Skibidi_Toilet Multiverse〜Alternative〜 作:犬社長
「ーーーーSKIBIDI!! SKIBID!! ISKIBIDI!!!」
不気味な歌を歌いながら、顔の生えた5体のトイレが迫ってくる。
…文字に起こすとネタにしか見えない状況だが、実際のところは到底笑えるモノでは無い。
ーーーーノーマルトイレ達の攻撃手段は頭部による噛み付きだが、その威力は思いの外強いのだ。
カメラマン達の体は金属で出来ている筈だが、奴らはその体を容易く食い千切ってしまう。
故に油断は禁物だ。
特に、今回はこの世界での初陣。ーーーーこの慣れない身体が何処まで動けるのか、まだ自分自身良く把握していない。
「…少しぐらい、戦い方とか説明してほしかったよな…。」
恐らく聞こえる事は無いであろう愚痴を呟きながら、俺は一旦距離を取った。
生憎、生まれてこの方『日本刀』なんぞ振ったこともない。勿論、戦いを経験したことも無い。
ーーーーしかし、不思議と刀を握る手は落ち着いていて、恐怖や焦りの感情も湧いては居なかった。
…コレは、ついさっき起動した〈戦闘モード〉の恩恵だろうか。良く分からないが、視界に映る全てが鮮明に見える。
「ーーーーやるしか無いよな。…良いよ。やってやる…!」
トイレを睨み、俺が覚悟を決めた時、ふと視界に映るトイレの1体に、白く光るサークルが重なって出現した。
「…コレは…!」
トイレが動くと、そのサークルも一緒になって動く。そして、意識せずとも視線が自動で、そのトイレを追いかける様になった。
(ロックオン機能か!!……ゲームみたいだな!)
コレも戦闘モードの恩恵なのだろう。なら、活かさない手はない。
俺はロックオンしたトイレめがけて勢いよく走り寄る。
ーーーーーーダンッッッ!!!
踏み締めたアスファルトに、軽いひび割れが走った。想像以上に、踏み込みの力が強かったらしい。
だが、それに驚いている暇はない。すでにトイレは此方を向いて攻撃の構えに入っている。
「だが、俺の方が速い!!」
俺は走り出した勢いそのままに、日本刀をトイレの脳天へ突き刺した。
ドバッと鮮血が舞い、トイレが耳を劈く断末魔を上げて地面に転がる。
「1体目!」
俺はそう言いながら、刀を抜きつつ振り返った。
「SKIBIDI!!!! SKIBIDI!!!!」
「ーーーDOP DOP yes yes!!!!」
続く2体目の攻撃を回避し、すれ違いざまに首を刀で撫ぜるように切り落とす。更に突進してきた3体目の顔面に向かってカウンターの蹴りを放つと、3体目は悲鳴を上げて思いっきり吹っ飛んで行った。
そして、特に理由も無く爆発する。
「おぉ…。この体…めちゃくちゃ強いぞ…?!」
踏み込みだけで道路にヒビを入れる脚力。
一発でトイレをぶっ飛ばす蹴り。
刀の重さをほとんど感じること無く振り回せる腕力。
どれだけ敵が素早く動いても、自動で発動するロックオン機能のお陰で、その動きに翻弄されることすら無い。
「まるで……戦う為に作られたみたいだ…。いや、実際そうなのか?」
自分の身体能力に驚きつつ、俺は戦いを続けた。
「SKIBIDI!!!! 」
「ていッ!!」
ーーーーパチンッッ!!
「S、SKIBIDI……」
「ふんッッ!!」
ーーーーザシュッッ!!
4体目のトイレに平手打ちを食らわせ、突然のビンタに驚いて動きが止まったところを、思いっきり刀を振り抜いて斬り倒す。
こうして4体のトイレを降したところで、少し離れた所から様子を見ていた『デュアルクロートイレ』が、漸く動き出した。
既に俺の戦いを見て実力を察しているのか、その顔には険しい表情が浮かんでいる。
(コチラを警戒してる感じか………。中々人間臭い奴らじゃないか。)
デュアルクロートイレにロックオンサークルが重なるのを確認しつつ、俺は日本刀を構え直す。
瞬間、相手の持つ二本の鋭い金属の爪が、俺に向かって勢いよく伸びてきた。
「ふっ!!」
繰り出される初撃を刀で弾いて防ぐ。
ーーーーキィンッ、と甲高い音が鳴って火花が飛び散った。
(思ったより速い…!コッチも気を引き締める必要有りだな!)
そのまま二撃目、三撃目と連続して刀で弾き、四撃目が放たれる寸前に合いの手を入れる様に切り返す。
「…!!」
ーーーーガキンッ!!!!
攻撃を中断し、迫る刀を受け止めるデュアルクロートイレ。ひときわ大きく火花が散り、ボロボロのアスファルトの上を焼く。
そのまま、殆ど顔と顔をくっつける様に鍔迫り合う両者。
「……SKIBIDI!!!!!!」
「舐めるな!!」と、デュアルクロートイレが叫んだ気がした。そして、二本のクローが勢いよく上へ持ち上がり、俺の日本刀を弾き上げる。
「っと!」
「SKIBIDI!!」
バランスを崩しかけた俺に向かって、トイレの顔面が迫った。ーーーーしかし、自分でも驚く程の体幹で俺は持ちこたえ、逆に足で顔を蹴り飛ばす。
「SKIBIDI!!?」
まさかあのバランスを崩した体勢から、蹴りを入れられるとは思っていなかったのか、デュアルクロートイレは完全に無防備な態勢で俺の蹴りを受け、勢い良く吹き飛ばされた。
(…っ!!ーーーーなんて体幹の良い体なんだ…!今なら、I字バランスも余裕だな!!)
カメラマンの身体の体幹の良さに驚きつつ、俺は吹き飛ばしたトイレへ駆け寄る。
「SKIBIDI!! SKIBIDI!!!!!」
額から血を流しながらも、起き上がるデュアルクロートイレ。そして迫る俺を見て、叫びながら爪を振り回して来た。
しかし、その攻撃は先程に比べて拙く、狙いも良く定まっていない。ただがむしゃらに振り回しているだけの様だ。
「ーーーーよっ、ほっ!」
俺は振り回される左右の爪を回避し、一気に近付いて刀を水平に振り抜いた。
スパンッ!!と何の抵抗も無く便座から斬り落とされた生首が、血を噴き出しながら空を舞う。
……そして一瞬の硬直の後、首を斬り落とされたデュアルクロートイレは、便器ごと大地に倒れ伏すのだった。
刀で敵をバッサバッサ斬り倒していくのって気持ちいよね。
……って思ったから書いた。