それでは、どうぞ
「ん!?」
本を開いて最初のページ、ポツンと書かれた一文を読んだ瞬間に本が消える……正しくはその本を起点に空間自体が塗り替えられ、自分以外の全てが切り替わった。
「ここは」
本を持っていた腕は宙を掴み、先程までいた図書館とは似ても似つかない黒曜石のような材質でありながら景色を綺麗に反射する地面が何処までも続く世界は、所謂神話のように白い雲の間から黄金の光が差し込むような空に覆われていた。
「本の中って事でいいのかな」
状況判断ではあるものの強ち間違いでもないという確信を抱きながらジョシュアは空を見上げながら歩き始める。
圧倒的に言葉が足りない上司にどうしたものかと頭を悩ませながら体を動かす事数分、その間、雲が流れるだけで景色は一切変わり映えしなかった。
「………ん、そういえばステータス確認してなかった」
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PN:ジョシュア
レベル:25
メイン職業:司書補
サブ職業:傭兵(片手剣使い)
体力 20 魔力 10
スタミナ 70
筋力 40 敏捷 55(65)
器用 30 技量 30
耐久力 1(131) 幸運 50
残りステータスPt.20
装備
左:無し 右:無し
頭:無し
胴:司書補の制服 (耐久力+70)
腰:司書補のベルト (耐久力+20)
脚:司書補の革靴 (耐久力+40)
アクセサリー:導路のミサンガ (俊敏+10)
36550マーニ
スキル
・スピンスラッシュ
・ナックルラッシュ
・旋脚
・オプレッションキック Lv.MAX
・ジャストパリィ
・ループスラッシュ Lv.7
・パワースラッシュ Lv.MAX
・ウェポンスロー
・スライドステップ
・アクトブレイク
・四艘跳び
・スクーピアス
・アクセル Lv.MAX
・光の種 第弐段階
・オフロード Lv.6
・ムーンジャンパー
・スカルシェイカー
・エッジクライム
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「…………」
メイン職業:司書補
サブ職業:傭兵(片手剣使い)
・光の種 第弐段階
「……なぁにこれぇ」
レベルが上がっていないにも関わらず増えているステータスポイントに関しては納得出来る。
夜襲のリュカオーンという特別なモンスターと遭遇し、戦闘を行って生還したのだからあの『サバイバー』という称号の他に何かしら特典はあるだろうと踏んでいたし、事実こうして振り分けられるステータスポイントが追加されている。
装備についてもまだいい。性能がやたら良い事は引っかかるが強制的な着せ替えをされたのは先程確認したばかりだ。
しかし注目すべきはそこではない。
「なんかジョブが勝手に変わってる……しかもなんか光の種の段階進んでるし」
最初に選んだ傭兵はサブに追いやられ、メインの座に入った司書補の文字にジョシュアは思わず顔を顰める。おそらく首を刎ね飛ばされた後に何かしら細工を施されたと思われるが、それにしたって何の前触れもないのはいかがなものだろうか。
更には最初から訳の分からなかった光の種が何故か零から1段飛ばしで進化しており、心当たりは……無いわけではないがココまでサイレントに変化されると何処か恐ろしい感覚に襲われる。
「ん、取り敢えず詳細を……」
カタカタ
「ッ」
ステータス欄をみて唸っていると、突如として背後から硬い物体同士がぶつかり合ったような音が響く。
咄嗟にステータス画面を閉じで
「ん、すっごいデザイン」
そこに居たのは宙に浮く巨大な頭蓋骨。
頭の中に交差する部分が存在するように貫く十字架は先程見た本の表紙と同様に下の部分が折れており、赤黒い茨は頭蓋骨が冠のように被っていた。
デフォルメ等はされていない割と猟奇的なデザインだがそれでも何故か神々しさを感じてしまう存在に対し、悩んでいた事が色々とブッ飛んだジョシュアは警戒を解かず近づいていく。
「………」
カタカタ
(………敵意は、無い?)
