魔法少女リリカルなのは~Amantes Amentes~ 作:鏡圭一
現在大学の期末試験前の投稿となります。
大学のテスト勉強が大変ですが頑張っていくので応援よろしくお願いします!!
アタシは翠屋から出て、人気のない場所まで歩いて行って、周りに誰もいないことを確認した。
「出てきなさいメルクリウス。アンタがここにいることは分かってるのよ」
「君にしては随分と悩んでいたみたいだが……まあいい。ではこの前の答えを聞かせて貰おうか」
相変わらずの変態さだけど、今のアタシには時間が無かった。なのはが1人で異形の存在と戦っている。それになのはと同じ舞台に立たないと、蓮君の心を射止めることができないじゃないッ!!
「メルクリウス。アタシにデバイスを渡しなさい!」
「契約完了だな」
メルクリウスは笑みを浮かべながら禍々しい雰囲気を放っている本をアタシに渡した。そして、このデバイスがどのような能力を持っているのかも瞬時に理解が出来た。相変わらずエグイ物を選ぶわねメルクリウスは。
「ついでだが、君が蓮のことを裏切れないように
制約……確か、ケルト神話における誓いや義務のことで、それが守られているならば、神からの祝福が得られ、もしそれが破られるならば、禍が降りかかり命を落とすと言われているものね。
「ええ。分かっているわ」
「そうか、では行きたまえ。君が蓮のことを裏切らないことを願っているよ」
メルクリウスはそう言うと、物陰と同化したように姿を消した。……本当にアイツって蓮君のことが大事なのね。蓮君とロートス以外の人間のことを認めようとしなかった変態が私や遊佐君にデバイスを渡すなんて普段なら感謝する所なんだけど、アイツがデバイスを送ること自体が嫌なことが起こりそうで不安なのよね~。
「さ~て、蓮君を守る為に頑張りますか!」
そう思い、デバイスを起動すると、私の服が変わり、魔女の頃のアタシの魔力が戻っていくのを感じた。そして以前影の魔術を使った時よりも魔力が安定している。やっぱり、デバイスについて調べておいて正解だったみたいね。私は嬉しさを感じながら影の魔術を使い、膨大の魔力を感じる場所に転移した。
「やっと彼女は決意したか。正直に言わせて貰うと、遅すぎるがね……まあこれで物語の一部は序章を終えて中盤に進むわけだが、些かアンナ以外の黒円卓の者達は覚醒が遅すぎるのではないだろうか?」
私はこの時に備えて、黒円卓の者達にはデバイスを彼等に渡している。勿論記憶を弄っているがね。管理局というどうでもいい存在が五月蠅いことを喚き散らすだろうが、私は気にしない。だが、我が息子と女神を利用するというのならその時は管理局という存在そのものを消滅させるだけだ。
おっと、話が逸れたな。今の段階でデバイスが覚醒しそうなのはベイとザミエル位だな。マキナ・カイン・ヴァルキュリア・シュライバー・ゾーネンキントの5人は女神が目覚める頃に覚醒すれば問題はない。だが、レオンハルト・ベイ・ザミエルの3人にはそろそろ覚醒してもらわなければならないな。
「それにしても、プレシア・テスタロッサの玩具がラインハルトに接触していることには驚いたが、それ以上にラインハルトの力が覚醒するとは。……やはり獣殿の魂の一部を宿しているだけあるな。……ん?」
どうやら蓮達が向かっている所の他にもジュエルシードが発動しそうだな。……ほう、デートとは珍しいではないかラインハルト。どうやらザミエルが積極的なアプローチに成功したようだな。
全く、『メルクリウス』の世界のザミエルも彼女を見習って欲しいものだよ。80にもなってまだ心が処女とは呆れて物が言えない。まあ彼女の場合は『メルクリウス』の呪いと『14歳神』の寵愛を受けていたから仕方ないとも言えるがね。……しかし、ラインハルトは獣殿のように『女は駄菓子にすぎぬ』と言っていないからまだ可愛げがある。
だが、2人のデートはこれまでだ。これから起こる非日常においてザミエルが覚醒することを祈っているよ。
では皆様。少々役不足であるとは思いますが、彼女の歌劇をどうかご観覧あれ。内容は恐らくありきたりではあるが何よりも役者が良い。故におもしろくなると思うよ。
私はエレオノーレ・ヴィッテンブルグ。私は今嘗てない程の緊張感に襲われている。なぜこんなに緊張しているのかについては、
「『TOD NOTIZBUCH』おもしろそうだねエレオノーレちゃん」
「そ、そうだな」
私とラインハルトがデートをしているからだ。恐らくラインハルトはデートだとは思っていないだろうがな。何時も以上にアプローチをしておいて良かった。
しかし、キルヒアイゼンに発破を掛けられたことが気に食わないが、馬鹿娘にしては良くやったと褒めてやりたい。実際にキルヒアイゼンには今日は練習を休んでもいいと言っておいた。まあ飴と鞭というやつだ。
私達はポップコーンとコーラを持ちながら映画の入場アナウンスが流れるのを待っていた。
