Skibidi_Toilet Multiverse〜Alternative〜 作:犬社長
…………遂に『彼』の登場です。
◇◆◇
アイボの後に続いて廃墟と化した街を歩く。
ーーーー積み上がる瓦礫の山を越え、人気の無い荒れ果てた公園を横切り、アイボは歩き続けた。
【報告:aiboの内部電力 残り40%】
「残り4割か。…大丈夫か?アイボ。」
「ーーーーワフ。」
スキャン機能が、俺にアイボの状態を定期的に教えてくれる。現状アイボの動きに変化は見られないが、余り電力が減るのは避けたい所だ。
(ーーーーそれにしても……。さっきから、何か変な気配を感じるんだよな……。見られてると言うか…。)
歩きながら、俺は周囲を見渡す。
先程、レーザートイレ達を倒してからというもの、何処からか監視されている様な気がしてならないのだ。
お陰でかなり落ち着けない。
(でも何の反応も周りに無いし、唯の気のせいなのか…??)
ーーーーただの気のせい。……そう俺が結論を下しかけた時、不意に違和感が大きく膨れ上がった。
(……な?!)
コレはもう、『変な気配』と言うレベルでは無い。
もはや
「SKIBIDI!!!!!」
ーーーー瞬間、後ろから殺気の塊が迫って来た。
「ーーーーッッ!!!」
ソレが何か認識するよりも早く、俺はその場から飛び退る。
ズドンッ!!、と俺が居た場所に『何か』が勢い良く着地し、砕かれた道路の破片が舞い上がった。
「今度は何だ!?」
道路に着地しつつ、俺は刀を抜刀する。
アイボも、いざという時には俺を守れるよう、俺の側に素早く駆け寄って来てくれた。
「……SKIBIDI dop dop Yes Yes……。」
舞い上がる土煙の中から、ゆっくりと襲撃者が姿を現す。その姿を見て、俺は驚いた。
「…な!ーーーー人?!いや…でも便器もある!人とトイレのハイブリッドか!?」
「バウバウ!!」
アイボも、警戒するように鋭く吠える。
そして、俺のスキャン機能が発動し、目の前に現れた敵の情報を知らせてくれた。
【個体名:デスクロー・スキビディミュータント
状態:正常
戦闘シュミレーション結果:勝率30%
(要警戒)】
「……勝率30%だと!?ーーーーコイツ、強い!!」
スキャン結果を見て、俺は驚きを隠せなかった。まさかの勝率が半分どころか、3割と言うのは衝撃的である。
それに、名前にデスクローと付いているので、あの巨大な【デスクロー・ギガトンスキビディトイレ】との関連性を考えずには居られない。
その見た目も、背中から伸びた1本の長いアームに、紫色のヘルメット&半透明のバイザーと、非常に似通っている。
果たして、ギガトンスキビディとどのような関係に有るのか疑問だが、今はそんな事を考えている暇は無さそうだ。
「…SKIBIDI」
ミュータントが小さく呟くと、その姿が消える。ーーーー否、消えた訳では無い。あまりにも移動速度が速すぎて、消えたように見えるだけだ。
(ーーーー右横ッ!!!)
焦燥感を覚えつつ、俺は迫るミュータントの拳を回避した。
残像が残る程の攻撃速度に何とか対応できたのは、
「SKIBIDI!」
(…ッ!左ストレートが来る!)
続く追撃の左拳も何とか回避し、俺はミュータントの胸目掛けて刀を振り抜いた。
ーーーーが、ミュータントが後ろに下がった事で空振りに終わる。
(くそ…!コイツ、刃が届かないギリギリを見極めてやがる!)
無駄の無い回避に歯噛みする俺。ヤツは間合いを読む力に長けているようだ。
ーーーーだが、此処で攻撃の手を緩めるわけにはいかない。
俺は前に勢いよく踏み出し、果敢に挑みかかった。
「SKIBIDI…!!」
上段斬り、中段斬り、斬り上げ、斬り下ろし、突き、薙ぎ払い、と矢継ぎ早に技を繰り出して、ヤツを追い詰めていく。
そして、遂に俺の放った刃がミュータントの首元へ迫りーーーーーーーー
(もらった!!!)
