「ねえねえ、みんな。この娘のこと知ってる?」
何時もの空き地にて、骨川スネ夫が他三人に見せ付けたのはタブレットだった。『またいつもの自慢話か』野比のび太は内心にそう呟く。『小学生のくせにタブレットなんか持っちゃってさ』
インターネットなるものがこの世には存在するのだと、のび太が知ったのはつい最近のことだった。学校で皆が当然のようにそれを口にしているのに対し、純粋な疑問から「なにそれ?」と口にしたものの、返ってきたのは笑いであった。
「のび太さん、ドラちゃんが居るのに知らないの?」源静香の言である。
「俺様だって中学生になったら歌配信しようと思っているんだぞ。母ちゃんが許してくれたからな」剛田武ことジャイアンの言である。
「いや、もしかしたら未来ではインターネットじゃなくて、もっと別の技術が発達しているのかも知れないね」出木杉英才の言である。
勿論、小学校においても既に情報の授業は始まっていた。しかしそこは生粋の怠け者。学校の授業など端からてんで聞いていないのである。が、妙にプライドが高いのび太は、今更ながらに帰って早々ドラえもんに詰問した。
「ドラえもん、インターネットを教えて!」
「きみにはまだ早い」
実際、ドラえもんの懸念は妥当である。しかし、親の心子知らずならぬ、友人の心、友知らず。禁じられればより知りたくなるのが人の性というもの。のび太はインターネットなる異世界について思案巡らせること度々であった。
その興味関心を掻き立てたのがスネ夫の自慢話である。彼は小学生ながらに自分専用のパソコンを所持しており、「今じゃパソコンでゲームが出来るんだよ」などと、自室に友人らを呼んで自慢することがよくあった。『RTX4080』も『16GBメモリ四本刺し』も、のび太にとっては意味の分からぬ単語であったが、凄いということだけは理解できた。
「いとこのスネ吉兄さんがパソコンのプロでさ」と語る彼に、「ドラえもんはもっと凄いんだぞ!」と言っても、「まあそりゃあ凄いだろ」と当たり前のように返されるばかりだ。事実、のび太が問題としているのは、その凄いのをスネ夫が自由に使えることであって、スペックの問題では無いのである。
自宅のテレビのチャンネルさえも自由に出来ない自分を他所に、友人はインターネットを自在に移動し、日々分からぬ異世界知識を上から目線で授けられるのだ。頼りとなるべき未来のロボットは、そのスペックを発揮するばかりか、自分とチャンネル争いを繰り広げる始末。故に、のび太は憤懣やるかたないものの、スネ夫の自慢話に聞き耳立てて興奮しているのである。
が、今日は少々、趣向が異なっていた。
「じゃーん!」とスネ夫がタブレットを介して見せ付けたのはYoutubeの個人チャンネルである。アニメチックな少女がアイコンとなっているそのチャンネルは、それなりに人気を博しているようで、登録数5万、最新動画の再生数が20万と、中々の数字を有していた。
「ほーお、バーチャルYouTuberってやつか?」
「結構人気ね。再生数も段々上がっているみたいだし、これからの人なのかしら」
「『滑川拗ね子』……? この子がどうかしたの?」
小学生らしい反応を見せる三人に対し、スネ夫は髪をかき上げ自慢げに答えた。
「まだ気付かない? これこれ! この動画!」
スネ夫が指差したのは件の20万再生数の動画であった。タイトルは『私の自慢のコレクション!』内容はタイトルそのもので、自室のプラモデルを紹介していくというものであった。
しかし、三人の目を引いたのはそこではない。その動画のサムネイルに登場するプラモデルは、つい先日に見たものであったのだ。
「これ、スネ夫のじゃねえか! いとこに貰ったっていうフルスクラッチの帆船模型!」
「たいへん! スネ夫さんの物が無断転載されているわ。今すぐXで拡散しましょう!」
「ぼ、ぼくもドラえもんに頼んできっと炎上させてみるよ!」
「いや、いいよ。……なんか嫌だな。みんながこういう反応するの」
今時の小学生らしいのかどうなのか分からぬ反応を見せる友人らに対し、スネ夫はあくまで余裕綽々に言った。
「まだ気付かないの? 『滑川拗ね子』……骨川スネ夫! これ、ぼくだよ!」
「「「えええええっ!?」」」
三人は驚愕に声を上げた。確かに、動画のサムネイルに登場するゲームやパソコンに玩具といった数々は、全てスネ夫が自慢げに語ってきた品である。
だがしかし、どうにも三人は飲み込めない。何せアイコンはスネ夫とは似ても似つかぬ美少女なのである。
