マンハッタンカフェと。恋と。僕と。怪異と。   作:ハガさん

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 評価がモチベです。

 設定に矛盾があるときは書き換えます。


家族。それと救い。

 

「葉月……?その顔…‥その三つ編み……葉月よね…?」

 

 

「アヤベ……姉さん……?」

 

 

 

 そこにはいた。僕が忘却していたこの世界の家族。今でも、この目の前の人物の詳細なことは全く思い出せない。

 

 ただその人物が、目の前のこの人が僕の姉であったことだけは確かに、間違えなどなく一寸の迷いも生まれずに確信がもって言える。心の奥にある無意識___もう一人の僕とも呼べる人物が、それを認めている。

 

 

 僕は押し倒す様な体勢から、いきなり彼女に起き上がられ、その後思いっきり体勢を崩して上半身だけを起こし倒れた。そして、腰の奥に腕を回され、彼女に思いっきり抱きつかれる。

 ダンツ達は急展開に困惑をしているのか、見開いた目で僕らの事を見ている。至って正常な反応だ。僕だって友人が生き別れの兄弟に会うなんて場面に遭遇する三文小説の様なありえない展開に遭遇したらそうなる。

 

 

 

「よかったぁぁぁ………よかったよぉ……………」

 

 

 彼女はどこまでいっても枯れなそうな、大量の涙を流した。

 それだけ僕がいた事が、ありえない事実なのだろう。それは一見クールそうに見える彼女からは想像ができないほどの涙だった。

 

 僕は何も言わない。

 彼女に会わない選択を取ったのは僕自身だから。僕自身が彼女を怯え、恐怖し、拒絶される事を拒んだ。今の関係を、互いに互いの状態を知らない事を望んだ。僕にとってそれは前進でも撤退でもなく。停滞。一番避けなければいけない、やっても何も産まない行為。やったとしても後悔の方が強くなる行為。だけど僕は感情に身を任せその場の安楽に甘えて身を委ねた。

 

 

 

「あなたがっっ……あなたがねっっ……いなくなってね…お姉ちゃん…っ……すごくねっ……すごくね……すっ……ごくね………こわくて………辛くてね……くるしくてねっ」

 

 僕は何も言わない。

 僕自身が彼女を家族を心配させて、いないと言う現実が姉さん達を苦しめてるなんて、分かっていた。それでも僕は彼女に______この世界の僕の家族に会わなかった。楽な道を進んだ、彼女らは何も悪くないのに、自責の念を強めてしまった。僕自身の罪であり、罰である。楽と言うものは一時の平穏しか産まない。それ以上は何も作らない。悪魔の様なものだ。

 

 

 

「あなたとねっ………妹がねっ……毎日……毎日だよ?夢に出てくるのっ………お前のせいだってね……私達の代わりにっ………お前が消えればいいんだって……」

 

 僕は何も言わない。

 僕自身が彼女を追い詰めた。僕がこの世界から消えたから彼女をこんなに追い詰めた。ありもしない幻影に追い詰められた。ありもしない亡霊に『お前が悪い』『全てお前のせいだ』と言われるのは幻想だとしても、失った家族に、毎日の様に責められるその苦しみを、僕は想像ができない。いや、したくなかった。

 

 

「でもね……この間ね……あなたが……生きてるって電話で教えられた時ね…………お母さん嘘ついてるんだって思ってしまったのっ……あなたが……あなたがね?夢から消えることはなかったから……生きてる貴方とは会えないって言ったから………」

 

 僕は何も言わない。いや、言えるはずがなかった。____________アヤベ姉さんとの、家族との、過ごした記憶がないなんて。血のつながりがあるだけの、昔の記憶もない存在など、他人とあまり代わりがないのではないだろうか。僕は彼女に、姉さんに今の姿を別人だと、こんなの私が求めていた葉月ではない思われてないだろうか。

 そのせいで、その恐怖のせいで""家族を探す為にずっと変えなかった""三つ編みも今となっては無駄なただの女装癖にすぎないかもしれない。

 

 僕は泣いている彼女に対して、それしか言えない自分自身に、隠し事______記憶がないことを隠すしかない哀れな自分に嫌気がさしながら。

 

 

「ごめん…姉さん…ごめんね」

 

 

 彼女に向かって繰り返し、繰り返し、機械の様に謝罪の言葉をただ言い放つ僕。ひどい顔をしているのかもしれないが、僕は彼女を姉さんをこんなにも、逃げ道を塞がれて精神的苦痛をただ一方的に浴びせていたのだ。

 許される事などない。停滞を、現状維持を選んだ。ただそこに立っているだけを選んだ僕は許しをこうことなどできない。してはならない。

 

 彼女はしかしながら、姉であるためか、それとも彼女自身が変化に敏感な性格だっただけか。僕の繰り返し言い放つ何の意味のない謝罪の言葉の中に、何かに気がついたのか、抱きしめていのを一旦やめて、僕の顔を見る。綺麗な顔だ。泣かせていたのが本当に勿体無いぐらいに。