ーーーーそう確信した瞬間、ガツンッッッ!!と激しい衝撃が俺を襲った。
「ーーーーぐはッ?!」
視界が激しくブレて、コンクリの壁に勢い良く全身が叩きつけられる。
【報告:左腕損傷 HP残り80%】
「痛え……。いや、痛覚は無いけど…!」
視界に映る文字列を見ながら、俺は起き上がる。…損傷した左腕を見てみれば、二の腕に斬られたような傷が出来ていて、中の配線が少し見えていた。
ミュータントの方を見れば、ヤツの背中から伸びるアームの先端が此方を向いている。
どうやら、アレで横から殴り飛ばされたらしい。左腕は、その時に先端の鋭い爪に裂かれたのだろう。
(初めてキツイの一発貰っちまったな……。ーーーーあのアームも警戒しとくべきだった。)
幸いにも、左腕はまだ動く。まだ刀は握れる。
「……SKIBIDI。」
立ち上がった俺を見て、「頑丈だな」とミュータントが呟いた気がした。
ーーーーそして、ヤツは此方に向けたアームの先端を大きく開く。
開かれた先端の3本の爪に、紫色のスパークが宿った。
「SKIBIDI SKIBIDI。」
「…!?」
次の瞬間、アームの先端に宿ったスパークが、レーザー弾の様になって放たれる。
(遠距離攻撃?!)
あのアームは、近距離戦の武器であると同時に、遠距離攻撃も可能な物だったのだ。
一瞬の内に俺の目の前まで迫るレーザー弾。
「ワン!!」
「ーーーーッ!アイボ!!」
ーーーーしかし、間に素早く割り込んだアイボがシールドを展開して防いでくれた。
ズドンッッッッ!!!!
青いシールドと紫の光弾が激突し、激しい爆発が起きる。生じた爆風で、俺とアイボは少しだけ後ろへ押しやられた。
「くそ……爆発の威力がレーザートイレ達とは段違いだ…!」
そうぼやきながらアイボのシールドを見てみると、少しノイズの様なヒビ割れが出来ていた。
(一発でコレか…!二発三発と受けたらマズいな、コレは…!)
……レーザートイレ達では傷一つ付けられなかった筈のシールドに、たった一発でヒビが入ったのだ。驚異的な威力である。
「……SKIBIDI…」
立ち込める爆煙の向こうから、ミュータントの声が響く。そして、煙の合間からロックオンサークルがちらりと見えた。
「ーーーー来る!!」
「バウ!!」
刀を構え直す俺。アイボもシールドを張ったまま身構えたが、ミュータントの方が上手だった。
「SKIBIDI!!!」
「ーーーー上かッ!!」
ドヒュンとミュータントが煙を切って跳び出して来る。現れた場所は、俺たちの上。
アイボのシールドが正面しかカバー出来ず、且つ高さにも制限がある事を見越しての、大ジャンプだった。
こうしてシールドを飛び越えたミュータントは、ジャンプの勢いそのままに飛び蹴りを此方へ放ってくる。所謂、ライダーキックだ。
「くっ…!」
「ワン!」
俺とアイボはその場から飛び退り、放たれる蹴りを回避する。
ーーーーーードゴンッッッ!!!
地面を砕きながら着地するミュータント。
その着地際を狙って俺はヤツに斬り掛かる。
ーーーーが、その一太刀はミュータントの右腕に止められた。
「な!?」
ーーーー火花を散らし、せめぎ合う刀と右腕。
俺の刀は、ミュータントの腕を斬り落とす事が出来なかったのだ。
(コイツ硬え!!!)
まさか斬れないとは思わず、俺は一瞬狼狽える。その隙をついて、ミュータントが俺の腹に膝蹴りを叩き込んで来た。
ガキンッッッ!!と金属同士がぶつかり合う音がして、俺は宙を舞う。そして、背中から地面に叩きつけられた。
「ぐふッ?!」
ゴロゴロと地面を転がる俺。ミュータントが、俺目掛けてクローの先端を向ける。ーーーーその先端に、紫の光が宿った。
(マズい…!レーザーが来るッ!!)
