コレでより世界観が深まるね、ヨシ!
それでは、どうぞ
「■■■■■」
始めに動いたのは獣を模した作品を身につける恐らく『野獣派』であろう白スーツの人間。
2人いるうちの凶暴な野犬のような被り物と右腕に全体を覆うような継ぎ接ぎの獣皮で出来たグローブを付けたスチューデントが迫ってくる。
その速度と攻撃は今までの戦闘記録で戦って来たどの人物よりも機敏かつ強力だったが、生憎
ジョシュアは振り払うような横薙ぎを軽く上体を反らして回避するとそのまま相手の懐に潜り込んで胸倉を掴み、
「フンッ!」
「■■■!?」
勢い良く引き寄せながら顔面の中心目掛けて頭突きを食らわせた。
潜り込まれた胴体への攻撃を予想していたのか空いた腕を腹部辺りに持ってきていた『野獣派』のスチューデントは無防備な頭部への攻撃に思わずたたらを踏みながら後退する。
「よーいーしょッ!!」
すかさず放たれる『ランプ』による殴打。
《崩々壊撃》から進化したスキルである《
そんな床を転がる仲間を一瞥した後に突っ込んで来たのはもう一人の『野獣派』、コチラは猛禽類……タカらしき生物を模したマスクを着けており、両腕は羽が刃となったような翼と化していた。
恐らくは野犬風な方と同じようにグローブのようなものなのだろうが、単純な危険度で言えばコチラのほうが勝るだろう。
「■■■■」
ジョシュアの攻撃範囲に到達する直前、その者の作品であろう翼が展開し両腕が巨大な刃物そのものと化す。
そのまま肉薄したスチューデントはその凶刃でジョシュアの首を斬り裂かんと踏み込み腕を振るう。
「面白い装備だね!けど狙いが分かりやすいなぁ!」
何枚も並んだ羽根の刃は空を切る。
バックステップで避けたジョシュアは続け様に放たれた翼の連撃の合間を縫う様に避けると最後の振り下ろしの一撃を『ランプ』の柄で受け止めるとそのまま横に力を流して体勢を崩させ、流れるように頭を鷲掴み引き寄せヒザ蹴りをぶちかました。
「■■!?」
「まだまだこんなもんじゃ無いよね、もっと楽しもう…よッ!」
「■■■■■■!?」
脳震盪を起こしたのかその場で仰け反るように膝から崩れ落ちようとした『野獣派』のスーツの襟を『ランプ』をハンマーから髪から生えたような多数の瞳の形をしたギフトへと変更したジョシュアが握り締めるように掴み、振り向きざまに背後から迫っていた『点描派』のスチューデント達の一人目掛けてぶん投げる。
「もうちょっと足音は消そうね!」
「■■■■」
「おっ、と!」
息をつく暇も無く上から筆の先で串刺しにしようとする『点描派』のスチューデントの攻撃が繰り出される。
勢い付いた筆はカラフルな絵の具をまき散らしながらジョシュアの心臓目掛けて迫っていた。
しかし既に気配と殺気を察知していたのか、ジョシュアは少しばかり身体を軸足を中心に少し回すだけでいなし、床に刺さった筆を軸に利用したポールダンスのような変則的な蹴りも腕を振り払って弾く。
「■■■■■■■」
「わぁ、『薬指』は戦闘も芸術に仕立て上げる規則でもあるのかな。とっても良いね!」
「■■■■!」
一度距離を開けるも直ぐ様コチラへ肉薄し流麗な動きで筆の刺突を放ってくるスチューデントに思わず微笑みが浮かんでくるジョシュア。
口からは賛辞の言葉ばかりが紡がれているが、無手の状態でありながらも的確に致命傷になりうる攻撃を全て避けるか逸らし続けている辺りまだまだ余裕はある様子である。
「ん、じゃあそろそろ反撃するね」
「■■!?」
そう言った際に放たれた顔面のすぐ右スレスレを通り過ぎた突きを下から掴み取るとそのまま万力のような力でその場に縫い留めた。
ギギギ、と筆から軋むような音が発生し僅かばかりに変形し始めた辺りで持ち主であるスチューデントは武器の主導権の奪還を放棄しジョシュアを直接殴りに来た。