 僕は彼女に合わせる顔がなく、そっと目を逸らしながら髪の毛をいじる。まるで叱られる前の子供の様に、意味もなくただ髪の毛で遊ぶ。今から現実世界を直視しないために。

 

「……その癖、子供の頃から変わってないわね。その綺麗な三つ編みをいじるって言う事は____________何か、隠し事があるわよね?」

 

 心臓の音が跳ね上がる。彼女にバレてしまったらしい。彼女は鋭い。これは僕の子供の頃からの悪い癖だったらしい。

 最近はあまり出さない様にしてきたが、ここまでの緊急事態だとつい、昔の癖が出てしまう。いや、出てしまった。僕は動悸が息が激しくなる。 隠し事、記憶がない事。姉さんとのやり取りが思い出せない事現実が嫌であった。こんなにも待ってくれていた。こんなにも自分のことを思ってくれている。彼女を、アヤベ姉さんを裏切りたくなかった。彼女の期待である弟像を演じたかった。

 

 僕は彼女に正直に告げるか躊躇う。正直に告げる事で、彼女自身を傷つけてしまうのではないか、彼女をもう一度孤独にしてしまうのではないかと。

 そんな理由づけをしているが、僕は案外彼女自身に拒絶され、もう二度と家族という絆で守られた。確固たる物に戻らない事がただ怖いだけなのかもしれない。

 

 

 だが、彼女は__________________

 

 

 

 その体で優しく僕をもう一度抱きしめて、まるで赤子をあやすかの様に、まるで小鳥を愛でるかの様に、優しく撫でる。僕は姉さんのその優しい香りに包まれた。しかし、僕は彼女がなぜそんな事をしたのか。一体全体予想が全くつかなかなかった。

 

 

「大丈夫よ。葉月____________」

 

「貴方がどんな秘密を抱えようとも」

 

「貴方がどんなふうになろうとも」

 

「貴方がどんなに変わろうとも」

 

 

「葉月は、葉月よ。」

 

 

「見た目は少し可愛いけど男らしい部分もある。そんな私の自慢の弟である事は代わりないわ。」

 

 

そして

彼女は、包み込む様な言葉を言う。

 

 

「だから____________私の前だけでは、弟して甘えてもいいのよ?」

 

 

 

 その一言で、僕が今まで溜めてきた心のダムが崩壊した。

 

 記憶がなくなって彷徨っている時、誰も頼れる大人がいなかった。たまたま運よく孤児院に引き取られたとはいえ、孤児院での記憶がない故の腫れ物を扱うかの様な扱い。

 

 学校に行っても、家族への手がかりとして唯一当時から切らなかったこの三つ編みが故の孤独。

 

 髪型のことを聞かれるたびに、家族を探す為なんて、大それたことをいうわけにもいかず、適当に漫画の影響だと誤魔化す毎日。

 

フジさんには少し悟られたが、それでも本心までは言わなかったこと。

 

 

 

 今まで我慢してきたその全てを、彼女に、ようやく見つかった家族に、一度は会うことを拒絶した彼女にぶつけてしまう。

 

 

「………怖かっんだ……!!アヤベ姉さんと過ごした______この世界での記憶がないんだよっ……!!姉さんの事もさ!!だから!!拒絶されるのが怖くて!!また一人になるのが怖くて……ずっとひとりぼっちの方がマシだって………」

 

 

 

 僕は僕自身の中にあるドロドロとしていた感情をアヤベ姉さんに、ただ姉であることだけがわかっている彼女にぶつける。

 我ながら理不尽だとは思う。ヒーローとは程遠いただの子供の叫びだとも思う。

 それでも、それでも彼女は____________

 

 

 

 

 

「大丈夫。記憶なんて些細な問題よ。今の葉月は私を支えてくれてた葉月と何ら変わりはないわ。」

 

 

 

 

 と、僕を肯定してくれた。僕は泣きじゃくって、醜態を晒すような、今までに見せたことがないボロボロになった顔面で、余韻が消えるまで、ずっと彼女に抱きついていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

____________________________________________________________________________

 

 

 家族の感動の再会が終わって、ある程度泣き終わった後。

 

「あ、あの!しんみりとした雰囲気な所悪いんですが、ウララちゃん……ピング髪の中等部の子見ませんでしたか?彼女がこの学校に来たっきり全然帰って来ないらしいんですけど……」

 

 

 ある程度アヤベ姉さんが泣き止んだ後に、ダンツフレームが横から入ってきた。彼女なりに考えた結果ある程度は家族の再会に水を刺すのも悪いと思ったのだろう。

 彼女の気遣い能力の高さには、いつもながら驚かされる。だがまあ待った卓持ってしかし、ウララちゃんが危ういのも事実だ。

 

