色々とあって遅くなってしまいました。
リンバスカンパニーの方も10章サラジネしまして、次の話も楽しみです。
プイクレアかわいいよプイクレア
それでは、どうぞ
「ん、良い。コレで僕も晴れて銃持ち、オルトが少し羨ましかったんだよね」
ポリゴンで直接的な表現は控えめになっているとはいえ割と凄惨なくたばり方をしてそのまま頁となって消えたスチューデントを横目に、ジョシュアは飛翔体を射出した場所から硝煙を放つ物……一部のシャンフロプレイヤー達が心の底から欲し続けている代物である銃、の形をしたEGO『くちばし』を嬉しそうに眺める。
形状としては若干角張ってはいるものの一般的に「オートマチックピストル」として知られているタイプであり、他のゲームでもよく見る物に近い為取り回しに苦労することはない。
ジョシュアは基本的に武器として使えるのであればそこら辺に生えてた木の枝でも大丈夫なタイプだが、やはりこうした洗練された殺意の塊は心が擽られるようで戦闘中であるのにも関わらず目を輝かせて手の内の『くちばし』を眺める。
「にしても凄いねEGO、MP消費で勝手に装填されてるし……さっき撃った感覚的に多分コレ実弾?オルトが使ってた……『崇高な誓い』だっけ?そっちは魔法寄りだったし、そこら辺も差があるのかな」
色々と触れて動作確認をしてみるとリアルの拳銃同様の構造をしているもののリロードの為に弾倉を外す機構は見受けられない。
持ち主から勝手に
まぁEGO自体が物理法則に則ってるかどうか怪しいので問題は無いだろう。
「君達はどう思う?」
そう言いながら振り向きざまに発砲、迫っていたもう一人の『点描派』スチューデントの筆の先端近くに着弾しその軌道を逸らす。
「■■■■■」
「よっ、ほっ、えりゃっと!」
「■■■■………!」
「ハイそこ!」
「■■!?」
体勢を立て直し、先端からカラフルなインクのような物を滲み出させながら舞うように繰り出される筆の刺突を『くちばし』の銃身で弾く。
本来であれば銃身で相手の武器を受け止めるのは動作不良や破裂等の原因となりかなりの危険を伴う行為であるのだが、EGOにその常識は通用しない。
「ぱぁん♪」
そんな愉しげな声と共に放たれた弾丸は体勢を立て直し果敢に攻め続ける『点描派』スチューデントの服の袖を食い破り裂傷を残しながら腕を掠め、その後方で攻撃の機会を伺っていた『野獣派』スチューデントの肩を穿ち赤黒いポリゴンを撒き散らす。
「ふふ、痛いかな?けどさっきの跳弾の角度からして普通の弾とはちょっと違いそう。何か特別な細工でもしてるっぽい?ん、要検証」
「■■■…!■■!?」
腕の裂傷に構わず迫ってくる『点描派』の腹部に前蹴りを叩き込み強制的に距離を離す。
反撃する程の余裕が無いのかフラつきながらコチラを睨む……まぁ顔の部分に規制が入っているので気配からの予測だが睨んでいるであろう『点描派』スチューデントが飛び出してこないのを確認するとジョシュアは『くちばし』を左手に持ち替えた。
「まぁ他の子達のものを使って一羽だけ仲間外れも寂しいよね、幻想裁定」
そうして取り出したるは1本の直剣。
『審判鳥』の頭部のように包帯が巻かれた刃と天秤と黒い羽毛を意匠としてあしらった柄から構成されたEGO、『ジャスティティア』である。
「んー、片手で扱うにはちょっと大きいかな?まぁ今は大丈夫だけど」
そう言いながら握り締めた剣を片手で振るって調子を確かめる。
今現在、ジョシュアの肉体は『終末鳥』によって侵食されている状態でありソレに伴って筋力等のステータスは『終末鳥』へと近付こうとしている為、本来であれば両手で持って振るうのがやっとな長剣であったとしてもまるで玩具のように振り回す事が可能になっていた。
「■■■■■……!」
「やる気があるのは良いね、けど少し粗が見えてるよ!」
ジリジリと近付いていた『野獣派』のスチューデントが飛びかかるが先程の肩のダメージもあって動きは鈍い。
故に拡げた羽による斬撃は容易く避けられお返しと言わんばかりにすれ違いざまに振るわれた『ジャスティティア』の一閃をマトモに喰らい、更には崩れ落ちそうになった所へノールックで放たれた『くちばし』の銃弾が襲う。
「そろそろおしまいかな?」
弾頭部分が通常の物とは違い無数の歯が螺旋状に並んでいる銃弾は、無防備に晒された背中から『野獣派』スチューデントの胴体を食い破ったのだった。
『都市』において、普通の衣服に見える代物でも特殊な製法や素材によって並外れた耐久性や防護力を誇る事は珍しくない。
