3 years later〜虹の向こうに〜   作:nami73

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 遂に始まった決勝戦。ダブルバトル2はいきなりカントー側がエンジン全開。
 ハガネールハンマーを超えたメガハガネールハンマーによりシゲルとハウは早々に追い込まれてしまうのだった…。


PNTT Fighting! 決勝戦 ダブルバトル2 シゲル&ハウvsシンジ&ジロウ②

「ハガネールハンマー、いや!メガハガネールハンマー炸裂!!シゲル選手のリククラゲはあえなくダウン、後隙を狙ってのジュナイパーのユナイト技もラスターカノンで迎撃されてチーム<マナーロ>、いきなりダブルノックアウトだーっ!!」

 

「あの体内きんぞくおんも効いてたんだな。ボディパージによる重量ダウンをカバーする以上に反撃の布石にもなった。」

 

「でも、チーム<マナーロ>側もタダでダブルノックアウトされた訳ではなさそうね。」

 

 

 

「「「「シゲル先生頑張って〜!!」」」」

 

「「「「「「負けるな、負けるなシゲル〜!!まだまだ舞えるぞシゲル〜!!」」」」」」

 

「どうじゃねククイくん。実際のところは。」

 

「うーむ…。」

 

 シゲルガールズと少女隊が声を張り上げ、生徒の何人かがパフォーマンスに混ざり応援する中ナリヤ校長の問いかけに対してククイ博士の口は重かった。

 彼自身ロイヤルマスクというリングネームをいただきロイヤルドームの人気ファイターとしてバトルロイヤルルールで戦う身だ。加えてその鍛え上げた肉体を用いてポケモンの技を研究テーマとして扱う以上、トレーナーとしての側面を他のポケモン博士より強く持っていた。

 そんなトレーナーとしての見立てで結論を出すならば、ハッキリ言って実力差は歴然…というよりない。

 

「シゲルはどうにか現役時のテンションまで戻せた。ハウも独学の3年間の中で引き上げた実力をしっかり発揮する術をちゃんと身に付けている…。」

 

 その上でシンジとのパワーバランスはろくに成立していなかった、というのが現実だった。ダンデが出て来たチーム<シュート>とのダブル2か、下手すればそれ以上に…。

 ナリヤ校長もそれ以上は聞かないことにした。言葉を紡ぐのも辛い教え子の気持ちを汲んだのだ。

 

 

 

「ねぃー…ねぃ…。」

 

「シンジさん、ハガネールが…。」

 

「戻すか?」

 

「いえ。このままでもハンマーとしての役割は果たせます。ただ、振り回してもらいながらのサポートは厳しいかなって。」

 

「了解した。」

 

 ボスゴドラに担がれたメガハガネールは瞑目し、グースカと寝息を立てていた。圧倒的な質量にて叩き潰したリククラゲの放つキノコのほうしをカウンターの形でモロに受け、ねむり状態にされてしまっていたのだ。

 最初こそメガシンカにより得た特性『すなのちから』にてパワーアップした強烈なすなあらしで強引に胞子を吹き飛ばすことに成功していたが、流石に至近距離からの散布ではどうにもならない。結果的にリククラゲの捨て身のアクションでメガハガネールは機能を停止させられたと言ってよかった。

 

「怪我の功名、かな。」

 

「だね。」

 

 リククラゲ、ジュナイパーを戻しながらシゲルとハウは呟く。2体やられて相手の片方を状態異常に陥らせた、では全く割りに合っていない…そう意見を一致させながらも微かな光明は見えている。

 この状況を引っくり返してこその先鋒だ。

 

「いけ、カメックス!!」

 

「がめぁぁぁ!!」

 

 ボールにキスを落としてからシゲルは自慢のファーストポケモンを、

 

「頼むよライチュウ!!」

 

「らーい!!」

 

 ハウはジュナイパーの次に信頼を置くアローラライチュウを繰り出す。

 

「最後の出番に相応しく派手にいこうじゃあないか!」

 

 ライチュウがサーフテールを操り取り出す中、シゲルはメガリングを構える。

 

 

 

「「「「「「いいぞ、いいぞ、シゲル!カメックス〜!!」」」」」」

 

 

 

「頂を決める晴れ舞台、知略の"青"を見せる時!!」

 

 シゲルのキーストーンから光が放たれ、虹色の繭がカメックスを包み込む。

 

「カメックス、メガシンカ!!」

 

「がめぁぁぁぁぁッ!!」

 

 繭から姿を見せるメガカメックス。その両手のキャノンから素早くハイドロポンプの速射が飛ぶ。

 

「きんぞくおん!」

 

キキィィィィン…!!