 ライスシャワーは_____僕ら家族の話を聞いて感動で泣いてしまっている。もちろんウララちゃんも心配だろうが、彼女に今その話をすると情緒がどうかしてしまう為敢えて、彼女にはカレンちゃんがついている。

 

 

 

 姉さんと______カレンから、何か情報を得ることができないだろうか、と思ったのだろう。

 

 

 

「あれ?ウララちゃんならカレンは見たよ?アヤベさんと離れてお手洗いに行く時____教室で探し物してたよ?」

 

 姉さん達に会えたのはこれ以上ない幸運だったのかもしれない。ウララちゃんの目撃情報があった。これ以上ない重要な目撃証言だ。

 ならおそらく僕らが迎えに行かなくても、ウララちゃんは見つかっていたのかもしれない。

 

 

 

「カレンちゃんそれ本当か?」

 

 僕が""いつもの様に""カレンに話しかけると、一瞬恐れ慄く様な表情を僕に向けた。しかし、すぐに無理をした様な笑顔をする。

 

「葉月____________あまり…カレンには声をかけない方がいいかも。葉月が悪いって言う訳じゃないんだけど…カレンさんは______」

 

 

「い、いやいいですってアヤベさん!」

 

「それよりも葉月くん?……何で私の名前を知ってるの?」

 

 彼女はその恐怖に包まれたかの様な、猛獣の前に突き出されたかの様な表情をかき消す苦笑を。無理矢理にでも作ったかの様な笑みを浮かべながら僕に問いかける。

 

 

 

 

 

 何でって、不思議なことを聞く、当たり前だ。必然だ。だってそれは__________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれー?みんなこんなところで何してるのー!?!?」

 

 

 廊下で話し合っている僕らを見て大声で手を振ってる少女が、そこにはいた。僕らが探していた。少女が。

 

 

 

 

「ウララちゃん!!!!」

 

 ライスシャワーが、僕らの元から飛び出して思いっきり抱きつく。

 彼女は僕ら家族の話を聞いて泣いていたのに

 

「わっ!?あれー?ライスちゃんどうしてここにいるのー??」

 

 彼女が不思議がって大声を上げる。

 

「だってね……っ今日一緒に本を読む約束したでしょっ……?ウララちゃん急にいなくなってライスっ……心配したんだよ?」

 

 ライスが涙をすすり上げながら、声を上げる。彼女にとってウララちゃんと、よっぽど大事な人だったのだろう。

 

「あれー!?もうこんな時間なのー!?ウララ寝ちゃってたのは知ってるけどこんなに時間たってるなんてー!!怒られるー!」

 

 

 

 

 

 

 やれやれ、全て杞憂だったと言うことか、と僕が安堵のため息を吐くと、釣られる様にダンツもため息を吐いているのに気づく。

 

 

 

 

「よかった〜……ウララちゃん無事で」

 

 彼女が肩から力を抜き、声を上げる。完全に同意だ。

 

「全くだね。これで別世界に飛ばされてたとか言われると笑えないからさ」

 

最近までずっと、記憶喪失で別世界に飛ばされてた人間が言うんだから間違いない。

 ダンツの件と言い今回も怪異が絡んでこなくて一安心だ。僕個人として巻き込まれるのは良いが、友人や知り合いが巻き込まれて命を落とされると夢見が悪い。

 

 

 

 

「………葉月さんもお姉さんに会えて良かったですね」

 

 

 そう言えばだが、そう思うとだが、振り返ってみるとだが、あの様を彼女達______特にダンツに見られていたと思うと冷や汗が走る。

 

 この様をみんな(主にポッケやタキオン)に言いふらされると碌なことがない。あいつらは人の心というものがないから、ポッケの場合はバカにしてくるし、タキオンの場合は出汁にして試薬を求めてくる。

 僕の人間としての尊厳が失われてしまう。

 

 

「……この事は是非ご内密にしてくれ、何なら墓場までもっていってくれ、あの世でも誰にも喋らないでくれ、まじで、頼む」

 

 耳打ちで彼女に伝える。彼女はいきなり耳に声を与えられて、びっくりしたのか目を見開いた。その後、僕に向かって一息つきながら言う。

 

 

「……良いですよ。というか言うつもりもないです。」

 

 

 彼女はやけにジト目で僕から目を逸らす。暗くてよく見えないが、顔が赤いのがわかる。体調でも悪いのだろうか。

 それを言えば僕もさっきから頭が痛い。

 風邪でもひいてないと良いのだが。

 

 

 なんて関係のない事を思っていると。横から人影が現れて僕に抱きつく。アヤベ姉さんだ。いきなりどうしたのかと思っていると姉さんが、ダンツに向かって声を出す。

 

「私の弟に手を出すのはいいけど____________一番は家族よ。譲りはしないわ」

 

 

 

 と、声を出すとブンブンと手を振りながら、彼女が『そ、そうじゃないです!!』と声を上げる。何がそうじゃないんだろう。僕とダンツはサブトレーナーと担当ウマ娘の仲だ。

 それ以上でも以下でもない。

 最も、彼女の気持ちは__________違うかもしれないが。

 

