3 years later〜虹の向こうに〜   作:nami73

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 敵地に乗り込んだチーム<マナーロ>は激励に来たハナコママやオーキド博士の前で改めて勝利を皆で誓い合う。
 決戦前のバトルフィールドにはなんと、伝説のポケモンであるホウオウ、ルギア、スイクンが姿を現していた。


PNTT Fighting! 決勝戦開始!交錯する視線と因縁

 虹色の翼と白銀の翼に向き合う形で姿を見せる影は、2つ。

 厚い赤色の甲殻に覆われた紅獣が両腕を広げれば、広げた掌のような胸びれが特徴の藍獣が紅獣を睨み上げる。

 

「ぐらぐぅらるぅぅぅぅぅ!」

 

「ぎゅぅらりゅるぅぅぅぅぅ!」

 

 

 

「ウワーッ!今度は超古代ポケモン、グラードンとカイオーガだぁぁぁッ!!」

 

「おい、空を見ろ!!何か降りてくる!!」

 

 

 

 たいりくポケモングラードン、かいていポケモンカイオーガ出現の騒ぎの中、天空より萌黄色の竜が舞い降りる。

 それは、ホウエン地方に古くから伝わる伝承の再現か。

 

「きりゅりりりりりゅりゅりゅりしぃぃぃぃ!!」

 

 

 

「レックウザだ!!レックウザだ!!」

 

「それだけじゃあない!見ろ!」

 

 中央に青い宝珠が埋め込まれた胸部の鋼の甲殻と、尾の付け根から広がる扇状の甲殻が特徴の四足歩行の竜と、背中の翼と中央に大きな真珠のような珠が付いた円盤型の肩が特徴の二足歩行型の竜。

 さらには3対6本の脚と1対2枚の翼を持った、ボロボロの黒い影のような風貌の竜がスタジアム上空に現れる。

 

「時間の神ディアルガ!空間の神パルキア!さらには反物質の世界を司るギラティナまで!何がどうなってるんだ!?」

 

「あら、なんだか騒がしいわね。」

 

「随分と派手なセレモニーじゃのう。」

 

 サトシたちを激励して来たハナコは物珍しく、オーキド博士は騒ぎの中を涼しい顔で客席に座る。

 フィールドの東西の入場口から飛び出した影でまたぞろ観客たちがざわめく。現れたのは選手たち…ではない。

 

 

 

「ンバーニンガガッ!」

 

「ババリバリッシュ!」

 

 西口から飛び出した白き竜の翼腕を、東口からの黒き竜は両腕で押さえ込み、フィールド中央でがっぷり四つ。

 

「ヒュラララララララ!!」

 

 刹那、白と黒の竜がバッ!と離れれば前傾姿勢をした灰色のアンバランスな翼をした竜が躍り出る。

 

 

 

「イッシュの伝説ポケモン、レシラムとゼクロム、さらにはキュレムまで!!」

 

 

 

「イクシャアアアアア!!」

 

「イガガガガガレッカ!!」

 

 観客たちの驚愕がまた重ねられてゆく。西口からは青と黒で占められた鹿のようなボディに、煌びやかな絡み合う枝の様な角を頭に生やした姿が走り出れば、対する東口からは赤と黒の猛禽が飛び出す。

 

 

 

「生命と再生を司るゼルネアスと、破壊を司るイベルタル!!」

 

「ウワーッ!!よ、夜なのに太陽が!!」

 

「月が2つあるーッ!!」

 

 

 

「ラリオーーーナッッッ!!!」

 

「マヒナペーーーアッッッ!!!」

 

 空よりまたぞろ飛来する、太陽のたてがみを持つ獅子と暗く美しい色合いの被膜で構成されたボディ、それらの端には三日月型の刃を付けた蝙蝠…

 

「リノ………!」

 

 さらに彼らの背後より、真っ黒に染まった鋭角的な水晶のボディをした影が這い出てくる。

 

 

 

「あれは、にちりんポケモンソルガレオ。」

 

「もう片方はがちりんポケモンルナアーラね。」

 

「あっと、たった今資料が届きました。ソルガレオ、ルナアーラとともに現れたのはプリズムポケモンネクロズマということであります!」

 

 放送席の面々が淡々と現れた伝説の名を口にする。もうコメントが追い付かない中、またまた観客たちの視界は振り回されることになる。

 

 

 

「入場口だ!またなんか出てくる!!」

 

「今度はなんだー!?」

 

 

 

 西からは口に剣を咥えた鎧を身に纏う獅子…つわものポケモンザシアンが、東からはチーム<シュート>の試合を知る人からはまだ馴染み深いザマゼンタが飛び出す。

 

「ウルォーーーード!!」

 

