『oh…』
『一応、事故か。』
司会席の二人が惨状に対して言葉を失う。
相澤が何とかフォローしようとするが、フォローになっていない。
摩虎羅チームが作り上げた、ゲロまみれのハチマキの山に対して会場中がドン引きしていた。
「うっ、うっ、うっ。」
「よし、吐ききったな。
二人もそろそろ落ちてくるか。」
そんな惨状を作り上げた摩虎羅はグロッキーになったお茶子を揺らしてゲロが出てこない事を確認してから肩に担ぎ上げると、
落ちてきた緑谷と心操をそれぞれ片手で掴んで会場の端によっていた。
4人中3人が気絶するという状況のなか、摩虎羅は通常運転であった。
「ほら拾えよ。
…それとも爆豪と轟のを奪うか?」
誰も動かない状況に対して端に寄って観戦モードの摩虎羅は轟と爆豪が持っているハチマキを指定する。
二人は摩虎羅が開始と同時に動くと判断してハチマキを掴んで防いでいたのだ。
「チッ!」
「裏目に出たか…!」
全員の目が二人の騎馬に向く中、一つの騎馬がハチマキの山に向かう。
「有り難く頂こうか。
このままじゃB組の立つ瀬がないしね。」
「「物間…!」」
現状の順位で決勝に進む人間はA組の11人と普通科の生徒一人のみ。
物間にとって、憎きA組ならまだしも普通科の人間が決勝に進めてB組が一人も決勝に行けない状況は到底納得できない。
騎馬の上から器用にハチマキの山を適当に掴み、ゲロを拭って首にハチマキを付ける。
「なら俺も貰うぜ!
鉄なら関係ねぇ!!」
その姿を見て、更に鉄哲徹鐵の騎馬もハチマキを回収していく。
それを見た殆んどの騎馬が触発されて地面のハチマキや摩虎羅以外の4つの騎馬に群がっていく。
「クソが!!
醤油顔やるぞ!」
「飯田、頼んだ!」
状況に危機感を覚えたのは爆豪と轟である。
三位と四位かつA組で構成された騎馬は得点が高いが、下位のチームとの差は決して大きくは無い。
ハチマキを守護しても負ける可能性が高い。
その結果、摩虎羅の騎馬を除く全員が臨戦態勢となり、戦いが白熱していく。
『ヨッシャ、仕切り直しだZEー!!!』
いい感じに騎馬戦が動き出し、最初の沈黙を掻き消す様に観客が声を上げていく。
「はっはっはっ、争え雑魚共。」
摩虎羅は余裕そうに見下し、油断していると判断した騎馬が挑むが。
「ぶべっ」
右から来れば緑谷を叩き付けて盾に。
「助けてくれ!」
「スマン!
…。」
心操に返事をした騎手の目が虚ろになる。
「お前、騎馬降りろ。」
「おい!
いきなりどうした!?」
心操の迫真の命乞いに反応した騎手が操られて騎馬を崩される。
あるいは操られた騎馬を轟や爆豪に突っ込ませる事で対応していく。
「…あれ?
え、どうなってるん?」
戦いが激しさをましていく中、麗日が目を覚ました。
「お前、ゲロ吐き、全国放送。」
そんな中、目覚めた麗日に対して摩虎羅が容赦無く事実を告げていく。
口の中に残る酸味が摩虎羅の言葉を裏付けており絶望を感じながらも全力で麗日は現実を信じなかった。
「うそや!!」
「みろよ、ミッドナイトの哀れみの目。」
摩虎羅が顎でミッドナイトを示した方に麗日が視線を向けると、ミッドナイトは目をそらした。
「…全裸晒した先輩もいるから。」
全裸とゲロ吐き、どちらがマシなのだろうか。
フォローになっていないミッドナイトの言葉は麗日を絶望させるには十分であった。
「慰めになっとらん!!」
麗日の絶叫が響くと同時に、終了の合図が響く。
『終了ーー!
一位は言わずもがな禪院チーム!
二位爆豪チーム!
三位は轟チーム!
そして四位は鉄哲チームだぁ!!』
物間は原作通りに爆豪を煽ってボコボコにされました。