僕のまこーらアカデミア!   作:ボリビア

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本戦に適応する。

「なんだよ、炎使えるようになったのか。」

 

 大量の水蒸気が立ち込める舞台を眺めていた摩虎羅は轟がトラウマに対して何かしらの決着を付けた様子に感心していた。

 

「うわー、轟の本気すげえな。」

 

「緑谷君大丈夫かな。」

 

 誰かの呟きに反応して摩虎羅は緑谷への制裁を思い出した。

 

「あ、そうだ。

 緑谷殺さなきゃ。」

 

「殺人宣言!?」

 

「誰か摩虎羅を止めろぉ!!」

 

 摩虎羅が腰を浮かせる素振を見せると周囲のA組が全力で止めに入る。

 摩虎羅がやると言ったらマジでやる。

 

「冗談だ、轟に炎を使わせたから一本で勘弁する。」

 

「殺るのを確定してる時点で冗談になってねぇよ!!」

 

 試合の結果や摩虎羅の言動に振り回されながらA組の面々は雑談をしていく中で、瀬呂が摩虎羅に質問した。

 

「つーか摩虎羅的に俺等って評価どうなの?

 こう強さとか。」

 

 相澤からの注意を含めて摩虎羅が自分達とは明確に違うと認識をしていたが、間近にいる上位者としての評価は気になるA組の面々は摩虎羅の次の言葉に関心を寄せる。

 

「あ?

 あ~そうだな。

 うーん、こう、なんていうかな。」

 

 珍しく摩虎羅が言葉を濁す、あるいは言いづらそうにしているのを見て、一番関心が強かった爆豪がキレた。

 

「バシッと言えや!!」

 

「花とか雑草の強さとか聞かれても難しいだろ?」

 

「「(花扱い…!)」」

 

 別にA組に限った話ではない。

 摩虎羅の次元からみると周囲の存在は花や雑草、あるいは虫であり、対等な強さを持つ相手ではない。

 元々自分もソッチ側だった筈だが、『適応』は摩虎羅一人だけを強制的に向こう側へと押し上げてしまった。

 

「一応フォローしてやると、俺とやり合いたいなら人生100週して漸くって感じだけどよ。

 お前らってヒーローになりに来たんだから、俺の事は考えないほうが健全だぞ。」

 

 摩虎羅のフォローは最もであった。

 あくまでヒーローは人助けが基本であり、戦闘力は重視される指標であって絶対的なステータスではない。

 各々の目指す理想のヒーローから逆算して得意を伸すのが筋であり、摩虎羅と正面から打ち合える事を目指すのは邪道であるし、そこまでの強さが必要な程世界は危なくない。

 

「俺の評価なんざ、その程度だから気にすんな。」

 

「確かに、人助けとかしなさそうだもんな。」

 

「うん、ヒーローやってる姿イメージ出来ない。」

 

「パトロールと称してムカつくやつ殴ってそう。」

 

「…一応、最低限はやるぞ。」

 

「最低限の時点で駄目だぜ普通。」

 

 摩虎羅の人格を知っているA組の面々は容赦無く、ヒーロー適性の無さを指摘していく。

 

「そう言えば、禪院家のヒーローって普段どんな活動してるの。」

 

「金持ちの護衛と京都、奈良、滋賀の守護。」

 

「もしかして京都が『世界一安全な都市』って言われてるのって禪院家のお膝元だから?」

 

 この世界線では禪院家の本家がある京都は世界一安全な都市であり京都府は犯罪発生率は最も低い都道府県であり海外からも安心して観光が出来るとして高い評価を受けている。

 

「当たり前だろ。

 オールマイトが居る中で名門を豪語するにはそれくらいの意地が必要で、面倒くせぇよ本当。」

 

 オールマイトの登場はある種のターニングポイントであった。

 圧倒的強さと全国を飛び回るフットワークの軽さは禪院家の存在意義を問われる程度には激震が走ったのだ。

 個性婚というスキャンダルを持つ禪院家が国から見逃されてきたのはその強さ故であり、日本の安全に大きく貢献してきたからである。

 しかし、オールマイトが現れた。

 軒並み下がる全国の犯罪率とは相反し禪院家を落とそうとする勢力は活発化していった。

 当時の禪院家当主はその機運を察知し、敵対派閥や政治家による横槍を入れられる前に行動し禪院家のヒーロー方針を『京都守護』という形に変更し『世界一安全な都市』を作り上げたのである。

 

「ま、オールマイトが居なければ調子乗って没落か腐ってたかも知れんから結果的にはマシな状態だけどな。」

 

「オールマイトすげー。」

 

 全員がオールマイトの影響力に感心していると、プレゼント・マイクの放送が響く。

 

『エブリバディ!!