 

「くッ…!」

 

 メガカメックスのハイドロキャノンはあくまで背中に背負った大口径の砲門がメインであり、両手に増設された甲羅のキャノンはサブ的な使い方が主である。

 それでも『体内きんぞくおん』の前にあっさり弾き飛ばされ霧散していくのは、ひとえにボスゴドラとのレベルの差をシゲルに痛感させた。

 

「コレが…あいつと戦い続ける道にずっといる者の力、か…!」

 

 かつて僕もそこにいた、その自負はある。加えてサトシとは物心付く頃から顔を突き合わせて来た間柄だ。

 こと『ライバル』という立場で言うなら自分の方がずっと長く深いはず…その意地を力に変えるより今この場で競り勝つにはなかった。

 

「ライチュウ、ボスゴドラを止めるんだ!」

 

「らららららぁ〜い!」

 

 ライチュウが両手を突き出し、双眸から紫色のサイコパワーを発散させる。サイコキネシスでボスゴドラを捉えにかかるのだ。

 

「ボスゴドラ!気合いを発散しろ!押し切るぞ!!」

 

「らぁぁぁ……!!」

 

ズゴゴゴ…

 

 

 

「おーっとこの地響きは!?ボスゴドラの走り込む重量感だけではないぞーッ!!凄まじいエネルギーだーッ!!」

 

「大地が…!!」

 

「震えている…!!」

 

 ボスゴドラの内包する膨大なパワー、そのギアに今よりさらに上があることにダンデもカルネも武者震い。

 

 

 

「ら、らぁッ…!?」

 

『ボクの超能力が効かないっ!!』とライチュウは驚愕を隠せず、カメックスも戦慄。

 

 

 

「そ…そんな…!!!!」

 

「ほ…ほにゃあああ…!!!」

 

 ネクストサークルの黄金ペアもプレッシャーに呑まれ、

 

「こ…これほどまでとは…!!!!」

 

 ナンテはこう呟くよりなかった。

 

 

 

「どすこぉーいッ!!」

 

 根本的な力の差を感じ取りながらもハウは折れない。ユニフォームを脱ぎ捨てては上半身を晒してその場で四股を踏む。

 そしてZリングを起動した。

 

「雷電と超能力を極めし賢者、ライチュウ!いくよ!!シゲルも手を貸して!!」

 

「あ、あぁ!了解だ!!」

 

 Zパワーを受け取ったライチュウが空高く飛び上がる。

 カメックスは背中のキャノンをボスゴドラへ照準する。

 

「いけぇぇぇーーーッ!!ライトニングサーフライドォォォーーーッ!!」

 

バチチチチチィィィッ!!

 

 飛び上がったライチュウが膨大なでんきエネルギーを纏いながら急降下。ボスゴドラを狙うキャノンの射線上に背を見せていけば、

 

「カメックス!ハイドロポンプ、発射!!」

 

「がめぇぇぇい!!」

 

ボシュウウウーーーッ!!

 

 

 

「あーっとメガカメックス!Zワザを発動させたアローラライチュウの背中めがけてハイドロポンプ!コレは痛恨の誤射だーッ!!」

 

「いや、誤射じゃあないぜッ!!」

 

 ダンデが叫ぶ。カルネも同じ結論に至り、戦況を凝視する。

 

 

 

 Zパワーによって得た推進力にメガカメックスの強化された水流弾の勢いをプラスしてより威力を高めた弾丸へとライチュウを昇華させる。

 ポニ島合宿の時より寝られていた草案のうち1つがここに結実した。

 

「これぞメガシンカとZワザのコラボレーション!題して…!!」

 

「「ライトニング・ストリーム・ブレット!!」」

 

「らあああああい!!」

 

「打ち返せ、ボスゴドラ!!」

 

「ぼっすぃあ!!」

 

 強烈な水流弾に押されながらでんきエネルギーの弾丸となり突っ込むライチュウにボスゴドラはハガネールを振り抜く。

 

バチチチチチィィィッッッ!!!

