司書補J、シャンフロにて奔走する   作:ゲガント

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仕事が忙しい上書きたい物が上手く書けない現状をどうにかしたい今日このごろ、皆様も過労にはお気をつけて





それでは、どうぞ


終末、来たりて

『『『何処だ、何処だ!必ず見つけ出して殺してやる!』』』

 

「ストップ、止まって……あぁ、もう!」

 

"怪物"の出現に伴い再び黄昏に染まった黒い森の中、ジョシュアはただがむしゃらに爆走する『終末鳥』の後を追いかけていた。

その巨体故にスピードはそこまで速い訳では無いのだが、身震い一つでも耐久が紙と同等のジョシュアにとっては致命傷を負いかねない攻撃となっている。

 

「ダメージ入ってる様子一切ない!耐久タイプ?それはそれで大歓迎だけども、っと!」

 

頭に過ぎるのは初日にて相対した「夜襲のリュカオーン」。

何度も攻撃をぶち当てても一切傷を負わない上向こうは一撃でコチラを屠れる状態………後者に関してはジョシュアが自身の耐久を一切顧みていないのが一因なのだがこれに関しては下手な防御など意味を成さないレベルので特に考慮に入れる必要は無いだろう。

そんな危険な状態でも『終末鳥』を落ち着かせる為に果敢に攻撃を仕掛けるジョシュアだが結果は思わしくない。

背後から致命の鋸で何度も斬りつけてはいるがクリティカル表示は出るもののダメージを表す赤色のエフェクト等は一切発生せず、また『終末鳥』もその攻撃を完全に無いものとして行動していた。

 

「……コッチを見てない、完全に錯乱してる」

 

最早、『怪物』を排除する事しか頭に無い様子の『終末鳥』が木々を薙ぎ倒して這い回るように移動していく様子を横から眺めるジョシュア。

赤い皮膚の継ぎ接ぎの頭とその真ん中にある黄色く輝く一つ目は忙しなく周囲を見回してはいるものの、その視界にジョシュアが入っているかは怪しいところである。

 

守る対象の筈の森を破壊しながら進むという矛盾を見せ始めてから数分経った位だろうか、不意に『終末鳥』が動きを止め飛べない翼を広げる。

 

『『『おのれ、何処に隠れている!』』』

 

「ッ!」

 

次の瞬間、広げられた翼にびっしりと並んだ多数の瞳が輝き出し、その光がそのままバラ撒かれた。

無数の光弾は不規則な軌道を描いて森の木々や地面に着弾、連鎖的に爆発を引き起こす。

己の直感に従い咄嗟に《ドリフトステップ》で下がっていたジョシュアはダメージを負うことなく回避していたが、その威力と範囲を目にして舌を巻いた。

 

「ん……何ともまぁ規格外」

 

爆発の煙が止んだ後には荒地が広がっており、先程まで存在していた木々が木片へと変貌し散らばっている。

もし自身が食らっていたら何の抵抗も許されずに終わっていただろうと考えつつも、思考を「どうやって『終末鳥』を止めるか」にシフトさせていく。

 

『『『あああああ!!隠れるな、逃げるな!』』』

 

「まずコッチに気を引くにはどうしようかな」

 

周囲を吹き飛ばしても尚『怪物』を見つけられない事に激昂する『終末鳥』を見ていると何とも物悲しい気分になってくる。

方法と倫理が歪んでしまっていたのは頂けないが「森を守る」という使命に掛ける思いは本物だった彼らの末路がコレとは何とも皮肉なものだろう。

 

兎にも角にも、先ずは方法がどうであれ落ち着かせるのが先決である。

 

「試してみる価値はありそうかな」

 

ではどうすれば良いのか

 

 

「幻想泣鳴」

 

答えは簡単、『怪物』側(幻想体)に近づけば良いのである。

 

「ん、またよろしくねカエルくん」

 

『『『……ッ!!!』』』

 

ジョシュアの身体が暗い灰と藍色で彩られた鎧に覆われ首に瞳を模したペンダントが掛けられると同時に、先程までただ暴れるだけだった『終末鳥』がピタリと不自然なまでに停止したかと思えばギュルンと高速で振り向く。

下手なホラーゲームよりもよっぽど恐怖を感じる光景が展開され、ジョシュアへかかる圧が数倍に膨れ上がった。

 

『『『そこにいるなぁッ!!!』』』

 

「ん、漸く僕の事を見た……いや、『怪物』っぽい気配がしたからかな」

 