「おいスネ夫、お前男だろ? これがスネ夫なら、どうして女の子になってんだよ」
「ひょっとしてスネ夫さん、最近話題のLGBT……」
「ぼ、ぼく、ドラえもんに頼んで変身カチューシャをあげられないか頼んでみるね!」
「いや、だから……。これぼくのせいなのかな……?」
「しょうがないな」とスネ夫が端末を操作し、表示したのは『バ美肉』なる検索結果である。そこには三人にとって信じがたい事実が書かれていた。
「分かった? 今や女の子だけが美少女になる時代じゃないんだよ。誰でも美少女になって、人気者になれる時代なの! それがバ美肉!」
「ばびにく……美味そお!」
「じゃ、じゃあこの可愛い女の子は、本当にスネ夫なの!?」
「可愛いだなんて……のび太のくせに分かってるじゃないか」
にやにやと笑いながら、スネ夫は『私の自慢のコレクション!』動画を再生した。
『はい、こんにちは~~! バーチャルYoutuberの滑川拗ね子です! 今日は、私の自慢のコレクションを紹介したいと思いま~す!』
「あら、ボイスチェンジャーを使っているのね」
「うへえ。媚びっ媚びじゃねえか。俺の嫌いなタイプだぜ……」
「こ、こういうのが可愛いんじゃないか!」
のび太は何故かジャイアンに反論した。ぶっちゃけて言えば好みのタイプだった。中身はスネ夫だが。対してスネ夫も何故か嬉しそうに笑う。ちょっと倒錯的な何かだった。
「分かってるなのび太。いとこのスネ吉兄さんがVTuberのプロでね! ぼくのために、神絵師さんの立ち絵から3Dモデルを作ってくれたのさ!」
「いや、VTuberのプロってなんだ?」
「大学に通いながらベンチャー企業を立ち上げたんだ。バーチャルYouTuberグループのプロデュースを行っている企業だよ!」
「本当にVTuberのプロじゃねえか……」
ジャイアンが感嘆している一方で、のび太は先程からずっと、画面の中に表示される美少女に目を奪われていた。単純に好みのタイプだというのもあるが、それ以上に、『美少女アバターが配信活動をしている』というコンテンツに、全く新しいものを感じたのである。
「それでぼくもVTuberデビューしたってわけ。大人気の日野うさぎさんにも紹介されてさ、今や人気急上昇中! いやあぼくも遂にアイドルだよ。君たちとは住む世界が違くなっちゃうなあ!」
何時ものスネ夫の自慢も耳に届かなかった。のび太は自分でも無意識の内に呟いていた。
「ぼくも……」
「うん? どしたのび太」
「ぼくも、VTuberになってみたい!」
一瞬の沈黙の後、笑いが起きた。
「のび太、お前がYoutuber? 人気出るわけねえっての! ああいうのは面白いやつとか、特技があるやつがやるものなんだよ。この俺様の歌声みたいな!」
「のび太さん、スマホも持ってないのに……。3D環境ってたいへんなのよ?」
「あはは! のび太がぼくと同じVTuberに? 居眠り配信でもするわけ?」
と、そこでスネ夫は先程までの嬉しそうな顔を一変させ、眉根を寄せてのび太を睨んだ。
「VTuberの道は広く奥深い。そんな安っぽくVTuberになると言われると、ぼくはムカムカするんだ」
「いや、なるのは別に良いだろ。アプリとかで簡単になれるんだろ?」
「ぼくなんか、家の物置を特設スタジオにして、毎日研究に明け暮れているんだぞ。『男の娘大全』を読んだり、いとこに家庭教師を頼んだり!」
「努力の方向性が、なんだか変な方に行ってないかしら」
「う、う、う……!」
ジャイアンとしずかの冷めた意見はともかくとして、のび太はスネ夫の言葉に打ちのめされた。確かに、スネ夫は既に実績を残しているのだ。こんな可愛い女の子になって、人気を得ているのだ。それに対して簡単に『なりたい』だなんて、軽率な発言ではあった。
しかし、だとしても、なりたいのだ。『ぼくもVTuberになりたい!』そんな思いが募り高まったとき、どうしようもなくなったとき、いつものように、のび太は駆け出すのである。
空き地から逃げ出すように自宅へ駆け込み、階段を上ってドアを開いて、寝そべりながらどら焼きを頬張る間抜けな後ろ姿にのび太は叫んだ。
「ドラえも~ん! ぼくもバ美肉してバーチャルYouTuberになりたいよ~~!」
「なにがどうしてそうなった!?」
がばりと身を上げたのは青狸というか青アザラシというか、そういう姿のロボット、ドラえもんである。22世紀の子守ロボット。秘密道具であんなこともこんなことも叶えてくれる。そんな彼であるが、流石に今の発言に対しては目を白黒させていた。
