司書補J、シャンフロにて奔走する   作:ゲガント

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段々と暑くなっている今日この頃、皆様体調にはお気をつけ下さい。
取り敢えず刀良秀ソロで15層行ってきましたがえげつない性能してました、楽しかったです。
設定に関しては人の心案件で流石はプロムンでしたね。



それでは、どうぞ


止まれない

 

 

「さて、残り1個かな」

 

《振動爆発》によって溜まっていた《振動》が内側で反響、それによりほぼ爆散する形で崩壊していく『審判鳥』の核らしき卵を横目で確認しながら油断せず体勢を立て直す。

構えた《水袋》は先程よりも内部の水量が増え、

 

「もうじきこのバフも切れるから短期決戦で……ん?」

 

ステータスをチラ見し【奮進再臨(リジェネイト)】のバフの継続時間が残り1分を切っているのを確認した後、改めて敵を観察した所でふと何かに気が付いたように眉を顰めたジョシュアは目を擦ってからジッとのっそりとコチラへ向き直っていた『終末鳥』を見つめる。

 

 

 

そこには確かに『罰鳥』が『くちばし』を開いた瞬間を切り取ったかのようなデザインの卵が……今しがた探そうとしていた核があった。

 

 

 

『『『……………』』』

 

 

 

ただし、

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………」

 

 

 

『『『…………………』』』

 

 

 

「……………スゥー」

 

 

 

ジョシュアは一度、目を閉じ息を大きく吸った。

 

 

 

「ん!反則ッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ、漸く理不尽へ口出ししたか。まぁ無理も無いだろうな」

 

自身が紡いだ本をテーブルの上に広げその()を覗き見ながら紅茶を嗜んでいたビナーは口元を緩ませ心底楽しそうに目を通していく。

どうやらジョシュアを門に投げ込んだ後からずっと観戦していたらしく、ティーポットの中の紅茶は半分以下にまで減っていた。

今現在の寄越す目線や口元の笑みに愉悦が混じっている辺り、ジョシュアの苦戦する姿は中々紅茶が進むようだ。

 

「ビナー」

「おや、どうかしたかな?」

 

そんな風に娯楽に耽っていると自身の元へと近付いてくる存在を察知する。

それに従い振り返れば、若干呆れたような様子のアンジェラがツカツカと寄ってきていた。

 

「いきなりAlephクラスの幻想体の気配が濃くなったから様子を見に来たのよ」

「ふむ、態々ご苦労な事だな」

「貴女に渡した領域は観測しづらいのよ……それで、()()はどういうつもりかしら?」

 

そうして隣に立ったアンジェラが指差したのは机の上で独りでに開きその頁を閲覧者へと見せつける本、『The Tale of The BlackForest 』。

自身の管轄外で勝手に編纂されたそれを見やる立場上の部下をジロリと睨むが、当の本人は涼しい顔で紅茶を啜っていた。

 

「何、童が望む壁を与えただけだとも」

「許可した覚えは無いけど?」

「問題あるまい、この中ならば神々も手を出すどころか識る事すら出来んだろうさ」

「……まだジョシュアは中身は兎も角外側は半人前にも届いて居ないわ、早計が過ぎるわよ」

「さて、其れはどうだろうか」

 

そう惚けながらクスリと加虐性が垣間見える笑みを浮かべ答える。

一度カップをテーブルのソーサーに置き、アンジェラの方へと向き直ったビナーはさも当然であるかのような表情を浮かべて未だ情景を映し出し続けている本を指し示す。

 

「あの童の特異性はお前も知る所だろう、案外軽く飼い慣らしてしまうやも知れないな」

「……もしもの時の後処理は貴女にさせるって事で良いわね?」

「ふふ……」

 

そう笑い、「そうだ、コイツこういう奴だった」と言わんばかりの嫌そうな顔を向けてくるアンジェラを見ながらいつの間にか紅茶で満たされていたカップを再び手に取った。

 

ギスギスとした雰囲気とは裏腹に無知な者でもその価値を想像出来る程高級感漂う芳醇な紅茶の香りが漂う空間に沈黙が走る。

それを破ったのはアンジェラだった。

 

「あぁ、そうだった、此処に来た理由はそれだけじゃないの」

 

ふと何かを思い出したかのように一瞬だけ目線を上に向け、

 

 

「アンタがAlephクラスの存在を出現させた余波で、()()が目覚めたのよ」

 

「ほう?」

 

 

 

 

 

瞬間、ビナーの眼前に刃が現れる。

 

 

 

 

 

パシッ

 

 

「ほぅ………これはこれは、随分と永い事寝惚けていたようだったが潔く覚めたか」

 

 

 

「いきなり叩き起こされてまだ思考がシャッキリしてない状況で、2番目に見る顔がお前なのは大層不満だがな」

 

 

 

 

音速レベルの速度で放たれたナイフは一直線に眉間を貫かんと迫って居たものの、ビナーは脳漿をぶちまけようとしてきた凶刃を事も無げに空いた手で掴み取り、そのまま意味不明な原理で発生させた黄金色の衝撃波で内側から塵も残さず消し飛ばす。

そして当の本人は不敵な笑みを浮かべ、ナイフが飛んできた方向を静かに見やっていた。

 

 

 

 

「先ずは再開を喜ぼうか、紅茶は如何かな?」

 

「その冗長な口車は相変わらずだな、陰険女(ビナー)

 

 

そこに居たのは一人の女傑。

口には紙タバコを咥え、燃えるような赤い長髪を雑にポニーテールにした彼女は頭を押さえながら非常に苦々しい表情を浮かべていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「幻想潜灯ッ!」

 

