3 years later〜虹の向こうに〜   作:nami73

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 後半戦を迎えた決勝戦。ジュカインとインテレオンの超スピード対決はジュカインに軍配が上がる。
 ワンサイドゲームの色が強まる中、ダンデはエースのリザードンを繰り出した。


最終章!マスターズトーナメント ファイナル サトシvsダンデ④

「あーーーッと!ここでチャンピオンダンデはエースのリザードンを投入!!コレはあまり見られない起用パターンなように思えますが、ナンテさん?」

 

「はい。チャンピオンダンデは非常に高いトレーナーIQを持っていて、その独創的なポケモン起用でこれまで多くの名場面を演出してきました。その判断で以って出て来たならば何かしらの意図はあるかと。表面上はジュカインに対して相性がいいからと見えますし。」

 

「確実なところから数を減らしに来た、か?」

 

 マスタードにナンテは首肯を見せる。ただ、語りながらもナンテはダンデの内包する覇気に対して違和感が拭えなかった。

 それは入場の時からマスタード夫妻も同様である。

 

 

 

「戻れジュカイン!!」

 

 リザードンの予想外なタイミングでの登場にどよめく中、サトシはジュカインを引っ込める。

 そこは最悪のタイプ相性からしてむしろ当然と言えた。問題は誰が出てくるか、である。

 

 

 

「やっぱりゲッコウガ…いいえ、サトシゲッコウガ?」

 

「分かってないなぁソニア。コレは兄貴とサトシ、男と男の真剣勝負なんだぞ?」

 

 チッチッチッ、と指を鳴らす仕草のホップを一瞬殴りたくなるも、その発言から、行動に移すより先にサトシの次のポケモンがソニアにも読めた。

 

 

 

「男同士って、ホンットめんどくさいわねー…。」

 

「だからこそいいんだよ。」

 

 同じ解に辿り着くカスミはため息ながらに苦笑い。

 タケシはサトシの背を誇らしげに見る。

 

 

 

「ナンテよ、分かるか?」

 

「同郷の士でなくとも、同じ男故に。」

 

 ミツバとしては、やはり試合そのものより戦闘モードかつ生き生きとしている夫の隣にいるだけで幸せである。

 

「ワシも見ているだけで血が騒ぎよるわ!」

 

 マスタードとナンテも意気投合する中、

 

 

 

「リザードン!キミに決めたーッ!!」

 

「ぐるぅぅぅぅぅッ!!」

 

 サトシの投げ込むボールが開き、フィールドに朱き翼竜同士が正対した。

 

 

 

『リザードンですッ!!ミラーマッチ!!世界の頂点にてリザードン対決実現ッッッ!!』

 

「これはシビれる展開だね。実にマーベラスだ。」

 

「はい。」

 

 ミアレシティの研究所で中継を観るプラターヌ博士にアランは返す。実況の通りに世界一を決める舞台で咆哮を交わす2体のリザードンをモニター越しで見ながら相棒の頭を優しく撫でる。

 その瞳は気負うことなく、それでいて『いつか俺もあの舞台』へ、という確かな野心に燃えている。

 そんなアランの姿が、マノンにはただただ嬉しかった。

 

 

 

「お前もリザードンで勝負しに来たかサトシ!!」

 

「こんなチャンス滅多にないもんね!!」

 

 互いに白い歯を見せ合うダンデとサトシ。

 サトシは改めて相対する世界一のリザードン使いと、その相棒を視界に捉えながら自身のリザードンへと語りかけた。

 

「なぁリザードン。分かるか?あの人たちが世界で1番強いリザードン使いとリザードンなんだぜ。」

 

「ぐるぅ!」

 

「とうとう来たんだ。俺とお前で、世界一になる時がさ!!」

 

「ぐぅるぅ!!」

 

「やってやろうぜリザードン!!俺たちが世界で1番だって証明してやるんだ!!!」

 

「ぐぉるうううッ!!!」

 

 サトシの意気込みが伝播し、リザードンは空高くへ火炎を吐く。世界一…それはリザードンとしても宿願であった。

 

「さぁ!どこからでもかかってこい!!」

 

「リザードン、かえんほうしゃ!!」

 

 両手を広げて見せるダンデに頷き、サトシはビシリ!とダンデのリザードンを指差す。

 サトシのリザードンは天から相手めがけて炎のブレスを吐きかけた。

 

「だいもんじ!!」

 

 ダンデのリザードンもまた大口を広げ炎のブレス攻撃。

 吐き出された灼熱は飛びながら形を変え、大の字になってかえんほうしゃを押し切ってサトシのリザードンへ命中する。

 

「ぐぉうる!?」

 

 

 

「流石にだいもんじを前にしたらかえんほうしゃは威力の差が出たわね…。」

 

 効果は今ひとつ、技同士の相殺によりダメージこそ小さいがとカスミは呟く。

 

 

 