「いや、どうしたんだいのび太くん!? 急にバ……なに? 焼き肉?」
「焼き肉じゃなくてバ美肉! 可愛い女の子のアバターで配信活動して人気者!」
「そ、そんな話をどこから……」
「スネ夫がなっているんだよ! バ美肉! 配信! 男の娘大全!」
「えぇ……」
マジかよ。って感じの表情をドラえもんは浮かべた。無理もなかった。そんなイかれた趣味をまさか友人への自慢話として話しやがるとは思ってもみなかったのだ。
しかしのび太は影響されやすく、こうして「バ美肉バ美肉」言っている。『こりゃあ、めんどうなことになるぞ』と予感しつつ、しかしこういう時、のび太に対して無理矢理やめろとでも言ってしまえば、スペアポケットなり何なりと、無駄に狡猾な手段を成してくることは分かっている。
普段はそれも単なる失敗として片付けているが、しかし今回ばかりはそうも行かない。何せのび太が触れようとしているのはインターネットだ。それもけっこうアングラなやつ。小学生がバーチャルYouTuberデビューなんて地雷の予感しかしない。コンテンツ的にも、将来的な意味でも。
故にドラえもんは、とりあえずの誤魔化しとして、「じゃ、じゃあ、スネ夫がどんなことをやっているかでも見てみようか」とスパイ衛星を飛ばした。友人の心、友知らず。ドラえもんは何時だって頑張っているのである。
さて、モニターに映し出されるのは骨川家の特設スタジオ。暗幕を下ろした室内には緑色の幕が持ち上がっており、その前で、不思議な機械が取り付けられた真っ黒な服を着て、スネ夫が誰かと話していた。
「モーションキャプチャースーツ……これは思ったより本格的だぞ……!」
「あ、あれだよドラえもん! あの人がスネ夫のいとこ!」
のび太が指差した先には眼鏡をかけた男がいた。顔はスネ夫そっくりで、彼をそのまま大人にしたような風貌である。大きな違いとしては、髪に強いパーマをかけている点だろうか。
「ああ、零戦で大和を沈めた……」
「あの人がスネ夫の師匠で、VTuberのプロなんだって!」
「VTuberにプロなんてあるの?」
「会社の社長さんなんだって。VTuberの」
「うーん、プロだ……」
のび太とドラえもんが話し合っている一方で、スネ夫達の方も撮影が一段落ついた頃合いだったらしく、スネ夫はスーツを着たまま自慢げにタブレットを操作した。
『新作の動画どうかしら。ぼくは良い出来だと思うけど』
褒めて欲しいと言っているようなものであった。実際、スネ夫は母親に次いでスネ吉に懐いている。スネ吉の方も趣味が似通っている年下のいとこが可愛いのか、度々世話をして遊んでやっている。
が、今だけは、彼は気難しい顔をして冷たく言った。
『情けない……。これでもバ美肉VTuberかね』
『え!?』
珍しく厳しい言葉が出た。だが、スネ吉はスネ夫のショックを受けた様子も気にせず、訥々と持論を展開する。
『バ美肉VTuberに欠かせない『三感』というのを教えたはずだ。覚えているかい』
『え~と……『質感』に『距離感』に『おじさん感』でしょ』
「なにそれ」
奇怪な持論に呆気に取られるのび太とドラえもんに対し、二人は熱く語り合う。
『この動画のどこに『理想的な美少女の質感』がある!? まるっきり流行のアニメと漫画のパクリじゃないか!?』
『ごめんなさい……。つい受けようとして、自分の理想よりも人気のキャラみたいにって……』
『距離感あり! バ美肉VTuberは、同性特有の距離感の近さを感じさせねば落第だ!』
『どうしても視聴者ってことを意識しちゃって……』
『男らしい趣味をもっと利用しろ。手本を見せてやる』
そう言ってスネ吉が持ち出したのは、プラモデルとゲーム、そしてホワイトボードであった。
『滑川拗ね子はプラモデルとゲームが大好きな小学生女子、という設定の男だ。故にオタクな話は大きな声で、学校での話は小さな声で、これ常識。奥行きのあるキャラ設定は、話題によってその魅力を見せていく』
『なるほど……』
『視聴者に返す反応もふるいにかけて、可愛いと褒めるコメントには大きく、現実的な話には小さく。だが、逆に現実的な話ほど細かい表現を……』
ホワイトボードには『滑川拗ね子』という大文字の下に、『拗ねっ子』『いじわる』『自慢話』。更にそこから分岐して、『現実で上手く行っていない』『金はあるオタク』『理想的な自分』と書かれている。それを眺め、スネ夫は感嘆の声を漏らした。
『凄くリアルになったよ! 迫力のある動画が撮れるよ!』
『喜ぶのはまだ早い。配信で中身の『おじさん感』……スネ夫の場合は『男子感』を出さねば意味がないのだ』
