森の中で爆発音が響き渡る。
己を拘束する土塊を爆破して出てきた爆豪は苛立っていた。
「クソが…!」
自分だけが墜落した事実は改めて摩虎羅との差を実感させる事実であり、中々縮まない実力差は爆豪の神経を尖らせる。
「まだ遠いってか…!」
後ろからの奇襲を爆破による変則起動で躱して木の上に登ると自分のいた場所に一人のヒーローが立っていた。
「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツが一人、暴力担当虎!!」
明らかにコスチュームとの乖離が激しい筋肉質な肉体を見せつけながら自己紹介するのはWWPのヒーローである虎。
個性柔軟による狭所での救助や柔軟格闘術のプロでも有る。
「一人だけだが、スペシャルコースは本気の私と土魔獣による襲撃!
簡単に抜かせると思うなよ小僧!」
虎の宣言と共に地鳴りが起こり、周囲の地面が魔獣へと変貌していく。
魔獣と虎による襲撃を躱しながら合宿所を目指すのが今回、爆豪勝己に与えられた試練だった。
「上等だ…!
テメェこそ、舐めてると潰すぞ…!」
(何たる覇気!)
試練にたいして笑みを浮かべて構える爆豪に思わず虎は身構える。
(これは、生徒と思わないほうが良いか!)
そして、暫くの時間が経ち合宿場に爆豪がやってきた。
「まさかの2時間クリア!?
いやー普通にプロ級じゃない。」
想定以上の早さにマンダレイは驚く。
スペシャルコースなら夜まではかかるだろうと思っていたからだ。
「ハァ、ハァ…アイツは?」
泥だらけで疲労を隠せない爆豪は摩虎羅を見つけると、何故か摩虎羅は料理をしていた。
「コラー!
あちき達の食材勝手に使うな!」
「お前らの料理は雑だ。」
摩虎羅としては基本的に何でも食べれるし何でも消化出来る胃を持っているが、それはそれ。
禪院家の育ちであり、舌が肥えた摩虎羅には合宿場に用意された大量消費を前提とした大雑把な料理は口に合わなかった。
「はぁー!?
アンタらガキどもの為に量優先で作ってやってんの!
本当は数段上の食べたら求婚間違いなしレベル何だからね!!!」
基本的にブチギレているピクシーボブとラグドールが正しいのだが、相手は禪院摩虎羅。
圧倒的な傲慢は二人を無視して完璧な和食を作り上げていく。
「あら普通に美味しそう。」
「食材のレベル考えればこんなもんだろ。」
「ぐぬぅ…!
金持ちで才能アリで料理も出来る…!
ここまで来ると逆に私が釣り合わな過ぎる!!」
どうやら、ピクシーボブからみて摩虎羅は高スペック過ぎて対象から外れたらしい。
「…俺は寝る。」
そんなコント地味たやり取りをしている姿に爆豪は溜息を吐いて合宿場に入っていった。
そしてその他のA組も到着して始まったら林間合宿。
摩虎羅は常闇と洞窟の中にいた。
「こんなもんか?」
「グ、グゥ…!」
「ツヨイ…!」
摩虎羅にボコボコにされた常闇とダーク・シャドウ。
実力差もさることながら、常闇はダーク・シャドウの暴走を止めながら戦っていた。
その様子に摩虎羅は欠伸をしながら呆れて暴走を促した。
「ここまで差があるのに抑えるのか?」
「だが!」
「最大を知った上で制御を覚える。
ソレが訓練の狙いだって分かるだろ。
馬鹿に付き合う気はねぇぞ。」
摩虎羅の言葉に常闇は葛藤を覚えながらも、ダーク・シャドウを解放する。
「…そ、う、か!
ダーク・シャドウ!!」
「■■■■ー!!!!!!」
ダーク・シャドウは完全な暗闇の中で最大級の強さを得て常闇を取り込むように包み込み、摩虎羅へと襲いかかる。
先程とは違う圧倒的なプレッシャーを涼しげに受け止めながら摩虎羅は笑みを浮かべた。
「さっきよりはマシか。」
夕方、訓練を切り上げて夕食を作ろうと集まったA組の生徒達の近くに何かが投げ出された。
「はいお疲れさん。」
「常闇くん!?」
摩虎羅との訓練でボロボロになって気絶している常闇だった。
「うわー、スゲーぼろぼろ。」
「早く手当しなきゃ!」
A組の面々が手当をしようと動く中、常闇の腹の方で蹲っていたダーク・シャドウも震えていた。
「…ゼンイン、コワイ」
「良く見たら、黒影もボロボロじゃねぇーか!」
「後は任した。」
「いや任すなよ。」
常闇を押し付けて部屋に戻ろうとする摩虎羅に上鳴が止めようとすると、再び何かが投げ出された。
「切島ー!!?」
「マジでボロボロじゃねぇか!」
切島は爆豪による猛攻をひたすらに受け続けるという訓練を受けており、身体中にひび割れや血が滲んでいた。
「な、なんとか、た、耐えたぜ…!」
常闇と違い、意識があった切島は片腕をなんとか突き上げて訓練を乗り越えた事を宣言する。
「お前は真の漢だ…!!」
峰田が感動し切島を支えている様子を爆豪は見ていた。
「明日はもう少しギア上げるか。」
「鬼かお前!!」
条件付きで最強個性の一角かもしれない常闇くん。
完全開放ダーク・シャドウっていいよね。