 

 

 

 僕は腕にしがみつきながらダンツに対して獲物を横取りされない様に、睨みつけてる姉さんに話しかける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「_そう言えばだけどアヤベ姉さん________カレンもトレセン学園に入れたんだね」

 

 何気ない一言だった。

 常識を確かめる様な、共通認識を言う何気ない一言。

 その一言が、この何気ない出来事を。事故でもない様な出来事を____________事件に変える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「__________昔からの知り合いだったの?カレンさんと」

 

 

 

 瞬間、僕の頭に酷い激痛が走る。まただ。

 またあの時と同じ、痛みだ。いやしかし今回はかなり酷い、金槌で直接殴られたかのようなそんな痛みだ。

 カレンが?姉さんと昔の知り合いじゃ______だって孤児院の時____________あれ???_____ああ……そう言うことか。

 

 

「姉さん。カレンは?」

 

 カレンがいない。

 僕の予感が、僕の嫌な予感が当たっているのなら、彼女はもしかしたら。もしかしたら。それだけは阻止しないといけない。それだけは起こってはならない。

 

「そう言えば……どこにいったのかしら。ウララが来てからは見てないわね……」

 

 僕はふらふらとした足取りで、抱きついている姉さんを振り払い。僕は覚悟を決める。

 

 

「悪い。ダンツ。姉さん達を頼む。後、なるべく早めに帰ってくれ。やるべきことができた。」

 

 

 僕が、なすべき事を、僕がやるべき事を、僕のあり方として正しい方をする。

 僕はこんな事しかできないから。"""彼女を"""助けるにはこんな事しかやれないから。

 

 

 

「………待って!!葉月!!」

 

 僕のどこかに消え去りそうなふらふらとした足取りを見て不安に思ったのか、僕を止める。

 彼女にとってはようやく会えた。亡き家族、過剰に心配したくなるのもわかる。しかし僕はやらないといけない。しかし僕は彼女を助けなければいけない。

 

 

「また……またどこかに消えたり…しないわよね?」

 

 

 それは________どうだろうか、ちゃんと守れるだろうか。

 だけれど僕が言えること、ただ一つこれだけは確信して言えること

 

 

「姉さん________僕は少年ジャンプが大好きなんだ」

 

 

「誰かが泣くバッドエンドなんて大嫌いだ」

 

 

「だからさ。僕も消えない。そして__彼女も」

 

 

 

 僕はそう言い残し『彼女』の元へ向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 立ち入り禁止のテープを乗り越えて、ある場所で______彼女と対峙する。

 

 

 

 

 

 フェンスを乗り越えて今にも自殺しそうになっている彼女と。

 

「はぁ………こんなところにいた……よかった……はぁ……間に合って……」

 

 

 各教室を回ってもいなかった為。すごく嫌な予感がして頭痛の中、走ってここまで来た。

 全く、嫌な予感ほど当たるもんなんだな。

 

「なんで……?何でわかったの……?」

 

 彼女が僕に疑問を投げかける。

 それはなんて事のない一言だ。だけれどゾクリと、僕は、恐怖感に身構える。

 そこにいる少女は、いや、アレは僕には一体なんなのかわからない。言葉では形容し難い、何か悍ましいものを含んでいる。ただ一つ言えることは、アレは僕が遭遇してきた怪異にそっくり、いやそのものと言える。

 

すなわち、つまり、目の前の"""少女""""は

 

 

 

「カレンちゃん_______君は怪異に取り憑かれてるね?」

 

 

「正解……だよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

______________________________

 

 

 

「_________やめるんだ。カレン後は、僕に任せろよ。僕も専門家ってほどではないが、そいつらの扱いは心得てる」

 

 

「だからこそ。そんな奴らに捧げてやる命なんかない。」

 

 

 

 僕は言い放つ。彼女を止めるために。彼女を死なせるなんてバッドエンドを避ける為に。彼女を殺さない為に。ようやく弟と会えたのに、友人を失うなど、姉さんにはもう悲しい顔はさせたくない。

 

 

「なんで……何で止めるの……?カレンこれ以上みんなに迷惑かけたくない……誰でも良いから命を捧げればこの子は許してくれるって……」

 

 反吐が出る。あいつらが、怪異がそんな約束を守るはずがない。例外があるとは言え、人に害をなすから怪異。その経緯は様々だが、こうやって彼女を追い詰めてる時点で、その後学校全体にとりつくに違いない。

 

 だからこそ聞く価値なんてないし、耳を傾ける意味もない。

 

 

「君の契約してる怪異……多分だけど『愛される代わりに、生贄を引き出せ……』そんなところだろう?」

 

 

 彼女の顔色がより悪くなる。

 彼女の呼吸が荒い。

 見透かされた事を怖く思っているか、それとも僕が予想する____________もう一つの残酷な理由か。

 

「なんで知ってるの……?アヤベさんにも秘密にしてたのに」

 