「ウルゥーーーード!!」

 

 2体の獅子王の咆哮を聞き、フィールドに伝説のポケモンが集結してゆく…。

 

「なんなんだよ!?一体どうなっちゃうんだーッ!?」

 

 

 

 オオオ…!!!とそれぞれに咆哮する伝説のポケモンたち。そこにツカツカと審判団の待機ルームより歩み寄る人影…

 

「な、なんだぁっ。」

 

「危ねーぞ姉ちゃん!」

 

 客席より呼び止められる声をスルーするスーツ姿にエメラルドグリーンのツインテールが両手を広げ、

 

「はいッッ!!」

 

 高らかに号令すれば、伝説のポケモンたちはその姿が一斉に崩れていき、ピンク色のスライム状に姿を変え、いや…『元に戻してゆく』。

 

 

 

「な、なにィッ!?」

 

「そうか分かったぞ!全部メタモンのへんしんだったんだーッ!!」

 

 

 

「以上!イミテの伝説ポケモンへんしんショーでした!!」

 

「もんも〜ん!!」

 

「「「もんもんも〜〜〜ん!!」」」

 

 太眉がチャームポイントな美少女の肩に飛び乗るのは観客が指摘した通りのへんしんポケモンメタモン。

 これまで所狭しとフィールドを駆け回り、スタジアム上空を飛び回っていた伝説のポケモンに化けていたメタモンたち総勢19体も主人とともにお辞儀をする。そして、

 

ウオオオオオッ!!エエゾネーチャン!!

 

 彼女たちに喝采が降り注いだ。この瞬間こそ、お笑い芸人であるイミテにとって至福であった。

 

 

 

「ポケモン芸人イミテさんによる壮大なへんしんショーで会場は大盛り上がり!チャンピオンのお二方、どうでしたか今のパフォーマンスは?」

 

「実に素晴らしい!俺も一瞬本物かと身構えてしまったよ。アレだけの精度のへんしんを習得させるにはかなりの努力と鍛錬が必要なはずだ。」

 

「私たちはバトルのためにポケモンの潜在能力を限界まで引き出していくけれど、トレーナーがポケモンと現出させられるのはそれだけじゃあない…そう改めて実感しましたわ。」

 

 ダンデもカルネもそれぞれにイミテの芸に対し、最高の評価を送る。自分たちとは違う道で研鑽を重ねる相手に対し、純粋な敬意がそこにあった。

 

 

 

ウッオアアアアア!!ウアオアアアアア!!

 

 

 

「おっと、お聞き下さいこの大歓声!まずは西側よりチーム入場ですッ!!」

 

「きたか!サトシたち!!」

 

「4つの島からなる連合地方の精鋭たち、その快進撃は観る者を沸かせ続けてきました!第1回戦チーム<シュート>戦では連敗からの3連勝による大逆転!準決勝チーム<ヒガキ>戦ではシングル3に限界を超えたド根性で大番狂わせ!!彼らの戦いには、常に爽やかな旋風が巻き起こる!!アローラ代表チーム<マナーロ>!敵地セキエイスタジアムに堂々推参ッッッ!!」

 

 

 

「みんな盛り上がってるなー。」

 

「ぴかぴかぁ〜。」

 

「なんたって決勝戦だからね。スタジアムまで観に来るようなのは筋金入りのバトル好きだろうから盛り上がりもするさ。」

 

そういうものかね、とサトシは左隣のシゲルを横目で見れば、ついでに視界に映る応援席に目を丸くする。

 

 

 

「「「「「「頑張れ、頑張れ、シゲル!ファイト、ファイト、シゲル〜!!」」」」」」

 

 シゲルガールズとホシたち少女隊…は準決勝の時点からいたからまぁいい。

 

「頼んだぜチーム<マナーロ>!!」

 

「今日のためにポケモンスクール総出で応援しにき、タギングル〜!!」

 

 ククイ博士の一家とナリヤ校長、さらにはスクールの生徒たちが応援席の一角を占有していたのだ。

 

「わぁ〜!!」

 

「負けられないね、これは。」

 

「頼むぜ2人とも。」

 

 カキがサトシとスイレンの肩を掴む。その手にはサブとしてオーダーに入れなかったカキ自身や、選考会から漏れたトレーナーたちの分の奮闘も託されている。これには力強く頷かざるを得ない。

 そうしてスタジアム中央にサトシたちが整列すれば、反対側東口より大きな波導が近づいて来る。

 

「来たな…!」

 

 サトシは不敵な笑みと共に彼らを迎える。これから始まる死闘の相手たちを。

 

 

 