無論『裏路地』に住まう一般人やそこら辺のゴロツキ程度が手を出せる範囲のものは普通の衣類なのだが、『特異点』と呼ばれる明らかなオーパーツとも言える技術やソレに準ずるモノが普及してる『都市』では金銭さえ用意出来れば特殊な衣類を入手出来る。
当然、構成員の一人に過ぎないとはいえ『薬指』という一大組織に所属する彼らの衣服も特別性で普通のナイフ程度であればほつれ一つ起こせない防具の筈である。
「■■……」
しかしソレを容易く無意味に帰させるのがEGOである。
振るわれた『ジャスティティア』は容易くスーツごと肉体を斬り裂いて『くちばし』はその傷口を拡げるように抉る。
既にダメージが蓄積していた『野獣派』のスチューデントはその致命傷に耐えれる訳もなく崩れ落ちながら頁へと変化し消えていった。
「さて、後はキミだけだね」
「…………」
先程からずっと様子を伺っていたものの、一切隙を見せず流れるように残っていた仲間を始末したジョシュアを前に『点描派』のスチューデントは己の武器である筆を握りながら懐から何かを取り出した。
「ん、針?」
徐に手に取ったのは1本の針。
見た目的には現実にも存在する点描画に使用されるタイプの筆のようだった。
ナイフのような投擲用かと直剣を構えるジョシュアだったが、スチューデントは予想に反して逆手持ちに握り込み、
「■■■!」
「おお」
そのまま心臓辺りに突き立てた。
「■■……■■■■■■!」
「……ふふっ」
突然の奇行に少々驚いたように目を見開くジョシュアだったが、刺した小さな点描筆を投げ捨てたスチューデントの様子を見て直ぐに笑みを零した。
「あぁ、成る程、君達は何処までも芸術家なんだね、自己強化と回復に使う物まで絵具なんて、さっきの野犬の人の動きが良くなったのもソレが理由かなぁ……もしかしてその筆から出て来てたインクも特別性?武器に入ってたとするなら相手に状態異常を付与するタイプかな?素手で触れただけでも効果があったりする?あっはは、すっごい気になる!」
いきなり早口になって捲し立てるジョシュアだったが一度言葉を区切ったあと、静かに息を吐いて少し悲しそうに笑った。
「でも残念、もう本当におしまいみたい」
「■■■……!」
「だから最後は派手に行こう!」
張り詰めた気迫を放つ『点描派』スチューデントが武器の筆を握り直して腰を落とし、ソレに応じるようにジョシュアも『ジャスティティア』と『くちばし』を構える。
沈黙は数秒も続かず、同時に床を蹴る音が響いた。
「■■!」
「シッ!」
突き出された筆の先と『ジャスティティア』がぶつかり合い火花を散らす。人体の弱点を的確に狙う突きは守りを捨てた身のこなしと特殊な絵の具による身体強化によって洗練され、段違いに速くなっている。
しかしそれでも『点描派』スチューデントの攻撃は敵に届かない。
「狙いが……」
「■■■■!」
「正直ッ!」
「■■……!?」
何度も振るい、その度に包帯の巻かれた直剣に弾かれ続け、決死の思いで力を込めた心臓狙いの刺突も絡め取るかのような軌道で振るわれた『ジャスティティア』であらぬ方向に逸らされる。
既にジョシュアは相手の攻撃の癖を読み取り終わっており、対処はそう難しい事では無くなっていた。
故に、大技を決めようとした『点描派』スチューデントの力を利用して体勢を崩すのも容易いことだ。
「【業の秤】」
「■■■、■■■!?」
その言葉が唱えられた瞬間、瞬く間のうちにどこからともなく飛び出した黒い縄が体勢を崩した相手の身体をその空間に縫い留めた。
その数およそ20本以上。
「わぁ、予想以上に大盤振る舞い」
『審判鳥』が持つ審判の力、対象の善悪を定め悪しきに罰を与える力を再現したEGOスキル、【業の秤】
その内容は「相手のカルマ値に応じて継続時間と効果が変化する拘束魔法」である。
人の命を素材として作品を制作する
ただひたすらに縄はその力を存分に振るっていた。
骨が軋むほどキツく縛り上げてくる縄の痛みに耐えられず武器を取り落とした敵の前に立ったジョシュアは、静かに左手の『くちばし』をコチラを睨んでいるであろう『点描派』スチューデントの額部分に銃口を当て
「チェックメイト」
微笑みながら引き金を躊躇いなく引いたのだった。
「んー!中々楽しかった」
「ご満足頂けたようで何よりなのです!」
「あ、オルト、少し待たせたね」
「いえいえ、本の整理を行なっていたので問題無いのです!」
満足気に伸びをするジョシュアに何処からともなく現れたオルトがピョコピョコと近付いてきた。
その背には空になった背負子があり一仕事終えていた事が伺える。
そしてそのまま次はどうしようかと相談しようとしたその時だった、
バギィッ!!