『終末鳥』の吠えるような怒号と共にずっと頭に宿り続けていた『懺悔』が光る。

ノーモーションで大鳥の魅了が飛んできていたらしく僅かに精神が惹かれるような感覚があったものの、今更大部分が無効化(レジスト)されたそれが心を呑む事は無くジョシュアは不敵に微笑んだ。

 

「まぁいいや、本当に全力の君らと戦えるのは嬉し……んゅ?」

 

仕切り直して致命の鋸を構え直し、さぁ……といった所でそれを遮るように急に警告音と共に空中に画面が出て来た。

 

「……あー、忘れてたや」

 

そこに書かれていたのは『武器の耐久値が低下しています』という警告文。

それに合わせて手元の鋸に目を向ければ少しばかりノイズが走るようなエフェクトがあり、見た目からもあまり長く持たない事が伝わってくる。

やる気を入れ直した矢先に出鼻を挫かれて思わず苦笑いが溢れるが取り敢えず愛着がある鋸は壊したくないのでいそいそとインベントリへと収納する。

 

「よくよく考えたら酷使してた、こっからは選手交代」

 

代わりに取り出したのは岩を纏ったモンスターの頭部を模したハンマー、獣岩鎚(ビースト・ロック)

少しだけ久しぶりに使うそれを軽く振り回して感触を確かめていると不意に全身に浴びるような殺気が襲い来る。

 

『『『ふんッ!』』』

 

「《セツナノミキリ》ッ!!」

 

反射的に振るったハンマーはジョシュアを叩き潰そうとしてた剛腕とぶつかり合い、そして互いに弾かれる。

尤も、ジョシュアがほぼ後方へ弾き飛ばされているのに対し『終末鳥』は僅かに振り下ろした爪が痺れたような感じがする位という差はあるのだが。

 

『『『小賢しい真似を…!大人しく潰されろ!』』』

「〜ッ!!良いね!すんごいパワー!パリィスキル使ったのにダメージ来るとは思わなかった!」

 

飛ばされたジョシュアが宙で無理矢理体を捻り、地面を殴って姿勢を戻す。

更に獣岩鎚(ビースト・ロック)を地面に突き立てるようにしてブレーキをかけて木々にぶつかる前に静止したジョシュアの顔にはワクワクが溢れていた。

 

「最初っから飛ばしていこうか!《八艘跳び》《ニトロビート》《光の種》!」

『『『逃すものかァッ!』』』

「逃げないよ!こんな楽しそうなことを前にして背を向けてられないから!」

 

そうして再び戦いの火蓋は切られ、『終末鳥』は挨拶と言わんばかりに剛腕を横薙ぎ振るう。

太い木々がまるで発泡スチロールのように容易くなぎ倒されていく中、跳躍で回避したジョシュアはその腕に乗って駆けてゆく。

 

『『『ッ!!』』』

「頭がら空きだよ!《スカルシェイカー》ッ!」

 

ジョシュアがフルスイングで放った一撃が『終末鳥』の頭部を揺らす。

本来であればスタン値が大幅に蓄積されるような衝撃が空間ごと揺らすものの、それを受けた側は怯むどころか一切動作が止まらずそのまま空中のジョシュア目掛けて頭を振り被った。

 

「ッ!ッぶないなァッ!」

『『『その程度で私達を止められるとでも思ったか!』』』

「いいや全く!」

 

空中で《旋風陣》を起動し無理矢理ハンマーを振り下ろした姿勢から回転、迫る頭部に向けて再度ハンマーを振るい軌道を僅かにでも逸らすのと同時に自身を持ち上げるように力を込める。

その目論見は成功し、『終末鳥』の頭が真下スレスレを通っていくのを横目にジョシュアはそのままその巨体の真ん前に降り立った。

 

 

バキャッ!

 

「ッ!!《ベストステップ》《クイックステップ》!!」

 

ジャグンッ!!

