

「葉月!はいこれ、空き部屋の鍵。そこのシャワー自由に使っていいからね」

 

 

 

「ありがとうございますフジさん」

 

 僕は鍵を受け取り、空室へ向かいシャワーを浴びる為に、フジさんからついでに別のタオルを貰おうとする。

 さてようやく暖かいシャワーを浴びれる。

 冷たい川はもうこりごりだ。

 なんて至極真っ当なことを考えているとダンツから声をかけられた

 

 

「あ、あの……!」

 

「?どうしたよ」

 

 僕はフジさんから受け取る手を止めて、彼女の言葉を聞こうとする。彼女は緊張したように赤面をもじもじとしながら赤面をしている。と言うかそんなに急に改まられるとこちらの方が困る。

 そして彼女は精一杯の声を出し、僕に向かって涙を流しながら誠心誠意心を込めて言う。

 

「本当に……あ、ありがとうございます。私のためにここまでしてくれて…」

 

「気にするなよ。ダンツ。それに、ほら、僕は山ほど人を守りたいってBLEACHの一護の台詞に従っただけだからさ、そう泣くなよ。ほら僕みたいな美男子と、ダンツのような美少女は、笑顔の方が似合う。」

 

「そ、そうなんですか?」

 

 

 うーむ。

 シリアスに片足を突っ込んでいる人間は道化が効かなくて困る。ここで カフェがいてくれたら、もっと的確にスピーディな対応ができるのに。

 まぁそれはおいおいというか、僕のコミニケーション能力の問題だからなんとかするか。

 

 

 

「ま、人は一人で勝手に助かるだけってことさ」

 

 

 そう、手をひらひらさせながら僕は人生で大いに、というか、こういう自己語りをするようになった大半の原因の作品のセリフをいいながら、一人で空き部屋に向かったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 私はフジさんに質問をする。

 今一番聞きたい。どんなことよりも優先して聞きたい。本当は聞いちゃダメな質問を。

 

 

「あのカフェちゃんと葉月さんってあそこで告白しましたけど……本当に付き合ってるんですよね」

 

「うん……何を今更……」

 

 

 とフジさんがこちらを見て驚愕した表情でため息を吐く。あれ。顔に出てちゃってたか。

 でもしょうがない。

 

 あんなことされてこうならない方がおかしいと私は彼に八つ当たりをする。

 

 

 

 

 

「私が言えた話じゃないけど、全く、葉月も罪作りだね…」

 

 

 カリスマで一部のウマ娘たちを魅了する彼女から見ても彼は異常であるらしい。

 いや、同類であるからこそ、恐ろしさを知っているのか。孤高に立って手の届かない存在として周りを魅了するフジさん、みんなと同じ目線に立ち、やる時には誰よりもかっこよくなる彼。

 

 似ているようでやり方は全く別。

 

 いや無自覚な分彼の方がたちが悪いと言える。

 

 

 

 

「____________恋しちゃったんです。これからどう葉月さんやカフェちゃんに会えばいいか……」

 

 

 私はドキドキしておかしくなりそうな心臓と、ヤカンでも沸騰させそうな熱い体を押さえつけるのに必死だった。

 

 本当に、罪な人だ。

 

 私だけのヒーローであって欲しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「いやー極楽だったなぁ……」

 

 

 過去にウマ娘が住んでいたであろう寮に、僕が入り、湯船に浸かることができるだなんてこれはもう、女風呂に入ったのと同義ではないだろか。

 

 いやはや、情けは人の為ならずとはこういう事か。今日一日の嫌なことが全て吹っ飛んだ。

 

「女子の風呂に入れたんだ。全てを許そうではないか。」

 

 

 なんて誰もが感動するかっこいいセリフを吐きながら、自分の体をタオルで拭き、脱衣所から出るとそこは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どう見ても寮の部屋ではないあちこちに穴が空いた部屋がそこにはあった。入る時は普通であったにも関わらずだ、どう見ても事故物件である。

 

 

「なんだこれ」

 

 

 そんな廃墟の世界に一つだけまがまがしいオーラを放った薄汚れたウサギのぬいぐるみが、そこにはあった。

 

 可愛いが、こちらを見ているようなそんな気配がする。

 

 

 何も怪異がなかったはずの今回だが、本当に僕は常々怪異に愛されているな。と思い脱出方法を探す。

 

 

 

 

 

 








野郎一人の脱出劇はそのまま脱出できたということで書きません。

おばあちゃん云々は独自設定です、ダンツの育成エピソードで髪飾りの話が出てきたら詰みです。よろしくお願いします。






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