そこでスネ吉はまたゲームを取り出した。有名な美少女ゲームである。
『一つの方法は、対照的に綺麗なものを登場させることだ。たとえば美少女ゲーム攻略動画を出して、自分との違いに悶絶するとか……』
『皮を纏っていても、中身がまるで違うって事を表現するんだね』
『分かってきたな。もう一つは、雑談枠を使うことだ』
『雑談枠?』
『雑談枠は、中身の男感をあからさまに見せてくれる。それは良いんだが困ったことに、どうしても自分の情報を曝け出さなければならない。その分、美少女の設定とのバランスが取れなくなるんだ』
『はあ……』
『だから、場所や人物といった具体的な情報はなるべく絞り込む。そのためには話題そのものよりも自分の感情を強く、あくまで『美少女なのに男っぽい価値観』といった範疇で……』
「なんだい、これ」とドラえもんは思わず呟いていた。22世紀の子守ロボットに、こんなきっしょい話題についていけるような知識はないのである。
しかし、のび太は違った。
「……ドラえもん」
「えーと、なに?」
「ぼく、絶対にバ美肉VTuberになる! なりたい! ねえ道具だして~~!」
「えぇ……」
こいつマジか。という表情をドラえもんは浮かべた。新幹線を使おうが船を使おうが、行き先さえ合っていれば東京から大阪には着くだろうが、流石にバ美肉おじさんという過程でセワシは産まれるのだろうか。物凄く嫌な予感をロボットながらに感じるドラえもんだった。
しかし先の通り、ここで素気なく断ってしまえば余計面倒なことは目に見えているので、渋々ドラえもんはポケットを探り、未来の秘密道具を取り出した。
「絶対あんぜんパソコン~!」
「普通のノートパソコンじゃない」
「まあ、これは22世紀の道具じゃなくて、21世紀末の道具なんだけど……それでも今のきみにはぴったりな道具だよ。画面を立ち上げてみて」
そう促され、のび太は一見して普通のパソコンの電源を入れる。直ちに画面が点り、『使う人のデータを入れて下さい』と丸っこいフォントが浮かび上がった。
「はい。じゃあ名前を入れたら虹彩認証と指紋認証をするから画面をタッチしてね」
「すごい……けど、それって今のタブレットでも出来るよね?」
「この道具のすごいところは、使う人の個人情報を絶対に守るところなんだ」
のび太が一通りの設定を終えると、『保護者(お父さんやお母さん)に操作を代わって下さい』と画面に文字が出る。それにのび太が何かを言う前に、ドラえもんが瞬く間に設定を完了させた。
「はい。これで普通にインターネットが使えるようになったよ。3D機能も付いてるから、カメラの前に立つだけで自動でトラッキングしてくれる」
「……ねえドラえもん。これってもしかして、子供向けの道具じゃないの?」
「そうだけど。開示請求にもへっちゃらで、もし個人情報をばらまいても絶対に辿り着けないようになっているんだ」
「もしぼくが、冬にカブトムシを見つけたってポストしても?」
「発言内容をAIがサーチして、事前に危険度を数値化してくれる。一定の数値を超えると警告が出てロックされて、保護者に連絡が行くようになっているんだ」
「未来じゃなくて今に一番必要な道具なんじゃないかなこれ……って、そうじゃなくって!」
のび太は大袈裟に腕を広げて、呆れたように言った。
「これじゃあ普通のパソコンと変わらないじゃない! ぼくはVTuberになって、みんなの人気者に……」
「じゃあ、ピーアールでも使う?」
「う……」
ドラえもんは冷めた目でのび太を見つめた。対してのび太は、かつて使った道具の効果とその結果を思い出し、渋い顔を浮かべた。
「のび太くん。きみは人気者になりたいだけなの? それで良いの? だったらすぐにできるけど」
「……ううん。ぼくは、VTuberとして人気者になりたいけど、スネ夫みたいに、自分の力だけで人気者になりたいんだ!」
「よくぞ言った! それじゃあ、頑張ってね」
『まあ、すぐに飽きるだろう』と、早速Youtubeのアカウントを取得したのび太を見つつ、ドラえもんは押し入れに寝転んだ。『こうやって適当に道具を与えておけば、そのうち思い通りにならなくなって、インターネットの事も忘れるだろう』
スネ夫も恐らくそうだとドラえもんは思った。彼の趣味は配信以外にも多岐に渡るし、何より小賢しいとも言えようが、年の割に敏いところがある。自分の人気を支えているのは、小学生VTuberに群がるキショキショおじさん共という現実に何時かは気付き、自分から離れていくだろう。
