魔法少女リリカルなのは~Amantes Amentes~ 作:鏡圭一
それではどうぞ!!
『蓮急いで! ジュエルシードが発動している!!』
「ああ。分かってるよ!」
俺は右肩にフェレット状態のユーノを乗せて近くの神社に向かっていた。後、これは昨日知ったことなんだが、ユーノの正体はフェレットじゃなくて人間だった。どうやら人間の状態よりもフェレットでいた方が魔力の効率が良いらしい。
ああクソ! 今日は早く宿題を終わらせて新作のゲームを進めようと思ったのに。そう思っていると、何時の間にか神社に着いていた。でも、ちょっと待てよ。昨日から思ったことなんだが、どうして息切れが起きてないんだ? 家からここに来るまで約3キロはあるんだぞ。今思えば、俺が着けているペンダントが原因じゃないかと思い始めている。
「来るよ蓮!!」
ユーノが言った次の瞬間だった。俺が咄嗟に後ろに避けて右を向くと、そこには黒い2対の頭を持つ魔犬がいた。
「気をつけて蓮! どうやらジュエルシードが生物に宿ると生物は莫大なパワーを得るみたいだ」
「ああ。そうみたいだな」
左の頬がほんの少し切れている感触があるから完璧には避け切れていないみたいだ。俺は意識を魔犬に集中すると、右腕からギロチンが形成された。
前に親父から色んな国の神話について教えてもらった時にあの魔獣の名前を聞いたことがある。……確か。
俺の首を引き千切ろうと血走った目を向けてきた魔犬に俺はギロチンを構えた。……その時だった。
いきなり銃声が鳴り、魔犬の顔の一つが抉れたかと思うと瞬時に魔犬の顔は再生した。
「おいおい。どうしてこんな所にギリシア神話のオルトロスがいるんだよ?」
俺の後ろから声が聞こえて後ろを向くと、そこには赤を基準とした左腕の部分の肌を露出させた服装で、左手には俺達子供が持つべき物ではない銃のデザートイーグルをクルクル回しながら人を馬鹿にするようなニヒルな笑みを浮かべる奴は俺が知る限りでは1人しかいない。
「よお蓮。中々面白そうなことしてんな。俺も混ぜてくれよ」
「はぁ。……お前には言っても無駄だからあえて言わないけど。これだけは言っておく。足手纏いになるんじゃねえぞ司狼!」
「おいおい蓮。誰にもの言ってんだよ。お前の方が足手纏いになるんじゃねぇよ。……まあ、冗談は置いとくとして、事情はお前の親親父から聞いている。なのはが来ないことにはあの化け物には勝てねえみたいだし、それまでの間、派手に暴れようぜ!!」
司狼の言葉が合図となったのか、俺達の戦いは始まった。頼むから死ぬんじゃねぇぞ司狼! 俺はそう願いながらオルトロスに向かって攻撃を始めた。
俺は遊佐司狼。何時もの様に家に帰り、リビングに行くと、
「お帰り司狼。母さんが菓子を作ってるから、手洗って来いよ」
「了解。そんなことより、親父そろそろ働け」
俺に話しかけてきた和服を着た20代位に見える男は俺の親父のジューダス・ストライフ・遊佐。元俳優らしいが、今のある意味ニートのような生活を見ていると、とてもそうだとは思えねぇ。
「残念だが、俺は働かねぇ!! 母さんと司狼がいればもう何もいらないからな。平穏が一番だ。それに、金なんて株やFXで稼ごうと思えば稼げるんだから問題ねぇよ」
このダメ親父はダメ男の典型的な例なんだが、親父の通帳を見てみると、億を軽く超えている金額が預金にあることから、本当に株やFXで稼いだんだなというのが理解できた。元々ストライフ家は勘がとても良く、賭け事でも外れることが殆どなかったらしい。
「アナタ。ホットケーキできたわよ。それと司狼おかえりなさい」
「ああ。ただいま母さん」
俺に話しかけてきた20代に見える綺麗な女性は俺の母さんの遊佐聖菜。大和撫子の様な容姿だが、高校時代の母さんは今のお淑やかとは180度違い、バリバリの暴走族で喧嘩もかなり強かったらしい。
親父と母さんが結婚する切っ掛けは、親父が17歳の時に海鳴に引っ越して来た時、敵の暴走族に囲まれていたのを親父が助けたことで母さんにライバル認識されてしまい、親父と母さんが喧嘩を何回かする内にお互い惹かれ合ったらしい。
「じゃあ、食べるか」
親父はそう言ってホットケーキを一口入れると、
「う~ま~い~ぞ~~!!」
親父は大声をあげて喜んでいた。ったくガキかよ。
「おいおい。近所迷惑だから大声をあげるのは止めろよ馬鹿親父。……痛っ!? 何すんだよ母さん!?」
いきなり母さんに殴られて泣きそうになりながら反抗しようとするが、目の笑っていない笑顔のせいでその気は失せてしまった。
「司狼。貴方のお父さんに向かって馬鹿はダメでしょ? ほら司狼。お父さんに謝りなさい」
「ははは。まあいいじゃねぇか母さん。子供はこの位生意気じゃねぇと可愛げがねえよ」
これだよ。これがあるから親父も母さんも嫌おうとしても嫌えねぇじゃねえかよ。
「ほら早く食わねえとホットケーキが無くなっちまうぜ?」
「ああ。分かったよ」
俺は親父達に笑顔で見守られながらホットケーキを食べた。ちなみに母さんは翠屋のアルバイトでなのはの母親からお菓子作りのコツを教えてもらっているから、お菓子が旨いのは当たり前だ。味はかなり旨かったとだけ言っておく。
部屋に戻って宿題を始めようと思い部屋に入ると。
「やあ遊佐司狼。君が余りに来るのが遅かったから勝手だと思うがお邪魔させてもらったよ」
