司書補J、シャンフロにて奔走する   作:ゲガント

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シャンフロのアニメがYouTubeで一気放送してくれるのがとても嬉しいです。二期が楽しみですね。



それでは、どうぞ


招待は突然に

(……ナニコレ?)

 

リュカオーンとの戯れ合いもクライマックスに突入するかといったタイミングでの出来事に、ジョシュアは戦いの最中であることすら忘れてポカンと呆ける。

 

そして次の瞬間、

 

バサバサバサバサバサバサバサバサバサバサッ!

 

「んッ!?」

 

取り囲むように紙のような物が舞い上がってジョシュアの姿を隠した。ジョシュアが回避する間もなく文字が並ぶ紙たちに覆われてしまった状況で、アクションを起こしたのはそれを見守っていたリュカオーンだった。

 

「グルッ」

 

飛びかかりからの前足の叩き付けは地面を割り周囲に土煙を撒き散らす。

 

「…………」

 

しかし獲物は既にそこには居らず、アレだけ目立っていた舞い踊る紙も紙片の一つすら見当たらない。

 

 

「…スゥ、ルオォォォォォッ!!」

 

月明かりの下、光を吸い込むような闇で構成された狼の遠吠えが大地を揺らす。

 

その行為に含まれる意味は獲物を横取りされた怒りか、それとも完全な偶然とはいえ己から死なずに逃げ切った者への賛辞か、それを知るのは当のリュカオーンのみである。

 

紆余曲折あれど、こうして一人の開拓者は沼荒野から姿を消したのだった。

 

 

 

 

 

『称号【サバイバー】を獲得しました』

 

 

 

 

 

 

 

「ん?……んゆっ!?」

 

その消えてしまった本人はというと、紙たちに視界を遮られた次の瞬間には足元にあった地面の感覚が無くなり、そのまま空中に放り出されていた。

HPが1な為、変な着地をしたらそのままGAME OVERとなると察したジョシュアは無理矢理姿勢を制御してつんのめりながらもしっかりと地面に降り立った。

 

「あぶないあぶない……ココドコ?」

 

口で噛んでいた致命の鋸(ヴォーパル・ソウ)を何とかインベントリに入れながら辺りを見回せば非常に高級そうな木製の本棚がずらりと並んだ部屋らしき空間が目に入る。

ただし部屋といってもその広さは並大抵のものではなく、天井は到底手が届きそうもない高さにあるのがぼんやり分かる程であり、壁には本棚らしき物が何処か温かみを感じる光の射す窓を除く全ての面にずらりと敷きつめられていた。

天まで続いていると言っても過言では無さそうで、よくよく観察してみれば雰囲気やデザインが丸ごと切り替わっている場所も見受けられており、情報の処理が追いつけなさそうな程に異様な空間がそこにはひろがっていた。

 

「ここが、図書館……?」

「えぇ、そうです。歓迎致しましょう、開拓者のお客様」

 

想像以上のスケールに呆然としていれば、どこからともなくこちらに呼び掛ける声が聞こえて来る。

そちらを見れば、いつの間にか一人の人型の存在が静かに立っていた。

 

「私はこの図書館の館長を務めているアンジェラと申します、以後お見知りおきを」

「ん、ご丁寧にどうも。両腕が欠損してる状態で訪問して申し訳ない……っとと」

 

しずしずと頭を下げた蒼白の女性……アンジェラに対し応えるようにジョシュアも頭を下げた。しかし両腕を失った影響かその行為だけでもつんのめってバランスを崩して慌てて姿勢を制御する。

 

「………随分と不便そうですね」

「元に戻したい所だけど、生憎僕が出来る方法はリスポーン位しか知らない。それもここにまた来れる保証もないからなぁ……」

 

色々と……と言うよりもリュカオーンとの戦いの記憶が色濃く残っていた為失念していたが、本来『ユニークシナリオでしかたどり着けない未知のエリア』というのはほぼ全てのゲーマーが羨む物なのである。かくいうジョシュアも少しばかり心が踊っており、ここで死んで折角掴んだチャンスを逃したくは無いのだ。

 

「リスポーン、要は一度死を迎えて蘇ると。でしたらお手伝い出来ますね」

「………ん?」

 

悩む姿を見たこの空間の主は言葉を拾い、ふと思いついたかのように腕を構える。

その言動に何となく嫌な予感がしたジョシュアだったが、彼が動く前に…

 

ゴトリ

 

「安心して、この空間では私の許可がなければ死ぬことも許されないから」

 