今回私達が見る映画は『TOD NOTIZBUCH』という人気マンガが実写化した映画だ。内容は、夜神キラという正義感のある青年がある日突然人の名前を書くことでその人を殺すことができる黒いノートを拾い、その後キラは極悪犯をTOD NOTIZBUCHで殺していくという物語だ。全体的には心理戦が多く、特に探偵のエルとの心理戦がおもしろいとラインハルトが言っていた。前編は昨日のフライデイシアターで放送されたらしい。
全く、ラインハルトは女と映画を見に行くのだから恋愛物の映画を選んでいるかと思っていたが、……まあ、ラインハルトの笑顔が見れただけでも嬉しいがな。そう思いながら私はスクリーンの入り口に入った。
ちなみに、映画の上映中ラインハルトの右手を握ることができて嬉しかったとだけ言っておこう。
映画を見終わった後、私とラインハルトは映画館の近くのレストランで夕食を食べていた。
私が食べているのはカルボナーラ。ラインハルトが食べているのはドリアとコーンポタージュのセットだ。
「本当に良いのかラインハルト? 映画のチケット代や間食の代金だけでなく夕食の代金まで払ってくれて。夕食代は割り勘でいいんだぞ?」
「大丈夫だよエレオノーレちゃん。何時もお菓子を作ってくれるから、それのささやかなお返しだよ」
ラインハルトの笑顔とその言葉に私は顔が熱くなるのを感じた。そして私がラインハルトのことが好きだということを再認識していると、
「ラインハルト。一つ聞きたいことがある」
「大丈夫。言わなくても大丈夫だよ」
私とラインハルトの感じた異様の正体はレストランに誰も人がいないということだ。
このレストランはワインとパスタがおいしいことで有名なレストランだ。そして閉店時間は午後11時で今は午後6時と閉店時間ではない。そして、この店は昨日ラインハルトが予約してさらに今日は営業していると確認をしているから休業という線も消えた。
「エレオノーレちゃん気を付けて。中に何かがいる」
「どうやらそのようだな。……入らないことには何も始まらない。行くぞ!」
私たちはレストランの中に入ると、本来ならば人がたくさんいてパスタなどのおいしい匂いがする筈のレストランだが、気味が悪い空気が溢れ出していた。
「この感じどこかで……っ! エレオノーレちゃん危ない!!」
突然ラインハルトが私のことを押し倒してきた。どうしたんだと言おうとした瞬間、ラインハルトの頬に浅い切り傷ができていた。
私はそのことに驚きながらその元凶を探していると、そこにいたのは分厚い皮に覆われ、その下には甲羅があるライオンだった。
「あのライオンはもしかして『ネメアーの獅子』!? ギリシア神話でヘラクレスに殺された化け物がどうしてここにいるんだ!?」
ラインハルトは目の前にいる劣等種に驚いているが、そんなことはどうでもいい。『ラインハルトが傷ついた』。その目の前にある光景に私は私の中の何かが切れるような音を聞いた。
「貴様のような劣等種がラインハルトを傷つけたこと万死に値する!!」
私がそう言った瞬間、私の胸にかけていたネックレスが光り、私に襲い掛かっていた劣等種はその光を目で見たことによって動きを止めた。
光が収まった瞬間、私の服が赤のワンピースからドイツ軍の軍服のような物に変わり、髪型もポニーテイルになっていた。そして私のネックレスの正体と私の力の使い方についても理解した。
「ここでこの力を使いたくない。着いて来い」
私は瞬時に魔法陣を発動し、砲撃を放って空を飛ぶと、劣等種も私を追って空に翔けてきた。本来他の者は形成を発動させるが、私の場合はしない……というよりこの場所ではできないと言ったほうが正しい。
私の形成は第二次世界大戦のマジノ要塞攻略の時に作られた列車砲だ。と言っても出てくる弾は実弾ではなく魔法の弾だが、あまりにも巨大すぎて標的にされてしまう。
「貴様が私を追いかけてくることなど既にお見通しなのだよ」
その瞬間、劣等種の周りに魔法陣を発動させ、炎熱の砲撃を放った。これで終わったと思った瞬間、雷の槍が劣等種の方に放たれた。ほう、私の獲物の横取りをする愚か者が私の右側にいることを魔力で感知し右を向くと、櫻井螢と同じ歳位の金髪の小娘が黒いマントを羽織って劣等種の方に向いていた。
「フェイト~! いきなりどうしたんだい? 急にバリアジャケットを展開して。すぐに結界を張ったから他の人にバレなかったから良かったけど、フェイトらしくないよ」
「……ごめんアルフ。でも、あの人の魔力を感じたから。でも、ここにはいないみたいだけど、ジュエルシードは見つけたよ」
ジュエルシード? 何なんだそれは? そう思ったが、今はあの劣等種を始末しなければならない。それにあの小娘が何者なのかも聞かなければな。
「おい小娘。貴様何者だ?」
「小娘じゃありません。それより、今はジュエルシードを封印に協力してください」
小娘に命令されるのは癪だが、今は状況を見ると共闘したほうが得策だな。
「分かった。だが、あの劣等種を倒した後、貴様に聞きたいことがある。いいな?」
「分かりました」
そしてこれが後にラインハルトの正妻の座を賭けて競い合う仲になるフェイト・テスタロッサとの出会いだった。