「兄貴のリザードンのだいもんじは天下一品だぞ!!」

 

 リザードン対決の先制打を与えたダンデにホップはガッツポーズ。やはりダンデはリザードンこそが象徴である、と興奮がそのまま表情から滲み出ている。

 この真っすぐさがザマゼンタに気に入られたのだろうな、とソニアは思っていた。

 

 

 

「げんしのちから!!」

 

「ぐぅるぅッ!!」

 

 だいもんじから続けざまにダンデのリザードンは周囲の地面をくりぬいた岩弾に紫色のオーラを纏わせ発射する。

 

「リザードン!きりさくだ!!」

 

「ぐぉぉぉる!!」

 

 だいもんじの炎を突き抜けた先に飛来するげんしのちからによる無数の岩弾に対し、サトシのリザードンは両腕3本ずつ、合計6本の爪で切り裂いては直撃を回避。

 

「りゅうのはどう!!」

 

「ぐぉるぁぁぁ!!」

 

 さらにダンデのリザードンは今度は口から紺青のドラゴンエネルギーを発射。襲いくる波導の奔流を、

 

「ドラゴンテールで打ち返せ!!」

 

「ぐるぅばッ!!」

 

 サトシの指示通りにリザードンは右手側から尻尾を振るい、横一閃に弾く。

 

「むうッ!!」

 

 眩い黄緑色をしたドラゴンエネルギーを纏う尻尾により弾き返されたりゅうのはどうには、ドラゴンテールの作用が混濁しているのがダンデには見えた。

 

「翔べ!リザードン!!」

 

「ぐるぅあッ!!」

 

 ダンデのリザードンは背中の両翼を雄々しく広げ夜空へ飛翔し跳ね返されたりゅうのはどうを回避する。

 攻め手が止んだのはサトシからすれば絶好の好機であった。

 

「追えリザードン!!」

 

「ぐるぅぅぅ〜ッ!!」

 

 サトシのリザードンもまた両翼を活かして飛翔。リザードン対決の舞台は空中へと移った。

 

 

 

「フィールドでの地上戦から空中戦へとミラーマッチは移行!依然目が離せませんッ!!」

 

「ううむ…。」

 

「如何した、ナンテよ?」

 

「はい。エースのリザードンで以て数的不利を打開しにかかるならば、ミラーマッチとなってキョダイマックスの火力を押し付けるのも択としてはある中、チャンピオンダンデにはその気配がないように見えまして。」

 

「ふむ。」

 

 マスタードは確かに、と意図を込めながら頷く。

 トレーナーサークルにて悠然と構えるダンデの両手は腰部の両サイドにあるままで、ホルダーに手をかける気配は見受けられない。

 こと不利な状況においてリザードンにキョダイマックスを切らないというのは、ダンデを知るものからすれば確かに不思議な話である。

 

「もしかして、最後の1体がとんでもない隠し玉だったりして?」

 

「「うーむ…。」」

 

 ミツバとしては軽いジョークのつもりであったのだが、ナンテもマスタードも極めて真剣にその択を考えるのでキョトンと首を傾げる。

 

「(リザードンに変わる隠し玉…あるとしたらなんだ?)」

 

 2人としてもエビデンスがないではない。

 空中戦への移行は、ドラゴンテールの作用が混入したりゅうのはどうの反射をダンデが嫌ったようにも見えたからだ。それが隠し玉の予期せぬ公開を避けてのことだとするならば辻褄は合う。

 ただ、それに足りるだけのダンデの手持ちポケモンというのがナンテにもマスタードにも思い浮かばなかった。

 どこまでいってもダンデといういえばリザードン、というイメージが強いからだ。

 

 

 

「エアスラッシュ!!」

 

「ぐぉッる!!」

 

「かえんほうしゃだ!!」

 

 ひこうエネルギーにより白く発光した翼が羽ばたくことで発生する三日月型のエネルギー刃をサトシのリザードンは自慢のブレス攻撃で纏めて薙ぎ払う。

 ダンデは、げんしのちからによる安易な弱点狙いは悪手として一時的に自ら封じた。

 下手に岩弾攻撃にこだわればりゅうのはどうのようにドラゴンテールで弾き返されてしまうことが予想できたからだ。

 

「("アイツ"がいるとは言えせっかく挑まれたリザードン対決だ。受けて立つのが男ってモンさ。それに…)」

 

 ダンデとリザードンの表情が不敵な笑みでシンクロする。

 

「俺とリザードンは誰よりも強いッ!!」

 

 確固たる自負と共に拳を突き出せば、ダンデのリザードンは急速接近。サトシのリザードンとガッチリ両手を組み合った。

 

 

 

「兄貴のリザードンの真骨頂は遠近問わずの抜群な身のこなし!!いっけぇーッ!!」

 

 4つの技構成からダンデのリザードンは本質的には遠距離特化に仕上げられている。だがホップの語る通り鍛え抜かれたボディバランスにおいて肉体が戦う距離を限定することはなかった。

 これもダンデという傑物が磨き上げた奇跡の産物といえるものである。

 

 

 

「喰らえ!りゅうのはどうッ!!」

 

「ぐぉるぅぶぁぁぁぁぁ!!」

 

ズッバビビビビビビ!!