既にその首は落とされ、視界には崩れ落ちる自分の体が映っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ん、さっき見た天井……は見えないや」

 

気付けば仰向けに寝っ転がって先程見上げた天井を見ていた。起き上がろうとすれば、リュカオーンとの戦いで失った筈の腕がしっかりと床を押す。

 

「リスポーン、って訳じゃない。死んだなら一時的なステータスダウンがある筈、けどさっき確かに首を………ん?」

 

のっそりと立ち上がり、握っては開くを繰り返していた手を再び見てみれば、袖の部分が意識を失う前に身に纏っていた装備とはかけ離れた何とも高級そうな空色の布地で仕立てられた代物になっていた。

 

「ん、中々お洒落」

 

自分の体へと視線を移せばそれがスーツのようなものだと分かる。クルリと一回転すれば、裾と何故かポニーテールになっていた髪がヒラリと舞う。

 

「少しは動揺するかと思っていたのだけど…随分と呑気なものね」

 

ファッションモデルとして働いている為かその動作も様になっているが、それに見惚れるような存在はココには存在しなかったようだ。

 

「あ、腕治してくれてありがとう」

「やった私が言うのもアレだけども、首を斬られて殺された相手への第一声がそれで良いの?」

 

マイペースに自分の状態を確認していたジョシュアに呆れたような表情を浮かべるアンジェラ。

皮肉を込めた言葉も意図を分かっているのかどうかすら不明なまま感謝の言葉を返された図書館の主は奇妙な生物を見る目を向けているが、そんな状況でも首を傾げて目線を返せるジョシュアは間違いなく世間一般で呑気と呼ばれるタイプの人間なのだろう。

 

「それはまぁ、油断した自分が悪いし、なんかとても良い服貰ってるし……あ、返したほうが良い?」

「別に返されても困るわね。それは()()だもの」

「ん?制服?」

「えぇ、貴方は司書である私の直属の部下……司書補としてこの図書館で働いて貰うわ。まぁ内容としては本の整理より荒事メインなのだけど」

「荒事、例えば例えば?」

 

三度の飯より戦闘が好きなジョシュアは強制的に配下的なものにされた事等など彼方に追いやって、新たな戦いの気配を察知し食い付いた。その目は今までのマイペースな雰囲気を感じさせない程に爛々と輝いており、その様子にアンジェラは若干引き気味になっている。

 

「……案外乗り気なのね」

「ん、面白そうだから。あ、敬語の方がよろしいですか?」

「別にいいわ、なんか貴方が敬語だと違和感がすごいし」

「ん、とっても失礼」

 

初対面の丁寧な態度とは打って変わって何の遠慮も無い物言いに無表情のまま眉間に皺を寄せるジョシュア。しかしそんな事などお構い無しにアンジェラは話を進めていく。

 

「久しぶりに出来た直属の部下だもの、仕事の説明はきちんとするわよ。貴方が何回も聞き返さないと理解出来ない愚鈍なら話は別だけど」

「ん、任された仕事はキッチリする方」

「そう、それでやって貰う事だけど……はい」

 

そう言ってアンジェラはジョシュアが目覚めてからずっと脇に抱え持っていた一冊の本を差し出した。

 

「……本?持った感じ何もなさそうだけど」

「開いてみなさい。そうすれば自ずと分かるはずよ」

 

そんな風に軽い調子で手渡された本を受け取ったジョシュアはマジマジと表紙や背表紙を観察し始めた。

 

「『たった一つの罪と何百もの善』?……ん、物々しい名前」

 

そこに刻まれていたのはタイトルらしき言葉と十字架のイラスト。しかしながらその十字架の下部分は途中でポッキリと折れており、その破片は茨で覆い隠されて全体像が見えなくなっていた。

意味深な表紙に首をかしげながらもジョシュアは言われた通りに中身を確かめるべく本を開いたのだった。

 

『それはあなたを裁く救世主であり、奈落へ落とす執行者です』

 

「これ位はヒント無しで突破してもらわなくちゃ話にならないの。期待してるわよ?司書補ジョシュア」




司書補時のジョシュアの見た目は水着シロコの髪型に空色のコート、他は濃い紺色のスーツといった感じです。イメージとしては「アンジェラ直属の司書補」ですね。

あと図書館内部のイメージは天井の見えないだだっ広い空間に各階層モチーフのエリアが形成されている感じです。今ジョシュアがいるのは中央に位置してる原作でアンジェラとローランがよく会話してる空間ですね。

後書きにシャンフロ劇場ミニや小ネタシリーズは

  • いる
  • いらない
  • セルマァ……
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