 

そして地面に足が付くか否かのタイミングで殺気を感じ取ったジョシュアが即座に『終末鳥』から離れるようその場から飛び退く。

数瞬の後、先程までジョシュアがいた場所を『終末鳥』の腹に空いた巨大な穴……何十、何百もの牙が並んでいることから恐らく口なのであろう部位から伸びた『罰鳥』のような『嘴』が閉じるように通り過ぎた。

 

「っ、ふぅッ、間一髪!……だったけど」

 

少し無理をしての跳躍につんのめりそうになりながらも体勢を整えて最初のように目覚めた怪物と向かい合う。

 

「ん、最早笑いしか出てこないね」

 

思わず冷や汗を一筋垂らすジョシュアは一瞬だけ『終末鳥』から目を離して手元を見た。

 

そこにあるのは己の武器……()()()()()()()獣岩鎚(ビースト・ロック)である。

 

「僅かにかすっただけでハンマーのヘッド持って行く火力はヤバい、火力どうなってるんだろ……ッ!」

 

コチラが動揺しててもお構いなしに襲い来る『終末鳥』に対し、最早原型どころの話では無い程までに破損したそれを最後の一撃と言わんばかりに投げ飛ばそうと構える。

 

グインッ

 

「ん!?」

 

しかしハンマーの残骸が手を離れる寸前、急にジョシュアの身体があらぬ方向へと向き直る。

それに伴い槍に見立てて投げられた柄は『終末鳥』から離れた見当違いの場所に突き刺さり、それがトドメとなって獣岩鎚(ビースト・ロック)がポリゴンとなって完全に崩壊した。

 

 

「今のは『大鳥』の……あッ」

 

 

完全に意識外からの不意打ち、そして攻撃性が無かったが為に対処が一拍遅れてしまう。

 

 

そこを逃すほど、『怪物』と成り果てた守護者達は甘くない。

 

 

 

『『『死ぬがいい』』』

 

 

 

より力が込められた剛腕が、地面がえぐれ木々が残骸になるのも厭わずジョシュアへ直接振り下ろされた。

 

 

回避スキルの殆どは既に切ってまだ再使用時間(リキャストタイム)が終わっておらず手札は無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「【奮進再臨(リジェネイト)】ッ!!」

 

 

 

 

()()の手札は、だが

 

 

 

 

 

「〜ッ!!く、はっ!」

 

『終末鳥』の剛腕が直撃し、大きく後方へと吹き飛ばされるジョシュア。

途中何本か木にぶつかりへし折って地面を転がるが、それでも紙耐久である筈のジョシュアが息絶える事は無く、そのまま地面を殴りつけて勢い良く起き上がる。

 

「今のは僕が油断しすぎたね!じゃあ更にギア上げて行こっか!」

 

立ち上がったジョシュアの身体には薄い光の層のような物が形成され、そこからはただならぬオーラが発せられている。

しかし当の本人はそれを気にすることなく失ったハンマーの代わりの武器を求めて手を伸ばした。

 

「一緒に行こうか!幻想焼身!」

 

そうして伸ばされた腕に突如現れたかと思えば赤い外套のような物へと変貌し、そのまま巻き付くように装備される。

更には仕上げと言わんばかりに鎖が巻き付き、その身すらも焦がすような熱を発し始める。

 

 

「第2……いや、最初の含めて第3ラウンド!1勝1敗、次で決着つけれるかな!」

 

 

コチラをジッと見つめて片時も目を逸らさない『終末鳥』に、一歩前へ踏み出したジョシュアは熱源を無視して心底楽しそうに笑いかけたのだった。




〜皆も挑もう!『終末鳥』の攻略ポイント〜

・攻撃1発1発が重いよ!範囲もバカみたいに広いけど動作は大きいからちゃんと動作には気をつけよう!
 でも時々予備動作無しの即死攻撃が来るよ!死ぬ気で避けてね!

・合体前の能力が強化されたものを使ってくるよ!魅了対策は解いちゃ駄目だ!

・条件を満たすと標的が完全にコッチ向くよ!ランダムにばら撒いてた火力が一点に集中するから死ぬ気で避けよう!

・そもそも直接的な攻撃は威力とか関係なく全部無効化するからギミックを介さず『終末鳥』自体を討伐するのはチートじみた方法を使ってもほぼ不可能だよ!
 ゴリ押しで勝てる可能性があるのはオルトの父親、アンジェラ、今は深く眠ってる某最強、ビナー様程度!すごいね!






・クエストクリアの為のギミックを進める最初の一歩目は『敵として見られる』事だよ!

・コレでも全盛期より結構弱体化してるよ!
 大分長い間眠ってたしビナー様に色々弄られてるからね!
本来の出力だったらジョシュアくんの起動したパリィスキルをさも当然のように貫通してるよ!

後書きにシャンフロ劇場ミニや小ネタシリーズは

  • いる
  • いらない
  • セルマァ……
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