魔法少女リリカルなのは~Amantes Amentes~ 作:鏡圭一
それではどうぞ!
「ある日、気がついたときから不快だった。どうして俺の顔と声が変わっている。常に変わることなく俺を不快にさせる。なんだこの姿は? 動きにくいぞ消えてなくなれ。俺はただ、知りたい。どうしてこの姿になっているのかを」
俺はそう言ってから、思いっきり息を吸って、
「どうして俺がメルクリウスになっているんだあァァァァァァァァァァァ!!! そして、メルクリウス超ウゼェェェェェェェェェェ!!!!」
そう、俺は何故か宇宙一ウザくて、宇宙一強いニートにして、第四天・メルクリウスになっていた。
あれから、どれ位たったのだろうか。何故か知らないが、私の口調が変わり始めているのだが……なるほど、これが噂に聞く水銀汚染というものなのか。どうやら、本来の私……『メルクリウス』の記憶を受け継いでいるらしい。前回の永劫回帰で獣殿とツァラトゥストラとの三つ巴に私が勝利したらしい。いやはや実に今の私にとっては未知だ。
「しかし、ここはどこなのだ?……マルグリットがいないとはおかしい」
私はマルグリットの様子を見に来たのはいいのだが、目的のマルグリットがいない。さらに黄昏の浜辺に行ってもマルグリットがいないとは、今は19世紀後半だというのに、……いくらなんでもおかしい。
私はマルグリットの墓に行くことにした。
「バカな!? ……マルグリットの墓が無いとは」
私は絶句するしかなかった。マルグリットの存在が消えているとは……さらに言えば座の存在が無くなっていた。だが、私は座にいた頃の力を持っている。
「私はこのような未知などいらない。故にこの世界に興味など無い」
私はこのままずっとこのようなつまらない世界に居なければならないのかと思っていたが、
「ん? 何だこの膨大の魔力は」
今まで感じたことのない魔力だ。……まあいい。これも新たな未知だ。精々私を失望させてくれるなよ?
私が膨大な魔力の反応があった
さて、下らないことを考えるのを止めるとして、肥満体質の男が頭を抱えながら悲鳴をあげているのだが、まぁ、なにかしらの余興なのだろう。
次の瞬間、男の姿は消えて現れたのは、黒い翼を羽ばたかせながら涙を流す銀色の髪の美しい女性だった。
「また、すべてが終わってしまった……一体幾度、どれだけ同じ悲しみを繰り返せばいい?」
なるほど。あの膨大な魔力は彼女から出ていた物か、
「私は闇の書。この力は全て主のため、そして、御身の願いのままに全てを終わらせましょう」
私は一度も恋をしたことなどなかった。だが、今の私は目の前の女性をとても美しく、そして如何なる手を使っても守りたいとまで思ってしまっている。
「ああ、なるほど。これが恋という未知なのか? ああ、素晴らしい。この感情を誰に否定できよう。私は今…生きている!!」
私の感情を自覚している間に、彼女は魔法を発動する瞬間だった。
ああ、また主が死んでしまったのか? 私はそう思いながら、今まで主が何を行ってきたのかを知る為に、主の記憶を見た。
記憶を見ると、主は女を誘拐する為に守護騎士を使い、さらに、する必要がない夜天の書を改造……いや、改悪して、最終的にそれが原因で主は魔力の暴走で死に、私が起動してしまった。
私は理性があるものの、夜天の書の改悪が原因で思った通りに動くことができない。
やめろ! 私は無意味に人を殺したくない! やめてくれ!!
私はそう強く思い抵抗していたが、その思いは叶わず、夜天の書に記録されている、現時点での最も威力に大きい広範囲攻撃魔法『デアボリック・エミッション』が発動してしまった。
ああ、私は数多くの罪の無い人間を殺し、あと数分でこの世界は消滅してしまう。これからもこの呪いで私は数多くの人間を殺すのかと思い、絶望していると、
「あなたに恋をした。あなたに跪かせていただきたい。花よ」
そう言って跪いていたのは、老人の様な雰囲気の長い蒼い髪の青年だった。
「あなたに恋をした。あなたに跪かせていただきたい。花よ」
私は先程の魔法を喰らってもまったく傷を負っていないどころか、ボロボロのマントにも損傷はなかった。やはり私に傷を負わせることができるのは獣殿、ツァラトゥストラ、マルグリットしかいないのか。
「お前は誰だ?」
「おや。どうやら自己紹介がまだだったね。私はヘルメス・トリスメギストス、カリオストロ、カール・エルンスト・クラフト、ノストラダムス、パラケルスス、クリスティアン・ローゼンクロイツ、ジェフティ。と色々な名前があるが、カリオストロとお呼びください。我が愛しの女神よ」
私が女神と言うワードを出した瞬間、女神は悲しそうな表情になり、
「やめてくれ。私は女神ではない。それに…もう私は罪の無い者の血で穢れている。だから、私を女神と呼ばないでくれ」
美しく悲しそうな声で私にそう言った。やめてくれ。そのような悲しい表情をしないでくれ。私はあなたの笑顔が見たいのだから。
「いや。あなたは女神だ。普通の人間は殺した人間の為に涙を流すことをしない。だが、あなたは殺した一人一人の為に涙を流している。私はそんなあなたの姿を見て女神だと思ったのだよ」
「違う。これは主が流している涙だ。私の涙ではない」
どうやら女神は涙を流していることを認めないらしい。少し頑固だが、中々にかわいらしい。万年処女のザミエルとは大違いだよ。
「先程の様子を見たが、あなたの主と呼んでいた塵芥は私利私欲に走り、仕舞いには自ら自滅した愚かな存在だとしか思えない。ゆえに女神よ、あなたのその涙は紛れもないあなた自身の涙だ」
「……そうか。これが私の涙なのか」
女神はどうやら自らの涙を自覚したみたいだ。……そういえば、まだ女神の名前を聞いていなかったな。私としたことが、女神の涙に魅入ってしまって忘れていたよ。
「突然で悪いが女神よ。あなたの名前をお聞かせ願いたい」
「すまない。私には名前がない。そして、私の名前を決めることができるのはこの夜天の書の主だけだ」
女神は申し訳なさそうな表情で私にそう言った。
「いいやあなたのせいではない。ならば女神よ。もしあなたの名前が決まった時は私に教えていただけないだろうか?」
私が女神にそう言うと、女神は笑顔になり、
「その時お前が私の傍にいればな。……どうやらもう時間らしい。また会おうカリオストロ」
女神がそう言った次の瞬間、女神が消え、世界が闇に飲み込まれた。当然、私にはまったく傷など存在しない。
「ああ。また会えるのを楽しみにしているよ。我が女神」
私は消滅した世界を見ながら元の世界に転移した。