だからこそ、数週間の後、「ドラえも~ん! 登録者数が全然伸びないんだよ~!」と言われた際、「よくもったな」とドラえもんは思わず言った。
「見てよ。ぼくの『のびのび子』チャンネルの登録者数。3だよ、3! ジャイアンとしずかちゃんが登録してくれただけで、ぼくのファンは一人しか居ないんだよ!?」
「あ、それはぼく」
「じゃあ一人も居ないの!? ねえドラえもんなんとかして~!」
「とはいってもねえ……」
ドラえもんはのび太が投稿した動画を眺めていった。その殆どが二桁の再生数。中には一桁のものさえある。「まあ、当然じゃないの?」ドラえもんは冷たく言った。
「せっかくのフル3Dアバターなのに、なんだい、この『今日学校で有った面白い噺』って、落語でもなくて単なるつまらない雑談じゃないか」
「だって、漢字に出来るなら格好いい漢字にしたいし……」
「あやとり配信は地味すぎるよ。全部の糸が3Dモデルになっていて破綻もないことに驚かれてるけど、それだけじゃないか。これは再生数が四桁あるけど……『技術の無駄遣いwww』ってコメントが、きみの全てだよ」
「う、う、う……」
その技術は未来の道具によるものであり、ドラえもんが用意してくれたものであり、つまりのび太がやっていることは全く無駄なことである。過激な発言は自動でフィルタリングしてくれるものの、こういった素直なコメントは素直にのび太の元へ届き、見事に胸を抉ったのだった。
「総合スレでも少しは話題に上がっているようだけど、『どっかの技術者の実験か何か?』『マジで天才チンパンジーアイちゃんの訓練かもしれん』って、こりゃひどい」
「スレってなに?」
「あー、きみは知らなくていい」
「ともかく」とドラえもんは居を正してのび太と向かい合った。
「もう、これで気がすんだろ。きみにVTuberは向いてないんだ。これからはちゃんと勉強してね……」
「そんなことを言わないでよ! どうやったら人気が出るのかいっしょに考えてよ~!」
「ピーアール~!」
「そうじゃなくて!」
「ドラえもんの役立たず!」と言って、のび太は家を出た。衝動的に飛び出しただけであったが、足先は自然と何時もの空き地に向いていた。思い起こすのはスネ夫のこと、正確には『滑川拗ね子』のことである。
この数週間で、一気に滑川拗ね子はスターダムへと駆け上がっていた。登録者数は十万を超え、同接も四桁を数える。立派な人気VTuberの一人である。人気VTuberとのコラボで新規を獲得する一方で、それまでのファンを蔑ろにせず、単発動画に自分の味を出し続けているところに秘訣がある、とのび太はネットで伝え聞いていた。
『たしかに、スネ夫はすごい』のび太は素直にそう思った。キャラ設定を貫徹し、たまに漏れる。そのギャップにこそ滑川拗ね子の本質がある。完全無欠の金持ち高慢ロリから、現実では上手くいっていない男が顔を覗かせるのだ。
その差異から来る親近感と距離の近さに、視聴者は虜になる。そしてそれ以上に凄いのが、そのギャップさえも計算された演出だと言うことだ。スネ夫とスネ吉の会話を覗き見た際、のび太はいまいちその意味を理解し得なかったが、今なら分かる。あれは演者やキャラクターと言うよりも、配信そのものに対する計算、そして美意識の表れだった。
「だけど、それってちょっと、窮屈じゃないかしら」
「ん? なにが?」
「うわっ。スネ夫」
丁度、空き地の前でのび太とスネ夫は出くわした。スネ夫は脇にタブレットを抱えており、難しい顔を浮かべていた。しかしのび太の発言に対し、妙に口を尖らせて言った。
「なにが窮屈なんだよのび太。ひょっとして、ぼくの滑川拗ね子のことをいってるの? フフン。悪いね。登録者数が一万を超えないやつの言葉は聞かないことにしているんだ」
「ムッ……それなら言わせて貰うけど、スネ夫の配信は完璧すぎるんだよ!」
「完璧の何が悪いんだよ」
「それは……その……」
のび太は言葉に詰まった。スネ夫は黙ってのび太を見つめ続けている。それは待っているようでもあった。
やがて、珍しく、のび太はぽつぽつと話し始めた。
「だってそれは……スネ夫が出てないじゃないか。ぼくもVTuberをやったから分かるけど、スネ夫はすごい。本当にすごいよ。でも、配信に出ているのは、全部滑川拗ね子じゃないか。スネ夫じゃない!」
「そりゃあ、ぼくの立ち絵は神絵師さんに特注したものだからね。……だけど。まあ。確かにそうだ」
「おっ、なんだなんだ。どうした?」
「あら、のび太さんにスネ夫さんと武さん」