 当然の疑問だ。

 なぜ僕がそこに気づけたか、なぜその真実を彼女に突きつけることができるのか。

 それは____________

 

 

「まず一つ目、この時期に2人で肝試し?暑いとは言え9月だぜ?誘ったのはカレンちゃん側だろうけど____________あまりにも不自然だ。」

 

 

「二つ目、カレン____________君、男性恐怖症だろ。男性の本能は恐ろしいから、その能力で何かあったんじゃないか?」

 

 

 彼女の震えが強くなる。どうやら当たりみたいだ。まぁそんな能力持っていたら仕方ないかもしれない。男性の性欲の恐ろしさは僕もよく知っている。

 

「3つ目______あまりにもウララちゃんが来たタイミングが良すぎないか?僕らの話を邪魔せず、ちょうどウララちゃんが話題に上がった時に、最初は、姉さんを捧げようとしたけど、なんらかの理由でウララちゃんを捧げた_____だけど僕ら家族の話を聞いて罪悪感から自分自身を捧げる______そんなところかなシナリオ的には」

 

 

 

 

 

 

「最後に、まぁこれがほとんどの理由何だけど_______僕は結構敏感肌で、怪異の効果受けやすくてね」

 

 

「まぁそのせいであっちにとってはカモなんだろうな。こっちに来てから色々な事件に巻き込まれたよ。」

 

 彼女の呼吸がより一層、荒くなる。僕に対する恐怖が強くなる。……彼女を追い詰めたい訳ではないんだけどな。

 

「……………」

 

 僕は自分の三つ編みをいじりながら、心底つまらなそうに呟く。

 

「カレンチャン君漫画は嗜む?」

 

 彼女にとっては、よくわからない質問だろう。その場ではお門違いな、数学のテストなのに古典の問題が出てきた様な。

 

 漫画を知っていたらわかりやすい例えができるんだけどな。

 

「あんまり……」

 

 

「あ、そっか……最近の漫画離れは激しいな………集英社大丈夫?まぁ、知ってたら話は早かったんだけどさ、君の契約した怪異……」

 

「まぁなんていうんだろうな。『過去改変』ってのをするらしくてね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「僕と君は""記憶が失う前も幼馴染で"""孤児院の幼馴染時も幼馴染""だったらしいぜ」

 

 

 そんな事、あるはずがない。もし仮にあったとしても、ありえない。そんな事は絶対に。

 

 しかしながら、僕の記憶がそう告げている。    

 

 彼女に優しくされた記憶。

 

 彼女が泣いた時の記憶。

 

 彼女と姉さんの僕のお嫁さん争いの記憶。

 

 彼女と同じ小学校に入った時の記憶。

 

 彼女が僕を助けてくれた時の記憶。

 

 彼女を僕が助けた時の記憶。

 

 彼女と喧嘩した時の記憶。

 

 彼女を初めて意識した時の記憶。

 

 彼女が初めてレースに勝った時の記憶。

 

 彼女がトレセン学園に入学できた時の記憶。

 

 

 ありもしない記憶が僕の中で矛盾を起こし、ありえないほどの頭痛を発生させる。こんな事ありえない。こんな矛盾あるはずがない。

 

 

 

 

「どうして、記憶がない時も幼馴染である君の記憶だけがあるんだい?どうして、孤児院に君がいるんだい?どうして、ウマ娘がいない世界に君がいるんだい?

 

あるはずないだろ?そんな事。」

 

 

 カレンの瞳孔が揺れる。

 息は走った後の様に荒々しくなり、あり得ない物を見つめる様に僕の顔を見ている。

 

「ありえない……なんで立ってられるの……?」

 

 ありえないなんてありえないってグリードも言ってたじゃないか、いや、漫画は読まないだっけか。

 

「なんで、正気を保ってられるの!?!?多分そのレベルだと理性なんてないよね!?!?」

 

 彼女は優しい子だ。恐怖する対象である僕に対して、心配の言葉をかけてくれる。

 

 

「そうだよ?理性が卍解しそうだった。トラブルでダークネスしそうになったさ。そんな冗談で誤魔化せないほど君は綺麗で、可愛くて、襲いたくなるほど魅力的だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

____________________________だけども、僕はカフェ一筋だからね。幼馴染だとしてもカフェは裏切れない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 弱々しくなった彼女がそこには、いた。

 しかしながら、僕に希望を見出して、全てを話してくれそうな気配もある。

 後もう一押しだ。

 彼女は死にそうなほど呼吸が荒い。もう、言葉も発するのが苦しいであろう彼女の口から出た言葉は、逆上の言葉だった。

 

 

「で?それが一体全体なんだっていうの?」

 

 

「カレンはアヤベさんやウララちゃんを巻き込もうとした……!!カレンがいなくなればこの子も許してくれるって言ってる……!!もう嫌なの……!!!」

 

