魔法少女リリカルなのは~Amantes Amentes~   作:鏡圭一

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第8話

 夢を見ていました。その光景は私と同じ位の男の子が黒いお化けみたいな物と戦っていて、そのお化けを逃がしてしまってその男の子は倒れてしまった。

 『誰か……僕の声を聞いて。力を貸して……。魔法の……力を』

 それを聞いた瞬間、私は目が覚めた。なんだろう? 今まで見た夢よりも現実みたいで怖かった。でも何故かこの夢を忘れちゃいけないような感じがする。

 「なのは! 朝ごはんよ~!」

 「は~い!!」

 いけない! 早くごはん食べないと!!

 私はそう思い下に降りてごはんを食べて学校に行った。……お姉ちゃんの表情が硬くなっていたことに気付かずに。

 

 

 

 アタシは高町杏奈。前世はアンナ・マーリア・シュヴェーゲリン。とある変態のせいで魔女になった事のあるか弱い女よ。メルクリウスの言っていた輪廻転生によって転生したら記憶を失うと思っていたから失っていなかったことには驚いたけど。

 でも、ロートスのことを忘れていなかったのは良かった。嬉しいことに蓮君にロートスの魂が宿っていることは魔道に通じていたアタシにはすぐ分かった。だってメルクリウスは判官贔屓だから分かりやすいのよね~。そ・れ・で、蓮君の顔は可愛くて私の好みに超ストライク! だけど、顔がメルクリウスにかなり似ているから将来アイツみたいにならないか心配だけど……大丈夫よね。だってロートスの魂が宿っているんだから。

 話は変わるけど、昨日はおかしな夢を見て、朝を覚ますと、微弱ながら魔力を感知した。海鳴の何所かで魔法か魔術が使われたと考えるのが妥当かしら? だけど、私よりも少し魔力が多い私の妹のなのはが気付いていない所を見ると、気のせいかとも思ってしまう。今日一日は用心しないといけないかもしれないわね。幸い『アンナ』の時に使えた魔術も使えるけど、油断は禁物かも。

 「ん~。良し! 今日一日頑張りましょうかね」

 アタシはそう言って家から出た。……転生してから得た平穏と優しい家族とアタシが好きな男の子の蓮君を誰にも傷つけさせない。そう決意をしながら。

 

 

 

 「ようやく始まったか」

 私はようやく筋書き通りに序曲(オーベルテューレ)が始まったようだ。『ジュエルシード』がこの海鳴に落ちるように仕組んだのは勿論私だ。魔法によってジュエルシードを奪おうとしたプレシア・テスタロッサを評価する。だが、私に見つかったことによって、君の計画は破綻しているのだよ。

 「あいかわらず腹黒いことは得意なんだなお前は」

 突然後ろから聞こえてきた声に私は振り向くと、そこには蓮がいた。

 「こんな早くに起きてどうしたのだ蓮……いいや、『刹那殿』?」

 「蓮が寝たからな。それにしてもどうするんだカール。お前の愛する女神が関わっている訳でもないのに」

 「息子の蓮が強くなってもらわないといけない。その為の練習相手だよ。ジュエルシードと呼ばれる物を奪い合う為の戦い。それなら蓮も強くなると思っての筋書きだよこれは」

 刹那殿は私の計画を全て知っている。初めは刹那殿に嫌われていると思っていた。それは当然だろう。何故なら私は刹那殿の魂を蓮の中に宿し、いずれは刹那殿と蓮の魂が融合されてしまうのだ嫌われない筈はない。だが、

 『別にそんなことでお前を嫌わねぇよ。これは蘇りじゃないし、俺と蓮が融合しても俺と蓮の考え方が一緒になるだけだ。俺は俺のままだよ。それに、俺達親友だろ? 俺もお前の計画に乗るよ』

 そう言ってくれた。私には勿体無い友人だよ刹那殿は。それ以後、私と刹那殿は一緒に計画を進めることになった。

 「それに、この町には膨大な魔力を持つ者が多いのだよ。その中には操り人形も含まれるがね」

 操り人形にはこの序曲が終わった後にはこの世界から退場してもらうがね。

 「ああ~。あの金髪オッドアイと俺様な感じの2人だろ? アンナ達も嫌うほどの存在ってお前よりもひどいな」

 「私をあのような塵芥と一緒にしないでもらいたいな刹那殿」

 「息子を盗撮したり、ストーカするような過保護な親バカのお前にそんなことが言えることに俺は疑問を覚えるんだが」

 「黙れよロートス。私は蓮のことが心配でこのような事をしているのだ。他意などはない」

 しばらく見ない内に刹那殿の態度が変わったな。これは蓮の影響を受けているからなのだろうか?

 「それに、蓮のことが好きな女の子に盗撮した蓮の写真を送るのはどうなんだよ。お前の女神様がお前のその姿を見たらドン引きするんじゃないのか?」

 「ふむ。女神に罵倒されるのも一興だが……刹那殿。私は不安なのだよ。大切な者は二度と失いたくなくてな。あのような出来事は1回で十分だ」

 「…悪い。そこまであの事がトラウマになっているのか?」

 刹那殿の言っているトラウマは恐らく刹那殿とアンナが死んだことを言っているのだろう。事実その通りだ。■■■■の時は親しい者を亡くしたことがなかったからこうなったのだろう。我ながら情けないとは自覚している。

 「刹那殿の気にすることではないよ。……そろそろ蓮が起きる時間だ。ベッドに戻ったほうがいい」

 「そうだな。じゃあまたなカール」

 刹那殿はそう言って蓮の部屋に戻った。さて、デバイスの構成は完成したが、待機モードの形態を考えていなかった。……そういえば、原作の蓮は綾瀬香純から水星をイメージにしたペンダントを貰っていた筈だ。それをイメージして……ふむ、完成だ。これを少し遅れた誕生日プレゼントにすれば完璧だ。

 こうして完成したのは『罪姫・正義の柱』(マルグリット・ボワ・ジュスティス)。2人の獣殿の『エイヴィヒカイト式デバイス』に唯一抵抗できるデバイスで、蓮専用に作ったデバイスだ。だが、忘れてもらっては困るが、蓮は『聖約・運命の神槍』と『聖約・戦神の神槍』を除く全てのデバイスを使える。いわば、状況に応じて戦闘スタイルが変わるオールマイティーだ。我が息子ながら才能があると改めて思った。

 今夜始まる歌劇が楽しみだよ。そう思いながらダージリンを飲んでいた。

 

 因みに朝起きた蓮にペンダントをあげると嬉しそうな笑みを浮かべていた。久しぶりに見た息子の満面な笑みに私は今までに感じたことのない蓮の愛しさに頭を撫でていた。

 

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