Skibidi_Toilet Multiverse〜Alternative〜 作:犬社長
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巨大スキビディトイレとの戦闘を制してから数分後。
俺達は、〈デジタルキャッスル〉の『第16番ゲート』と書かれた鉄扉の前に立っていた。
……ここは、最初に俺達が辿り着いた〈正面門〉では無い。
〈正面門〉前で起きた巨大スキビディトイレ戦が、〈デジタルキャッスル〉内のトイレ達を警戒させてしまった可能性がある為、プランジャーマンの提案で侵入場所を変える事にしたのだ。
───ゲート前には門番らしき2体のスキビディトイレが居たが、彼らはサプレッサーマンが拳銃を使って速攻で片付けてしまった。
…約100メートルの距離からヘッドショットでワンキルしていたが、ハンドガンの有効射程は50メートル位だった筈。ハンドガンがカスタムされてるのか、彼のエイム力が化け物なのか───どっちなのだろうか??
「──あ、ハンドガンもストックとかスコープとか付ければ、100メートル狙えるッスよ?」
「……でも、そのハンドガン…なんのスコープもストックも付いてないよね…?それであの距離を…?」
「───まぁ、勘……ッスかね?」
ーーーーーうん。天才はよく分からん。
────と、まぁ、そんな事もありながら、俺達は無事16番ゲートの前に立つことが出来ていた訳だ。
だが扉は固く閉ざされていて、しかもかなり頑丈な素材で出来ている。コレを壊すのは至難の業だろう。
「……初歩的な顔認証ロックが掛かっているようだ。」
扉付近を調べていたプランジャーマンが、俺達にそう告げる。
「めんどくせェな。ブッ壊そうぜ?」
チェーンソーマンの提案に、彼は首を振って反対の意を示す。
「
「なるほどーーーーーじゃあどうする?」
その問いに行動をもって答えたのは、ナイフマンだった。
「──退け。こうするんだ。」
彼は躊躇い無く、眉間を撃ち抜かれて死亡している門番スキビディトイレの後頭部を掴むと、その顔を顔認証ロックの読み取り部分に押し付ける。
すると電子的な開錠音が鳴り、鉄製の扉は音を立てて開かれた。
「お〜……冷静。」
シザースカメラウーマンが呟く中、用済みになったスキビディトイレを投げ捨て、ナイフマンが扉の向こうを指差す。
「ーーーーー行くぞ。侵入開始だ。」
「──さぁ、ココで一度我々の目標をおさらいしておこう。」
ナイフマンに続いて歩きながら、プランジャーマンが俺達を見渡してそう言った。
「ーーーーー我々の最終目標は、〈デジタルキャッスル〉および〈スキビディサイバーシティ〉の『王』である〈
追加目標として、敵の手に堕ちている〈戦術級汎用電脳仮想体・
……我々の行動に、今回の戦いの勝敗が関わっている訳だ。失敗は明確な死を意味する。故に必ず成功させなければならない。」
「ーーーーー改めて聞くと、やる事が多いな。」
味方の解放に、敵の撃破。ーーーーーもちろん道中で戦闘も発生するだろう。それら全てを潜り抜けなければ、俺達は勝利を掴めない。
「ですが、皆さんならば成し遂げられると信じています。」
そう言うのは、チェーンソーマンのスマホ内から俺達を見守っている〈ミク(コピー)〉だ。彼女は流暢な口調で、罅割れた画面越しから俺達へ話し掛ける。
「ーーーーー確かに障害は多いかもしれません。しかし、貴方達は今までソレを乗り越えてきた……。その力を、信じましょう。」
彼女の言葉に頷く一同。この世界に於いて彼女は『歌姫』では無いが、それでもその言葉には人の心を動かす何かがある気がした。
「───にしても、この景色は嫌な事を思い出してしまうね…。」