「ッ!?」
「わわッ!?」
突如として辺りに鳴り響く破壊音。
ジョシュアは致命の包丁、オルトは『崇高な誓い』を手の中に呼び出し咄嗟に戦闘態勢に入りながら周囲を警戒したものの、特に異変は見当たらない。
「2回目は無し、音からして多分木製の何かが壊れた音だったけど……オルト、方向分かった?」
「ふむむ、ワタクシから見て2時の方向……恐らく中央のエリア辺りなのです!」
「ん、取り敢えず行ってみよっか、肩に乗って」
「了解なのです!」
「それじゃあ行くよ、《遮那王憑き》《フリーウォーカー》」
オルトが言葉に従って左肩にしがみつくのを見てから
ぐ、と力を溜めるように屈みそのまま勢い良く宙へと飛び出す。
樹木と融合したような前衛的な形の本棚を足場に『図書館』内をウサギのように駆けてゆくジョシュア。
足場としては不安定な場所も何のその、先程進化したスキルである《フリーウォーカー》の効果は「一定時間、不安定な足場でも関係なく安定した移動が出来るようになる」というものであり、走破性という点ではかなりの優良スキルである。
「それにしても……」
まるで風のように駆けてゆくジョシュアはその最中、殆どが本棚が立ち並ぶエリアで埋め尽くされた『図書館』を一望する。
エリア毎に明確に色が違う為境界線があるように見えるその景色はある種の芸術性がある様にも感じられた。
「っと、そろそろかな」
先程まで芸術家達を相手取っていた故か思考の方向性まで芸術に寄っていた所で目的地であるエントランスが見えてくる。
「わぁ」
「はわわ……!?」
降り立ったジョシュアとオルトは改めて目の前の光景を見て目を見開く。
まず目に入ったのは見るも無残に破壊された長机の成れの果て。
強力な力が上から振り下ろされたようで、破片は広範囲に散らばり綺麗だった床にはクモの巣状のクレーターが出来上がっていた。
机の上に上に置かれていたであろう本や道具もまた破片同様に吹き飛ばされ至る所に落ちている。
その傍らに佇むアンジェラはというと、呆れを多分に含んでいるものの「しょうがない」といった雰囲気で静かにその光景を眺めていた。
「ん、アンジェラ」
「あら、EGOの試運転は終わった?」
「特に問題なく……で、コレどうしたの?」
「ただのコラテラルダメージよ」
「ソレにしては随分と被害出てない?」
「この程度の被害なら私からしたら紙が数枚散らばったのと同じだわ」
一先ずアンジェラは何処にも怪我は無さそうで一安心しつつも油断は出来ない。
そんな風に周囲を警戒しながら話しかけてみたが、当の本人は何でも無いかのように一度指を鳴らす。
次の瞬間、残骸となっていた机は元の姿を取り戻し、床はクレーター等元から無かったかのように磨かれ光を反射する様を見せつけていた。
「『図書館』は私の領域だもの、そこにある物を元の形に戻す位なら腕を振るえばどうとでもなるのよ」
「模様替え楽そう」
「実際楽よ、空間を差し込めば幾らでもレイアウトは変えれるから」
「んー………」
本当に何でもなさそうな事が分かるアンジェラと言葉を交わしつつ、ジョシュアはチラリとエントランスエリアの端に目をやる。
さっきからずっと目を逸らしてた方だ。
「……………………チッ」
肩に乗るオルトが静かにガタガタとバイブレーションモードに入る。
そこに居たのはゲブラーだった。
広いエントランスの端、置かれた椅子に脚を組みながら背もたれに身体を預けて腰掛け、口には火のついた煙草が咥えられている。
だが何よりも目立つのはその凶相だろう。
初対面や2回目の邂逅の際の無愛想ながらもコチラに歩み寄る姿勢のあった姿など無く、ただひたすらに気分を紛らわせるために煙草の煙を吸っては吐き出している。
それでもジョシュアが見ている間、その気分が晴れる様子は一切無かった。
もうコレ意識向けただけで一般人なら殺せるんじゃないかと思う程に機嫌が最悪な指定司書を見て、流石のジョシュアも話し掛けに行くのは憚られた。
「………何も聞かない方が良い?」
「………そうね、今はそうしてちょうだい」
>そっとしておこう……
・【業の秤】
対象のカルマ値を参考に効果が増えたりする拘束用魔法。
カルマ値がマイナスならスリップダメージが入る上逃れる為に要求されるパワーも増える
例) 阿修羅会のリーダーに掛けた場合
→50本位の太い縄でぐるぐる巻にされてそのまま1秒程度で全身をぐちゃぐちゃになるレベルのパワーで絞め殺される
因みに副次効果として拘束中はスキルの発動が不安定な確率になる
Q.ゲブネキ何でこんなキレてんの?
A.前回アンジェラの話した理由の内容が、めっちゃ要約すると『お前らの存在とかどう生きたかとかに特に意味なんて無いし、邪魔だから消えてくんない?』だったから。アンジェラも被害者側の為にその怒りの行き先は近場の机になった
机<ドボジデ…
というかプロムンのネームドキャラの大半はキレるか呆然とする内容
ドンキのエミュが完全に無くなって声を荒げたり、
ホンルの笑みが消え失せてしばらく真顔になったり、
ムルソーが血が滲むどころか垂れ流されるレベルで拳を握り締めるレベル
後書きにシャンフロ劇場ミニや小ネタシリーズは
-
いる
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いらない
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セルマァ……