Skibidi_Toilet Multiverse〜Alternative〜   作:犬社長

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今回も短いですが、何卒宜しくお願いします……





28〈Scissors〜シザース・カメラウーマン〜〉

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

…筆で描いたような真っ白な雲が、青い空にゆっくりと流れている。

 

 

 俺はソレを窓越しに眺めながら、膝の上に座るアイボを撫でていた。

 

 

ーーーーー今、俺達はエネルギータワーを〈輸送用カメラヘリ〉で出立し、タイタン建造の資源確保の為、街から少し離れた〈元アライアンス基地〉を目指している。

 

 プランジャーマン曰く、こういった放棄された基地は世界の至る所に有るらしい。…そして、殆どがトイレ軍に制圧されているそうだ。

 

(資源確保が出来ればタイタンを新しく造れる様になる…。そうすれば、エージェントからの任務もやりやすくなる筈ーーーーー)

 

 窓の外を眺めながら、ぼんやりとそんな事を思っていると、不意に横から間延びした声が掛けられた。

 

「ね〜〜〜、ブレ〜ダ〜〜!」

「ーーーーーん??」

 

 横を振り返ると、此方を覗き込むシザースカメラウーマンの(レンズ)と目が合った。…しかも、思ったよりずっと近い距離から。

 

わ、近ッ……えっと、何か用かい??」

 

 距離感の近さに少し驚きつつ、俺は彼女へ問い掛ける。…今近くで彼女を見て初めて分かったが、彼女の(カメラ)はキラキラしたシールで装飾が施されている様だ。

 

「ーーーーーアイボちゃん、私も撫でたいんだけど〜良いかなぁ??」

 

 ねだるように首を傾げてみせるシザースカメラウーマン。どうも彼女は、アイボに興味津々らしい。

 

「ーーーーーまぁ……アイボが良ければ。」

 

「ワンワン♪」

 

 膝の上のアイボに目を落とすと、アイボはにこやかに鋼鉄の尻尾を振った。……どうやらオッケーらしい。

 

「…うん、オッケーっぽい。ーーーーー可愛がってくれ。」

 

俺はアイボを持ち上げて彼女へ渡す。

次の瞬間、彼女の目付きが変わった。

 

「ほわぁぁ〜〜〜♡♡♡すっごい可愛いねぇ〜〜〜!!よ〜〜しよしよしよしよしよしよし!!!!」

「ーーーーキャインッ?!」

 

 アイボを羽交い締めにせん勢いで抱きしめ、そのまま全力で頬擦りするシザースカメラウーマン。……頬擦りの勢いが凄過ぎて、ちょっと火花が散っている。

 

【報告:アイボの装甲表面に軽微の損傷発生】

 

……ちょっと勢いが良すぎないか?余りの激しさにシステムメッセージまで出てきたぞ??

 

「………シザースカメラウーマンは、犬好きなのか?」

「ーーーーー()()()()()。」

「うん?」

 

 シザースカメラウーマンは、アイボを抱きしめたまま不服そうに此方を見てきた。

 

「そんな可愛くない名前じゃなくて、私の事はシーちゃんと呼んで欲しいな〜。」

「し、シーちゃん…??」

 

 彼女の事をどう呼べば良いか分からなかった為、取り敢えずフルネームで呼んでみたのだが、どうもお気に召さなかったらしい。

 

「そ、シーちゃん。ーーーーーシザースカメラウーマンなんて名前、長くて呼び難いし、何より()()()()()()()()?」

「な、なるほど…??ーーーーーシーちゃん…か。了解した。」

 

 俺は小刻みに頷く。…いきなりそんなフレンドリーな呼び方で良いのかどうかは不明だが、本人が望んでいるのなら大丈夫なのだろう。

 

「……会う同胞(ヒト)み〜〜んなにそう言ってるんだけど、だ〜〜れも私の事をシーちゃんって呼んでくれないの。堅苦しいったらありゃしないよ〜。」

 

 そう言って彼女は、俺の隣の席で大きく体を伸ばした。彼女の腕から解放されたアイボが、矢鱈と憔悴した表情で帰ってくる。

 

「ク…クゥ〜ン……。」

 

………すまんアイボ。まさかそんな激しいスキンシップをしてくるとは、予測して無かった。

 