今俺達が歩いている通路を見渡しながら、ブルースーツカメラマンが苦々しげに呟く。
「──最初の潜入の時か。」
俺の言葉に、彼は短く頷いた。
「うん。…あの時は、クロックウーマンに手も足も出なかった。」
彼は、一度此処で仲間を喪っている。……〈ミク〉を取り戻す為にデジタルキャッスルに潜入し、そして其処で〈
自身も重傷を負い、ただ敗走するしかなかった1回目のデジタルキャッスル潜入。ーーーーーそれはやはり、彼にとって苦い記憶なのだろう。
ーーーーーだが今回は違う。
此処には、プランジャーマンを始めとした、アライアンスの一大戦力が揃っているのだ。
もう同じ轍は踏まない。ーーーーー彼はそう強く誓っている様に見えた。
「……そういやァ、クロックウーマンの時間停止対策はしてあるのか?お前等。」
彼の言葉を聞いたチェーンソーマンが、コートの中から磁石を取り出しつつ、俺達に尋ねる。
それを聞いた俺は、自分の手首を見せながら頷いた。ーーーーー其処には、ブレスレット状に加工した磁石が嵌っている。
「ああ。彼女の弱点である『磁石』は、全員が持っている。ーーーーー原理の分からない話だが、磁石が彼女の時間操作能力を無効化してくれるらしいな。」
「そうか。なら良い。」
チェーンソーマンは納得した様に頷いた。チェーンソーマンも最初から磁石を持っていたという事は、彼も彼女との交戦経験が有るのだろうか?
ーーーーーそう思い尋ねてみると、予想通り彼はソレを肯定した。
「ーーーーー有るな。…だが、決着が付かなかった。性能は俺の方が上だが、タイマンには持ち込めなかったし、アイツは自分の時間を加速させて高速移動が出来る。…1人で相手するのは、厄介な奴だ。」
「───はーい質問♪スキビディトイレは、なんで彼女を態々洗脳してるの?やっぱり、戦力にするため??」
シザースカメラウーマンの問いには、スマホの中の〈ミク〉答える。
「…その通りだと思います。時間操作能力を持っている彼女は、洗脳すれば強力な戦力になりますから。───彼女を含めた
「戦いが始まった初期の段階……。いやーーーーー『クロック族』って事は、
俺の言葉にミクは頷く。プランジャーマンを含めた他のメンバーも、コレには少し驚いている様だった。
「あれ〜?〈
シザースカメラウーマンがそう口を挟む。
(…テレビマン系統は?)──と俺は思ったが、それは一旦置いて彼らの話を聞くことにした。
「ーーーーー私も詳しくは知りませんが、クロックタイプも実は少し作られていたのです。…製作コストが非常に高く、作られたのは僅かでした。しかし、彼等は対トイレ軍の切り札として
「初耳だな。それは。」
デッキブラシマンが興味深げに呟く。
ミクは話を続けた。
「しかし、本当に最初の段階でクロックタイプは倒されてしまいました。結果、彼等は本格的な戦いに参戦することすら出来ず、トイレ軍に蹂躙されたのです。貴方達が彼らの存在を知らないのも、無理はありません。……
「惜しいな……。1人でも生き延びていたら、歴史は変わっていたかもしれないのに。」
プランジャーマンが額(にあたる部分)を抑え、そう呟いた。
「警戒されてた…って事ッスね。ーーーーーまぁ、確かに時間操作能力を持つ集団なんて、敵からして見れば真っ先に潰したいッスからね。」
サプレッサーマンが納得したように頷く。
……しかし、他のクロックタイプがトイレ軍に破壊されてしまったのならば、〈
それなら、他のクロックタイプも洗脳して使いそうな物だがーーーーー
「……後は、
そう考え込んでいた俺の隣で、チェーンソーマンがそんな事を言った。