 

「ぐぼッ…!!」

 

「はぐぁ!?ががががが…!!」

 

 さながら野球のバッターのようにハガネールの鋼鉄のボディがライチュウに接触すれば、電撃のダメージがたまらず叩き起こされたハガネールを通してボスゴドラへも浸透してゆく。

 

「そんな!ハガネールはメガシンカでじめんエネルギーも強化されてる…電撃なんて通るはずが…!」

 

「みずはでんきをよく通す。」

 

 慌てるジロウにシンジは短く諭す。そこでジロウもすぐにエビデンスを脳裏に浮かべた。

 自身のハガネールが兄のイワークであった頃のサトシとのジム戦だ。あの時も、スプリンクラーの水を通してピカチュウのでんき技が通されていた…!

 

「ジロウ。ハガネールには済まんが振り抜かせてもらう。」

 

 シンジにジロウはコクリと頷いた。このまま一気に決める腹づもりなのだろう。

 

「ボスゴドラ!やれッ!!」

 

「ごぉぉぉどぁ!」

 

 ライチュウとハガネールハンマーの交錯、その均衡が崩れる。

 

バッキィン!

 

「らいちゅあ〜!!」

 

 ハガネールハンマーを持ち上げるボスゴドラのフルスイングでライチュウが吹っ飛ばされる。

 

「が、がめッ…!」

 

 野球で例えるならばライナー性の吹っ飛び方をするライチュウをお腹で受け止める形のカメックスだが、

 

バチチチチチィィィッッッ!!

 

「がんめぁ〜!!」

 

「カメックスッ!!」

 

 触れ合った瞬間、ライチュウの全身に帯電されていたでんきエネルギーがカメックスのボディを容赦なく打つ。

 

チュドオオオオオッ!!

 

 

 

「でんきエネルギーに変換されたZパワーが霧散する前にカメックスへ打ち返し、電撃ごとお返しした訳だな。」

 

「相変わらず容赦のないお方。」

 

 Zパワーの暴発、爆発を見ながらアキラとカオルコが呟く。彼らも彼らでシンジの実力は嫌というほど見せられているのだ。

 

「コヒュー…コヒュー…。」

 

 その体格からベンチの外で仁王立ちする鎧武者も試合をジッと眺めている。サムライの瞳は面当ての奥でギラリと煌めいた。

 

 

 

バチッ…チチチッ!

 

「ごどぅッ…!」

 

ズッシィィィン!!

 

 両手に走る強烈なしびれでボスゴドラは握力を失いハガネールをフィールドへ落とす。

 起き上がる気配のないハガネールがそのままメガシンカも解除されれば、

 

「ハガネール、戦闘不能!ライチュウ、カメックスの勝ち!!」

 

 審判ジュンのジャッジが飛び、次いでアローラ側後方フェンスまで走れば、カメックスとライチュウの容態を確認する。

 

「カメックス、戦闘不能!」

 

 メガシンカも解除され、うつ伏せになり目を回すカメックスは確実だ。続けてライチュウへ視線をやれば、

 

「らぁぁぁッ!」

 

シュバッ!

 

 ボロボロになりながらもサーフテールを飛ばし、一気に距離を詰めボスゴドラにパンチ。

 

「ボルトチェンジか…しかし。」

 

 その反動を利用しハウのボールに回収されてゆく…寸前までが限界であった。

 

「ぐふらッ!」

 

 サイコパワーも尽き果て、ライチュウはスタジアム中央付近で軽く墜落してしまった。

 改めてポケモンチェックをすれば、今度は間違いない。

 

「ライチュウ、戦闘不能!ボスゴドラの勝ち!!よって勝者、チーム<セキエイ>ジムリーダーシンジ&ジムリーダージロウ!!」

 

 決着のジャッジをジュンは告げた。

 

 




 PNTT決勝戦 ダブルバトル2
 シゲル&ハウvsシンジ&ジロウ
 ダブルバトル 3C2Dルール

 シゲル    ハウ      シンジ    ジロウ
 リククラゲ● ジュナイパー● ボスゴドラ◯ ハガネール◯
                      (メガシンカ使用)
 カメックス● Aライチュウ● ボスゴドラ◯ ハガネール●
 (メガシンカ使用) (Zワザ使用)

 勝者 シンジ&ジロウ
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