陰の実力者『シャドウ』ちゃん   作:ちんすこー

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シャドウちゃんは女の子だから、親父とか姉さんとか言わないよ。
お○○さんって言うよ。かわいいね。

あと、シャドウちゃんの見た目は作者の性癖まみれだよ。気に入らないと思ったらpi〇xivで好きな絵を見て妄想してね!


クソガキ『シャドウ』ちゃん

日は沈み周囲が暗がりに包まれる中、住人などとうにいないはずの廃村では、灯と男たちの声がそこを支配していた。

 

盗賊……この世界では何ら珍しくもない存在。何らかの理由で表の世界での居場所を失い、かといって裏の世界にもなじめなかった者たちが墜ちる社会のヒエラルキーの最下層。

 

だが、この廃村に限っては彼らは支配者であった。

 

日中に襲ったであろう商団のモノがあちこちに散らばっている。

護衛の男たちの剣は浮浪者然とした誰かの物となり、かつての持ち主に対して振るわれる。指揮棒か、はたまたはバイオリン等の弓のように剣が振るわれる度、護衛だった男たちの絶叫と何かに対する怨嗟の叫びが木霊した。

 

商団を率いていた男はすでにこの世になく。その妻だっただろう女性は盗賊たちの慰み者となり壊れた。

 

一つの荷台に集め、積み上げられた商団の財宝をつまみに、盗賊たちはこれまた商団が運んでいた酒と食料を無計画に腹に詰め込んだ。

 

財宝の積まれた荷台と焚火を中心に広がる盗賊たちの輪。

そこから少し離れた所に、無造作に置かれた二つの布に包まれた四角い何かがあった。

 

カラン

 

その内の一つから金属が金属の上に落ちるような軽い音がした。

瞬間、盗賊たちの酔いは冷め、その一点を注視した。普段から魔物の恐怖に苛まれながら野宿している彼らが無警戒な訳がない。

〈悪魔憑き〉の入った檻から聞こえたのなら猶更だ。

 

「おい、お前確認してこい」

 

商団襲撃の際、護衛のリーダーの腕を切り落とした男が盗賊の内の一人を指さして言った。

 

「い、いや。でも……」

「あん?早くしろ。斬るぞ」

 

盗賊は断ろうとしたが、それは出来なかった。

自分に比べて圧倒的に強い奴が斬ると言っているのだ。それは断ったら確実の死を意味する。

だったらば、未知ではあるが、確実に死ぬとは限らない檻に、盗賊は渋々ながら近づいて行った。

 

剣を体の前に構え、じりじりと半歩ずつ近づく。

剣先は震え、喉は渇き、冷汗が全身を濡らし始めた頃。

檻を包んでいた布が膨らみ、中から白い足が伸びてきた。

 

盗賊は突然の事に呆然とし固まった。

その間に白い足の主の全体が露わになる。

 

盗賊の胸にも達しない小さな背丈。恐らく10歳程度の少女。

頭から伸びる黒髪はシルクの最高級品である暗黒蜘蛛シルクの如き輝きと艶を醸し、背中の中ごろまで伸びる。

瞳は何もかも飲み込んでしまいそうな程に黒い、ただそれ自体はたれ目気味でどこか達観的な様子を感じる。

また、その裸体は未成熟でありながら、盗賊の情欲を確かに昂らせる程の美しさがあった。

唇と鼻はどちらとも、小さな顔から見てもさらに小さく、けれども黄金比を感じさせる見事なバランスで共存していた。

 

盗賊は自分の半分も生きていないであろう小さな少女の裸体を、その目を見開き凝視し、続いて舌なめずりをした。

盗賊は少女が悪魔憑きの檻から出てきたことも忘れ、己の欲望に掻き立てられるように大股で少女に近づいていく。

 

浮浪者のような恰好をした男が欲情しながら近づいてきたら、普通の少女は怯えて逃げていく筈だが、その少女はただ微笑んでいた。

盗賊が手を伸ばす。

 

その手が少女に触れる瞬間。

少女は今まで後ろで組んでいた手を解き、そこに隠し持っていただろう切り取った檻の鉄格子を男の喉に突き刺した。

 

突然のことに、周りを囲んでいた盗賊たちも、男も反応できず、ただ唖然とする。

 

「お兄さんたち……もしかして盗賊?」

 

少女の口が開き、そこから鈴のなるような可憐な声が響いた。

少女特有のソプラノボイスは、男の脳を刺激し、唖然とした状態を解除した。

 

「あ、ああ」

 

男の咄嗟の答えに少女は口角を醜悪に上げて言った。

 

「そっか……じゃあ、早速貯金箱の中身を回収しないと」

 

少女の姿は先行させた盗賊の剣と一緒に、男たちの目の前からかき消えた。

 

男の隣で血の華が咲いた。

 

 

 

 

 

 

 

というわけでレミ・カゲノー……いや、捨てられたから今は唯のレミか。

まあそれはともかく、ボク完全復活!

いや、なんだったら〈悪魔憑き〉になる前より調子がいい。

 

〈悪魔憑き〉になった時は一時期どうなるかと思ったけど何とかなった。

ボクはあの極限状態の中、魔力の核心を掴み、何とか復活したわけ。もっと早くからしっかりやっていれば、あのまま貧乏男爵令嬢として楽にモブをやっていくプランAが出来たから少し後悔。

まあ後悔先に立たずって言うしね、ポジティブに行こう。

 

とりあえず今の全裸の状態を打破しなくちゃいけない。何だったら無一文だし。

全裸で無一文なんて目立ちすぎる、それじゃあボクが目指すモブなんで先のまた先だ。

 

というわけで、いっぱいエンカウントできて、お金も物もくれると言っている(言っていない)目の前の盗賊をどうにかするか……

 

「ヒャッハー!テメェら金目のモンと服を出せ!」

 

ボクはとりあえず数人の盗賊を斬って叫んだ。

 

「な、なんだこいつ!」

 

ボクを新種のUMAのように言って怯える失礼なモブ盗賊を蹴り飛ばすと、ようやく他の盗賊もボクがここに移動したことに気づいてこちらに振り向く。

余りにも反応が遅い。僕はため息を吐きながら魔力を足に集中させて解放した。

おっと!?