 会場の整備が終わったから、二回戦再開するぜー!!

 三試合目の選手は準備してくれよ!!』

 

「いくか。」

 

「ウチ勝てるかなぁ。」

 

 摩虎羅はいつもどおりに、対戦者の芦戸は溜息を吐いて会場に向かった。

 

『さぁ〜って!

 二回戦目も後半戦!

 ピリリッと痺れる酸性ガール!

 芦戸三奈ー!!』

 

『対するは、一回戦で大砲の連射を無傷で受けきった規格外系男子!

 禪院摩虎羅ー!!』

 

「ねえ、踊りで勝負しない?」

 

「敵が踊りで倒せる世界なら頷いてやるよ。」

 

「ですよね~。」

 

『試合開始ィー!!!』

 

 開始の合図と共に摩虎羅は両手を広げる構えを見せる。

 

「ほら打って来いよ。」

 

「え、いいの?」

 

「パフォーマンスは大事だろ?」

 

 この大会の目的はヒーロー科のアピールという意味合いがある。

 摩虎羅はともかく、A組やB組の面々が個性を使わずに退場となれば今後のキャリアな影響を及ぼす。

 故に摩虎羅は気遣いと動かなくて楽だからという理由で、本戦は基本的に受けに回っていた。

 

「なら遠慮なく!」

 

(酸性最大!)

 

 普段の訓練で摩虎羅が酸に強いのは芦戸も織り込み済み。

 

(なら私の出せる最大火力をぶつけて派手にアピールする!)

 

 ダンスの動きを交えた動きで高く飛んだ芦戸三奈は上空から最大出力の酸を放つ。

 

『アシッドボム!』

 

 摩虎羅の全身に掛かった酸と反応したコンクリートによる水蒸気が収まると、酸によって出来た大穴の中心に全裸の摩虎羅が居た。

 

「今度は全裸か。」

 

『芦戸三奈のコンクリも溶かす酸を食らっても服だけ!!

 硬くて耐性持ちってヤバすぎねーか!!』

 

『アイツの本来の売りは肉体の耐久度や耐性だからな。

 寧ろ身体能力はオマケに近い。』

 

「次はあるのか?」

 

 摩虎羅が次を促すが、芦戸は自らの視界を手で覆って顔を赤くしながら叫んでいた。

 

「いや、その前に前!!」

 

 芦戸の視界には摩虎羅の摩虎羅が映っているのだ。

 

「見惚れても構わねぇよ。

 生物として完璧な肉体に惹かれるのは本能だろう。」

 

 摩虎羅の肉体は一人でかけ離れているレベルで色々と個性によって作り変えられているが、ベースは人間でありある種の究極の肉体美を持っていると言っても過言ではない。

 実際、全裸を見たミッドナイトは涎を垂らして見つめているし、観客の中にも見惚れる者が居た。

 

「知らないよ!

 棄権します!!」

 

「あら残念。」

 

 芦戸の棄権により残念そうにミッドナイトが試合終了を宣言すると、摩虎羅の周りをコンクリートが覆った

 セメントスによってコンクリートに覆われたまま、摩虎羅は控室へと回収されていった。

 

『半裸の次は全裸勝利!!

 禪院摩虎羅、準決勝進出だぁ!!』

 

「よし!

 これで摩虎羅君も放送事故や!!」

 

((ゲロのほうが不味くないかな…))

 

 次の試合の為に控室で試合を見ていた麗日の喜びに対して応援に来た緑谷のと飯田の内心は複雑だった。




 オールマイトによって廃業したヒーローって沢山居そうですよね。
 増強系の個性持ちもオールマイトの劣化とか言われてそう。
 良い脳無の素材になりそうですね!!
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