 その通りだ。カレンちゃんはやってはならない事をした。姉さんを殺されたのなら、ウララちゃんが殺されたのならそれは、許されない。 

 だけどそれでも、最後に彼女は刃を振り下ろさなかった。最後は自分自身を犠牲にして、

 

 

「そうだよ!そうだ!カレンが!!消えちゃえばいいんだ!!カレンはみんなを巻き込んだ!!カレンはカワイイ自分のためにアヤベさんを犠牲にしようとしたんだよ!!だから生きる価値なんてない!!!」

 

 

 

 

 彼女から禍々しいオーラが出る。人間の憎悪、嫉妬、憤怒、嫌悪などの負の感情の集合体の様な触れるだけで気が狂いそうな覇気だ。

 多分、これに飲み込まれたら死ぬだろうというものが、彼女の後ろから、おびただしい量出ている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

____________しかし、僕は、その表情を見逃さない。苦しそうなその瞳を、今にも泣き出しそうなその心を。

 

 

「じゃあなんで______そんなに助けて欲しそうな表情をしてるんだ?」

 

 

 

 

 

「僕はバッドエンドが嫌いでね。君が死ぬなんて起こってしまったらそれはガイドライン違反だよ」

 

 彼女のその頬に涙が流れる。

 彼女はやりたくてやった訳じゃない。したくてウララちゃんを姉さんを裏切った訳じゃない。その表情から読み取れるSOS。

 

「私でもどうにもできなかったのに!!ただの人間の葉月くんにできる訳がない!!私が死ねばみんなは助かるの!!」

 

「おいおい。それは僕が4回言わないといけない台詞だろ?……それに君も死にたいだなんて思ってないだろ?」

 

 僕は____________彼女を助けたい

 

「違う……私が私のためにカワイイくなりたくてこの子と契約したの……だから、この結末はわかってたの、同意した上での最後なの…」

 

「嘘をつくなよ。僕は君の幼馴染なんだ。それぐらいはわかる……いや幼馴染じゃないんだっけか」

 

 

 僕は見逃さない。絶対に。

 

「これは…予測で根拠も何もない事なんだろうが、甘い言葉___例えば『もっと愛されたいでしょ?』みたいな言葉で軽い気持ちで契約しちゃったとかそんなところだろ?長い付き合いだからそれぐらいは、わかるさ」

 

 

____________________________________

 

 

 

 

 カレンが"それ"に出会ったのは、夏合宿の時だった。私が寝ている最中に何かに起こされて、寝ぼけて目を擦ると、"それ"はいた。

 妖精さんの様な綺麗な光を出して私の目の前を飛んでいた。"それ"は私を『もっとカワイくしてあげる』と私に提案をしてきた。

 

 カレンは寝ぼけて、それにOKを出してしまった。それが自分自身の命を危機に晒すとも知らずに。

 

 

 

 そこからはもう夢の様だった。SNSが今までにないほどバズったり、道行く人にサインをねだられたり、レース後のライブなんかでは、過去最高の盛り上がりだった。

 

 私はこんなに満たされた事はなかった。あらゆる人がカワイイと言ってくれて、私もカワイイで埋め尽くされて、最高の状態だと、私は感じた。

 

 毎日妖精さんに話して感謝の言葉を告げた。

 

 しかしながら、そんな幸せも、長くは続かなかった。お兄ちゃん______トレーナーさんの様子がおかしくなった。

 事あるごとに私の心配をしてきて、他の異性との関わりがあると怖い顔で追い詰めてきて、1番怖かったのは、深夜に寮まで安否の確認をしにきた時だ。

 

 その時はアヤベさんが追い払ってくれた。

 だけど、もうこんなのはこりごりだと、私から契約を打ち切った時の怒り方と言えば、今までに経験したことのない恐怖を感じた。

 

 信じられないほどの罵詈雑言を浴びせられ、『カレンちゃんは宇宙一カワイイから!!俺に相応しい!!』『俺とカレンは幼馴染だろう!?』とわけのわからない事を言い出した時は泣きそうになった。

 

 私がトレーナーさんと初めて会ったのはトレセン学園である、幼馴染などでは____________ない。

 

 

 明らかに今まではそんな人ではなかった。優しく、ちょっとバカだけど、思いやりのある人だった。

 それを変えてしまったのは妖精さんだと決めつけ、もうこんなのはこりごりだと、二度と私にその力を使わないでと言った。

 

 

 ニヤリと光だけの存在のはずの妖精さんが笑った様な気がした。妖精さんは妖精さんなどではなかった。彼?彼女?の要求は悪魔の様な要求だった。

 

 『一人のウマ娘を私に捧げて?じゃないと……貴方の力で私は世界を終わらせちゃうかもね?』

 

 何を言っているのか全く持って、これっぽっちもわからなかった。

 私が?世界を終わらせる?

