魔法少女リリカルなのは~Amantes Amentes~ 作:鏡圭一
これからのこの小説をよろしくお願いします!
金曜日の昼休み、昼食を食べ終わった俺は何時もの様に屋上で寝ようと思い教室から出ようとすると。
「蓮君ちょっといいかな?」
「ん? どうしたんだなのは?」
顔を赤くしたなのはが声をかけてきた。なのはとはジュエルシードが切っ掛けとなって父さんとの練習以外の日は一緒に模擬戦をしたりしている。ユーノ曰く、『なのはの砲撃の才能は管理局のエースに匹敵する』らしく、実際に模擬戦をすると、確かに近距離が得意な魔導士ならば高威力の砲撃で迂闊に近づくことが出来ないかもしれない。だけど、父さんとの地獄の修行のおかげで砲撃なら斬ることが可能になった。
あと、活動位階を極めたからなのか、時々俺と父さんの声と同じ声が聞こえるようになった。ソイツの名前は確か……『ロートス・ライヒハート』だったな。
「あ、あのね。明日お父さんが監督をしているサッカーチームの練習試合があるんだけど。蓮君も来てくれるかな?」
そういえば、士郎さんって翠屋のマスターの他に小学生にサッカーを教えているんだったな。
「別に大丈夫だけど、他に誰がサッカーを見に来るんだよ?」
「今のところ誘っているのはアリサちゃんとすずかちゃんとエリーちゃんの3人だけだよ」
まだ3人にしか誘ってないのは俺達と違うクラスだからだな。多分これから司狼達に声をかけようとしてここに来たことはすぐに察することができた。ちなみにどうして杏奈の名前がないのかについては、多分なのはの中で杏奈は必ず来るからカウントには入っていないからだろう。
「分かった。とりあえず皆にもそのことを……」
「その必要はないよ藤井君」
言葉を遮られ、背後から気配がして振り向くと、先輩と何時ものメンバーがいた。
「先輩。何時もなら屋上に行ってサンドウィッチを1人で食べてませんでしたっけ?」
「藤井君がここにいるような気がしたからここに来たんだよ」
そういえば、先輩ってある意味電波少女だった。そしてマリィも俺に近づいて来て、
「ナノハ。私もサッカー見に行っていい?」
「うん! マリィちゃんたちが見に来てくれるとお父さんたちも喜ぶよ!」
「勿論俺も行くぜ。プロのサッカーを見るのもいいが、小学生のサッカーを見るのも面白そうだしな」
「綾瀬さんと私は練習試合が入っているから無理ね。……本当だったら行きたかったけど」
香純と櫻井は剣道部の練習試合か。少し早いかもしれないけど、夏の大会に向けての練習試合となるとやっぱりこの時期が丁度いいのかもしれない。
「アタシはパス。本当は一緒に行きたいんだけど、週末に家族でネズミの王国に行くことになったんだよね」
おい馬鹿やめろ! 今危険なワードが出たぞ!?
「おいおい正気かよ? ネズミの王国は唯でさえ金を消費するのに、さらにファミレスと対して変わんねぇ味の料理を高い金使うんだろ? それに比べて、なのはの親の練習試合に行って応援すれば、翠屋の旨いシュークリームがタダで食えるんだ。どっちが得か分かってんだろエリー?」
おいおい司狼考え方がひどいぞ。まあ、確かに翠屋のシュークリームはおいしいし、タダで食べられるのは嬉しいけどさ。しかも、なのはとすずかは苦笑いしてるし、アリサに至っては乙女フィルター全開なのか司狼を見て顔を赤くしてる。
「私は藤井君が応援に行くんだったら行くよ。それにネズミの王様よりもく○モンも方がかわいいと私は思うの」
先輩の電波も相変わらずだな。それに、サッカーの観戦にユーノも連れて行こう。アイツはスクライア一族からあんまり出たことがないからなのか、スポーツのことについてもあまり知らないからな。
『大丈夫なのかお前の友達は? 正直話に着いて行けているお前が凄いと思い始めているんだが』
『そう言うなロートス。何だかんだで俺の大切な友達なんだからよ』
ロートスと心の中で会話していると、昼休み終了のチャイムが鳴り、皆は自分の教室に戻り席に座った。屋上に行きそびれたけど、たまにはいいかと思い次の授業の準備を始めた。
土曜日の朝、父さんとの修行を終わってからシャワーを浴びて時間を見ると、9時30分位だった。確か練習試合が始まるのは11時からだから時間はまだ余裕があるな。そう思っていると、突然チャイムが鳴り玄関に行くと、白いワンピースを着たマリィが笑顔で待っていた。