そこには蓮の親父の
「おいおい。俺に変質者の知り合いなんていないぜ?」
「おや、これは失礼した。だが、君にとって嬉しい情報を持って来たのだがね。まあいらないと言うのなら私はこのまま帰るだけだが」
「まあ待てよ。アンタがここにいるってことは、蓮関係のことなんだろ?」
蓮はトラブルメーカーだからつるんでいて退屈がねえからな。
「然り。現在蓮は……いやこうした方が早い。遊佐司狼一瞬の激痛だが我慢したまえ」
「は?」
どういうことだよ? と言おうとした瞬間、蓮の親父が俺の頭に手を乗せ、
「『
そういった瞬間だった。いきなり頭に激痛が走ったその後、蓮が異形と戦っていること、とろは(高町なのはのアダ名)が異形を封印する方法を知っていること、ジュエルシードと呼ばれる宝石に世界を滅ぼすほどの力が宿っていることなどを理解した。
「あの野郎。俺に黙っておもしろいことしやがって」
俺は急いで蓮がいる神社に向かおうとすると、
「まあ待ちたまえ。君にこれを与えよう」
蓮の親父はそう言って、ネックレスを俺に投げてきた。俺はそれを受け取り形を見ると、十字架をモチーフにしたかっこいいデザインのネックレスだった。
「何だよこれ?」
「唯のプレゼントだよ。これからも息子のことをよろしく頼むよ遊佐司狼……いや『ゲオルギウス』」
蓮の親父はそう言って俺の部屋からまるで影のように姿を消した。っと! そんなことよりも早く蓮の所にいかないとな。俺はそう思いながら神社へと急いだ。途中、オッドアイの野郎と勘違い系俺様の2人に出会って『モブ』って言われたことにムカついていると、何時の間にか持っていた銃に疑問を覚えながら2人を気絶させた。気絶した2人に言えるのはテメェがモブだってことだな。
「おいおい。こんなことで……へばってんじゃねえよ蓮」
「それは……こっちのセリフだバカ司狼!」
俺達は肩で息をしながらお互いの背中を合わせてオルトロスの攻撃に警戒していた。オロトロスの一撃はそんなに大したことはないが、とにかく早い! 幸い、大した傷を負っていないから、奴の動きさえ止めてしまえば逆転の一手が生まれるんだが、現実はそんなに甘い訳がなく、お互いに一手を決められずにいた。
そんな時だった。神社に膨大な魔力が近づいていることに気付きその方向に向くと、そこにはなのはがいた。
「蓮君と司狼君! 私やっと覚悟ができたよ!」
「バカ野郎! なにやってんだ! とっとと変身しろ!!」
「そうだぜ。早くしろよとろは! っ! 危ねぇ!」
司狼がそう言った時だった。オルトロスはなのはに向かって噛み砕こうとしていた。
だが、なのはの目の前にピンク色の魔方陣が現れて、オルトロスの攻撃を防いだ。
「レイジングハート! Set Up!!」
なのはがそう言うと、突然なのはの周りに光が現れて、瞬時に聖祥学園の制服みたいな服を着ていた。
「ウソ!? 詠唱なしでセットアップができるなんて。……もしかしてレイジングハートはなのはのことを正式なマスターと認識したの!?」
ユーノがかなり驚いている所を見ると、どうやらなのはのやっているのはかなり凄いことらしい。
「なあ蓮。あのクソ犬を押さえる方法が浮かびあがったから、俺があのクソ犬を押さえている間に攻撃しろ」
「分かった」
俺がそう言うと同時に、司狼は鎖を形成し、オルトロスを縛っていた。
「こいつは『ゲオルギウス』の能力の一つ、拷問器具の生成だ。さあ苦しみを味わえやこのクソ犬!!」
司狼が形成した鎖によって苦しんでいるオルトロスにこれはチャンスだと思った俺はオルトロスを一刀両断する為に意識を集中させ、
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
疾走し、その勢いでオルトロスの首を刎ねて、体を一刀両断にする。
「今だ! 早く封印しろ!!」
俺が叫びながらそう言うと、なのははレイジングハートと呼ばれる杖をオルトロスに向かって振り下ろし、
「ディバインバスターァァァァァァ!!」
ピンク色の光線をオルトロスに放ち、その光線がオルトロスに直撃する。
「ジュエルシード封印!!」
そして、オルトロスからジュエルシードが現れてそのまま地面に落ちると、オルトロスは姿を消し、気絶しているチワワが現れた。どうやらこのチワワがジュエルシードの媒体になったみたいだ。
「おいおい。なんだよあの破壊光線は? 龍球の技かよ?」
「さあな? 多分本人は否定すると思うけど」
俺と司狼はなのはの魔法に唖然としていると、なのはがこっちに向かって来た。
「蓮君。私忘れてた。何事にも全力全開だってことを。遊びだとは思わないから蓮君とユーノ君のお手伝いをさせてください!!」
「……好きにしろ」
俺はなのはの決意に何も言えなくなってしまい、思わず許可を出すと、なのははかなりやる気になっていた。まあ、なのはが無理をしそうになったら俺が止めればいいんだ。そう思っていると、
「とろはが良いんだったら俺も良いよな?」
「ちょっと司狼君! 私全然トロくなんかないよ!?」
「はぁ~。まあいいけど、足手纏いになるなよ司狼」
「了解」
まあ、なんだかんだあったけど。無事に済んで良かった。……だけど、これは本格的に父さんに鍛えてもらわないとな。そう思いながら3人で家に向かって歩いて行った。