この作品は89式小銃さんの『異空のゼロ』を読んでいた際に
『ブルアカ✕永遠の0って面白そうだな』
って書いた作品です。
なので異空のゼロ要素が若干あるかもしれません。(特に1話)もし、89式小銃さんに怒られたら消すかもしれないのでその点はご了承ください。
プロローグ
昭和二十年 八月 南西諸島沖
戦争の終わりも目の前、という頃、一機の零式艦上戦闘機、もとい零戦が飛行していた。
ブォォォォ……!!
その零戦は胴体下に一発の爆弾を抱え、目の前の米空母機動部隊へ突入していった。
『it's a zero!!』
零戦に気づいた米空母や、その取り巻きの駆逐艦らは5インチ砲の射撃を開始する。
ドンッ!ドンッ!
ドォン!!ドォン!!
ブォォォォォ!!!
しかし、零戦を前に近接信管入の砲弾は一切当たらず。無残にも、零戦の遥か手前で炸裂する。
『何故当たらないんだ!』
『海面の反射に反応しているんだ!敵機よりかなり手前で爆発している!』
続いて、米空母にまるでハリネズミのように取り付けられたボフォース40mm機関砲や、エリコン20mm機関砲も炎を吹き出し、射撃を開始する。
ドンドンドンドンッ!!
ダダダダダダッ!
しかし、その圧倒的な量の機銃から放たれた大量の曳光弾に対し、零戦は機首を捻り、横滑りを行いながら回避していく。米軍から見たその光景は、まるで、弾が零戦を恐れるように避けていくように見えた。
『艦橋、こちら右舷見張り、敵機方向115゜距離1マイル!』
『何がマジックヒューズだ!さっさと落とせコノヤロー!』
『奴は、仕組みがわかっているのか?』
『そんな訳ねえだろ!』
『ぶつかるぞ!』
『距離500ヤード!艦橋、間もなく衝突します!』
『つかまれ!!』
その時、何処かの機銃が当たったのか、零戦から炎が吹き出す。誰かが『やったぞ!』と、叫ぶ、しかし、零戦はその瞬間、急上昇を始めた。
慌てて、機銃手達は零戦に照準を合わせるが、すでに時遅く、零戦は捻るように艦上空で反転し、垂直に降下してくる。
スローモーションのようにゆっくりとゼロは降りて来るように見えた。それはまるで、空から悪魔が降りてくるようだった。
衝突する寸前、ゼロの片翼がバラバラに砕け散るのが見えた。
甲板にゼロは衝突したが、爆弾は炸裂しなかった。
ゼロのパイロットのポケットから着物を着た女と、赤ん坊が写った写真が見つかった。
ゼロはレーダに捕捉されないよう、何百キロもの長距離を海面スレスレに飛行し、あの、数々のカミカゼを撃ち落としてきた。近接信管や、機銃の弾幕をくぐり抜けたそうだ。
それには、超人的なテクニックと、ただならぬ勇気が必要だと言うことだ。
その後、パイロットの遺体は、彼の勇気とテクニックを讃え、水葬に伏す決定をした。
一夜経つと、ほとんどの乗員が敬意を抱いていた。
とあるパイロットは、あのパイロットをサムライだと言った。
手空きの乗員が甲板に整列する中、弔砲が鳴り響いた。艦長以下、士官の挙手の例に送られて、白布にくるまれたパイロットの遺体は道板から海中に滑り落とされた。
鎖の錘をつけられた遺体は、ゆっくりと海の底に沈んでいった。
その何よりも自分と妻子の命を大事にし、『海軍航空隊一の臆病者』や、『何よりも命を惜しむ男』と呼ばれながらも『凄腕のパイロット』の腕を持つパイロットは戦争末期、狂った軍隊の狂った作戦によって米空母に突入し、死亡した。
タタン タタン タタン
目が覚める。
一定の間隔で、タタン、という音が鳴り響き、そのたびに微小な振動が発生する室内、パイロットは目を覚ます。
ここは……汽車の中……?
自分は米空母に突入して死亡したはず、これが死後の世界なのかとパイロットは顔を上げる。
すると、目の前には齢18くらいの少女が座っていた。
ふと、少女は口を開く。
……私のミスでした
私の選択、そしてそれによって招かれたこの全ての状況
結局、この結果にたどり着いて初めて、貴方の方が正しかった事を悟るだなんて…
……今更図々しいですがお願いします
『宮部 久蔵』
先生……
きっと私の話は忘れてしまうのでしょうが、それでも構いません
何も思い出せなくとも、おそらく貴方は、同じ状況で同じ選択をされるでしょうから……
ですから……大事なのは経験ではなく、選択。貴方にしかできない選択の数々……
責任を負う者について、あなたは知っているはずです……
今まで……私にはわかりませんでしたが……今なら理解できます……
大人としての、責任と義務、そしてその延長線上にあった、貴方の選択……
それが意味する心構えも……
ですから、先生……
私が信じている大人である貴方になら……
この捻れて歪んだ先の終着点とは、また別の結果を……
そこへ繋がる選択肢は…きっと見つかるはずです……
だから先生、どうか……
この絆をーー
私達との思い出……
過ごしてきた日々を……
どうか…………
宮部久蔵は何のことかと少女に手を伸ばす。しかし、窓が明るく光輝き、目を瞑ってしまう。そこで、彼の意識は途絶えた。