 俺はアイボを抱き上げて膝の上に戻す。そこで一旦、お互いの会話は途切れた。

…バラバラと輸送機のプロペラが立てる音だけが、両者の間の静寂を埋める。

 

「…………なぁ。ソレ、やっぱハサミなのか?」

 

 少しの沈黙の後、俺は彼女の腰からぶら下がる2振りの刃を指さして、話し掛けてみた。…初めてみた時から、少し気になっていたのだ。

すると彼女は喜色の滲んだ声色で即答して来る。

 

「ん、そうそう!コレね〜、組み合わせると大っきなハサミになるんだよ?ーーーーーほら!」

 

 その場で腰から2振りの刃を引き抜き、目の前で交差して見せるシザースウーマンーーーーー否、シーちゃん。

 

 2つの剣が丁度交差する場所に金具が有り、ソレがガチリと嵌まる事で1つの大きな裁ち鋏へと変化する様だ。

 

「へぇ…やっぱ、変形機能付き武器か。面白いな。」

「でしょでしょ〜??因みにぃ、このハサミのお名前は〈断鉄鋏(だんてっきょう)・チョキチョキラー☆〉で〜〜す♪」

 

そう言って、彼女は自慢するように鋏を振り上げた。

 

「……断鉄ーーーーーなんて??」

 

思わず聞き直してしまった俺に、彼女はもう一度説明する。

 

「〈断鉄鋏(だんてっきょう)チョキチョキラー☆〉!…ブレーダーは武器に名前つけないの〜??」

 

ソレを聞いて俺は膝上のアイボと目を見合わせた。

 

「武器に名前…か。考えた事なかったな。」

 

……確かに俺の刀に銘は無い。そんな事、考えた事も無かった。

 

「名前付けると愛着出るよ?お手入れの時も、なんか丁寧にやれる気がするし、なにより相棒って感じがして良いじゃん♪」

 

 ニコニコとした雰囲気を纏いながら、裁ち鋏改め〈チョキチョキラー☆〉の刃を指でなぞるシーちゃん。

 

「……まぁ、別に名前は付けなくてもいいかな。ーーーーー特に思いつかないし。」

 

 ちょっと考えた末、俺は名前の件は保留にする事にした。ーーーーー出来るなら、カッコいい名前をこの刀に付けてあげたい気もするが、今すぐに思いつく物も無いし、まぁ良いだろう。

 

「そっか〜〜。ま、可愛い名前がビビッと来たら教えてね☆」

 

そう言って、彼女はピースサインを作った。

 

「あぁ。…ビビッと来たらな。」

 

取り敢えず俺は頷いてみせる。

 

 

「ーーーーーブレーダー、シザース。そろそろ着くぞ。」

 

ーーーーーと、ココで俺達と同じ輸送機に乗っているプランジャーマンが、此方へ近付いて来てそう言った。

 

「お、そうか。…意外と近かったな。」

 

彼に答えつつ、俺は窓の外を見やる。

 

……既に輸送機は降下を始めており、赤茶色の荒野が眼下に近付いてきていた。

 

 因みに、輸送機の数は全部で4機。他のメンバーも別の輸送機に乗って、共に降下を始めている。

 また、俺達5人以外にも何名かのノーマルカメラマンやスピーカーマンが、このサルベージ作戦に参加していた。

 

「さて……始めるとするか…。」

 

近付く地上を睨みつつ、俺は手の平に拳を打ち付ける。

 

「よ〜〜し!殺っちゃお〜〜☆」

「ワン!」

 

シーちゃんとアイボが相槌を打つようにそれに答え、同時に4機の輸送ヘリは、激しいダウンウォッシュを撒き散らしながら荒野に降り立つのだったーーーーーーーーーー







今回は、新キャラ『シザースカメラウーマン』ってこんなキャラだよ、って言う紹介みたいな感じでした。

因みに、視点が主人公の一人称視点の時は「シーちゃん」。他のカメラマン視点や三人称視点の時は、「シザースカメラウーマン」と表記しますので、よろしくお願いします。


このサルベージ作戦は2、3話位でチャチャっと終わらせて、新タイタンの話へ移りたい所存です。

ーーーーーでは、また次回〜
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