Skibidi_Toilet Multiverse〜Alternative〜 作:犬社長
遂に主人公のオトモの登場です!!
ーーーーーーーー荒れ果てた街に静寂が戻る。
トイレ達との初戦闘を終えた俺は、倒したトイレの便座の上に腰掛け、少し休息を取っていた。
(……思ったより戦えるな。この身体。)
自分の黒いグローブの付いた両手を見つめ、俺は1人頷く。
初陣を殆ど苦戦すること無く乗り切れた事は、自分の力に自信をつける事にも繋がった。
…とは言え、油断はしてはいけないだろう。
さっきの戦闘も、デュアルクロートイレにバランスを崩されかけた時は結構危なかった。この身体の体幹が驚異的でなければ、あそこで体を噛み砕かれていた可能性もある。
(それに、見せられた記憶の中のトイレ軍には、色んな種類のトイレがあった。……もっと強力な奴等だって居る筈だ。この世界の為に、俺は負けてなんていられない。)
ーーーー油断はせず、気を引き締めていこう。…そう俺は心に誓って、両手を握りしめる。
そして、座っていたトイレから飛び降りると、コートの埃を払って周りへ首を巡らした。
「……さて…。取り敢えず初戦闘は制した訳だが……これからどうすれば良いんだ???」
自分を転生させたあの男からは、『何処何処へ行け』と言うような具体的な説明を一切受けていない。
ただ、『七つの機士』とか言う謎の存在を探すことと、『全てのタイタンの開放』と言う2つの任務を与えられただけだ。
それ以外には、何もーーーーーーーーー
「いや…待てよ。なんか最後の方に言ってなかったか……?」
俺は
…そうだ……確か…『助けになる〈
「ん??」
その時、俺の後ろから犬の鳴き声のようなものが聞こえて来て、俺は振り返った。
ーーーー振り返った先、積み重なる瓦礫の山を飛び越えるようにして、『小さな何か』が此方へと走って近づいてくる。
ソレはメタリックな光沢を持つ白色をしていて、四本の脚で複雑に重なる瓦礫の上を器用に駆けていた。
形状はまるで犬の様。黒い尻尾とイヌ耳を持ち、青く輝く丸い瞳をしている。
「イヌ………??」
ピピッとスキャン能力が起動し、駆け寄ってくる物体の情報を視界に映し出した。
【個体名:aibo(アイボ)
識別番号:AC-0621-R(カラー:
状態:正常
備考:アライアンスサポート用犬型オートマタ】
「あ、アイボ……??」
俺がその名を呟くと同時に、駆け寄って来た犬型ロボット『アイボ』が、俺の目の前で勢い良くブレーキを掛けて止まった。
そして激しく尻尾のパーツを左右に振りながら、おすわりの態勢で嬉しそうに吠えてくる。
「ワン!!ワンワン!!ワンワワン!!!」
「ご主人!ご主人!」と言っているようにしか思えないアイボを見下ろし、俺は思わず感嘆のため息を漏らした。
「おぉ……!アイボだ!何気に実物始めて見た…!!コレがあの男の言ってた〈相棒〉なのか!!」
そう言いながら俺は地面に膝をついて、アイボの白く塗装された頭部を撫ぜた。
「クーーン。」
レンズの付いた目を細めて、気持ち良さそうに耳のパーツをパタパタさせるアイボ。形状しかり、本物の犬にしか見えない。
「うぉ、可愛い……!」
……コレが旅のお供なら、どんな過酷な旅路も大歓迎かもしれない。ーーーー俺は一瞬でそう思った。
同時に、ふと閃く。
「なぁ、アイボ。」
「クゥーン??」
頭を撫ぜたまま話し掛けると、アイボはその顔をコテンと横に傾げた。
俺はそんなアイボに尋ねる。
「お前、俺を助ける為に来てくれたんだよな?」
「ワン!!!」
ーーーー「勿論!!」と言われた気がした。
「…なら、コレから俺がどうすれば良いか、何処に行けば良いか、お前何かしらないか?教えて欲しいんだ。」
そうアイボの瞳を見つめながら問い掛けると、アイボは「任せて!」と言わんばかりに一声鳴いた。