〈機士廻生〉──それは、〈7人の機士〉と俺だけが持つ、最後の切り札。一度発動すれば圧倒的な力を手に入れられるが、代償として体力が削られる。
確かに
「ーーーーー特別…ってのは?」
俺の問いに、チェーンソーマンは指を立てて答えた。
「全ての〈機士〉には、
「「「………????」」」
もしも俺たちの顔に目が合ったら、間違いなく全員の目が点になっていただろう。
暫し理解に時間を要し、軈てその言葉の意味を理解した瞬間、俺達は彼女の能力の凄まじさに気付いた。
「平行同位体の召喚?!ーーーーーそ、それってつまり、姿も能力も全く同じ存在をもう1人喚び出せるって事か!?」
「わ〜☆なんかすっごーい♪」
「なんスか!?そのとんでも能力は!!」
「別次元に干渉するなんて、理論が気になるね…。」
「驚異的だな……その気になれば、戦力を文字通り倍に出来る。」
口々に驚嘆を口走るカメラマン達。ナイフマンも感心した様に頷いている。
「あァ、正にとんでも能力だ。トイレ共はその能力を手中に収めたかったんだろうな。」
チェーンソーマンはそう言って、肩を竦めた。
「まァ、〈機士廻生〉システムには高度なセキュリティロックが施されてる。……悪意ある利用が誰にも出来ねェようにな。ーーーーー現に今、トイレ軍は彼女の〈機士廻生〉を扱えてない。」
「それは───一安心、って言って良いか?」
「良いぜ。今ン所な。……勿論解析は進めてるだろうが。」
頷くチェーンソーマン。
ーーーーー丁度その言葉が終わったタイミングで、長い通路が終わり広い部屋に俺達は辿り着いた。
鋼色に光る金属製の壁が周りを囲み、天井はかなり高い。広間からは六方向へ通路が枝分かれしており、部屋の中心には巨大なトイレの銅像らしき物が立っていた。
壁には冷たい乳白色の光を放つランプが埋め込まれ、何処となくエントランスホールらしさも感じる。
「此処が最初の部屋っぽいな。」
そう俺が呟くと、プランジャーマンが頷いた。
「ああ。敵影は見えないが、気を付けろよ。」
ーーーーーと、正に彼がそう言った瞬間。
『来ましたね。侵入者諸君。』
ーーーーー
「「「……ッ!!!」」」
一斉に身構えるプランジャーマン達。
今のは『こっちのミク』が喋った訳では無い。彼女は、チェーンソーマンのスマホの中で口を閉ざしている。
ならば喋ったのはーーーーー『もう1人のミク』だろう。
───ヴォン、という耳障りな音が鳴り、フロア中心にあるトイレの銅像の目が光って、そこからホログラムが1つ投影された。
そこに映し出されたのは、全身が暗い
間違いなく、敵の手に堕ちた〈戦術級汎用電脳仮想体MIKU〉ーーーーーその本体だ。
『雁首揃えてノコノコと──。コレこそ正に、鴨が葱を背負って来る、って物ですね。』
そう言った
それと同時に、俺達が通ってきた通路を除く全ての通路から、大量の〈スキビディミュータント〉達がゾロゾロと湧き出して来る。
ーーーーー全員が身体のあちこちに機械パーツを装着しており、まるで人型のロボットの様だ。
「武装したミュータント!?」
「大勢でお出ましかッ!!」
素早く戦闘態勢を整える俺達の前で、灰ミクが指揮棒の如く手に持った葱を、俺達へ突き付ける。
『さぁ!
嗜虐的さすら感じる顔で言い放つ灰ミク。
同時に全ての〈スキビディ・サイボーグ〉が、俺達へ怒涛の勢いで襲い掛かった─────
ということで42話でした。
クロックタイプについての設定説明と、明らかとなる
平行世界から平行同位体を召喚するとか言う、SFめいた能力ですが、やっぱチートでしょコレ。プランジャーマン増やせるんだよ??
デジタルキャッスルでの戦いはこれから始まりますので、続きを──いつになるか分からないけど、待ってて下さい(*´∀`)