僕のまこーらアカデミア!   作:ボリビア

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評価に適応する。

 

(性格悪っ!?)

 

 教師であるオールマイトには全部聞こえていた。

 コスチュームや戦い方から少し気になっていた、轟焦凍の抱える問題を的確に愉しげに刺す姿には内心ドン引きしていた。

 敵がヒーローを煽るのは常套手段であり、日常茶飯事。

 冷静さを失えばどんなヒーローでも致命的な隙を生む。

 場数を熟したプロヒーローならともかく、入学したての一年生があの煽りに耐えろというのは酷である。

 それにしても禪院摩虎羅の煽りは酷い。

 いくら敵役とはいえアレほど堂々と朗々と同級生の心を踏みにじる姿はカウンセリングが必要では無いかと思う程度には酷かった。

 

(彼もやはり禪院家、否、家柄で人を判断してはいけない!!

 あ、全摘した胃が痛い。)

 

 これからの教員生活へ支障が出る問題児の出現に思わず無いはずの胃が痛くなる。

 ヒーロー業界に長くいるオールマイトは禪院家出身のヒーローとも関わる事が多い。

 彼らの特徴としては実力はあるが、性格に難あり。

 敵味方問わず煽るのは当たり前、見下すのも当たり前、毒舌も当たり前、しかし慢心せずに冷静に敵を倒す実力者。

 味方としては頼もしいが、近くには居てほしくない。

 

(と、取り敢えず授業を進めねば!!

 頑張れ自分!) 

 

「さて!!

 皆は今回のMVPは誰だと思う?」

 

「やっぱり禪院じゃね?

 圧倒的じゃん。」

 

「結果だけみればそうですが、作戦という意味では障子さんの機転は評価すべきですわ。」

 

「躊躇なく葉隠に服を貸すのは漢らしくて俺は好きだぜ!」

 

 クラスメイトが感想を言い合っている中、摩虎羅と葉隠が戻ってきた。

 轟と障子はロボットによって保健室送りとなった。

 

「うう…私何も出来てない。

 あ、禪院君服返すね!」

 

「まだ寒いだろうし着とけ。」

 

 サイズ差でワンピースのような着こなしの葉隠が服を返そうとするが、摩虎羅が固辞する。

 確かに葉隠の手袋は二の腕を擦る動きをしているし、直接冷気を浴びた訳では無いがやはり凍結したビルの中は冷えたのだろう。

 一件、摩虎羅は紳士に見える。

 

(裸を知ってる女が服着てるっていうのも悪くないな。)

 

 ま、こんなもんよ。

 

「でも禪院君は寒くないの?」

 

「適応済みだ、問題ねえ。」

 

「…分かった、借りとくね!」

 

 葉隠は禪院摩虎羅が余裕そうなので言葉に甘えて、摩虎羅のシャツを着たまま女子達のグループに戻っていく。

 

「そういえば、轟がブチギレてたけど何言ったの?」

 

「軽く煽った。」

 

「いやいや、付き合い薄いとはいえ、クールな轟が軽く煽ったくらいじゃあそこまで怒んないだろ!!」

 

 上鳴電気の指摘はもっともだと他のクラスメイトも頷く。

 禪院がヤベー奴ではないかという空気が若干漂う。

 

「あんなコンプレックスの塊みたいな格好してんだから、煽るのは簡単だろ。」

 

 禪院摩虎羅の一言に反応したのはオールマイトだった。

 

「!!

 禪院少年、格好というのはコスチュームの事かい?」

 

「あぁ。」

 

「なら、コスチュームから何を読み取ったのか聞かせてもらえないかな。」

 

 オールマイトもあの轟のコスチュームには思うことがあったのか、クラスメイトに対して解説を促す。

 

「先ず、個性から考えてもあのコスチュームは非合理的だろ。

 放出する個性なのにあれじゃ左から個性が出せない。」

 

「普通に火傷を隠してるだけじゃね?」

 

 瀬呂は顔の火傷を隠すための格好ではないかと指摘した。

 

「ヒーロー目指すやつが火傷程度で自分の個性潰すか?

 隠すにしてもあの無駄な岩みたいな装飾は要らねぇな。」

 

 今のコスチューム技術なら極薄の材質を使ったコスチュームもあり、火傷しか隠さない様にコスチュームを作ることも出来る。

 

「ではあの装飾に何の意味があると思ったんですの?」

 

「アイツはエンデヴァーの息子。

 炎に関する個性を持ってるって考えが普通だ。

 個性は遺伝するからな。

 多分、右から冷気で左から炎を出す個性。」

 

 原作知識に裏打ちされた、分析が轟の問題を解体していく。

 

「なのに、ワザワザ左半身を封じるようなコスチュームを作ったんだ。

 確実にエンデヴァーと確執がある。

 案の定、エンデヴァーの名前出したら一発で切れたしな。」 

 

「エグッ!」

 

「摩虎羅ちゃんって普通に性格悪いのね。」

 

「演技に決まってるじゃん!

 禪院君は紳士だよ!」

 

 容赦の無さを非難される中、一人摩虎羅を庇うように葉隠が反論した。

 彼女にとって摩虎羅は寒い中服を貸してくれた紳士なのだ。 

 あくまで戦略であって素の性格は関係ないと思っている。

 

「何言ってんだ?

 あんなコスチュームしてんのが悪い。」

 

 葉隠の善意虚しく、摩虎羅自身の性格の悪さがドンドン露呈していく。

 実際、摩虎羅の言い分は間違ってはない。

 自身の利点をワザと潰す様なコスチュームをした時点で摩虎羅の推理は誰でも辿り着くだろう。

 

「うん、禪院少年の指摘は間違ってはいない。

 実際、ヒーローのコスチュームっていうのは自身を表す象徴だからね。

 一番目立つし、一番本人自身を表すから人となりとかも分析してくる敵も居る。

 君達もこれからコスチュームを見直す時は、気を付けた方が良い。」

 

 オールマイトの言葉にクラスメイトは各々好きなヒーローのコスチュームを思い出していく。

 

「ケロ、確かに先生の言う通りプロのコスチュームは個性を活かしたり邪魔にならない恰好な気がするわ。」

 

「派手なヒーローも、個性や動き自体には影響は確かに無いかも。」

 

 プロのコスチュームを思い出し各々自分の今のコスチュームを見直す中、禪院摩虎羅は暇そうに欠伸をしていた。

 

「うん!

 そういう見直しをするためにもこれからドンドン実習で強みや弱みを分析していこう!

 さ、次の試合を始めよう!!」

 

「「はい!!」」

 

 皆が次の試合の映像に目を向ける中、葉隠が摩虎羅に近づいて来た。

 

「(…演技だよね?)」

 

 コソッと話しかけてくる葉隠に対して画面から葉隠に目を向けてニヤリと笑って答えた。

 

「…多分な。」

 

 

 




実際ヒーローのコスチュームとした初期の轟は赤点だよねって話。
我ながら誤字脱字がすごいな
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