「おはようマリィ。どうしたんだ? 練習試合が始まるまでまだ時間がたくさんあるけど」
「えへへ。レンと一緒に出かけられるのが嬉しくて早く家から出ちゃったけど、ダメだった?」
マリィは純粋な目で俺に上目遣いで見てくる。正直に言うと、とてもかわいい。思わず抱き締めたくなるほどの保護欲を感じた。
「おや。随分と早く来たねマルグリット。まあ中に入ってゆっくりと寛ぐといい」
「おはようございますカリオストロ。レンと一緒に出かけるのが初めてだから楽しみだったの」
「そうか。これからも息子のことをよろしく頼むよマルグリット」
なんか、父さんが何時も以上に親をやっているような感じがした。普段のギャップが原因だからか、かなり違和感があった。
出かけるまでユーノを入れた3人でスマ○ラでもやるか。そう思いながらマリィを俺の部屋に案内した。
午前11時。俺とマリィとユーノの3人は父さんに車で練習試合の会場になる川の近くのサッカー練習場まで送ってもらった。どうやら父さんも何故か知らないけど、俺達と一緒にいるみたいだ。
「へえ~。サッカーについての知識は本やテレビで分かってたつもりだったけど、子供のサッカーの試合を見るのも面白そうだねすずか」
「そうだよね。たまにここで練習試合を見ることがあるんだけど、今日は皆何時も以上にやる気があるんだよ」
ユーノは地球に来てからまだ1ヶ月も経ってないけどもう地球……というより日本に適応しているように感じる。やっぱり色々な世界に行っているから自然に適応したんだと思った。
しかも、普段はお淑やかなすずかはユーノと今まで見たことがない笑顔で楽しそうに話している。あんなすずかを見るのは初めてだな。
『しかし、昔のサッカーとは大違いだな』
『昔のサッカーてどんな感じなんだよ?』
なんか嫌な予感がするんだけど。
『聞いた話によると、昔のサッカーは暴力がありだったらしく、時には死人が出たらしいぞ』
俺の抱いていたサッカーのイメージが少し壊れたように感じた。暴力ありって世紀末かよ?
「おはよう藤井君。今日は楽しみだね」
後ろを振り向くと、先輩と司狼が一緒にいた。先輩と司狼が2人で一緒に行動しているのは珍しいなと思った。
「おはようございます先輩。それと司狼」
「よぉ蓮。試合は始まったか?」
「いや。まだ始まってねえけど、トラブルが発生したみたいだな」
俺達の目の前で士郎さんのチームの少年が悔し涙を流しながら倒れていた。足を押さえているから多分捻挫か骨折だ。恐らくこの試合に出るのは無理だな。そして更に、
「…はい。分かりました。それでは失礼します。……はぁ、困ったな。中村君は今日親戚が亡くなったから来れなくなるなんて。負けられない戦いなのに一体どうすれば……」
どうやら選手の1人も法事が理由で休むらしい。しかも、士郎さんのチームはサッカーがギリギリでできる人数しかいない為、このままだと練習試合が成り立たなくなってしまう。
「おやおや、どうやら人数が足りないようですねぇ~。高町さん?」
「……六条さん」
なんかお茶の間の代表で、政治やバラエティー番組で的確な発言をしたり、見た目が小物なのに、大物の様なオーラを放っているロート・シュピーネさんに似ているような……いや、シュピーネさんはあんな小物の様なオーラを出すわけがないし、顔が同じだけの別人だな。
しかも普段は優しそうな雰囲気の士郎さんが相手の監督を睨んでいるなんて相手の監督は何をしたんだ? 杏奈も苦虫を噛んだような表情をしている。
「さて、それでは約束通り、この練習場を秀真学園小等部のサッカー部に明け渡して貰いましょうか? 正直貴方達の様な凡人達が集まるサッカーチームが使うよりもにエリートである私達が使った方が海鳴の為なんですよ」
「そ、それは……」
なんかムカつくな。確かに秀真学園のサッカー部はかなり強いチームだ。だけど、その傲慢さで士郎さんのチームの練習場所が取られるのはおかしい。そう思い士郎さんの所に行こうとすると、
「おい高町のおっさん! サッカーの人数が足りねぇんだろ? だったら俺と蓮2人が入れば丁度いい筈だぜ?」
あの馬鹿野郎! 何先に俺が言おうとしたことを言ってんだよ!? そう思いながらも、何処かアイツならそう言うだろうなと納得もした。
