Skibidi_Toilet Multiverse〜Alternative〜 作:犬社長
……燃え盛る戦場と化した大都市に、新たなる絶望が降臨する
「馬鹿な……!どうしてサイエンティストが此処に…!?しかも…デカくなってる…!!」
ブルースーツカメラマンは、頭を抱えて後退った。
まさか、トイレ軍のトップに加えNo.2まで殴り込みに来るとは、誰が予想しただろうか。
「いや…コレはチャンスかも知れないぞ…!ーーーー此処でタイカメが2体とも倒せば、我々の勝利は確定したも当然!!やってしまえ、タイタンカメラマン!!」
1人のノーマルカメラマンが、そんな事を口にする。
……確かに、それはそうかも知れない。ーーーーーだが、タイタンスピーカーマンの洗脳も解けていない状態で、ソレは可能なのか???
…その答えは直ぐに示される事となる。
「SKIBIDI SKIBIDI」
サイエンティストが、自身の便器の両側に装着している鋭いアームで、タイタンカメラマンを殴り付けた。
「!!!」
その攻撃を両手で防ぐタイタンカメラマン。ーーーーー衝撃波と共に、火花が辺りに散る。
するとサイエンティストは、便器の正面に付いている大型スピーカーを大音量でかき鳴らし、不可視の音波でタイタンカメラマンを吹き飛ばした。
「ーーーーーッ!」
吹き飛ばされたタイタンカメラマンは、途中で体勢を立て直すと、巨大ハンマーを構える。
そして、それでサイエンティストへ殴りかかろうとした時、後ろからタイタンスピーカーマンが割り込んで来た。
「オオオオオオオオ!!!!」
「ーーーーー!!」
ーーーーーズガァンッッ!!!
ーーーーー空に響く打撃音。
…タイタンスピーカーマンが、タイタンカメラのハンマーで吹き飛ばされた音だ。
吹き飛ばされたタイタンスピーカーマンは、そのまま頭からビル群へ突っ込んでいき、コンクリの破片を盛大に撒き散らしながら大地を転がる。
しかし、大振りなハンマーのスイングで生まれた隙を突く形で、サイエンティストが攻撃して来た。
「ーーーーーdop dop Yes!!」
空を裂き、鋭いアームがタイタンカメラマンへ突き出される。
「……ッ!!」
それをハンマーで払い除けるタイタンカメラマン。しかし、再びサイエンティストが音波攻撃を放ち、タイタンカメラマンを大きく吹き飛ばさせた。
更に、追い撃ちのごとく複数のロボットアームからレーザー砲を放ち、タイタンカメラマンの装甲を削っていく。
「ーーーーー!!」
凄まじい爆発がタイタンカメラマンを覆い隠し、閃光が辺り一面を灼く。
だがそれでも、タイタンカメラマンは倒れなかった。ーーーーー自らの胸にあるコアを保護シールドでガードしつつ、肩に装備しているキャノン砲で、サイエンティストを狙い撃つ。
「SKIBIDI…!」
被弾したサイエンティストは、顔を顰めながら後退った。
その隙をつくように、タイタンカメラマンが勢い良くサイエンティストへ飛び掛かる。
ーーーーーしかし、その飛びかかりは空中で止められた。
……倒し切れていなかったG-MANスキビディトイレが、ビル群の中から不意をついて割り込んで来たのだ。
「ーーーーSKIBIDI!!!」
ーーーーーガシャアンッッ!!