 そんなことできるはずがない。ただの一人のインフルエンサーがそんな無理難題。

 そう、そんな笑えない冗談だと思った。

 その日は妖精さんに怒ってそのままふて寝した。

 私はそれを一生後悔することになる。

 

 

 

 

 

 

 その翌日、私はその悪魔に恐怖することになる。

 私が、した覚えのないウマッターの政治批判ツイートが原因で、起こるはずのない海外でデモが起きた。

 正常な人が判断すれば私が悪い様なツイートだった。しかし、すぐ削除したにも、乗っ取りだと言ったにも関わらず、それは起こってしまった。

 

 不気味で怖いのは、それだけではない。私が、誰一人として批判の対象にならなかったのだ。

 ニュースで取り上げられても、私の名前や原因となったツイートは隠さた。

 明らかに私が原因であるのにも関わらずトレセン学園からは何のお咎めもなかった。

 友達にニュースの話をしても、『何それ?そんなことよりさ〜と誤魔化された』アヤベさんですら『考えすぎよ』の一言で相手にすらされなかった。

 

 

 妖精はニヤニヤとそれを眺め、今の私の恐ろしさを嘲笑うかの様だった。私のカワイイが凶器となった瞬間であった。

 

 私はそれを防ぐために、アヤベさんを捧げそうとした。だけど無理だった。私には裏切れなかった。その代わり、たまたまいた、偶然いてしまった、純粋無垢なウララちゃんを怪異に捧げた。

 捧げた後。何度も謝った。何度も謝罪した。

 

 

 

 

 

_____________________________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『怪異は無慈悲です

嘘はつきませんが、それは騙さないという訳ではない事を肝に銘じておいてください』

 

 カフェからの言葉を思い出す。

 それの被害者が、目の前にいるのに、救わないなんて、そんな事は、ジャンプの主人公なら絶対にやらない。

 

 

 

「だぶん。出かかっている言葉があるんじゃないか?

その言葉をいえば、僕は君を裁くんじゃない。別の選択を取る事ができるぜ?」

 

 

僕はらしくないカッコつけた言葉で、彼女を問いかける。彼女は、大粒の涙を、滝の様に流しており、その表情から、そのあり得ない様な涙から僕は察する事はできるが、彼女の口から""その言葉""が出るまで耐える。

 

 

その言葉を出せば僕は君を地獄から救える。

 

さぁ、吐けよ。

 

今まで辛かった。

 

一人で抱えてた。

 

その言葉を。

 

ここで吐いてしまえ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「助けて…………………………私……私!!こんな事!!こんな事したくない!!!!!!」

 

 

「もっとっっ!!!生きていたい!!もっとカワイイって言ってもらいたい!!もっとレースに出たい!!!

 

 

 

 

 大粒の涙を流しながら、僕に叫ぶ。

 その言葉を待っていた。待ち望んでいた。

 だって、ここはウマ娘の世界だ。怪異に悩まされて死ぬだなんて、そんな事あってはいけないだろ?

 

 

 

 

 

 

「いいね!!最高だ!!!!今のカレン超カワイイぜ!!!!」

 

 

 

カレンが泣きなら顔を赤くする。

今の言葉は、不意打ちだったみたいだ。

今の表情も最高にカワイイ。

 

「な!!!!!!!な!!!!何言ってるの!!?ドSなの!?!!!!!!」

 

 

「僕はSでもありMでもある!!!伸縮自在の変態なんだよ!!!だから!!後は任せとけ!!!」

 

 

バカなやりとりを、大声でする。最後は笑顔じゃないと。シリアスやる方が僕は辛い。

 

 

 

夜の学校全体が、怪異のオーラに包まれる。

 

 

 

ここからは僕と怪異の戦いだ。

 

女の子を泣かせた罪は重いと

 

 

怪異に徹底的に教えないとな。

 

 

 

_____________________________________

 

 

 

 

 オーラに包まれた後。

 僕は見知らぬ廊下に立っていた。それは木造の昭和前後の学校の様だ。

 トレセン学園じゃ明らかにない。

 

 どこか埃の匂いがするここに、何故がダンツとポッケがいた。

 

 

「………なんでお前らがいるんだ?」

 

 

「いやこっちが聞きてぇよ。忘れ物取り行ってたらなんか変な場所に、いきなりとばさってし、明らかにトレセン学園じゃねぇーし…どうすりゃいいんだよ」

 

 

 ポッケが言う。

 僕は思いだす。ポッケも、今日、外出届け出してるってフジさんが言ってた事を。ははは完全に巻き込まれた奴じゃないか。

 

 

「すまんポッケ。死ぬかもしれない。でもその時は僕にセクハラする権利をやるよ。」

 

「いらねぇよ!!!なんでいきなり変な場所に飛ばされたと思ったら命かけなきゃいけねーんだよ!!!ってか死んだらセクハラできねーだろ!!」

 

 ギャーギャーうるさいポッケを尻目に、僕はダンツの方を向く、ダンツにはあらかじめ今の計画を伝えておいたはずなのに、膨れっ面なのは何故か。

 

 

「なんでダンツがここにいるんだ?とっとと姉さんを連れて逃げろと言ったはずじゃないか?」

 

 

 何故かダンツは頬を膨らませる。

 というか、なんでそんなに不機嫌なんだ。なんか僕の方を向いてくれない。目を合わせようともしてくれない。何か僕がやらかしたのかと思うとすごく恐怖する。後でカフェに伝えられたら、僕に待っているものは、死しかない。

 

 

「いやー??別にですよー??カレンちゃんをその巧みな話術で惚れさせるところなんてべっつにー?」

 

 困った。あれを最初から最期まで見てたらしい。

 何か勘違いをしているな、ダンツは。

 カレンが?僕に?