そんな外の状況など露知らず、ラストスパートをかけようとした矢先に「弱点を無敵判定と即死判定を有する部分の内側に格納する」というとんでもねぇ反則行為をされたジョシュアは持っていた『水袋』を手袋型のギフトに変換し更に『盲目』を呼び出す。

ただし武器としてではなく軍帽型のギフトとして。

 

「コレでダメージ入ってくれたら嬉しいんだけどッ!!」

 

直ぐ様ギフトを通して『夢貪る濁流』の力を借りて行使する。

長さにして10cm程の大きさの小さな翡翠色の蛍光灯……正しく言えば漂流物を複数本出現させた後、それを指で挟むように掴み取って投げナイフの要領で投擲すれぱ、吸い込まれるように『終末鳥』の大口の中へと突き進んで行った。

 

『『『小癪なッ!!』』』

 

しかし向こうも何もしない訳では無い。

差し向けられた投擲物が胴体の内側へと侵入する前に備え付けられた四本の『嘴』が超高速で稼働、一度の啄みで向かっていた漂流物の尽くを噛み潰した。

漂流物が砕ける際に破裂し翡翠色の衝撃波を出すも、それが『嘴』直撃したにも関わらず『終末鳥』は一切意に介した様子もなく絶えず己の敵を見据え続けている。

それを見たジョシュアは油断せず警戒し続けつつも笑みを深くした。

 

「成る程、防ぐって事はコレ(漂流物)は君達の核を潰すに至る可能性があるって事かな?」

 

新たに一本、漂流物を召喚する。

今度は先程のような小さな物ではなく、槍のような長さを有した物をクルリと逆手で構える。

 

「《空穿ち》ッ!!」

 

そして姿勢を直した瞬間に放たれたのは閃光と見紛うほどの一擲。

10ある膜の内8枚が破られた【奮進再臨】によるバフは現在、ジョシュアのステータスを2.6倍に増幅させるというイカれた補正を掛けており、更には《同調》によって力を引き出しているEGO《低いなきごえ》による筋力補正も相まって元の状態より、もっと言えばレベルカンスト勢のプレイヤーのそれをも凌ぐほどに強力になっていた。

 

 

ガギンッ!

 

 

暗い森の中を駆ける一閃は再び閉じられようとしていた『嘴』の間をすり抜けて大口内部へと侵入、その中央部に据えられていた卵型の核に直撃し着弾と共に破裂した。

 

『『『ヌゥッ……!?』』』

「さぁドンドン行こう!」

『『『ッ、調子に乗るなァッ!!』』』

 

僅かばかりに口内の核に罅が入り、『終末鳥』は痛みを堪えるように身を悶えさせた。

しかしそんな事知らないと言わんばかりに次々と漂流物を生成して投げつけて来る敵を迎え撃つ為に、その巨体を転移させ肉薄していく。

 

『『『とっとと逝ねッ!!』』』

「ヤダッ!こんなギリギリの殺し合いを今更止めるなんてそんなつまらない事言わないでよッ!」

『『『何なのだお前は!?』』』

 

頭上からの押し潰し、腹部の大口から覗く『嘴』による啄み、巨大な翼による薙ぎ払い、太い腕による叩き付け。

その尽くを隙間を縫い踊るように避けながら爛々とした笑顔を浮かべながら的確に弱点を狙って爆発物を投げつけて来るジョシュアに、『終末鳥』は最早未知の存在を見るような目を向けて声を荒げた。

 

 

「あっはは!そんなの聞いて何になるの!?」

 

 

『終末鳥』から溢れた愚痴のような問い掛けに、ジョシュアは一瞬だけキョトンとした顔を晒した後、それを笑い飛ばして迫る攻撃を凌いで行く。

 

最早最初にあった怪物の猛攻をギリギリで凌ぐ挑戦者の姿はそこには無い。

ただひたすらに命のやり取りを行なっているこの現状を楽しみ、その小さな体躯でありながら相手を食らわんとする人間(怪物)が、ただただ純粋にこの闘争を楽しんでいた。

 

 

「まぁ良いや、強いて答えるのなら……」

 

 

激しくなり続ける乱打の中を歩くように避け、静かに帽子を掴み取ったジョシュアはその軍帽型のギフトを槍のEGOへと変成させて、姿勢を低くし即座に飛び出した。

 

 

 

 

「ただ命を賭けて殺し合うのが大好きなだけの人間だよ」

 

 

 

自己強化を何重にも重ね、自分自身が一筋の閃光となったジョシュアは………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

螺旋を伴って真正面から核を貫いたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

殺さなくては

 

 

 

消さなくては

 

 

 

この森を脅かす敵をこの手で

 

 

 

 

既に我々/僕ら/私達は後がない

 

 

 

 

 

だから

 

 

 

どうか

 

 

 

 

『『『死んでくれ』』』





◯E.G.O 『カポーテ』 幻想焼身

武器種:ガントレットor特殊アクセサリー(頭頂部)

真鍮の檻の中に閉じ込められ、絶えずその身を焼かれて遂には一体となってしまった存在の自我の断片を抽出し物体化させた代物。
救いを求めて手を伸ばそうとも、その手の内に望む物は手に入らない。その身を焼き焦がす熱は全てを溶かし消してしまうのだから。

このE.G.Oの装備時、以下の能力を得る。
・攻撃的中時、対象に《火傷》を付与
・MPを20%消費し、周囲にダメージ判定を伴う熱波を放つ
《同調時》
・攻撃的中時、対象に追加で《沈潜》を付与
・攻撃的中時、10秒間相手の筋力、敏捷を10%(重複可能 最大40%)低下させる


筋力+30 耐久+20 
《同調時》筋力+80 敏捷+70 技量+20 
     器用+20 耐久+300 幸運-10

後書きにシャンフロ劇場ミニや小ネタシリーズは

  • いる
  • いらない
  • セルマァ……
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