「ワン!!!」
そして、徐ろに立ち上がるとトコトコと歩き出す。
「………!」
「ワフ!」
ソレを目で追っていると、途中でアイボがコチラを振り返って軽く吠えた。
「……付いて来い、ってか。」
アイボの意図を理解した俺は、先を行く白い姿を追いかけて歩き始める。
崩れ落ちた高架下を潜り、ドミノ倒しの様に倒れたビルの間を通り抜け、アイボは何処までも歩いていく。
ーーーーやがて、俺とアイボは街の中心部へ近付き始めていた。
そして視界の向こうに、何か目立つ巨大な鉄塔の様な建造物が見えてくる。
ーーーー周りのビルは軒並み倒壊しているのに、その鉄塔だけは悠々と街の中に聳え立っていた。…アレが何かは分からないが、あの鉄塔は只の塔では無いのだろう。
あれがアイボの目指す場所なのか、とその時の俺は思ったのだが、以外にもアイボは途中で進む方向を変えた。鉄塔からは遠ざかっていくルートだ。
「……あの塔じゃない??」
一瞬俺は訝しんだものの、取り敢えずアイボの後を付けていく事にする。
無数の廃車が放置されたままのスクランブル交差点を通り、更に街の奥へ。
穴凹だらけの道路は思ったよりも歩きにくく、いつの間にかアイボと少し距離が離れてしまった。
俺は先を行くアイボへ声を掛ける。
「あ、おーい!アイボ!少し待ってくーーーー」
その時、突如大地が激しく揺れた。
「ッッ?!?!」
地震か?と一瞬思ったものの、それにしては揺れ方がおかしい。
「ワン!!ワンワン!!」
アイボが焦ったような吠え声を上げながら、此方へ走って戻ってきた。
そして、俺のコートの裾を咥えて何度も引っ張って来る。
「ーーーー隠れろって事か?」
「ワン!!!」
切羽詰まったアイボの声に、俺は近くの崩れ落ちた建物の中へ駆け込んだ。
アイボも隣にやって来て、せわしなく辺りを見渡しながら伏せの姿勢を取る。
ますます大きくなる揺れ。
「一体……何が………」
俺が思わず声を漏らした時、
ガッシャーーーンッッッ!!と、およそ400メートルほど離れた場所にあったビルが砕け散る。
そして、もうもうと立ち込める噴煙の中から、ヌッと巨大な影が姿を現した。
空に木霊する、重々しいスキビディ讃歌。
ーーーーその声の主は、巨大なスキビディトイレだった。
「……ッ!!…大き過ぎる……ッ!?」
驚愕する俺。今の俺には口は無いが、もし有ったのならば、顎が外れんばかりに大きく開けていたことだろう。
何せ、そのトイレの身長は少なく見積もっても80mは下らない、超が付く程の巨大サイズだったのだ。
……そして、その巨大なスキビディトイレは、唯デカいだけでは無かった。
その便器の両側からは、長くムチのようにしなるアームが伸びていて、アームの先端には3本のクレーンのようなツメが付いている。
頭部には、紫色のヘルメットが被さっており、ヘルメットから降りた半透明のバイザーが目元を覆い隠していた。
そして、全身に謎の紫色のスパークを纏っている。…そのスパークに触れた瓦礫が、音を立てて崩れていくのを俺は見た。
ーーーーピピ……とスキャンが発動し、突如降臨した巨大なスキビディトイレの情報を俺に示す。
【個体名:デスクロー・ギガトンスキビディトイレ
状態:正常
階級:最上級監視員
戦闘シュミレーション結果:勝率0.1%未満
(戦闘非推奨 即時退避してください)】
「はは……んだありゃ……。」
もはや乾いた笑いしか出てこない。
デュアルクローなんかより、アレは何十…いや、何百倍も強いだろう。
俺はその巨体を隠れ場所から覗き見しながら、無いはずの心臓が早鐘を打ち始めたような錯覚を覚えるのだった。
なんか出た()
因みにネタバレすると、このデスクロー・ギガトンスキビディトイレが第一章のラスボスを務めます。ハイ。
ではまた次回〜〜。