前よりも圧倒的に増えた魔力量に少し振り回され、テンポを崩すけど、その隙も彼ら程度のものの前には隙にならない。

 

「おらおらおらおらおらぁぁぁぁ!」

 

ボクは盗賊に借りた(奪った)粗末な剣を振り回して周囲のモブ盗賊たちを切り刻む。

〈悪魔憑き〉が露見する少し前に実用化できたスライムソードとスライムボディースーツがあればもっと楽だったかもしれないけど、残念ながら今はそんな物はない、仕方ないのでこのなまくらで我慢する。

 

「おらおらおらおらおらぁぁぁぁ……あれ?」

 

〈悪魔憑き〉になったことへの逆恨みのサンドバッグもかねて、暴れてたら随分と静かに。

あれ、あと一人しかいなくね。

 

「な、なんで〈悪魔憑き〉が生きてる!テメェなにもんだ!?」

「君はこいつら……モブ盗賊よりも強そうだね。多分ボス的存在かな?君がボクに勝つ可能性はほんの僅かもないけど、リハビリついでの練習相手になれたら2分ぐらいは生きれると思うから頑張って」

「な、舐めんなよクソガキ!俺はこれでも王都では……!?」

「無駄口叩かないで早く」

「このクソガキがぁぁぁぁ!」

 

ボスAは鬼の形相で突っ込んで来る。ボクからしたら欠伸が出そうな程にとろくさい斬撃を既の所で避ける。

ボスAはボクを斬れたと確信したのか、先程まで憤怒に駆られていた顔は歓喜に打ち震えている。

まあ斬れてないけどね。

 

「へへ、舐めてるからこうなるんだ。俺は王都ブシン流の免許皆伝な……な、何!?」

「斬れてないよ」

 

ボクはボスAが捉えられないスピードでボスAの裏に回りこんで言った。

 

「ブシン流か~最近流行ってるらしいね。ねぇ見せてよ」

「クソガキがぁぁぁ!そんな見せてほしいなら見せてやるよ!」

 

ボスAが斬撃を繰り返す。

なんか一生懸命に剣を振るってるけどボクには全く当たらない。ボディーワークとステップワークだけでどうにでもなる。剣を構える必要すらない。

でも、ブシン流だっけ、ボクは結構好きな剣かもしれない。

この世界では珍しく、ゴリラみたいな戦い方をせず、精神論や古い定石に囚われずに、理によって戦いを詰めようとする姿勢が見られるのだ。

それはボスAの拙い攻撃からも読み取れる。フェイントを掛けたり、一瞬早くなったりと工夫を凝らして戦う姿には共感できる。ただボスAの力量は物足りない。

 

ボスAが疲れたのか剣筋が弱まる。その隙にボクは間合いを外した。

 

「な、なぜ俺の剣が当たらない!?」

「うちのお父さんよりも弱いしな……お姉ちゃんにも後1年で抜かれそうだし……いや、売られたから今はお父さんでもお姉ちゃんでもないか……

「てめぇ殺してやるクソガキィィィ!」

 

ボスAががむしゃらに繰り返す斬撃を弾く。すると、ボスAとボクの間に大きな空白のスペースが出来た。

迷わずそのスペースに飛び込む。すでにここはボクの間合い、だけどボスAの間合いではない。

ここまで来たら魔力も力もいらない、後は勢いのままま刃を当てるだけでいい。

 

「グアァ、ア。なんで……」

 

ボスAの胸に大きな裂傷ができる。ボスAは痛みにうずくまり、剣を手放した。手から血が伝って地面に赤いシミを作る。

 

「これ以上やる意味はないね」

「ま、まってく……!」

「2分持たなかったね」

 

ボクは手に持つ剣に魔力を込め、ボスAの首を飛ばした。斬首の刑だ。

頭と体が完全に分かれたボスAを横目に戦利品を漁る。

 

暫くして漁り終わる。

 

「よし、少し大きいけど服も手に入った。物理的にもっていけるのは金貨が30枚、つまり30万ゼニー*1か。まあ無一文よりはいいね」

 

馬車4台分の戦利品を漁り終わって気分は上々。服も手に入った。恐らく商団に同伴していたであろう少女の服。少しサイズが大きいけどスカートだからそんなに関係はない。

ほくほく顔で廃村から立ち去ろうとした時、ふと何かが目に入った。

 

「檻……かな?」

 

かなり大きく頑丈そうな檻。その上にかぶさっている布を剥ぎ取った。

 

「わお……もう一人〈悪魔憑き〉がいたんだね」

 

中には腐った肉塊が転がっていた。かろうじて人型を保っているが、種族や年齢はさっぱり分からない。

 

「う~ん、仕方ない」

 

一瞬、楽にしてあげようかとも思ったが。考えれば自分もついさっきまでは同じだったのだ。少し可哀想に思えてきた。

それに、自分が〈悪魔憑き〉の時は余裕がなくて色々出来なかったことがあったことも思い出す。

 

「そうだ。治してあげる代わりに、色々実験しよう」

 

ボクは肉塊に手を伸ばし、魔力を流し込んだ。

*1
ゼニーと円の価値はほぼ一緒だよ




シャドウ♀は、無自覚メスガキになった!
分からせたくても、分からせられない……何というもどかしさ!
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