Skibidi_Toilet Multiverse〜Alternative〜 作:犬社長
お待たせしました!!
ーーーーー
ソレは床を砕き、壁を壊し、振動で大気を揺らす。
圧倒的な破壊力と驚異的な重量。
………其れに依って齎されるのは、究極の暴力。
ーーーーー【ハンマー】とは、そういう武器だ。
◇◆◇
「SKIBIDIッ!!!」
掛け声と共に特大のハンマーが振り下ろされる。
「…くッ!」
大気を歪めながら迫る鉄槌を、プランジャーマンは飛び退って避けた。先程まで立っていた位置にハンマーがめり込み、床が轟音と共に陥没する。
「ーーーーーふッ!」
その攻撃終了の隙を突き、プランジャーマンはプランジャーでヘビーハンマー・ミュータントへ強烈な打撃を叩き込んだ。
ーーーーー素早い一撃はミュータントの肩に命中し、大きく火花が散る。
……だが、ミュータントは動じない。その全身を覆うフルプレートアーマーが殆どの衝撃を吸収するからだ。
「クソ……硬すぎる…!」
欠点として機動力が削がれているが、ソレと引き換えに彼は高い防御力を得ている。
そして、ハンマーの火力は説明するまでも無い。
……総じて高火力高耐久の敵なのだ。
「SKIBIDI…SKIBIDI。」
緩やかな手付きでハンマーを構え直し、プランジャーマンへ向き直るヘビーハンマー・ミュータント。
フルフェイスヘルメットの奥より覗く2つの瞳が、プランジャーマンを油断なく睨み付ける。
「……油断も隙も無いな。」
少しの睨み合いの後、プランジャーマンは小さく呟いた。……相対するヘビーハンマー・ミュータントは、何も言わすにハンマーを構えている。
その出で立ちには寸分の隙も無く、敵ながら見事と言わざるを得ない。
(さて…どう対処するか…。)
プランジャーマンは頭の中で思考を巡らせながらも、取り敢えず攻勢に出た。
ーーーーー奴のハンマー相手に後手に回ることは避けたい。故に、先手を打って出たのである。
「SKIBIDI。」
振り抜かれるプランジャーを、左腕の装甲部で受け止めるミュータント。…飛び散った青い火花が辺りを照らした。
「まだだ!!」
「ーーーーー!」
ミュータントが反撃に出る前に、プランジャーマンはさらなる攻撃を繰り出して行く。
(ーーーーー攻撃の手を緩めるな!速度はコッチが上!幾ら防御が高かろうと、喰らわせ続ければ…!!)
そう心の中で奮起し、プランジャーマンは息もつかせぬ猛連撃をミュータントへ叩き込み続けた。
ーーーーーその度に激しい火花が散り、戦場となっている薄暗い55階の室内を照らす。
「…SKIBIDI…!」
流石のミュータントもこの連撃は効くのか、少し唸って後退った。そして、プランジャーマンへ反撃の蹴りを放ってくる。
「…っと!」
思ったよりも素早い一撃だったが、プランジャーマンはギリギリで回避することに成功した。
ーーーーーだが、それで両者の間に距離が生まれる。そしてもちろん、それを見逃すミュータントでは無い。
「SKIBIDI!」
横から殴り付けるようにハンマーが迫る。それを避けると、今度は上からハンマーが勢い良く降ってきた。
ーーーーーズシィィィィィィィンッッッ!!!!
