ありすの唐突な涙に文香が居心地悪さを感じることが有るとしても、それは今日では無かった。
「二人とも、お茶を
話がうまく進んでいるかはともかく、一息入れるべきだと考えたらしいありすの母が入ってきた。彼女は娘の意外な泣き顔に呆れ顔を浮かべる。
「ありす、貴女そんなに寂しかったの?ってアイドルがそんなに顔を
「いえ…ありすちゃんが素直に…甘えてくれるのは…とても嬉しいです」
「そうねぇ、私たち親にもそんな姿はずっと隠していたもの。ちょっと
「あ…う、うぅ…お母さん、やめてください…」
「だったらシャンとなさい。鷺沢さんには大人っぽく見られたいんでしょう?」
「わ、私は大人っぽく見られたいんじゃなくて…ぐすっ、大人、なんです」
「くすっ」
「ふ、文香さんまでぇ…」
「ご、ごめんなさい…でも、本当に良かった…ありすちゃんと、ちゃんと…お話しできましたから…ふふっ」
「も、もう!…でも、私も仲直りできて良かったです。次に会うのは最初の読み合わせの時ですね」
ありすはすっかり立ち直ったようだ、いつものようにスケジュールをしっかり確認してくる。思えば彼女の母親が
「すっかり遅くなってしまいました。今夜はこの辺りで失礼します。」
「え?もう帰っちゃうんですか?」
「そもそもアイドル同士が…自宅を訪ねるのも、本当はルール違反ですから…あまりプロデューサーを困らせてもいけません、し」
「その辺の大人の事情も
「うぅ…頑張ります。それじゃ、文香さん、また今度」
最後にもう一度ごしごしと目元を袖で
「お疲れ、文香。上手くいったかい?」
「はい…しっかりありすちゃんと、話せました…ご迷惑をおかけしました…」
「いや、結果良ければ全て良しだ。とにかく乗って」
プロデューサーに促され、助手席に座った文香はアパートまで送られる間に、ありすと何を話したかを説明した。
「…今回の事で…
「雨降って地固まる、禍福は糾える縄の如しか、君たちは日々成長する。今回の仕事が上手くいくように、僕も祈っているよ」
心配事が一つ解決してプロデューサーは嬉しそうに笑う。その笑い声を
「今日は本当にすみませんでした。だけど文香さんが私の為に事務所のルールを破ってまで話し合いに来てくれたこと、それから一緒に話した色んな事、とても為になったし嬉しかったです。舞台、頑張りましょうね」
ありすにしては珍しい心情を素直に
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