いつの間にか、何時もの空き地に何時もの四人が揃っていた。しかし、何時になく真剣な顔をしてのび太とスネ夫は相対している。
「おースネ夫、お前、この間の歌動画、中々良かったぜ。今度は心の友として俺も登場させろよな!」
「それじゃあぼくの動画が荒らしとしてBANされちゃうよ」
「なんだと!?」
「それに、友達なんて滑川拗ね子に相応しくない。滑川拗ね子は友達なんて居ないんだ。引きこもりで、学校のことが大嫌いな、お金持ちの女の子なの」
「……スネ夫、どうした?」
言いながら、スネ夫は顔を顰めていた。その表情の理由がのび太には分かっていた。なるほど、スネ夫の従兄弟が生み出したキャラクターは完璧だ。そこにはバ美肉VTuberに対する美意識が透徹して現れている。完全な美少女を隠れ蓑にした、平凡よりも劣った人間の悲哀。そこから現れる親近感、親しみやすさ、距離の近さ。人気を得るには十分なものだろう。
だが、スネ夫はそうじゃない。隠れ蓑の更に内側に骨川スネ夫は存在する。「だから窮屈なんだ」のび太はふと声を溢した。人気を得るためには、自分を殺さなければならない。自分を生かそうと思えば、人気は失われていくかも知れない。だってそれは骨川スネ夫であって、滑川拗ね子ではないから。
「そこまでして、何になるのさ」
「ぼくは人気者だ」
スネ夫が口にした言葉は、確かに一つの真理だった。のび太は何も言えなかった。自分も確かに、それに憧れて始めたのだから。
それでも、友人が苦しんでいることに納得するのは、のび太が出来る事ではなかった。
「まあ、難しい話は止めようぜ。それよりもよ、のび太、ドラえもんに頼んで俺様も歌配信を……」
「ジャイアンは黙ってて!」
「お、おう……マジでどした?」
「ぼくは……スネ夫に決闘を挑むぞ!」
「はあ?」と呆れ顔を浮かべたのはスネ夫ばかりではない。ジャイアンとしずかも同様の顔を浮かべ、しかしその言葉の意味を解するのはスネ夫だけだった。
「それ、本気で言ってるの? あ~んな名前の通り、のびのびしすぎなチャンネルで、ぼくより人気者になろうって?」
「そうだよ! バ美肉VTuberってのは、もっとのびのびしているべきなんだよ! 自然体だから、美少女なんだ!」
「あーそっか、ドラえもんに頼るんだな。確かにそれなら勝てないや」
「違うよ! ぼくだけの力できみに勝たないと、きみが安心して、きみに帰れないんだ!」
「フン……」
スネ夫は前髪を撫で、笑みを浮かべた。そしてタブレットを操作した。
「たしかに、悔しいが、のびのび子に魅力はある。どこか抜けたような表情のロリは、庇護欲と同時に嗜虐欲もそそられる。フル3Dアバターというのも良いね。演者の無防備な立ち振る舞いが、アバターのロリ感を更に増幅させて、犯罪臭がぷんぷん匂ってくるよ」
「それを言うなら滑川拗ね子だって可愛いじゃないか。普段は高慢なお嬢様なのに、視聴者には媚び媚びで人気を欲しがっている。スカートの裾が短いのが良いね。毎回の挨拶がカーテシーによるお辞儀で行われるのに、その清楚さと服装のギャップが溜まらないよ!」
「フフン。分かってるじゃないか!」
「そっちこそ!」
のび太とスネ夫はニヤニヤとタブレットを見ながら笑い合った。それを見てしずかが「気持ち悪いわ……」と呟いた。
「だが! のび子の配信はお粗末だね。そりゃあ世にはロリが雑談するだけで満足する人も居るけど、のび子はバ美肉を公言している。ガチじゃないんだ。だから、自然とその配信にはエンターテイメントが期待される。その点で言えば、まるでなっちゃいないね」
「う……それは、そうだけど……」
「だから……ゲーム配信でも、すれば良いんじゃないかな。銃で撃ち合う奴をね。のび太の特技だろ?」
「す、スネ夫……!」
「こいつら頭おかしいんじゃねえか」とジャイアンが呟いたのも気にせず、のび太はスネ夫の言葉に感銘を受けていた。敵に塩を送る、と言う言葉をのび太は知らないが、それでも近い何かを感じていた。
「勘違いするなよ。ぼくは、のび太がドラえもんに泣きついて、せっかくの人気がメチャクチャになるのが嫌なだけだ」
「わあ! 拗ね子ちゃんの生『勘違いするなよ』だ!」
「フフン。『このゲームは一人用なんだ』」
「わあ! 拗ね子ちゃんが毎回ソロプレイをするときの決めセリフだ!」
「別の意味で住む世界が違くなっちまったな……」「ドラちゃんに頼んでも、なんとか出来るかしら……」そんな冷めた声をまるで気にせず、のび太はスネ夫と睨み合った。どちらの美少女観が優れているかの勝負である。本当にセワシは生まれるのか?
