Skibidi_Toilet Multiverse〜Alternative〜 作:犬社長
そして 夜が来た。
ーーーーーーーー太陽が地平線の向こうに沈んでから数刻。
夜の闇に閉ざされた街の中に、その暗闇に紛れるようにして動く無数の影があった。
ーーーーーカメラマンと、スピーカーマン達だ。
今宵は新月。
空には分厚い雲が垂れ込め、街は一切の明かりを欠いている。闇に隠れ動くには、まさに絶好のチャンスだ。
『…エネルギータワー奪還部隊、出撃を開始。そちらは?』
微かなノイズと共に、闇の中を進むカメラ軍へ通信が入る。
「了解。
カメラ軍の先頭を走るブルースーツカメラマンが、通信の向こうへ指示を出す。
すると直ぐに返事が返ってきた。
『ーーーーー了解。では、御武運を。』
…プツッ、と通信が切れ、闇に静寂が戻る。
「どう?上手くやれそうかしら?」
ブルースーツカメラマンの直ぐ隣を進むブラックカメラウーマンが、彼にそう囁いた。
「やるさ。なんとしてでも。」
ブルースーツカメラマンは、手に持つライフルを握り締める。そして、自分達の後に続く数多のアライアンス達を引き連れ、街の郊外ーーーーー発電所を目指すのだった。
◇◆◇
場面は変わり、アライアンス基地内。
「ーーーーー通信が来た。陽動部隊は出撃だ。」
基地内に待機していたラージカメラマンやラージスピーカーマン達は、通信係のカメラマンから出撃指令を受け取っていた。
「よっしゃ!!遂に来たな、この時が!!」
力強く拳を打ち付けるラージスピーカーマン。
他のラージカメラマン達も、次々と武器を構えて立ち上がった。
彼等の武器は、ロケットランチャーに火炎放射器や重機関銃など、どれも強力な物ばかり揃えてある。
しかし今から彼等が相手にするのは、この街を実質的に支配している【デスクロー・ギガトンスキビディトイレ】だ。
重火器類がこれだけあっても、正直安心は出来ない。むしろ、殆ど効かないだろう。
ーーーーーだが、かと言って彼等は『無駄な足掻き』をするつもりは無かった。
「お前ら!装甲車に乗り込め!あのデカブツへカチコミと行こうじゃないか!!」
「おうよ!!!」
「やってやるぜぇ!!!」
戦意を滾らせ、次々とラージカメラマンとラージスピーカーマン達が、装甲車へ乗り込む。
乗れなかった者達は、背中にジェットパックを装着して、空から進軍する選択を取った。
「じゃ、行ってくる!」
「俺も行くぜ!!」
「出撃だぁぁ!!!」
ーーーーーそして、準備が出来た者達から次々と出撃して行く。
かくして、彼等は自らの命を賭けた大作戦へと向かうのだった。
◇◆◇
ーーーーー夜の闇の中を、仲間達と共に駆ける。
月明かりも星明かりも無いが、カメラに付いていた〈暗視機能〉のお陰で、足を取られる心配は無い。(この機能は、他のカメラマン達も持っているようだ。)
向かう先にあるのは、恰も魔王城の様に威圧感を放ちながら夜空に聳え立つ〈エネルギータワー〉。
周辺は暗闇に閉ざされ、タワーの外壁に等間隔で設置された赤色の航空障害灯だけが、闇の中で光り輝いていた。
(……流石に…緊張するな。)
聳え立つタワーを睨みながら、俺は心を落ち着けようと刀の柄を握り締める。
「ワフ…!」
そんな俺を心配してくれたのか、隣を走るアイボが小さく応援するように鳴いた。
暗闇の中でも光を失わない青いアイレンズが、コチラへ視線を向けている。
そんなアイボへ、俺は軽く頷いてみせた。
「……あぁ。大丈夫さ、アイボ。ーーーーー俺はやれる。」
「ワン♪」
笑う様に鳴くアイボを傍らに、俺は走り続ける。……これから必ず起こる、戦いへの覚悟を決めて。
ーーーーーそして、遂に俺達はタワーの真下まで辿り着いたのだった。
◇◆◇
「……ココが…エネルギータワー、の前か。」
そう呟いて、俺は足を止める。
仲間達も歩みを止め、俺と一緒に黒く聳えるタワーを見上げた。
タワーの前は大きなロータリーになっていて、街にあれほど有った瓦礫なども、タワーの前では見かけられない。…トイレ達が除去したのだろうか?
そして肝心のタワーはと言うと、大きな鉄製の扉が閉ざされていて、完全に静まり返っていた。
「…良いぞ。昼は扉の前にも見張りのトイレが居るが、夜はやはり居ないな。」
扉を見たプランジャーマンが、微かに頷く。
「…でも、あの扉開くのか?」
「いやーーーーー」
俺の問いに、隣のデッキブラシマンが答えた。
「ーーーーーあの扉は電子ロックされていて、普通の方法じゃ開かないな。」
「…じゃあ、どうやって開ける??」
「そりゃあ………」
俺のその言葉に、その場に居た全員が同時に同じセリフで答える。
「「「ーーーーーぶっ壊すしか無いだろ。」」」
「脳筋?!」
まさかのゴリ押し戦法。…でもまぁ、結局のところ、タワーに入ってしまえば良いのだから、それはそれで有りなのかもしれない。
「じゃ、グレネードを。」
プランジャーマンが差し出した手の上に、別のカメラマンがトイレットペーパーの形をした手榴弾を乗せる。
(トイレットペーパーの形をしてるグレネードって、結構見た目シュールだよな………。)
そんな事をぼんやりと思っている俺の横で、プランジャーマンはグレネードを振りかぶると、思いっきり扉へ投げつけた。
更に他のカメラマン達も何人かが、立て続けにグレネードを投げつけ、其れ等が扉に同時に当たって瞬時に爆ぜる。
ーーーーー夜の闇を真っ赤な爆炎が照らし、爆音が辺りに轟いた。
そして、目の前で鋼鉄の扉がひしゃげて内側へ倒れていく。
「扉が壊れたぞ!!ーーーーー突入しろッ!!!」
それを見たプランジャーマンが、部隊の全員へ指示を出した。
『『ウオオオオオオオオオ!!!!!!』』
雄叫びと共に、アライアンス達がタワー入口へと殺到する。
「よし、行くぞ…!」
「あぁ…!」
それに続いて、プランジャーマンとナイフマンが走り出す。そのすぐ後に、俺とデッキブラシマンが続いた。
「……死ぬなよ。ブレーダー。」
隣を並走しながら、デッキブラシマンが俺へそう告げる。
「……アンタもな。」
俺は微かに笑って、そう言葉を返した。
そして、俺達は遂にタワー内部へと足を踏み入れるーーーーー。
今回も待たせた割には短くなってしまい、申し訳無いです…!!
リアルとの折り合いも付けつつ、なるべく早く書けるよう頑張りますので、許して………。