マ~コマコマコッ!!
効かないマコねぇ!
とか言う馬鹿にするつもりだったんですよ?
「お小言が1つ、2つ、3つ…」
「増えてってる!!」
無事、禪院家がヤバそうな家だとA組が認識しUSJ(嘘の災害や事故ルーム)にたどり着き担当教員の一人である13号の話をクラスが耳を傾けるなか禪院摩虎羅は聞いたフリで考え事をしていた。
(どうすっかな。
広場に留まるか、転移に巻き込まれとくか。)
今回の実習は原作では死柄木弔による襲撃があり、摩虎羅の目的の一つである『崩壊への適応』を獲得するチャンスである。
流れでは一部の生徒たちは転移でUSJルーム中に飛ばされてそこで、用意された敵の集団と戦うことになる。
広場に残る側か飛ばされる側か。
残る側のメリットは時間ロス無しで死柄木弔と対峙出来る点。
飛ばされる側のメリットは奇襲が出来る点。
用意された敵はあくまで生徒を散らした後の嫌がらせ程度の雑魚敵であり、摩虎羅なら秒で処理して広場にトンボ返りして奇襲が可能だ。
(雑魚相手にするのもダルいし広場だな。
生徒に何かあっても頑張ればカバー出来るだろうし。)
13号のお小言が終わり、クラスメイトが拍手する中、それは広場に現れた。
全身を手で覆った死柄木弔を筆頭に脳を複数の敵と脳をむき出しにした怪物、脳無が二体。
(増えてるな。)
怪物が2体現れた時点で摩虎羅は中央広場へと飛び出していき、イレイザーヘッドがそれに続いた。
「下がれ禪院!!」
飛び出した摩虎羅をイレイザーヘッドが戻れと怒声を浴びせると同時に脳無の一体が摩虎羅へと接近していた。
明らかに脳無は摩虎羅を認識した上で、迫ってくる。
「コイツは俺狙いだ!!」
摩虎羅と脳無が激突する際、摩虎羅の貫手を突き立てられるのを無視して脳無は摩虎羅に抱き着く様に拘束してきた。
カチリと音がする。
「コイツ自爆するぞ!
下がれイレイザー!!」
脳無の行動と目的に直ぐに気付いた摩虎羅はイレイザーへと忠告を入れるが即座にイレイザーは個性を抹消しようと脳無を視ていた。
(抹消が効かない!?)
爆弾は機械式。
脳無の個性は爆弾の威力を高める為だけに掛け合わされた外付けの火薬でしかない。
「禪院!!」
イレイザーヘッドの個性虚しく、摩虎羅を拘束したまま脳無は自爆し、その凄まじい衝撃はUSJを揺らした。
遠くにいた死柄木と黒霧は無事だったが、イレイザーヘッドを襲おうとしていた敵達は爆発に巻き込まれていた。
暫くして、煙が晴れると爆心地にはクレーターが出来、その中心には黒焦げの人型が立っていた。
「…そんな。」
「嘘だろ…!」
突然の爆発、そしてクラスメイトが死んだであろう結果にA組が雄英教師が固まる。
しかし敵は待たない。
(懸念は排除できた。
次は散らして殺す。)
黒霧は計画通りに処理した摩虎羅を尻目に霧をA組へと飛ばして
行く。
このまま分断されればA組は立ち直れていないショックの影響で待ち構える敵達に殺されているだろう。
しかし、
ガコンッ!
音が鳴った。
「…グッ!?」
気付いた時には黒霧は倒れていた。
何者かが己の実体を踏みつけている。
「…俺の個性を半信半疑で様子見したなマヌケ。」
敵の浅はかさを嗤う。
禪院を裏切った者は誰か分からないが、この程度で摩虎羅を殺せると思っているマヌケさに呆れも感じる。
摩虎羅の個性に関してしっかりとした情報があれば、今の爆発の倍以上、USJを一撃で更地に出来る威力が必要だ。
だがそれも、もう叶わない。
「チーターかよ…!」
既に摩虎羅は全快している。
あまりにも巫山戯た事態に死柄木弔は怯えを隠す様に吠えた。
グルリと死柄木の方向に顔を向けた摩虎羅が嗤う。
「ヌルゲーが好きならサッサッと死んだほうがいいぞ?
つーか何だその格好?
当ててやるよ、コンセプトは『一人ぼっちでさびしーでーす!』だろ?
後は『僕を撫でて~』か?」
ヒーローのコスチュームが己の在り方を示す象徴であるならば、敵のコスチュームはコンプレックスの塊だ。
自身を掴んでくれる手は裏を返せば『誰からも手を差し伸べられなかった証』
案の定、死柄木弔は先程の光景への怯えを忘れ、怒りで顔を歪めた。
見た目通りの子供じみた姿に摩虎羅は冷笑を浮かべた。
「フッ。」
「お前…!