 

 空中で両手を組み合うのは腕力で以て逃走を防ぐのと、吹き飛ぶことによりダメージを殺されるのを嫌ってのことだった。

 ダンデのリザードンが再度大口を開きドラゴンエネルギーの波導を叩き込めば、サトシのリザードンは逃げ場なく直撃。エネルギー爆発に呑み込まれた。

 ダンデのリザードンも組み合っている位置関係から爆風を受けこそするが、このくらいの反動は必要経費と割り切れている。

 

『チャンピオンダンデここで奇襲!りゅうのはどうの接射を叩き込んだーーーッ!!』

 

 アランのメガリザードンXですらこの距離からの1発で持ち堪えるのは厳しい、そんなダンデの期待感は全身にまとわりつくプレッシャーの前にあっという間に立ち消えた。

 

「ぐぉる!?」

 

 組まれていた両手が勢いよく離される。この時点でサトシのリザードンは健在であるとダンデ側は確信させられた。

 

「下がれリザードン!!」

 

「ドラゴンテールッ!!」

 

 唐竹割りとは真逆の、下から上へ切り上げる挙動が実現するのは空中で、なおかつ卓越したボディバランスを持っているからである。

 サトシのリザードンのその場でのサマーソルトによる尻尾の振り上げに対してダンデのリザードンは辛くも回避し身を退がらせる。

 ダンデ側がドラゴンテールに対してやけに警戒度を高くしているというのを察知したのは、波導使いとしての素養ではなくポケモントレーナーとしての嗅覚からだった。

 サトシからすればこのサマーソルトスタイルで放つドラゴンテールもいわゆる『撒き餌』に過ぎない。

 

「いけリザードンッ!!」

 

 言われるまでもなく、と再度リザードン同士の距離が一気に縮まる。

 りゅうのはどうの直撃は痛いが、それよりも今は反撃あるのみ!今度はサトシのリザードン側から接近していた。

 

「きりさく攻撃!!」

 

「ぐぉるぅんッ!!」

 

ズッシャアアアッ!!

 

「ぐるッがッ!!」

 

「しまったッ…!!」

 

 咄嗟にボディへのガードとして両手を構えられる辺りは極限まで鍛え抜かれたダンデのリザードン故である。

 だがサトシのリザードンが両手の爪で切り裂いたのは、ボディではなく翼…!

 

 

 

「ダンデさんのリザードンの要を潰したか!!」

 

 エアスラッシュの発射台としてはもちろんのこと、現在の空中戦やガードにも用いられるリザードンの翼をズタズタにしてみせたことにタケシも息を呑む。

 

 

 

「今だ!!いけリザードン!!」

 

「ぐぉうるうううッ!!」

 

 サトシのリザードンが、この試合中における飛行能力に致命傷を負ったダンデのリザードンを横腹から掴み上げ、さらに高度を上げてゆく。

 それは、まさしくフィニッシュホールドへとかかるルーティンだ。

 

『チャンピオンサトシのリザードン、チャンピオンダンデのリザードンを抱えながらみるみる高度を上げていく!!こ、これはーーーッ!!』

 

グルン!グルン!グルン!グルン!グルン!

 

 月下の夜空に真円が描かれる。その円が我らが母星を模しているというのはサトシのリザードンを知る者ならばすぐに分かった。

 

「(翼をやったのはこのためかッ!!)」

 

 ダンデは内心で唸った。

 同程度の飛行能力を持つならばこの決め技に対して無理やり抜け出すことも出来たやもしれない、いや、自分とリザードンならば出来たろう。その抜け道を寸分狂いなく塞がれていたのだ。

 

「リザードン!!フルパワーでちきゅうなげだぁぁぁッ!!!」

 

「ぐおうるうううううッ!!!」

 

 地球のエネルギーに満ち満ちたサトシのリザードンは上げた高度からルーティンそのままに急降下。

 空中での大回転中に三半規管を狂わされているダンデのリザードンとしては着地際の抵抗もままならなかった。

 

ズッガアアアアアアアンッ!!!

 

 ちきゅうなげによりダンデのリザードンはセンターサークルへと落着。

 強烈な一撃を決めたサトシのリザードンは、空中で軽くよろけながらもニュートラルポジションへと戻り着いた。

 

 

 




 『ルーキーからのリザードン人気』
 トップクラスのトレーナーが愛用するリザードンに憧れてヒトカゲをパートナーに選択するルーキーがポケモン歴1997年から激増している。
 ヒトカゲ時代より尻尾の炎からバイタルサインが分かりやすく、育成のしやすさも再認識されているとのこと。
 
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