家に帰ってすぐ、のび太は『白夜行動』というゲームをインストールした。広大なフィールドで100人のプレイヤーが殺し合い、最後の一人になるまで行われるバトルロワイヤルゲームである。のび太もその存在は知っていたが、どうにも今まで手を出すのを躊躇していた。
確かにのび太は射撃が得意だが、ゲームはどちらかと言えば苦手な方である。つい先日も『スーパーワイドブラザーズ』という横スクロールアクションゲームの実況動画を投稿したものの、操作はまるでおぼつかず、Xに『底辺Vtuber、ここまで来てる』という構文と共に晒され、2000いいねと3000リポストを稼いだのだ。もっとも、登録者数にはまるで還元されなかったが。
しかし、ドラえもんに頼んでインストールして貰えば、何てことはない、のび太の才能は凡そ銃撃と呼ぶべきもの全てに及んでいた。画面上に描画される細かな予兆に目敏く気が付き、直ちに迎撃を行っては追撃を食らわせる。天才と呼ぶしかなかった。
のび太は『白夜行動』の配信を始めた。それでも最初はまるで伸びなかった。そもそもの知名度が低すぎるのと、今までの動画が控えめに言っても糞だったので、見られる事すらなかったのである。
ちょっとは手助けしてやろうかとドラえもんは思った。どうにも、のび太は真剣である。先人の動画を参考にし、毎日喋りの練習をしている。それはのび太が嫌っていた勉強そのものである。それが実を結ばないのは可哀想だ。
「……せめて、上げ下げくりで、これからのび太くんの動画が偶然に見られるはずだった日付を繰り下げて……」
「余計なことはしなくて良いよ」
「それでも……」
「ぼくだけの力で拗ね子ちゃんに勝たないと、スネ夫が安心して、スネ夫に帰れないんだ!」
「そ、それ、そんな事に使って良い言葉だったの……?」
ちょっとショックを受けたドラえもんが、タイムテレビであの日の映像を見て心の傷を癒やしている間にも、のび太の努力はほんの少しずつではあるが実を結んでいった。
発端は、同じくVTuberの虎田たいがであった。彼女は同接が常時一万を超える大人気VTuberである。そんな彼女が常のように白夜行動を配信していた際、のびのび子と対戦したのだ。
化け物染みた強さであった。その話題は虎田たいがというコンテンツの中に還元される話題ではあったが、その益は勿論、のびのび子にも及んだ。『天才』『プロ並み』『ウルトラスーパーデラックスロリガンマン』と、その名声は瞬く間にネット上に広まったが、のび太は決して気をよくすることはなかった。
「この人達は、虎田たいがさんの視聴者なんだ。ぼくはプレイだけじゃなくて、のびのび子に人気を集めなくちゃいけないんだ……!」
「アンキパンで事前に台本でも書いておく?」
「道具は使わないって言っただろ! それに、配信中ずっとパンなんて食べられないよ!」
「じゃあ、おせじ口べには?」
「倒した人にお世辞を言ったら炎上しちゃいそうじゃない」
「のび太くんはわがままだなあ」
「ドラえもんは何もしなくて良いって言ってるだろ!」
そう言われ、ドラえもんはすごすごと押し入れの中に帰って行った。ちょっと寂しかった。
そんな思いからか、それとものび太が何かをしないと基本的に暇なのか、ドラえもんは勝手に#のびアートというハッシュタグを付けて、のび子のファンアートを投稿し始めた。ド下手であったが。しかもご丁寧に#AI絵と付けたので、粘着アンチと思われて多数からブロックを食らったが、それでも流行の切っ掛けはそれである。
それは、一種のネットミームだった。ドラえもんの絵は初め粘着アンチと思われたが、その絵を良く良く見れば決して適当に書かれたものではなく、線の多さと複雑さから、寧ろ熱心に時間を掛けて書かれたものだと分かった。
加えてドラえもんはのび子の動画が出る度に、『ター銃を抜く。李徴、ターを問い合わせる』『キツネ、ターを問い合わせる』と謎の一言コメントを付けてリポストしていた。この意味不明な構文が流行し、ぽつぽつとファンアートが書かれるようになったのである。勿論、手書きか否かに関わらず、#AI絵を付けて。
この謎のコメントの正体は、ドラえもんが趣味で付けている暗号日記をそのまま流用したものであった。ターとはのび太。李徴は虎田たいが、キツネはスネ夫及び滑川拗ね子のこと。問い合わせるとは紹介で、のび子を誰かが紹介してくれたという日記を付けていたのである。
しかし何故、ドラえもんは友人を応援するのにわざわざ暗号でコメントを付けていたのか。それはドラえもんがポンコツだからである。ド下手な絵をそのまま公開したのもそうだが、ドラえもんは21世紀のネット史に詳しくない。何故ならば、22世紀にそんなものは存在しないからだ。
だが、そんな真実など流行としてはどうでもよく、のび子は順調に登録者を増やしていった。天才的なプレイの腕前もそうだが、拙くも必死で盛り上げようとする喋りが、何かアレな人達の心を鷲掴みにした。濃いファン層の形成である。勿論、ライトなファンを生み出すような土壌もあるが、人は、『人が集まっている』という事実に集まるものである。