「ポケモンリーグのメッカはバトル文化のメッカと同義なり!堂々たる戦いぶりで第1回戦はチーム<ミアレ>を相手に見事競り勝ち、準決勝は"伝統の一戦"チーム<シロガネ>をストレートで下しこの決勝の舞台まで駒を進めてきました!カントー代表チーム<セキエイ>、本拠地にて迎撃の準備万端!!出陣であります!!」

 

「私たちが負けたのもあるけど彼らも気合いのノリは一級品だわ。」

 

 カンナを先頭にして入場する選手団の最後方にいる目付きのよろしくない少年からの覇気も1回戦とは段違いだとカルネは感じる。おそらくこの大一番で出て来るのだろう…。

 

 

 

 両チームが整列し、チームリーダーのサトシとカンナが代表して握手を交わす。

 

「今日はよろしくねサトシくん。どれだけ強くなったか、この目で見させてもらうわ。」

 

「はい!誰が相手でも俺は、俺たちはゼンリョクでぶつかります。」

 

「ぴぃか〜!」

 

「ウフフ、ピカチュウも元気そうね。」

 

 オレンジ諸島での関わりが昨日のことのように思い出される。

 男子3日会わざれば…とカンナは内心呟き、真実であると感じていた。そして、直接手合わせすることはこの場ではないであろうことに歯痒さを覚えた。

 まぁ、そこは野試合なり誘えば済む話ではあるが…。

 

「お手柔らかにお願いします。」

 

「そいつは無理な相談だってのはアンタ自身一番分かってるはずさ。」

 

 監督同士のオーダー表交換はここまで勝ち上がれば3回目の儀式で、その手際も慣れたものである。クリップファイルを手渡し合う流れがあろうとなかろうと電光掲示板にでかでかと対戦カードが表示されるのは変わらないので本当に行為自体には儀礼的な側面しか見受けられない。

 一応、監督としての表面的なパフォーマンスにはなるかとナンテは思っていた。

 

「来ましたか…。」

 

 ポツリ、呟くと同時に歓声が電光掲示板目掛け降りかかってゆくのが聞こえる。皆に倣って見上げれば、そこには手元のオーダーと寸分狂いない編成が告知されている。

 

 

 

『ダブルバトル2

シゲル&ハウvsシンジ&ジロウ

 

ダブルバトル1

ハプウ&スイレンvsカンナ&カスミ

 

シングルバトル3

セイヨvsカオルコ

 

シングルバトル2

ジェニーvsサムライ

 

シングルバトル1

サトシvsヒロシ』

 

 

 

 皆改めて視線を対戦相手と交差させる。既に両陣営の瞳と瞳が火花を散らす。

 

「シゲル。あの子って確か…。」

 

「あぁ。サトシのライバルの1人さ。」

 

「シンジさん…。」

 

 シゲルとハウの視線をシンジは腕組み姿勢で瞑目しながら受け流す。ジロウはその傍に控えるよりない。

 

「スイレン、負けないわよ!」

 

「負けない、こっちだって!」

 

「どうぞよろしくね。」

 

「うむ!四天王対決じゃの!」

 

 カントー師弟コンビと黄金ペアも旧知のカスミとスイレンから言葉を交わしつつ闘志を高めてゆく。

 

「……ッ!」

 

「セイヨ?」

 

 こういう場でセイヨが相手を煽りにいかないというのはジェニーからすれば意外な対応であった。

 対する和服美人のカオルコも一瞥してから殊更セイヨと距離を詰めるでもない。

 

「コヒュー…!コヒュー…!」

 

「む…!」

 

 見下ろす鎧武者にジェニーは視線を返す。ハウと変わらぬ巨漢ながら全身に纏う甲冑がより威圧感を現出している。分かってはいたが楽な相手ではなさそうだ、そう直感した。

 

「ぴぃ〜か…。」

 

「ぴっかっちゅ。」

 

 サトシのピカチュウも主人とどことなく似た雰囲気の少年の肩に乗るはねた前髪の目立つ同種と睨みをきかせ合う。

 出会った3年前より特段仲が悪いではないが対戦相手となれば闘志を燃やす以外にない。

 

「サトシ…。」

 

「今度は負けないからな、ヒロシ。」

 

 少年たちが互いの健闘を誓い握手を交わす。大会最後の相手にこれ以上相応しい存在はいない…そう思えた。

 

 

 

「さぁー、いよいよポケモンバトル最強の地方を決めるPNTT!その決勝戦が始まります!!どの試合も見逃せませんよ〜〜〜ッ!!」

 

 

 




 『イミテ』
 14歳。ものまね芸人。
 メタモンの扱いはもちろんのこと、その変身能力をフルに活かすべくポケモンに関する知識全般に造詣が深い。
 ポケモンバトルでもその知識量を活かして戦う侮れなさがあるようだ。
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