「■■■■…■!?」
「あっはは!絵を描く芸術家が筆を離しちゃダメじゃない?」
「■■■!」
無駄のない動きで放たれた蹴りを空いていた手で受け止めそのまま引っ張って転倒させるも、そのまま受け身を取って衝撃を逃されダメージは入らない。
「対応早い、けど受け身の取り方もうちょっと考えた方がいい」
「■■!?」
しかしそのスチューデントは再びバランスを崩し今度は地面と衝突する。
理由は簡単、立ち上がる地点を予測していたジョシュアが奪い取った筆をフルスイングで頭部にクリーンヒットさせたからである。
その一撃と開幕のカウンターでのダメージが蓄積していたのか地面に頭から叩き付けられた後にそのまま動けなくなって蹲ったスチューデントを一瞥しつつ、強奪した筆を持ち替えると今度は背後に向けて刺突を放つ。
「■■■■」
「ん、頑丈だね。やっぱりただの毛皮じゃない」
「■■■■■」ギュツ
「んっとと!」
ジョシュアの放った攻撃はふっ飛ばされていた野犬風の『野獣派』スチューデントの引っ掻きとぶつかり合って互いに弾かれる。
後ろに下がりつつ、起き上がろうとしていた『点描派』スチューデントの頭部を奪った筆で潰して光る頁へと変貌させたジョシュアだったが、先程までよりずっと速いスピードで迫ってくる追撃に相殺ではなく回避を選んだ。
「ッ!さっきより格段に動きが良くなったね、今引っ張った紐で何かギミックが動いた?」
「■■■■」
「《ワンショット・アーツ》」
突如として変化した様子を観察しながら後退するとそれを追って跳ぶように獣が駆ける。
しかし何度も放たれた爪による切り裂きもスルスルと避けるジョシュアには届かず、突きだした拳もスキルを乗せたパンチで相殺される。
「■■■■■……!」
「獣らしくてとても良い、けど動きが少し大雑把!《
「■■!?」
苛立ちが募ったのか、より一層力が込められ大振りになった振り下ろしを半身になって避けたジョシュアはその勢いのまま回し蹴りを放つ。
過剰とも言える速度の蹴撃は攻勢にのめり込みすぎた結果退くタイミングを逃した『野獣派』スチューデントの横っ面にヒット、そのまま意識を混濁させてたたらを踏ませ、残り2人のスチューデントから離れた方向へ突き飛ばした。
「獣を模倣するなら大胆に攻めるだけじゃダメだよ。本能っていうのは敵への恐れも含まれてるんだから」
現在進行系で戦っている敵である筈の相手にアドバイスを零すジョシュアはゆったりとその歩みを進める。
カチカチカチ、と普通の靴から出る物とは違う、鳥類特有の固い爪が地面とぶつかる音を立てながら近付き、やがてギリギリ獣腕の範囲外の所で止まった。
「まぁこういうのを使うのは知能がある生物故の特権だけどね、幻想執行」
瞬間、開いた手の内に現れるのは『罰鳥』のEGO『くちばし』。
真っ白な本体に『罰鳥』の腹部の模様のような赤々としたペイントと空色の羽の装飾が施されたソレの存在を確かめるように握り締めたジョシュアは慣れたようにその向きを定め、
「ぱん」
丁度コチラを向いた『野獣派』スチューデントの眉間を貫き、脳漿をぶちまけるが如く赤黒いポリゴンを撒き散らしながら倒れ伏した。
「……ここまでは理解できたかしら?」
「…………………」
『図書館』の中央、エントランス兼アンジェラの書斎にて目を覚ましたばかりのゲブラーは目を閉じ先程まで受けていた説明を頭の中で反芻していた。
「あー……そうだな、取り敢えず私の想像してた数倍理解の範疇を超えた事態になったことは分かった」
「そうね、今はその認識でも大丈夫よ」
今しがた語られた話の内容を受け止めきれなかったのか、ゲブラーは虚空を見つめながら思考を続け…諦めたかのようにアンジェラに視線を戻した。