武器を持ったジョシュアがコツコツと革靴を硬い石の地面で鳴らしながら数メートルまで近づいているにも関わらず、地上1m程度で浮遊しながらカタカタと顎を鳴らす以外は変わった反応を示さない。
遂には手を伸ばせば触れることが出来る位置まで来たジョシュアは、改めて眼前の存在をマジマジと観察し始める。
「ん、改めて見るとでっかい」
離れた場所から見ていた時から薄々思ってはいたのだが、間近で見るとその大きさに圧倒される。
おそらく一口で人間位なら丸呑み出来そうなサイズ感に声を漏らすが、不意に眼窩を覗き込んだ際にリュカオーンとは質が違う静かな暗闇が目に入った。
「………?何だろう」
何処となく背筋が冷やされた感覚に襲われながらも観察を続けるジョシュア。しかし分かったのは目の前の存在がそこまで危険な物では無いこと位である。
「でも、この骸骨がこの空間の核のハズ……敵対しないなら別の方法が……?」
『懺悔を』
「ッ!」
唐突に頭の中に声が響く。
「これは……」
『汝の罪の告白をここに』
「……懺悔しろってこと?」
ジョシュアが目の前の存在に問えば、正解だと言わんばかりの沈黙が返される。
「……………」
握っていた武器をインベントリに仕舞い込み、頭蓋骨へと真正面から向き合うように立ち、
「 」
その口から己の罪を吐き出した。
「……………」
『……………』
辺りが沈黙に包まれる。
罪人が告げた懺悔に耳を傾けたのは罪を背負った骸のみ。
「ん、なんか反応してほし、眩しッ」
向こう側から懺悔の催促をされそれに応えたジョシュアがしびれを切らして浮遊している存在をポンポンと叩こうもとした瞬間、ペカーと髑髏が神々しい光に包まれる。
「ビックリした……」
『その罪は我が糧となった』
それなりの光量を間近で食らってシパシパと目を瞬かせるジョシュアに対し、先程と同じ様に脳内に直接語りかけてくる声が響く。
「………もしかして、罪を食べるタイプ?」
『肯定しよう、新たなる人類よ』
「割とスムーズに喋れるんだね」
『貴殿の告げた罪の重さ故、こうして言の葉を交わす事が可能になった。悠久の時を経て、存在だけと成り果てた我を蘇らせた事、感謝する』
堅苦しい言葉遣いであるものの、その雰囲気は見た目とは裏腹に厳格でありながらも優しいものだった。カタカタと静かに鳴らされる音は変わらないものの、先程よりも心做しか神々しさが増している気もする。
『我に糧を捧げた行動をその罪の償いとして……』
「必要ない」
そんな上位存在からの赦しの言葉をジョシュアは直ぐに遮った。
「気遣いは有り難いけど、これは僕がずっと背負っておくべき物だから」
『……茨の道を往くか』
「ん、自分の意思で決めた事。不可抗力で許されたとはいえ良い事だったとは思わないし、罪の意識を消しちゃいけない。僕は生まれ持ったこの性と向き合って生きていく」
瞳の無いはずの眼窩から視線が注がれるのを感じながらもジョシュアは真っ直ぐと見つめ返す。暫くの間そんな状況が続くが、やがて沈黙を破ったのは輝く骸骨だった。
『なればその意思、その覚悟の道行きを我は見届けよう。微弱ではあるが活かせる時が来るやも知れん、我が力の断片を使うと良い』
そうして宙に浮く髑髏……『たった一つの罪と何百もの善』はその体から世界を包むような光を発したのだった。
要約
ジョシュア「何やこの骸骨!?」
罪善さん「懺悔せぇや」
ジョシュア「ほーん?まぁええわ言ったろ……うわ光った」
罪善さん「おっ、ごっつえぇエネルギーやん。あ、せや、ついでに罪の意識払拭させたろか?」
ジョシュア「あ、そういうのいいっす」
罪善さん「ふーん……おもしれー奴。見守ったろ」
シャンフロ世界の幻想体は自我が強いです。
後書きにシャンフロ劇場ミニや小ネタシリーズは
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いる
-
いらない
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セルマァ……