「司狼くん!? 確かに君達が参加してくれるのはとても感謝している。だけど、秀真学園のサッカーチームはとても強い!」
「降参するのなら今の内ですよ?」
「はっ! 誰が降参するかよ? 俺と蓮が組めば無敵なんだよ。そうだろ蓮?」
『どうするんだ蓮?』
ロートスが聞いてくるけど、俺は……
『参加するに決まってんだろ』
『そう言うと思ったぜ。頑張れよ蓮』
『ああ!』
ロートスに応援された俺は士郎さんの前まで歩いて行き、
「そういうことだ。士郎さん臨時で俺達をサッカーのチームに入れてくれ!」
俺は士郎さんに頭を下げると、
「……分かった。正直僕もあの監督とチームは気に入らないからね。よろしく頼むよ蓮君、司狼君!」
「なんとか頑張ってみますよ。行くぞ司狼!」
「オーライ」
こうして俺達はサッカーの試合に出ることになった。
結論から言うと、3-1で勝利した。
前半に司狼が先制のゴールを決めて、その後は俺と司狼がパスやドリブルなどで相手をかく乱させながら隙が出来た所を味方にパスをして2点いれた。
終半で俺と司狼に沢山のマークが着いて迂闊に動けなくなり、チームが上手く起動しなくなった所を突かれて1点取られ、後もう少しで2点目を取られるという瞬間で試合が終わった。
正直さすがサッカーの強豪校だと思った。強豪校だから弱いチームに負ける筈がないという慢心さが相手に無かったら俺達は負けていたかもしれない。
因みに、相手の監督が何故私のチームが負けたんだ!? と悔しそうに言ってたのを聞いた俺と司狼は『アンタと俺の顔の差かな?/だな』と言うと、相手の監督は泣きながらこの場から去って行った。俺は結構笑えたし、司狼はかなり爆笑していた。
それに、俺達が勝てたのはマリィ達の応援があったから勝てたんだと思え、とても嬉しく感じた。
そして、俺達は今何をしているのかというと、翠屋でシュークリームを食べていた。
「やっぱり翠屋のシュークリームは最高だな!」
「確かにな。これを食べてからコンビニや他のケーキ屋のシュークリームを食べても物足りなく感じるんだよな」
「もきゅもきゅ」
司狼は相変わらずで、マリィが以外にも大食いだということが分かったけど、マリィの食べている姿を見ていると、癒される感じがする。
「やっぱりネズミの王国に行かなくて正解だったね。何回も行ってるから飽きちゃったのも理由の一つだけど」
「確かにそれは言えるわ。ショーやイルミネーションも初めて行った時は綺麗で感動するけど、何回も見ると何にも感じなくなるわね」
流石俳優と女優を親に持つ先輩とお金持ちのアリサの考える事は違う。俺は王国にはあんまり興味ないから行ってないだけだ。
……そういえば、なのはの姿が見当たらない。杏奈は苦い顔をして俯いている。
「どうしたんだよ杏奈? 具合が悪いのか?」
「っ! 何でもないわよ蓮君! アタシちょっと用事が出来たから出かけるわ。多分蓮君達が帰る頃には戻るからゆっくりしていってね」
杏奈はそう言うと、翠屋から出て行った。……アイツ絶対に何か隠しているな?
『恐らくそうだろうな。アイツは何時も何かを抱えていたからな』
『ロートス。お前杏奈のことについて何か知っているのか?』
だとしたらおかしい。俺はまだロートスに杏奈のことについて一度も話したことがないから知っている筈がない。
『高町杏奈のことについては知らない。だけど、
『どういうことだよ?』
『蓮はまだ知らなくていい。それよりもいいのか? ジュエルシードが発動しているみたいだぞ』
ロートスに言われてジュエルシードの魔力を感じ、ジュエルシードが発動したことに気付いた俺は司狼とユーノに目配せをすると、司狼たちは頷いた。
「悪い。これからユーノを海鳴の観光に連れて行きたいから俺は先に帰る」
「俺もユーノに新しいマンガを貸すから今日は帰るぜ。じゃあな」
「今日はありがとう。連休中にまた会おうね」
俺達はそう言って、翠屋から出て、ジュエルシードの魔力のする場所へと走って行った。
「……なんだよこれ?」
俺達が見た光景は、道路が土砂崩れのように崩れ、車もまるで交通事故のように無残な状態になっている中、道路の真ん中で巨大な木が複数の根っこを生やしながら海鳴の商店街を破壊しる光景だった。