再び振動が部屋全体に響き渡り、砕けた床の破片が辺りに飛び散る。
(おいおい……コレじゃあ、そのうち階層自体が崩れ去ってしまうぞ。)
穴だらけになった床と壁を見ながら、プランジャーマンは軽く戦慄した。元々このタワー自体が老朽化しているのに、こんなにドスンドスンと暴れられては、本当に55階が崩壊してしまう。
「………そんな事、させるか…!」
そう呟いて、プランジャーマンは走り出す。目指すはヘビーハンマー・ミュータントだ。
「SKIBIDI…!」
近付いてくる彼を見て、ミュータントが身構えた。そして徐ろにハンマーを下へ下ろすと、傍にあった大きな瓦礫へ、勢い良くハンマーをスイングする。
ーーーーーすると、まるでゴルフボールを撃ち出す様に、ハンマーで叩かれた瓦礫がプランジャーマンへ飛んで来た。
しかもハンマーの衝撃で瓦礫が無数の破片に分解され、まるでショットガンの散弾のようになっている。
「ーーーーーくッ!」
顔の前で両手をクロスし、防御の構えを取るプランジャーマン。瞬間、散弾と化した無数の瓦礫が彼を吹き飛ばした。
「がは…ッ!!」
建材に使われていたコンクリの破片が身体に刺さり、火花が幾つも散る。
その効果に満足したのか、ヘビーハンマー・ミュータントは立て続けに同じ攻撃をして来た。
ーーーーー次々と飛来する瓦礫の
広い範囲をカバーする攻撃の前に、プランジャーマンは手も足も出ない。
「SKIBIDI SKIBIDI Yes Yes 」
撃ち出す
「…押し切られるのはゴメンだな!」
そう呟いたプランジャーマンは、飛んでくる瓦礫の散弾に耐えながら近くの壁に空いた穴に飛び込み、別の部屋へ一旦退避する。
ーーーーーヘビーハンマー・ミュータントが壁を穴だらけにしている所為で、55階はいろんな部屋が繋がっているのだ。
(ーーーーーさて……!ココからどうするかだな…。)
別室へ逃げ込んだプランジャーマンは思考を素早く巡らせる。…取り敢えず、瓦礫の礫は危険だ。何度もアレを食らうわけにはいかない。
(やはり、素早く近付いての接近攻撃しかないか…!………ならば狙うは関節だな。どれだけ鎧で身を固めても、可動部はどうしても脆くなる…!)
ーーーーー走りながら、プランジャーマンはこの勝負に勝つまでの道筋を計算していた。
背後からは、別室へ逃げたプランジャーマンを追い掛けるミュータントの足音が絶えず響いてくる。邪魔な壁や障害物をハンマーで粉砕し、奴は最短距離でプランジャーマンを追跡しているのだ。
そして走り続けているうちに、やがてプランジャーマンは大きく広い部屋の中に出た。
元々は大規模な会議室だったのだろう。…部屋の中には幾つかの椅子と大きな円卓が鎮座している。
(ここなら広い…。奴を迎え撃つには十分だ!)
プランジャーマンは円卓の上に飛び乗ると、卓上の中心でクルリと体の向きを変えた。
そしてその直後、プランジャーマンが入って来た入口の扉を粉砕しながら、ヘビーハンマー・ミュータントが会議室へと侵入して来る。
「
粉砕したドア周りの瓦礫を軽く払い除け、ミュータントは重々しく口を開いた。
プランジャーマンは何も言わずにプランジャーを構える。
「……
ミュータントは言い聞かせるような口調でプランジャーマンへ話し掛ける。対するプランジャーマンは軽く肩を竦めて見せた。
「変えてみせるさ、今日ここで。…お前たちに勝って、我々アライアンスは新しい夜明けを迎える…!」
ヒュンッと音を鳴らし、プランジャーがミュータントへ真っ直ぐ向けられる。ミュータントも同じ様にハンマーを真っ直ぐ向け、プランジャーマンと同じ様な格好をとった。
「
「運命はこの手で変えられる。今ここで変えてみせる…!」
「
「そのつもりは無いッ!!」
ーーーーー互いに言葉を投げかけ合った両者は、次の瞬間に会議室の中心で激突したーーーーー
ーーーーーゴシャアァンッッッッ!!!!
耳を劈く様な音を立てて、円卓がハンマーで叩き壊される。ーーーーーだが、其処にプランジャーマンはもう居ない。彼は既に円卓から飛び降りていたのだ。
「ーーーーーふッ!」
壊された円卓の一部を持ち上げ、ソレを
投げ付けられたソレを、ミュータントはハンマーの1振りで容易く粉砕して防ぐ。
だが、それによってミュータントの視界が遮られた一瞬の隙に、プランジャーマンは右横から一気にミュータントへ肉薄した。
「ーーーーーSKIBI」
「疾ィッッ!!」
ミュータントが反応するより速く、プランジャーマンは彼の右膝へ鋭い打撃を加える。
「Dopーーーーー!?」
「まだだッ!」
そして一瞬体勢が崩れた隙を狙って、反対側の左膝へと追撃のプランジャーを叩き込んだ。
ガァーンッ!と重めの金属音が鳴り響き、両膝へ衝撃を受けたミュータントがバランスを崩す。
「ふんッ!!!」
その瞬間、プランジャーマンはミュータントの右肘の外側を、上に向かって跳ね上げるようにプランジャーで殴り付けた。
「SKIBIDIッ?!」
右手でハンマーを持っていたミュータントの握力が一瞬弱まり、ハンマーの柄が彼の手から離れる。
ーーーーー柄が離れた時間は僅か1秒足らず。だが、ミュータントがハンマーを掴み直す前にプランジャーマンが柄を蹴り飛ばした事で、ハンマーはミュータントの手から完全に離れてしまう。
ハンマーは両者の足元に落ち、屈めば直ぐに拾い直せる。しかし、今この一瞬を争う攻防の中で、いちいち屈んでハンマーを拾い上げると言うのは、余りにも時間のかかり過ぎる行為だ。
ソレを理解しているからこそ、ミュータントはハンマーを使わずに戦う必要がある。その行為が、この状況に持ち込めたプランジャーマンの計画通りだと分かっていても。
「ーーーーーSKIBIDI SKIBIDI…!!」
(武器は無力化した!ーーーーーこのまま畳み掛ける!奴にハンマーを拾い直させはしないッ!!)
