摩虎羅の戯言に本気になったホークスや公安によるプレゼンや接待で殆ど終わった。
恐らくクラスメイトで一番無駄な職場体験であった。
そして職場体験明けの授業。
各々が職場体験で得たスキルを活かして行く中、一人だけ突出した生徒が居た。
「…すげーな。」
「かっちゃん…!」
炎を解禁し個性操作に磨きがかかる轟やOFAの新たなる活用による機動力を確保した緑谷ですら爆豪勝己の動きには目を見張るモノがあった。
(滑らかな重心移動に爆破を最小限かつ効率化した加速装置としての使用。
体術も無駄がない。
そしてシンプルに個性の出力向上。
禪院の訓練は常軌を逸してるとは聞いていたが、短期間でここまで仕上げるとはな。)
相澤の目から見ても爆豪の動きや個性操作はクラスの中でも断トツであり摩虎羅を除くクラスメイトとは一線を超える実力が見て取れた。
もう一つ変わったのは摩虎羅と爆豪の関係だろう。
「まだまだ小蝿だな。」
「この程度肩慣らしにもなんねぇよ。」
「緑谷は良いのか?」
何時もの爆豪なら緑谷の己を模倣した動きが出来るまでに急成長した姿に苛つきを見せていた筈であった。
「は、古い俺の動きを模倣出来た程度の雑魚なんざ眼中に無いわ!!
それと週末は世話になる。」
原作と違い、爆豪の職場体験は充実した期間となり己自身が思っていた以上の成長と伸び代を禪院の研究データに示されてよりやる気に満ちていた。
「好きにしろ。
後、使用人はお前にくれてやる。」
使用人とは禪院真依の事である。
職場体験で使用人として押し付けた結果が良い方向に転がってくれたようで、その成果は既に摩虎羅の耳にも届いている。
「いるか!!
つーか、いつの間にかお袋と仲良くなってたり露骨に外堀埋め過ぎだろ!!」
現在、禪院真依は職業体験終了後も訓練を望んだ爆豪との連絡要員という名で爆豪家に住み込みで暮らしている。
昔から女の子が欲しかったらしい爆豪夫婦には気に入られてしまい、爆豪勝己は本格的に婿入りの危機を感じていた。
「いらねーなら下働き兼、政治家用の接待要員だぜ?」
「クソが!!」
次期当主からの最低最悪な脅しに爆豪は屈した。
職場体験中も感じた禪院家の男尊女卑や個性至上主義を味わった身として、本気でやりかねない。
それに、なんやかんやで職業体験中に身の回りを世話してもらったり同年代であったりで情が移ってしまった。
最早、爆豪勝己に禪院真依を見捨てる理由は無い。
その様子を見て摩虎羅はニヤリと笑う。
「頑張れ、頑張れ。」
「プロになったらいの一番にテメーの家を潰してやる。」
「応、頼んだ。」
「頼むな!!」
実現不可能に近い宣言をして爆豪は自主練の為に離れていく。
そんな爆豪を見送りながら、職業体験中の出来事を摩虎羅はふとある事件を思い出した。
「にしても、ステインと敵連合ね。」
ステイン逮捕の一報と脳無出現のニュースは原作通り流れており、どうやら敵連合はまだ息があるらしい。
(両腕を潰して心を折ったと思ったが、立て直したのか?
いや、敵連合の知名度を上げるためにステインを利用するだけなら死柄木弔は要らないか。)
摩虎羅は既に一度死柄木弔と交戦し両腕を握りつぶした事がある。
その時のリアクションから心を折ったと思っていたが、どうやら敵連合という団体は生きているらしい。
今回の敵連合の目的はステインを利用することによる戦力の拡大。
一気に名を上げた敵連合は日陰者達が集まるための格好の旗印となってこれから一気に勢力を拡大する。
(林間合宿襲撃は雄英のブランド引いてはオールマイト神話に傷が付く絶好の機会か。
俺対策の一つや二つ用意しなきゃ、全滅だぜ敵連合。)
死柄木弔という存在を無視しても敵連合もといAFOが林間合宿を狙う理由は高い。
そしてAFOが現状、唯一と言っていい自分に危害を与える可能性が高い敵や策を用意できる存在である為、少し期待していた。
こいつの期末テストはカットです。
実技テストの相手でオールマイトの伝手でスターアンドストライプ呼ぼうかと思ったけど辞めました。
やっぱり呼ぼうかな。