 

「おいおい。僕みたいな輩にカレンちゃんが惚れるわけないだろ?あんな臭いジャンプの打ち切り漫画の様な展開で」

 

「……どうせ私はジャンプの打ち切り漫画のヒロインですよーだ。」

 

 

 耳が痛い。彼女は僕に聞こえないように言ったつもりなのだろうが、聞こえてしまった。

 彼女もなぜかなんだか知らないが僕に惚れているらしいことは、なんとなくは知っている。一体全体僕になんの魅力があるのだろう。それこそ怪異がついてるのではないか?

 

 

 

 

『ここにきたって事はカレンちゃんは失敗しちゃった!?えっでも……ここに来るって事はわたしのおもちゃが増えるってことか!!やったぁ!!』

 

 

 廊下の奥からいつのまにか現れた。カレン?が振り返る。見事だ。怪異の癖に、カレンちゃんそっくりに擬態するとは。

なるほどこれは………

 

 

 

「どうせ。ゲームかなんか用意してるんだろ?とっとと始めようぜ」

 

 今までの経験的に、何かルールがあり、それを犯せば命が取られる。そういう領域展開系の奴だ多分。おそらく。

 

『へぇ……話が早いね!何か似たような経験があるのかな?』

 

 無邪気な声で、僕に聞いてくる。

 こいつが命を取ってくるんだ。バカらしいと言えばそれまでだが、現実なのだから、リアルなのだから、そうそうバカにもできない。

 

「あいにくこっちきてから、そういうのには好かれてるよ。モテモテで鬱陶しいぐらいだ。」

 

 飽き飽きとしててやかましいぐらいだ。これが女の子だったら僕は喜んで飛びかかってハーレムを築くというのに。伊豆葉月ハーレムを。

 なんてことバカなを考えていると、ポッケがいきなり胸ぐらを掴んできた。

 

「お、おい、なんか言ってっけどもしかして…いやもしかしなくてもこれ幽霊的なアレか?おい葉月!!何とか言えよおい!!」 

 

 ポッケがビビってなんか言ってる。

 シャツを掴まれ、ぐわんぐわんされてる。揺れる揺れる。そういやこいつめちゃくちゃビビリだった。めんどくさい。非常にめんどくさい。

 

「勝手に巻き込まれたお前の方が悪い」

 

 

「明らかに勝手に幽霊に喧嘩売ったテメェの方が悪りぃだろ!!!!!!!!!!!」

 

ポッケに投げ飛ばされたて転がる僕。もう慣れっこだ。少し痛いがギャグ補正がかかるためダメージが軽症で済んでいる。

 

 

『……面白いねー!!!もう仲間割れ?ってやつかな?しちゃってるー!!わたしあなたたちぜーったい手に入れたい!!』

 

天真爛漫なこの場に合わない声で言ってくる怪異。仲間割れしてるのは事実だが____アレ?というか不機嫌なダンツとポッケで味方がいない?アレ?まぁいいだろう。

 

「面白い事だけが、僕の取り柄だからな。さ、ポッケは無視してゲームを始めようぜ。」

 

 

『この子で遊んだ時楽しかったなー!!可愛さのあまり大事な大事なお兄ちゃん?がストーカーさん?ってやつになっちゃって!!』

 

 

『それでそれで!!私との契約打ち切りたいって言ったから痛い目にあげた時のあの子の顔!!面白かったなぁ!!あなたたちも同じ顔見せてくれる!かな!!!』

 

 

 怪異に対する、怒りが沸々と湧いてくる。

 

 

 

 ダンツやポッケの表情が真剣なものに変わる。

 彼女らも同じ様な気持ちの様だ。

 

 

「なぁ」

 

「何だよ。ポッケ」

 

「何?ポッケちゃん」

 

僕らにポッケが問いかける。

 

 

「ダチが目の前でおもちゃにされてる姿を見るつーのはこんなに気分わりーんだな」

 

「同感だよポッケちゃんあんなの………許せない」

 

「同感だ。ポッケ達もジャンプ心わかってんじゃないか」

 

 

 

怪異と僕達の少女の命を賭けた戦いの賽は

 

 

今投げられた。

 

後戻りは、できない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







 ダンツ編(カレンチャン編)(アドマイヤベガ編)

 書き溜めがなくなりました。

 
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