ハンマーを封じる事に成功したプランジャーマンは、そのままミュータントのパンチを回避し、関節を狙ってプランジャーを叩き込んでいく。
「
追い詰められたミュータントが吠える。そして、彼は鋭く素早い蹴りや殴打で反撃してきた。
「ふッ!!」
「 yesッッ!!」
ガンッッッ!!!
拳とプランジャーが正面から激突する。
次に下から蹴りが迫り、ソレを避けると今度は薙ぎ払うような手刀が迫ってきた。
「っと!」
それを危なげ無く回避するプランジャーマン。
ーーーーーそこへ鋭い
すると、そのままニーキックから流れるようなローキックが飛んでくる。
ーーーーーガキッ!!!
繰り出されたローキックを、上げた脚でカットするプランジャーマン。お互いの脚がぶつかり、軽い火花が散った。
そして一瞬のせめぎ合いの後、両者は同時に一歩後ろへ下がる。
(……そろそろ決めないとな…!長引けば長引く程、チャンスは遠ざかる…。)
睨み合いながら、プランジャーマンはそう思っていた。ーーーーー殴り合いは平行線。…決めるなら今しかない。
「
ーーーーーミュータントがファイティングポーズを取りながら、此方へ挑発するような言葉をかけてくる。
「ああ。終わりだよ…………お前がな!!」
そう叫び、プランジャーマンはミュータントへ駆け寄った。
ダンッ!と床を蹴り砕き、彼は途轍もない速度でミュータントへ肉薄する。
ーーーーーだが、ミュータントはしっかり対応して来ていた。
その光る双眸は、プランジャーマンの攻撃を見極めて反撃すべく、コチラをしっかりと見つめている。
限りなく研ぎ澄まされた集中力。スローになる視界。
そして互いの動きが重なる刹那、徐ろにプランジャーマンはプランジャーを手から落とした。
「
プランジャーマンはプランジャーで攻撃してくる。ーーーーーそう思い込んでいたミュータントは、思わず落ちるプランジャーを目で追ってしまう。
その瞬間、プランジャーマンは右手でミュータントの左腕を掴み、右腋で左上腕を挟み込んで固定した。
「
ーーーーーいわゆる
(このまま、関節を折るッ!!!)
関節を
鎧を着ていたとしても関係無い。関節技は、内側に作用するのだから。
「ーーーーーッッ!!!」
ふらつき、膝をつくミュータント。そして後ろからプランジャーマンはミュータントの首へ腕を回し、
「ーーーーー
首をあらぬ方向へ捻じ曲げられたフルプレート・ミュータントは、最後にそんな言葉を呟いて動かなくなる。
「………運命、か。」
プランジャーマンは、ゆっくりと落としたプランジャーを拾い上げる。そしてコートの埃を払い落としながら、小さく呟いた。
「…何度だって打ち勝ってやるさ、そんな
そう言い残して、彼はミュータントの骸へ背を向け、歩き始めたのだったーーーーーーーーーー
唐突に決着!!!
という事で次回は主人公サイドーーーーーでは無く、【発電所奪還部隊】の方へ一旦場面を移します!
ブルースーツカメラマン視点ですね。
…いやぁ…まだ、【電力管理室奪還】が残ってるんですよ()
それだけ書かないと……。
ということで次回までお待ち下さい。サラダバー