脳無、殺せ!!」
もう一体の脳無が動き出す。
死柄木弔の指示を忠実に守る怪物は、戸惑いなく摩虎羅へと激突した。
死柄木は摩虎羅が吹き飛び、脳無によってグチャグチャになる姿を想像していた。
しかしその様な光景は訪れない。
第一に摩虎羅は倒れていないし、吹き飛ばされても居ない。
依然黒霧を踏み付けたまま、脳無の突撃を片手で受け止めていた。
「ーー!!」
脳無が吠えて打撃を加えていくが、連続打撃を摩虎羅は涼しい顔で受けていく。
防御も回避もせず、まるで子供にポカポカ叩かれても気にしてない様に全く効いてない。
「マッサージにもなんねぇな。」
打撃の激しさが増す中、摩虎羅は両手を構えた。
『適応』によって最適化されている摩虎羅の動きは奇しくも、ある前世で見たある空想武術と同じ動作を取っていた。
円陣を描くように両腕を回す。
伝わる力は『斬』
両手をそっと脳無に押し当てた瞬間、脳無の体に螺旋が走る。
それは無手による斬撃。
脳無の体が螺旋を切り目にズレてバラバラに吹き飛んでいく。
「ヒーローっつーか、凡人は大変だよな。
物を切るのに刃物が要るなんて。」
その光景に全員が驚愕した。
そして死柄木弔は目の前が暗くなって漸く、摩虎羅が目の前に移動してきた事に気付いた。
「で、次は?」
思わず下がる。
「下がるな。
わかってるよな、黒いの。」
黒霧は死柄木弔を逃がすために動こうとして動けなかった。
(だめだ!
ワープより早く死柄木弔が殺される!!
脳無は…ダメか!)
脳無は頭部を中心に再生が始まっているが、脊髄や内臓の修復に時間がかかるのか遅い。
「で、どうする。」
意味がわからなかった。
オールマイトを殺せる脳無を用意した上でリークされた厄介な個性持ちを処理するために別の脳無も用意した。
計画通りに行くはずだったのに初手で失敗した。
(何で?
先生が用意したんだぞ!?
なのに何で俺は追い詰められてんだ!!?
ていうか何だよコイツ…!
何でそんな目で俺を見るんだ!)
目の前の存在が怖い。
嫌悪も憎悪も正義も慢心も無い瞳が怖い。
オールマイトと全く違う。
ヒーローとして存在してはいけないと死柄木ですら分かる。
「う、うわぁぁぁあ!!」
恐怖は人を攻撃的にする。
目の前の理不尽を破壊し、心の安寧を得るためにパニックになった死柄木は両手を摩虎羅へと押し当てた。
それしか知らないからだ。
両手は摩虎羅の腹に当たり、崩壊が始まる。
表層に罅が入り、他の生物と同じ様に壊せる。
その光景が死柄木を安心させた。
ガコンッ!
この音が鳴るまでは。
「よし、用済み。」
死柄木の手が潰れていた。
押し当てた死柄木の手を摩虎羅が握りつぶしたのだ。
既に摩虎羅の腹には崩壊の割れは無い。
「あ、あー?」
安心からの絶望。
その落差を理解できるほど死柄木は大人ではない。
「あ、一応あれか。
そっか今、ヒーロー科の授業中だもんな。
えー、投降すればこれ以上やらないけどどうする?」
(作戦は完全に失敗!!
まさか禪院摩虎羅がここまでの怪物とは!!)
死柄木弔は精神崩壊。
判断は黒霧に委ねられた。
しかし、その時間は少ない。
時間をかければ怪物以外にもヒーローはやってくるしオールマイトも来るだろう
「あ、そうだ。
お前らに俺の情報流したマヌケはどいつだ?」
摩虎羅に向かった脳無が自爆という手段を取った時点で敵に個性が漏れている。
そして個性の大まかな内容を知っているのは禪院家の一部の人間だけ。
犯人が身内であるのは明らかだ。
『扇君だよ。』
黒霧とは違う場所から声が聞こえた。
死柄木弔達と一緒にワープして爆発に巻き込まれて重症の敵だった。
突然起き上がり、内臓がこぼれ落ちているのに笑顔で摩虎羅に向かって話しかけて来たのだ。
「一応聞いてやるよ。
誰だテメェ。」
『そうだね、君達は僕をAFOと呼んでるよ。』
「で、裏社会の都市伝説がなんのようだ?」
『家族を助けるのに理由がいるかい?』
綺麗事を言うが、嘘である。
「家族ごっこだろ?
…まあいい消えろ。」
摩虎羅としてはこのまま黒霧と死柄木を確保しても良かったが、最悪AFOがこの場に出張ってくる可能性がある。
摩虎羅はともかく被害が大きすぎると判断してAFOの願いに応じた。
『話が通じて助かるよ。
また会おう、禪院摩虎羅。』
別れの挨拶を最後に敵は崩れ落ちた。
「オエッ!」
死柄木弔の口から黒い泥のような物が溢れ出し、死柄木自身を覆っていき、全身が包まれると泥は弾けるようにして消えた。
脳無が、二体の時点で個性バレ確定していて不機嫌な摩虎羅君。
黒霧は自分の個性で消えました。
ハイエンド脳無の頭から全身再生は物理どうなっとんねん。