「?!」
空中で体勢を崩し、地面へ叩き落されるタイタンカメラマン。
G-MANはタイタンとの戦いの影響で大部分の武装を失い、負傷もしていたが、それでもまだ動く事は出来たようだ。
そのまま彼はサイエンティストの隣に並び、2人してタイタンカメラマンへ向かい合う。
「…SKIBIDI SKIBIDI」
「Yes Yes Yes」
意味深な目配せを交わし、互いに邪悪な笑い声を上げるサイエンティストとG-MAN。
更にタイタンスピーカーマンも彼等の隣に立ち、コレでトイレ軍の現最強戦力が此処に集うこととなった。
一方で、カメラマン達の戦力はタイタンカメラマン一人のみ。コレでは戦力に差が有り過ぎる。
「なんてことだ……。」
ブルースーツカメラマンは、呆然として呟いた。この状況では、ココから勝利する事など不可能なのではないか、そうとすら思えてしまう。
他のノーマルカメラマン達も、揃って通夜の様なムードに陥っていた。
ーーーーーそして、G-MAN達が動き出す。
「SKIBIDI SKIBIDI Yes Yes!!!!」
放たれるG-MANのレーザー砲。
更に、タイタンスピーカーマンも両腕のブラスターを乱射し、黄色と真紅の閃光が、タイタンカメラマンに激突した。
「うわっ…!」
「くっ!!」
「なんて爆発だッ…!」
爆発の衝撃がビルの上まで及んで来て、ブルースーツカメラマン達を怯ませる。
「マズい!!このままじゃタイカメが殺られちまうッ!!」
カメラマンの誰かが、悲鳴に近い声を上げた。
それを聞いた別のカメラマンが、銃を手に取り立ち上がる。
「…んな事、させるか!!ーーーー俺だって…まだ…!!」
そう言って、そのカメラマンはサイエンティストを狙い、トリガーを引いた。
「そうだ!!俺も最後まで戦ってやる!!」
「こっちを向けデカブツ共ぉ!!!」
「タイカメは倒させないッ!殺るなら俺達からにしろ!!」
その行動に感化されたのか、他のカメラマン達も一斉に銃を手に取り射撃し始める。
………しかし、その行いは無駄に終わった。
「………SKIBIDI。」
哀れむような表情で、彼等の無駄な抵抗を見つめるサイエンティスト。身体のあちこちに攻撃は命中している筈だが、一切の痛痒を感じていないのか、眉1つ動かさない。
「マズい…!」
その、下等生物を見下すが如き視線に射抜かれたブルースーツカメラマンは、言いようの無い悪寒を感じて1人立ち上がった。
次の瞬間、彼等のいるビルの屋上に、サイエンティストのロボットアームが迫る。ーーーーーそして、レーザー砲がアームの先端から放たれ、射撃をしていたカメラ達を纏めて破壊してしまった。
「ぐわぁぁぁぁぁ!!!」
「がぁぁあぁぁ!!」
「うわーーーーーッ?!」
各々断末魔を上げながら、火花と共に爆発四散していく。
一方、ブルースーツと一部のカメラマン達は、レーザーの直撃こそ免れたものの、屋上で起きた大爆発に吹き飛ばされ、地上へ落ちてしまった。
「ーーーーーーーぐッッッ?!」
地面に叩きつけられた衝撃で、視界に激しいノイズが走る。
ガラガラと、吹き飛んだビル上部の破片が、辺りに降ってきていた。
此処で死ぬのは勘弁だ。ーーーーーブルースーツはそう思いながら、地面に手をつき立ち上がる。
ふと見ると、タイタンカメラマンが全身ボロボロになりながらも、3体相手に奮戦していた。…しかし肩の大砲は壊れ、体の傷口から臓物の様に大小様々なコードや部品が飛び出している様は、到底無事な姿とは言えまい。
「くそ……せめて…せめてプランジャーだけでも…!」
ブルースーツは、爆発と粉塵飛び交う戦場を、傷付いた体で駆ける。
あの戦いのど真ん中に、負傷した彼は置き去りにされているのだ。敗色濃厚となった今、アライアンス随一の強者である彼を放置なんてしておけない。
ーーーーー散らばる同胞の亡骸を越え、散乱する瓦礫を潜り、何とか彼はプランジャーの下へ辿り着いた。
「大丈夫か!プランジャー!」
辺りは、タイタンカメラマンとサイエンティスト達の戦闘の余波で炎の海と化している。
彼が辿り着いた時、プランジャーは既に意識を失っているのか、彼の呼びかけに返事を返すことは無かった。
しかし、頭部が無事ならまだ助かる可能性はある。
「くそ…。貴方だけでも…助け出すから…!!」
ブルースーツは彼を抱き抱えると、来た道を戻り始めた。
しかし、途中で起きた凄まじい爆発で、足が止まってしまう。
「…ッ!ーーーーータイタンカメラマン?!」
…見ると、黒煙を噴きながら大地に倒れ伏すタイタンカメラマンの姿が見えた。
「嘘だ…タイタンが…!」
あれだけ頼もしかった彼が、全身大破した見るも無残な姿で、大地に倒れている。……それが俄には信じ難かった。
「Yes Yes Yes Yes……」
サイエンティストが勝ち誇った様な笑みを浮かべ、大きく口を開いた。
その醜悪に歪んだ口の中から、大きな【パラサイト・スキビディトイレ】がズルリと姿を現す。
『SKIBIDI SKIBIDI SKIBIDI SKIBIDI SKIBIDI。』
悍ましい粘液を滴らせながら、サイエンティストの口から生まれたパラサイト。
そしてパラサイトは、動けないタイタンカメラマンへ、笑いながら近づいて行く。
「ソレは……ダメだ…!!」
彼等が何をしようとしたいのか、ブルースーツは瞬時に理解した。
彼等はタイタンスピーカーマンだけでなく、
「やめろ…!止めてくれっ…!!!」
ブルースーツの声は届かない。
救いの手が入る余地はもう無い。
ーーーーー彼が見る先で、あっさりと、いとも容易く、パラサイトはタイタンカメラマンに寄生した。
ギゴゴゴゴゴ………!!!
