(さて、どうするかな。)
トゥワイスを処理した摩虎羅は今後の方針について決めかねていた。
この場で敵を掃討するか否か。
地面の振動から敵が撤退の動きを見せているのは把握している。
摩虎羅の身体能力なら地面を泳いで全員を捕獲するのは他愛無い話である。
(けど、やりすぎると親玉の動きが完全に読めなくなる。
手を抜いて敢えて抱えさせる方がマシか?)
今この場で掃討するのは簡単だし、彼はあくまで兵隊。
AFOには替えの利く存在ではある。
摩虎羅が危惧しているのは此方の力を示しすぎることでAFOが完全に雲隠れしてしまう可能性だ。
(多少取りこぼせば現時点なら林間合宿を囮に使って対応という程度で終わるが、俺が全員仕留めるとなると最悪緑谷単体を襲撃してOFAを回収して撤退する可能性がある。
…まてよソッチのほうが自滅して楽か?)
原作の知識から考えるとAFOにOFAを渡すのはある意味理にかなっていた。
既にOFAは通常の個性の域からかけ離れた存在であり、個性持ちの人間が引き継ぐと寿命が枯れる程、人体への負荷が激しい。
年老いてボロボロのAFOにOFAが奪われても自ずと自壊するのだ。
(AFOとOFAが居なくなるのは家としても有りだな。)
「…いや、それならこういう手もありか?」
名案が思いつき、思わず声が出る。
地中にあって誰にも拾われないソレは響くこと無く消えていった。
「まこらんはとってもかっこいいのです!
お茶子ちゃんなら分かるよね?」
「…まこらんって摩虎羅ちゃんの事かしら。」
「え、趣味悪。」
突然だが、麗日お茶子と蛙吹梅雨は少女敵に追い詰められていた。
お茶子は腹を刺され、梅雨ちゃんは足を切られており身動きが取れない。
そんな2人を前にして少女敵、渡我被身子はニコニコと『恋バナしましょ!!』と話しかけてきたのだ。
既に摩虎羅が解放された事は伝わってる筈なのに、撤退しない渡我被身子に疑問を持ちつつも、2人は時間稼ぎになると思い彼女と話を続けていた。
本来、相手を怒らせる様な発言は避けるべきだが、渡我被身子の想い人についてお茶子は本音が漏れてしまった。
「悪くないのです!!
あれだけ自由で縛られない姿は私の理想!
私は彼になりたい!
血を飲みたいのです!」
「…やっぱり趣味悪いわ。」
表面上だけみれば確かに摩虎羅は自由奔放に好き勝手に生きているように見える。
しかしそれだけではない事をお茶子というかA組は各々気付いていた。
時折見せる退屈そうな顔を知っている。
故に表面上の姿だけで判断した好意を持つ渡我被身子を2人は内心軽蔑した。
「悪くないのです!
何で分かんないですか!
体育祭でパートナーだったのに!!」
「体育祭の話はするなぁ!!」
お茶子キレる。
体育祭というワードはお茶子にとって地雷である。
結局モザイクが多少掛かったがゲロシーンは全国に映されて、嘔吐フェチの方々を中心にネットで話題となってしまった。
何故かネットミームとかしてしまい、一番流行しているせいで気軽にネタ動画を見れなくなってしまった。
「落ち着いてお茶子ちゃん、出血が激しくなるわ。」
因みに本人に恨みをぶつけたら、後日家に八百万ですら驚くレベルの高給菓子折りが届いてしまい仕方なく許す事にした。
「…敵相手に何してんだお前ら。」
実害を受けたお茶子が趣味が悪いと吠えてそれを渡我被身子が違うと言い返していると地中から摩虎羅が顔をだした。
さすがの摩虎羅もキャットファイトじみた言い合いしているお茶子に引いた。
「あー!
まこらんだぁ!!!
血ぃください!」
「テメーのパトロンが死んだら考えてやる。
やんのか?」
「戦っても殺されるので捕まります!
優しくして欲しいのです!」
「うるせぇ。」
「キャン!?」
摩虎羅は大人しく捕まることを宣言した渡我被身子を気絶させて容赦なく装備を破壊し、パーツを使って器用に拘束すると、二人の容態を確認すべく近づいた。
「腹と足か。
取り敢えず、合宿所まで戻るぞ。」
「ケロ、止血だけで摩虎羅ちゃんは他の敵に当たって頂戴。」
「取り敢えず森にいる脳無共は潰したし、この敵以外は撤退を始めてる。
これ以上刺激すれば最悪、敵どもの親玉が出張る可能性がある。
そしたら死人が出るぜ。」
梅雨ちゃんの申し出を断りながら摩虎羅は自らの服を破いて簡易的な止血を施し、摩虎羅は二人を担いで片手に渡我被身子を持って森を移動を始めた。
ヴィジランテアニメ化で思いついたのですが個性『刻印蟲』ってどう思います?