僕のまこーらアカデミア!   作:ボリビア

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誰も精神に適応するとは言ってないよ(小声)


集団移動に適応する

 人命救助訓練の為、バスによる敷地内の移動中に禪院家が話題になった。

 

「今更かも知れないが、禪院君はやはりあの禪院家の出身かい?」

 

 委員長である飯田が前から気になっていたのだろう、確認的な意味合いで尋ねてきた。

 

「日本でウチ以外に禪院名乗ってるバカがいなければそうだな。」

 

「禪院家って何?

 凄いの…?」

 

 禪院家を知らない麗日の頭に疑問符が浮かぶと、一人のオタクが騒ぎ出した。

 

「禪院家ってヒーロー制度設立初期から数多くのプロヒーローを排出している歴史ある名家だよ!!」

 

(外様から見たらそういう評価だよな〜。)

 

 緑谷の評価は間違いではない。

 実際に数多くのヒーローを排出し個性社会の維持に多大な貢献をしているのは事実である。

 実際に禪院家の人間である摩虎羅からすると、世間に見せられる側面に過ぎない。

 実際の禪院家は個性を極める為の合法的な立場としてヒーローをやっているだけに過ぎない武闘派集団であり、個性婚が流行る前から個性婚を実施し現在も行っている。

 そして身内でも無個性やゴミ個性と判断されたら人間扱いされないのは当たり前、個性を持ってても女なら下に見られるのは当たり前という超前時代的な家でもある。

 しかも、伊達に歴史が長く実力のある集団なのでヒーロー公安委員会、財政、警察界隈あらゆる社会基盤に太いパイプを持っておりこの事実が表に出ることはない。

 

「え、じゃあ禪院って坊ちゃん?」

 

「つーか禪院じゃなくて摩虎羅って呼んでいい?」

 

「好きにしろ。」

 

「摩虎羅ちゃん、アタシの事は梅雨ちゃんって呼んでね。」

 

 余りにも気軽な空気に摩虎羅の本来の身分を知っている八百万が思わず口を挟んだ。

 

「坊っちゃんではなく、摩虎羅さんは禪院家の次期当主ですわよ。」

 

「「次期当主!!?」」

 

((え、あの性格で!?))

 

 内心も一致する程の衝撃情報に全員の関心が更に向いた。 

 

「俺が次期当主って発表されたのか?」

 

 当主の立場は名義貸し程度にしか考えてない摩虎羅はそもそも自分が次期当主と発表された事を今知った。

 

「ええ、先日お父様から連絡を受けましたわ。

 それと次期当主就任おめでとうございますわ。」

 

「おう。」

 

「ヤオモモと摩虎羅って知り合いなの?」

 

「個人というよりは家同士ですわ。

 八百万家の専任SPとして禪院家の方々とはお付き合いありますの。」

 

 『禪院家の護る家こそ価値あり』

 という謳い文句がある程度には禪院家との繋がりはステータスに繋がる。

 八百万家も歴史ある名家であり、何かと狙われることが多く名家同士の繋がりとして禪院家の人間を代々専属護衛として雇っている。

 禪院家としては名家との繋がりという利点と立ってるだけで稼げる楽な商売かつ仮に襲撃を受けたら受けたで八百万家を襲撃する根性と知性のある敵はそこら辺のチンピラと違い、経験値として得られるものが多いという利点もある。

 実力と立場、権力の全てを持っている摩虎羅に対して峰田が吠えた。

 

「イケメンでヤオモモと並ぶVIPで強い個性とか一体何を持ち得ないのだ!!」

 

 多分良心。

 

「つーか当主であの性格はヤバくね。」

 

 既にA組の面子には摩虎羅の性格はある程度知れ渡っている。

 最初は葉隠が否定していたが、最近意見を撤回した。

 

「爆豪が下水を煮詰めた感じなら、摩虎羅は丁寧に抽出した毒だよな。」

 

「どういうセンスだボケ!!」

 

「…お前、まともな土地で事務所開けると思うなよ。」

 

 禪院家は警察や公安、政治家にも太いパイプがあるから摩虎羅が一言言えば新米ヒーローの事務所新設に口出しは平気で出来る。

 

「すいませんでした!!」

 

 上鳴、入学してから通算4度目のマジ謝罪である。

 

「当主って何やるの?」

 

「知らん。

 面倒くさいのは直哉に押し付けた。」

 

 摩虎羅にとって当主としての肩書は仕方なく参加した試合のトロフィーか何かであって実務を担当する気は更々無い。

 

「直哉って、やっぱり音速ヒーローの禪院直哉さん!?」

 

「誰?」

 

「シンリンカムイと同時期にデビューしたヒーローで、メディアへの露出は少ないけど、逮捕率で若手NO.1の凄いヒーローだよ!!」

 

(アイツ真面目に仕事してたのか。)

 

 実の兄が仕事を真面目にやってる事実に驚きを僅かに目を丸くした。

 

「つーか本名!?」

 

「うん、禪院家出身のヒーローは本名でヒーローやってるんだ。」

 

 本名でヒーロー活動をしているのは禪院家だけである。

 本来、ヒーロー名はヒーロー自身のプライベートを守る目的やキャッチーな名前で社会への浸透性を高めたり、ヒーローとしてのスタンスを示す重要な役割を果たしている。

 

「まじかよ。」

 

「覚悟決まってて漢らしいな!」

 

「別にヒーロー名より禪院の名前出した方が楽なだけだがな。」

 

「いやマスコミとかどうすんのよ?」

 

「記事に出来る会社が無い。」

 

 そもそも、禪院家はヒーロー活動を個性使用の大義名分程度にしか思ってない為、大衆の評価に興味がない。 

 

「ヒーローじゃなくてマフィアの間違いじゃ?」

 

 大体合っている。

 

「ヤオモモ大丈夫?

 弱み握られてない?」

 

「大丈夫ですわ!

 …多分。」

 

 大丈夫と口に出すがその目は明後日の方向に向いた。

 

 

 

 

 

 

 




ヒーロー社会における禪院家の立ち位置説明回
社会の癌だけど、個性社会の構造そのものが深刻に歪んでるから対処できないだけ。
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