僕のまこーらアカデミア!   作:ボリビア

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実家に適応する

 入試を終えた俺は京都の実家に戻ってきていた。

 

『私が投影された!!』

 

(合格決定っと。)

 

 オールマイトの登場を確認して、使用人に預けた。

 

「多分受かってるから、手続きよろしく。」

 

「かしこまりました。」

 

 入試は思いの外退屈だった。

 筆記試験は元々適応が進んでいるから教科書見るだけで余裕だったし、実技試験はスクラップを効率よく作るだけ。

 

(ま、落ちる事は無いとは思ってたけど。)

 

 ガコン!

 

「そろそろ収まんないかコレ。」

 

 適応に辟易していると、廊下を誰かが歩いてくるのが分かった。

 

(この歩き方は直哉の使用人か。)

 

 足音が部屋の前で止まった。

 

「どうぞ。」

 

「失礼します。

 直哉様が修練場でお待ちです。」

 

 襖を開けて、廊下で三つ指着いて頭を下げながら要件を伝えに来たのはやはり直哉の使用人だった。

 

「はいはい、適当に行くから下がっていいよ。」

 

 使用人を下げさせて廊下を進む。

 

(だりぃ。)

 

 直哉の用件は何となく予想できるため溜息が漏れる。

 修練場は敷地の端にある大きな土間だ。

 床は土を押し固めて出来ており、円形の形はコロッセオに似ていた。

 重い足取りで修練場に向かうと真ん中でニヤニヤした男が待っていた。

 純粋な日本人なのに金髪に染めてピアスを開けておきながら妙に和服が似合うのは何でだろうか。

 

「取り敢えず入学おめでとう。」

 

「どうも」

 

「いや~まさか雄英高校に合格するとは、お兄ちゃんも鼻が高いで。」

 

 笑みを深めてニヤニヤと話しかけてくるこの男は禪院直哉。

 五つ年の離れた兄でヒーローチャート新人賞を受賞したシンリンカムイと人気を二分する新人ヒーロー。

 分かると思うが性格はドブカスだ。

 

(アッチの世界よりはマシなんだろうけどな。)

 

 禪院家は男尊女卑はあるし無個性には当たりが厳しいが呪術師ではなくヒーローを排出するため多分マシ。

 

「で、期待の新人ヒーローが何の用だよ。」

 

「雄英で恥かく前に介錯したろと思ってな。」

 

 ナチュラルに弟を殺そうとするのはマシなんだろうか。

 

「あのさ、俺は当主とか興味無いんだって。

 パパっと独立して適当にやらしてくれや。」

 

 直哉の目的は『次期当主の座の確約』。

 禪院家の当主候補は俺と直哉の二人。

 他にも従兄弟や兄弟もいるが、直哉や俺に比べると弱すぎる。

 因みに叔父の扇や甚一等の強者も居るが、二人の代の最強は現当主の禪院直毘人であり、二人の権利は無くなっている。

 

(まあ、扇叔父さんの方は納得してないみたいだけど。)

 

「分かっとらんのはお前やアホ。

 てっぺんは二人居ったらそれは割れ目や。」

 

「…中学生に挑む時点で負けだろ。」

 

「…ガキだろうと強いんもんは強い。

 お前の方がアッチ側に近いのは百も承知や。」

 

 ある意味負けを宣言しているような台詞を吐きながらも、直哉の闘志は漲っている。

 

(…アッチ側ね。)

 

 直哉の言うアッチ側に居る人間は一人しか居ない。

 オールマイトだ。

 少し昔話をすると、オールマイトがデビューする前、現当主である禪院直毘人は『最速のヒーロー』と謳われた全国区のトップヒーローの一人だった。

 オールマイトが現れなければ禪院家はヒーロー界の頂点になれた。

 ナチュラルボーンヒーローの誕生は『名門』や『一族』、『個性婚』等の集団の価値を落とした。

 由来不明の圧倒的存在は一族の誇りや名声を虚しいものに変えたのだ。

 当主はオールマイトがNo.1ヒーローになると早々に全国区を飛び回るスタイルから京都を拠点にした地域密着のヒーロースタイルに方向転換し、禪院家の価値を守った。

 

『アレと競うのはアホらしい。』

 

 とは本人の言。

 そんな感じで禪院家はオールマイトから目を逸らしていたが、直哉は違った。

 直哉はこの世界でも珍しく本気でアッチ側を目指す人間の一人だ。

 噂では直哉は子供の頃にオールマイトと会った時に何かを言われたらしい。

 そこで何を言われたのか知らないが、その日から目の色を変えて本気で鍛錬に励みオールマイト超えを狙うと豪語している。

 俺も幼い頃から異常とも言える鍛錬をしている姿は良く知っている。

 原作でもエンデヴァーしか居ないと言われた本気でオールマイトを越えようとしている本物だ。

 禪院家次期当主という肩書なんて方便に過ぎない。

 中学生の俺を強いと認めて自分が行きたいオールマイト側に付けると直哉は本気で思っている。

 故に直哉は俺に挑む。

 これ以上差が広がる前に、届きうるギリギリに指をかけて超えるために。

 

(本気なら応えなきゃ行かんよな。)

 

「箔付けに『禪院最強』を貰ってやるよ。」

 

「抜かせぇ!

 お前を踏み台にすんのは俺や!!」

 

 吠えるような啖呵と共に直哉の姿が消えた。

 

 

 

 

 




最初はもっとドブカスにしようと思ったけどアッチ側を目指す姿は好きなのでソッチを軸にしました。
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