「遂に、十万人突破だ……!」
ある日、のび太は涙を流して画面上に笑みを浮かべた。遂にここまで来た。自分は、誰の手を借りることもなく、自分の力だけで人気者になれたのだ。……いや、違う。
「ドラえもん、ありがとう。ぼくのファンアートを書いてくれて」
「え? なに? ちょっとレスバトルに忙しいから後でね」
ドラえもんがタブレットを操作するのを他所に、のび太は感激のままに感謝をしていた。ここまで人気になれたのは、自分の力だけではない。そう思ったのだ。
発端となったのは、虎田たいがさんの紹介であり、そしてスネ夫も紹介してくれた。何よりドラえもんがネットミームとして流行させてくれなければ、今の人気があったかどうか。そういう意味で言えば、これも未来の道具を使ったことになるのかな? ドラえもんは道具じゃないけどさ。とのび太は少し、後ろめたくなった。
だが、不意にXに通知が入った。滑川拗ね子……スネ夫からのDMである。それは簡素な文面から始まっていた。
『負けたよ』
『のび子、可愛いな。自由にやってて、それでも可愛い。ずるいな。それってのび太そのもののくせに。のび太のくせに可愛いぞ』
『ぼくも、スネ吉兄さんに相談したんだ。そしたら、怒られちゃったよ。これは第一段階だって』
『キャラクターを生かすも殺すも演者次第。これから滑川拗ね子は骨川スネ夫と真の同一化を果たすんだって、熱心に言われた』
『だから、安心してくれよ。のび太。これから滑川拗ね子は、どんどん可愛くなっていくからさ』
「スネ夫……!」
のび太は嬉しくなった。認められたこと、憂慮に過ぎなかったこと、どちらも成功し続けているということ。その全てがない交ぜになって、震える指で『よかったら、コラボをしようよ!』と打ち込みかけ、しかしスネ夫からのDMが追加で届いた。
『ただ……あの#のびアートってやつ、そろそろ止めないと、まずいんじゃないの?』
「え?」
スネ夫が何を言っているのか、のび太にはよく分からなかった。それは自分の視聴者が、ファンアートを届けてくれる際の愛のあるハッシュタグだ。それが止めないといけないとは、どういうことなのだろう。
「ねえ、ドラえもん……?」
「うん? ちょっとごめん、集中してるから」
「う、うん……」
ドラえもんは怖い顔をして画面を睨んでいる。それでも気になって調べてみたが、検索結果として表示されるのは、可愛い自分の絵ばかりである。それににやけていいねを付けるも、どこか腑に落ちないところがあった。
「そういえば……このパソコンは、子供向けなんだっけ」
だとすれば、年齢制限が掛かっているに違いない。事実、のび太もポスト、リポストをしようとしてロックを掛けられたことがある。その度にドラえもんへ向けて、『何が悪いの』と聞いたものだが、『きみにはまだ早い』と返されるのが常であった。
のび太はドラえもんの注意が自分のタブレットに向いているのを確認し、そっと設定画面を開いた。年齢制限の解除という項をクリックすればパスワードを要求されたが、『doraemon0903』と何となく入力すれば通ってしまった。
そうして、のび太は改めて『#のびアート』と検索した。その検索結果として表示されたものは……。
「な、なに、これ……」
それは、自分が、のびのび子が、あられもない格好で、あんなことやこんなことを「わすれろ草あああああっ!!!」「あれ?」
のび太は一瞬にして全てを忘れ、息を荒げてノートパソコンをしまい込むドラえもんを不思議そうに見つめていた。対してドラえもんは、ロボットのくせに全身から汗を流していた。
「あれ? ドラえもん? なんでパソコンを仕舞ってるの? 登録者十万人突破の瞬間を見たかったのに!」
「もう終わり! 全部終わり! VTuberなんて忘れろ!」
「えっ、ちょっと、ドラえもん!?」
ドラえもんは勢いよく押し入れの襖を閉め、再びタブレットを睨んだ。そこには数多の#のびアートが表示されている。その殆どがR-18ものであった。それもメチャクチャに濃いやつばかり。ファン層がそのまま絵として現れているようだった。
#のびアートがロリを超えてペドの領域に踏み込むまでそう時間は掛からなかった。何せ本人が止めないのである。そもそも碌な声明すら出しやしない。加えて発端が悪ノリのネットミームとも来れば、悪ノリは悪ノリを呼んで更には"本物"を呼び込んだ。結果、#のびアートはファンアートの名を借りた、ロリコンの特殊性癖の煮こごりタグと化したのである。
「こりゃ、もうダメだな」
ドラえもんは何時だって頑張っていたが、そろそろ限界であった。のび太が頑張っていることは分かっていたが、流石にこれは教育に悪すぎる。そして気持ち悪すぎる。中身は男だぞ。頭おかしいんじゃないか。
そうしてドラえもんは、毎度同じように捨てアカウントで絵師に絡むのである。焼け石に水の努力ではあったが、これで終いだ。何せ明日には、のび子には引退して貰うのだから。その文面は何時もこうであった。
『ホモはホモサイトへ!』