……全身から火花を上げながら、ゆっくりと起き上がるタイタンカメラマン。
その青かった筈のカメラレンズは、今やG-MANやタイタンスピーカーと同じ黄色に染まり、首元には取り付いたパラサイトが放つ青白いスパークが宿っていた。
サイエンティストの笑い声が木霊する。G-MANも、タイタンスピーカーマンも、嗤っている。
そんな彼等に囲まれて、タイタンカメラマンは微動だにせず立ち竦んでいた。
………恰も、かつて抱いていた感情や意志が、全て消失してしまったかの様に。
「…………………。」
タイタンカメラマンの、洗脳された瞳が此方を向く。そこには、あの知性と勇気を感じさせる光は無かった。
ただただ、『お前を殺す』という殺意だけが其処にあった。
「有り得ないッ……。」
悪夢のような展開に足が竦む。
恐怖と怒りで体が震える。
この戦いがこんな結末を迎えるなど……。
「ふざけるなよ…トイレ軍!!」
ブルースーツは叫んだ。叫ばずにはいられなかった。
「このままで僕等が終わるものか!!いつか、いつか必ず、全てを奪い返すッッ!!奪われた物も、失われた物も、なにもかも奪い返して、お前達をこの世から消し去ってやる!!」
彼の絶叫を聞いたサイエンティストが、醜悪な笑みを深める。
「……
ーーーーーそして、ブルースーツ目掛けてレーザーが飛んで来た。
「ーーーーッ?!」
思わず顔を背けるブルースーツ。
しかし、予想に反してレーザーが自分に当たることは無かった。
その攻撃は、
「これは……!」
驚くブルースーツカメラマンの前に、黒い渦の中から黒いコートを着た、
「
「(0w0;)」
焦るような顔文字をテレビ画面に浮かべた彼女は、ブルースーツとプランジャーを掴むと、二人を黒い霧の中へ引き寄せた。
この黒い霧には、接触した物を別の場所へワープさせる効果がある。ーーーーー丁度、遠い地に居る筈のサイエンティストが、一瞬で戦場に現れた時のように。
「(>w<)」
霧に包まれ、テレビウーマンと共にワープするブルースーツカメラマン。
ーーーーー彼は黒い霧が視界を完全に覆い隠すまで、サイエンティスト達を睨み付けていた。
『いつか必ず、全て取り戻す。』ーーーーそう強く強く、自分自身に誓ってーーーーーーーーーー。
◇◆◇
こうしてアライアンスの作戦は、
目標であったタイタンスピーカーマンの洗脳解除は達成出来ず、逆に2体目のタイタンを奪われたアライアンスは大きく弱体化。
ブルースーツカメラマンやプランジャーマンの奮闘虚しく、トイレ軍の猛攻の前に敗走を重ね、彼等は僅かな生き残りを残すのみとなった。
そして、その最後の生き残り達が集う場所こそ、ブレーダーカメラマンが送り込まれた街であり、アライアンス達の最後の砦なのである。