「取り敢えず、
「えぇ、『外郭』だろうと『裏路地』だろうと『巣』の中だろうと………『都市』に居た存在からしたら相当理不尽極まりない出来事だった筈よ」
「『ねじれ』発生の引き金になった奴が言う言葉は説得力が違うな」
「……」
「……すまん、忘れろ」
「えぇ、そうするわ。珍しいわね、貴方がここまで動揺するなんて」
「お前は一体私の事を何だと思っている?」
失言や軽口を混じえながら言葉を交わしていれば情報と感情の整理が落ち着いたようで、ゲブラーは一つ溜息を零しながら口を開く。
「まぁいい。それで、世界がこうなった……いや、
「…………」
「何の突拍子もなくこんな風にしたのなら、それなりの理由はある筈だ」
その問い掛けの後、暫くの間エントランスに沈黙が走った。
ひどく言いづらそうに顔を歪めるアンジェラとソレを真正面から見据えて答えを待つゲブラー。
「…………」
「…………」
やがて小さな溜息が溢れる。
折れたのはアンジェラだった。
「……………
『 』
ですって」
「…………………
は?」
シャンフロ劇場 ミニ
ジョシュアが『薬指』に向いていない理由
「ん、アンジェラ……あれ、絵描いてるの?」
「何かしらジョシュア、今手が離せないのだけど」
「別に通りかかったから挨拶しただけ……それより、アンジェラってこういう芸術も嗜むんだね」
「気分転換の一環よ、昔部下に勧められて時折やってみてるけど特別好きな訳じゃないわ」
「でもとても上手。都会の街並みみたいだけど何処かの風景画?」
「えぇ、かつての『L社』から見れた景色よ。何年も経ってるけど案外覚えてるものね」
「そういえば貴方はどうなの?」
「どうって?」
「絵画の腕前よ。気になるから何でも良いから描いてみなさい」
「えぇ……?でもなぁ………」
「言い訳するの?私の絵を見たんだからこの位の要望は通って然るべきでしょ?」
「……見てから文句言わないでね」
「………はい、出来たよ」
パサッ 〜BGM:旧支◯者のキャロル〜
「…………何描いたのよこれ、ねじれのなり損ない?」
「オルトだよ」
「……?????」
「いや、うん、自分でも分かってるんだよ、僕の絵が可笑しいのは。でも何故か自分の手で絵とかを仕上げると尽く
「………何で?」
「理由なら僕が知りたい」
Q.なんでジョシュアは『薬指』に向いてないの?
A.ジョシュアが絵などを
原理は不明だし何だったら描いてる途中は普通なのに完成が近くなると段々と見るだけでSAN値が削れるような物になる。
未完成品ならば問題無いし『薬指』の面々からすれば一つの芸術として受け入れられるかも知れないが、『薬指』の理念は「目に見える形として自身の主観を示すことこそが芸術であり、その主観を曲げてはいけない」というものであり、ジョシュアの場合「完成させてもその瞬間に主観と程遠い物にしかならない」為根本の部分が『薬指』と死ぬほど合わない。
そもそもジョシュア自身グロやコズミックホラーは「平気」なだけであって「得意」や「好んでいる」訳では無いので割と辟易としてる。
ただ、もしこの特異性を自身の本質(主観)として受け入れた場合には『薬指』中で新しい派閥を作ることが出来る位になる可能性があったり
後書きにシャンフロ劇場ミニや小ネタシリーズは
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いる
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いらない
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セルマァ……