「ワンワン!!」
アイボが俺を守ろうと走ってくる。
しかし、それよりも早く俺への攻撃を中断したミュータントがアイボへ接近し、勢い良くアイボを蹴り飛ばした。
「ーーーーキャインッ!!」
蹴り飛ばされ、瓦礫の山の中へ叩き付けられるアイボ。
「アイボォォッ!!!」
【報告:[aibo]のHP 残り35%
[aibo]の内部電力 残り20%】
たった一蹴りで、全体の6割強の体力が削られてしまっている。更に、シールドを使用したせいか、内部電力もゴッソリと無くなっていた。
「まじかよ…ッ!」
慌てて俺は起き上がり、アイボを守るべく走り出そうとする。
「…SKIBIDI。」
ーーーー「…馬鹿め。」とミュータントが嘲笑った気がした。
そして次の瞬間、ヤツの構えるクローの先端からレーザー弾が放たれる。
そして、ソレは真っ直ぐ俺に向かって飛んできてーーーーーーーー
「くっ!!」
咄嗟に右手を顔の前にかざして庇う。瞬間、今までで一番強い衝撃が俺を襲い、視界が激しく二転三転しながら吹き飛ばされた。
「がはッ?!」
そのまま軽く10メートルは吹き飛び続け、そしてアスファルトの上に叩き付けられる。
……ボトッ。
歪む視界の中、俺の少し手前に黒くて長いナニかが落ちた。………アレは、俺の右腕だ。
【警告:右腕欠損 HP残り50%
システムエラー:駆動システムに異常発生
メインカメラに損傷発生
排熱系統の一部機能が損傷
疑似神経システムの一部が機能停止】
報告が警告へ変わり、文字の羅列が俺に状況の悪化を絶えず伝えてくる。
「くそ…………。」
ーーーーやはり勝率30%なだけあって強い。だが、ここまで歯が立たないとは、正直思っていなかった。
「SKIBIDI dop dop Yes Yes………。」
口元に勝ち誇った様な笑みを浮かべながら、ミュータントが此方へゆっくりと歩いて来る。
しかし、左腕にダメージを負い、右腕も千切れてしまった今の俺に、出来ることなど何一つもなかった。
瓦礫の山に突っ込んだアイボもまだ動けない。……もはや万事休す………と俺が思ったその瞬間、
「ーーーー勝ち誇るのはまだ早いぞ。デスクローミュータント。」
「SKIBIDIッ!?」
ーーーーガツンッッッ!!!と、ミュータントの胴体がくの字に折れ曲がる。
…突然俺とミュータントの間に割り込んで来た『
「SKIBIDI……!!」
殴打された胴体を押さえながら、ミュータントが後ずさる。
(な………?!)
ミュータントを殴り付けた黒いカメラマンが、此方へゆっくりと振り返った。青い光を湛えたレンズが、倒れ伏す俺を見つめる。
「大丈夫か。同胞。」
「………!」
俺は唖然としたまま動けない。まだ生きて動いているカメラマンを見るのは、コレが初めてなのだ。
……ピピッ
スキャン機能が発動し、そのカメラマンの情報を視界に映し出した。
【個体名:ブラックカメラマン(プランジャーマン)
識別番号:A-2023626-P
状態:正常】
「プ…プランジャー、マン……??」
俺の呟きに、彼は小さく頷いて親指を立てる。
「…待っていろ。ーーーー直ぐにカタを付ける。」
そして、彼は右手に持つ赤色のプランジャーを構えると、ミュータントに向かってゆっくりと歩き出したのだった。
遂に登場〈プランジャーマン〉!原作死亡キャラ生存タグはこの時の為にあった!!主人公は遅れてやってくるモノ!!!(注:この小説の主人公はブレーダー君です)
プランジャーマンの口調とかは、完全にコッチの妄想になってしまいますので、もしもアドバイス等有ればお気軽にどうぞ。
次回、プランジャーマン以外にも原作キャラ続々登場予定ですので、気長に待っててね()